表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
入れ替えスキルでスキルカスタム  作者: 斗樹 稼多利
62/116

兄に醜態を晒させる


 まさかここでバレルと遭遇するとはな。

 そりゃあ、こいつは騎士団員だから、国内にいれば遭遇する可能性はあるって分かっているさ。

 ここにいるのだって、ガルア基地への転勤か出張か用事で来ているのかもしれない。

 私服姿でベルトに空間収納袋を括りつけているバレルは、遭遇直後こそ驚いていたけど、すぐにこっちを舐めているような表情になった。


「なんだお前、まだ生きていたのか。しかし出来損ないのくせに、よくガルアまで来れたものだな」


 元実家にいた頃と同じ、見下した目と笑みを向けてくる。

 だけどなんでだ。元実家にいた頃はあの目で見られると恐怖心が湧いてきたのに、今は何の感情も湧いてこない。

 怖いとも恐ろしいとも思わないし、体は震えず硬直もしない。

 それどころか、言い返せる心の余裕がある。

 だったら黙っていることはないか。


「そういうアンタこそ、何でここにいるんだよ。入隊早々に活躍して、本部内で出世街道を行くんじゃなかったのか」


 小馬鹿にしたように笑いながら、元実家でこいつが言っていたことをそのまま口にする。

 すると真っ赤になて表情を一変させた。


「煩い! お前、出来損ないの分際で兄の俺に逆らう気か!」

「煩いのはそっちだろ。大体、俺はもうアトロシアス家の籍に入ったから、法的にもグレイズ家とは無関係なんだよ。アンタは血縁上は兄ではあるけど、戸籍上は兄じゃない」


 あっ、それが理由か?

 もう元実家とは無関係になったから、こいつにビビらなくなったのか?

 いや、なんかそれだけじゃない気がする。

 もっと別の何かがあるような……。


「黙れ! いくら無関係になろうとも、お前が出来損ないであることに違いはない!」


 こいつ変わんないな。

 スキルを入れ替えた影響で槍捌きが上達しにくくなって、それが原因で周囲の成長に付いていけなくて落ちこぼれて蔑まれたのに、元実家で同じ状態だった俺の気持ちを理解しようとしなかった、あの時のままだ。

 どうやら、俺が家を出てからも内面は変わらなかったようだな。

 まあそもそも、変わるとは思っていないけど。


「俺とお前じゃ、出来が違うんだよ! そもそもの持って生まれたものに、天と地ほどの開きがある!」


 持って生まれたものが先天的スキルを指すのなら、生憎と女神の間違いで与えられたものだったよ。

 でも、それはそれで良かったよ。

 もしも最初から「完全解析」を与えられていたら、元実家の連中と同類になっていたか、良いように利用されていたと思うから。

 だけど「入れ替え」だってバカにできないぞ。これのお陰で手放した武器を手元に戻したり、味方の危機を救ったり、敵を近くに引き寄せたり、ホークアイと組み合わせて自分の位置の入れ替えることだってできるんだから。

