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入れ替えスキルでスキルカスタム  作者: 斗樹 稼多利
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報告と入浴と確認


 巣窟からの帰路で一晩野営して、昼前にガルアへ戻って来た俺達は冒険者ギルドへ直行。

 ちょうど依頼を持ちかけて来た受付嬢がいたから彼女の下へ向かい、調査の終了とギルドマスター同席の上で報告をしたいとベイルさんが伝える。

 一旦席を立った受付嬢がギルドマスターを伴って戻ってくると、集合した時と同じ会議室へ通された。

 呼ばれた以上は只事じゃないと察して表情を引き締めているギルドマスターを前に、指揮を執っていたベイルさんが調査の経緯から巣窟内での出来事まで全て説明する。


「今の報告は本当なのか?」

「嘘を言ってどうする」


 信じられないような表情をするギルドマスターを前に、疲れた表情を浮かべるベイルさんは溜め息を吐く。

 報告内容を書き記すために同席している受付嬢も、途中から手が止まって表情は固まっている。


「巣窟が発生していた上に、中でそんな事が行われていたとは……」

「さっきも言った通り、巣窟内の空間は二つ。手前の広い方を武器の置き場に、奥の狭い方を作業場として使っていたようだ」


 生憎と俺は説教を受けていたから直接は見ていないけど、奥の空間は作業場になっていたようだ。

 加工は魔法でしていたから炉は無く、有ったのは生前から書き記していたと思われる研究書と使い込まれた工具、それと素材に使っていた大量の骨類とちょっとした鉱物。

 証拠品としてそれらの一部を持ち帰り、ドルドスから取り出したという魔心石と一緒にテーブルの上に並べる。

 一冊の研究書を手にしたギルドマスターは、パラパラとページを捲って首を傾げた。


「鍛冶や錬金術はよく分からないが、これはどうなんだ?」

「わしもそっちが本職じゃないからハッキリとは言えんが、かなりの物だと思う。本職に見てもらうのを勧めるぞ」

「ふむ……。ならば生産ギルドに連絡して協力してもらおう。冒険者には二束三文でも、鍛冶師や錬金術師には価値が有る物かもしれないからな」


 そこら辺に関してはギルドに任せよう。

 報酬として受け取っても仕方ないから、所有権は誰も主張しない。


「ところで、そこで素知らぬ顔をしている少年。君に付いて来たレギアというのと話させてくれないか?」


 だよな。できればスルーしてほしかったけど、そうもいかないか。


「……今はこれに憑依している」


 胸元から取り出した氷石のタグを見せる。

 真っ黒に染まっているそれからは、寝ているレギアの小さなイビキが聞こえる。

 こいつは昨日の野営中に一度起きたが、どう聞いても自分の事は一切話さなかった。

 しばらくすると退屈だから寝ると告げて再び眠りについて、今も寝続けている。どんだけ寝るんだ、こいつは。


「……寝ているのか? それは」

「ああ」

「起こせないか?」

「昨日、声を掛けたりタグごと揺さぶったりしたけど、全く起きない」


 うんともすんとも言わず、何事も無いかのように寝続けているんだよこいつは。


「仮に起きたとしても、そいつが聞かれた事に素直に答えるとは思えん。特に自分の事はな」

「同感だよ。昨日も答える義理は無いだの、何でそんな事を喋らなきゃならないって、自分の事は一切話さなかったんだからね」


 その通りだ。昨日こいつと喋って分かったのは、封印されていた経緯だけだった。

 武器に憑依できると知ったデッドリーメイカーから協力を求められ、その際に自分を使って何を成し遂げたいのかを尋ねたら、知性ある武器を作り出した後の栄誉しか求めていない返答だったから協力を拒絶。そうしたら武器に憑依できる能力を研究するために封印され、錬金術で作ったあの小さな空間に閉じ込められていたらしい。

 なお、それを喋った後にレギアはこう語った。


『作った武器で色々な敵を斬りたいって言えば、協力してやったかもしれないがな』


 笑いながら言っていたけど、そんな事にならなくて良かったと誰もが思った。いや本当にマジで。

 それ以外にレギアが素直に喋ったのは、斬りたくなった敵がいたら協力するから斬らせろという、自分勝手な要求の下に行動するってことだけ。

 自分が何なのか、外道のはぐれ