 ちょっと言い返そうとしたら、横にいたアリルとリズが前に進み出た。


「ちょっとあんた! さっきから黙って聞いてれば、何様のつもりよ!」

「僕達の仲間で未来の旦那様を、あろうことか出来損ないだなんて許せないね」

「うぅぅぅぅ~」


 ロシェリは前に出ていないけど、俺にしがみついて威嚇するように唸っている。

 こいつらがいるから怖くない……というのも理由なんだろうけど、まだ何か足りない気がする。

 確かにこの三人は大切な仲間であり、未来の嫁だ。傍にいてくれているのは心強い。

 でもバレルに対して恐怖心を感じなくなったのは、もっと別の何かがあるような……。


「未来の旦那だぁ? こんな出来損ないのどこがいいんだか」


 よく言うよ。ゼインさんから聞いて知ってるぞ、そっちは婚約破棄されたって。

 使用人達もお前なんかの相手には、悪い意味で勿体ないって言ってたし。


「ジルグ君は出来損ないなんかじゃないよ。誰だか知らないけど、何様のつもりさ」

「そうよそうよ! あんた、ジルグの何を知ってるって言うの!」


 二人の主張にロシェリが何度も頷いて同意している。


「知ってるさ。俺はそいつの腹違いの兄だ。どれだけ出来損ないなのかは、よぉく知ってるよ」


 先天的スキルだけで決めつけて、手合せすらしたことも無いのに、よくそこまで言えるもんだな。軽く尊敬すら覚えるよ。

 完全にこっちを侮って蔑んでいる目と笑みを見せているけど、やっぱり恐怖心は湧いてこない。

 これならビーストレントとか、ブラストレックスとか、死霊錬成獣ドルドスとかとの戦いで感じた方が……。


(ああ、そうか)


 やっと分かった。実戦の中で体感した本物の殺意、迫力、恐怖、死が近づく絶望感。

 そういったものに比べれば、元家族に対する恐怖なんて大したことがないんだ。

 冒険者になって外の世界へ旅立ってから、魔物とたくさん戦って、一回きりだけど盗賊退治で対人戦をして、三度ばかり死にかけるほどの戦いに勝って生き抜いた。

 そうした味わった本物の死の恐怖に比べれば、元家族から受けていた行為はどれも死を感じさせない。

 自分達の方が優秀で優位で格上だというのを示すだけで、殺気も殺意も殺す度胸すら感じ取れない。だから平然としていられるんだ。

 それどころか、この程度の奴らに怯えていたのかと分かると、おかしくて笑いが出そうだ。

 ちょうどいい。このまま黙っているのも癪だし、スキルの入れ替え以外の仕返しもしてやるか。

 バレルの性格と俺への反応を考えると、挑発して煽って自爆させるのがいいかな。

 だったらまずは……。


「……ふっ」


 アリルとリズと言い合っているバレルへ向けて鼻で笑う。


「あっ? お前、今笑っただろ」

「ああ、笑ったさ。勘違いしている間抜けの言い分が面白くてな」

「なんだと! 誰が間抜けだ、出来損ない!」


 この程度の挑発で頭に血が上るのかよ。

 おまけにさっきから出来損ない出来損ないって連呼して、ちょっと語彙力足りないんじゃないか。

 芸の無い罵りに反論するため密着しているロシェリに離れてもらい、アリルとリズの間を抜けて前へ出てバレルを指差す。


「アンタだよ、アンタ。事を荒立てたくないから無抵抗だったのを勘違いして、俺が弱いと思い込んで今でもそれを信じ込んでいるんだから、間抜け以外の何物でもないって」

「なぁっ!?」


 微かに笑みを浮かべながらそう言ったら、顔まで真っ赤になって驚いてる。


「下手に抵抗したら余計に殴られたり蹴られたりするなんて、子供でも分かるさ。だから何もしなかったんだよ。気づかなかったのか? お間抜けさん」


 最後の言葉を小馬鹿にしたように告げると、いつの間にか集まっていた野次馬達から失笑が漏れた。

 冒険者ギルドの前だからか、野次馬の多くは冒険者だ。

 失笑されたバレルはワナワナと震えて、拳を握りしめている。


「お前……出来損ないの分際で俺を虚仮にするか!」

「とっくに虚仮にしてるんだよ。そんなのも分からないなんて、体ばかり鍛えて頭は幼児のままなのか? そんな頭でも分かるように、赤ちゃん言葉でも使ってやろうか?」

『ブハッ!』


 冷笑しながらそう言ったら、一部の冒険者から笑い声が響いた。


「ふざけるなあぁぁぁぁぁっ!」


 わざと無抵抗云々は全部嘘だ。

 でもバレルには効果抜群のようで、叫んだ後はこっちを指差して罵詈雑言を色々と喚いている。

 昔なら剣幕に押されて身が竦んでいただろうけど、今は弱い奴が見栄と虚勢を張っているようにしか思えない。

 ほとんど騒音と言っても過言じゃないバレルの言葉は聞き流して、「完全解析」で確認。

 能力の数値は最後に見た時より伸びているものの、「能力成長促進」スキルがある割にそこまで伸びていない。

 そういえば初めてゼインさんと顔を合わせた時、元家族が騎士団や学校で干されていて、落ちぶれたなんて笑いのネタになっているって話を聞いたっけ。ひょっとして雑用ばかりやらされて、碌な訓練に参加させられていないのか?

 渡した覚えの無い、「洗濯」やら「配膳」やら「運搬」なんてスキルがあるから、ほぼ間違いなさそうだ。

 おっ、全部貰っておいた「槍術」を取り戻してLV2になってるな。そんでどうしてもLV1分は残る、先天的スキルの「能力成長促進」も同じくLV2に上がっているのか。


「おい、聞いてるのか!」

「聞いてない。そもそも幼稚な戯言なんか聞く気は無いし、聞く価値も無い」

『ぷうっ!』


 即答でそう返すと、野次馬全体に笑いが起きた。


「おのれぇ……。出来損ないの分際で、俺を虚仮にしやがってっ!」


 怒りの形相を浮かべたバレルが殴り掛かってきた。

 怒るのはいいけど、公衆の面前で襲い掛かるか普通。

 若干呆れつつ迫る拳を受け止める。


「なっ!?」


 受け止めたくらいで驚くなよ。ていうか、軽っ。ノワール伯父さんやシュヴァルツ祖父ちゃんが繰り出す、体の芯に響くような強くて重みのある一撃に比べれば、威力はそこそこあるんだけど重みを感じない。

 まるでバレルの薄っぺらなプライドが、そのまま乗り移っているかのようだ。


「なんだよ、これ。ビーストレントの攻撃は、もっと速くて重かったぞ」


 受け止めた拳を握り、力を込める。


「いだだだっ!」

「ブラストレックスから受けた攻撃は、もっと痛かったぞ」


 痛がっている隙に空いている手で手首の辺りを掴み、拳を手放して「剛力」スキルを利用して投げ飛ばす。

 体格差はあるけど、今の俺の力とスキルの助けがあればこれくらい簡単だ。


「うおぉぉっ!? ぶべっ!」


 投げ飛ばした方向にいた野次馬達が一斉に避け、バレルは地面に叩きつけられて変な声を上げて数回転がった。


「ドルドスの攻撃は、これ以上に強くて殺意が籠っていたんだぞ」


 それに比べれば、俺がバレルに与えた痛みなんてまだまだだ。

 なのに、あいつは痛がって悶絶している。


「はははっ、見ろよあのザマ」

「聞いた? ぶべっ! ですって」

「誰か知らねえけど、あの坊主に絡むたぁ身の程知らずだな」

「お前も前に絡んだ時、ああして投げ飛ばされたもんな」

「うるせぇっ!」


 笑われながら起き上がるバレルがこっちを睨む。

 だから、それはもう通じないんだよ。それに怯えていた俺はもういない。

 お前がどれだけ睨んでも、ビーストレントの咆哮に比べれば、ブラストレックスの迫力に比べれば、死霊錬成獣ドルドスの存在感に比べれば、本当に怖くなんてない。


「出来損ないの分際で、何をする! よくもこの俺を」

「先に手を出したのはそっちだろ。まさか反撃されることも考えなかったのか? さっき言っただろ、元実家で無抵抗なのはわざとだって。まさかもう忘れたのか? そのおめでたい頭の中身は、本当に幼児のままなんだな。いや、幼児と比べたら幼児に失礼か」


 向こうの言葉を遮って、虚実混じりで一気にまくしたてると、野次馬達が爆笑した。

 ここまでの言動から、バレルがまだちっぽけなプライドに拘っているのは窺える。

 そんな奴が俺に地べたを転がされ、周囲から笑われるなんて屈辱に耐えられるはずがない。

 挑発はこれで充分だろう。となると、次にあいつが取るであろう行動は……。


「アリル、リズ、魔法で拘束準備」

「えっ? どうして?」

「なんでだい?」

「いいから」


 耳まで真っ赤になってプルプル震えている間に、後ろの二人へ小声で指示を出しておく。

 でないと危ないから。


「お前らぁ……全員許さん!」


 空間収納袋へ手を突っ込んで、中から槍を取り出した。 

 野次馬は悲鳴を上げて逃げ出す一般人と、応戦するために武器を抜こうとする冒険者に反応が分かれる。

 でも大丈夫、想定内だ。


「なるほど」

「こういうことだったんだね」

「「プラントバインド!」」


 拘束の準備をしていてくれた二人がさっきの指示の理由を理解し、植物魔法を発動。

 地面から蔦が伸びてバレルに巻きつき拘束した。


「なっ!? くそっ、放せコラァッ!」


 どんなに暴れても巻き付いた蔦は切れることも緩むこともなく、バレルをその場に拘束している。


「よく暴れ出すって分かったわね」

「一応、こいつとは一緒に暮らしていたからな」


 逃げるって選択肢もあったのに、絶対にそれはしないって確信はあった。

 あの状況で逃げだしたら、野次馬達から余計に笑われたり後ろ指を差されることになる。

 俺に対してそっち側だったこいつが、そんな状況を想像しないはずがないし、そんな屈辱を受け入れられるはずがない。

 頭の中にいる昔のままの俺と同列になるのを拒絶し、逆上して暴れ出すのは容易に想像できる。

 こんなちっぽけな奴にビビッていたなんて、本当に以前の俺を笑いたくなるよ。

 とにかくこれで、こいつの自爆は確定した。何しろ天下の往来で刃物を抜いたんだからな。

 さてと、後は騎士団をここへ呼んで来れば終わりだ。


「これは何の騒ぎだ!」


 おっと、ちょうど良いや。

 巡回中だった騎士団員が数人こっちへ駆けて来た。

 同僚の登場にバレルが余計に暴れるけど、拘束からは抜け出せない。

 人ごみを掻き分けて騎士団員達が現れると、バレルを指差しながら状況を伝える。


「ちょっと口論をしていたら、あの人が殴り掛かってきたので反撃しました。そしたら逆上して武器を手に暴れそうだったので、仲間に魔法で拘束してもらいました」


 簡潔かつ的確に今の状況に至った経緯を伝えた。

 対するバレルの口からは、嘘だとか不当に拘束されているといった偽証が飛び出す。

 だけど騎士団員はそれを聞きつつも、俺達へ確認を取る。


「君、本当なのかい?」

「そいつが言ったことは本当だぜ、俺が証言する」

「私もよ」

「僕も見ていました。間違いありません」

「先に手を出したのはあの人ですし、武器を手に暴れそうだったのも本当です」


 騎士団員の一人が尋ねると、野次馬達も口を揃えてバレルのやらかしを証言してくれた。


「目撃者も多数で、本人は武器を持ったままか。こりゃ言い逃れはできないな」

「あれ? 先輩、この人って王都から研修に来る予定の一人じゃ?」


 あいつ、研修でガルアに来ていたのか。


「言われてみれば……。所持品を改めるぞ。騎士団員なら緊急時に備え、休日でも団員証を持っているはずだ」


 仲間に指示を出し、槍を取り上げてポケットの中身を確認していく。

 不都合な展開にバレルは騒いでいるけど、プラントバインドで拘束されたままだから喚く以外に何もできない。

 やがてズボンの後ろポケットから団員証とやらが見つかり、まとめ役っぽい騎士団員に手渡す。それを確認した騎士団員は、大きくため息を吐いていた。


「まさか本当に団員だったとは。おいお前、すぐに戻ってこれの団員番号を照会しろ」

「はい!」

「お前達はこいつを連行してくれ。俺はもう少し事情を聞いてから戻る」

『了解!』


 女性隊員に団員証を渡して先行させ、残りの団員に連行を指示。

 連行するためにアリルとリズが魔法を解除すると、自由になったバレルは近づいた騎士団員を突き飛ばして逃げ出した。

 いやいや、この場を逃げてもその後はどうするんだよ。

 考えなしの行動に呆れながら、急いで追跡しようとしたら、バレルの前に四つの影が立ち塞がった。

 言わずもがな、あいつらだ。


「ひいっ!? な、なんで魔物が町中に!」


 立ち塞がったのは、頭を下げて角を向けながら唸るマッスルガゼル、拳同士をぶつけ合わせてやる気満々をアピールするコンゴウカンガルー、一緒に遊んでいたのか背中に乗っている子供達から頑張れと応援されて鼻息を吐くメガトンアルマジロ、そして腰を落として片手を地面に着けて突進する体勢を取っているビルドコアラ。

 モフモフの欠片も無い、ガッチガチのムッキムキで暑苦しい連中だけど、頼りになる従魔達だ。主に戦闘と荒事関連で。


「今だ、確保しろ!」


 驚いてしりもちを付いている隙に騎士団員達に確保され、後ろ手に縛られていく。

 拘束され立ち上がらせられると、抵抗しながらも騎士団員達によって連れて行かれた。

 これにて仕返し終了。予想通りの展開になったから、逆にちょっと拍子抜けだな。

 おっと、視界からいなくなる前に迷惑料を貰っておかないと。

 再習得した「槍術」スキルLV2分と、「能力成長促進」LV1分。合わせて遠慮なく貰っておくな。

 代わりに「算術」をLV2分と「料理」LV1分をあげるから、何かの役に立ててくれ。


「じゃあ君、ちょっと何があったか教えてくれるかな」

「分かりました」


 迷惑料を貰った後、事情を聞くために残った騎士団員にバレルとのやりとりを説明。

 野次馬をしていた冒険者達も俺の説明が正しいことを証言し、簡易的な聴取は終わった。

 同じ騎士団員が刃傷沙汰未遂を起こしたからか、騎士団員は頭が痛そうな表情で溜め息を吐いている。


「話は分かった。ったく、いくら口論になったからって、人前で暴れて刃物を手にするなんてな。未遂で済んだとはいえ、大隊長がどんな処分を下すことやら」


 ということは俺達の証言を信じてくれるんだな。

 これだけの人数が同じ証言をしているし、間違いないと判断したんだろう。


「協力に感謝する。あいつは厳正に処分するよう、上司には伝えておく」

「頼みます」


 むしろそうしないと騎士団の名誉に関わるから、変な温情とかはしないはずだ。

 ダイノレックス迎撃の件で顔見知りになった大隊長なら、その辺はしっかりしていそうだから大丈夫だろう。

 礼を言って基地へ戻る騎士団員を見送ると野次馬達も解散し、辺りには静けさが戻って来る。


「お前の兄貴とやらはツマラナイ奴だな。あんな奴、斬る価値もねぇ」


 同感だ。珍しく意見が合ったレギアの発言に頷きつつ、俺達も従魔達を伴って帰路へ着く。

 寄り道せずに帰ると、ちょうど門前で辺境伯家から帰ってきたノワール伯父さんと居合わせたから、バレルが研修でガルアへ来てることを伝えておいた。


「そうか。研修ならいずれは王都へ戻るだろうが、一応警戒はしておくんだぞ」


 だな。今日の件で逆恨みしそうだし、俺が煽ったからあんな事をしたって主張しかねないし。


「それで、今日は何をしてきたんだい?」

「今日はちょっと魔物の討伐を。あっ、明日は修業つけてもらってもいい?」

「構わないぞ。ビシバシ鍛えてやる」


 そりゃまた、嬉しいやら不安やら複雑な気分だ。

 ちなみに、今日狩ったスノーラビットの肉は全て調理されて夕食の卓に並び、大半がロシェリの胃に収まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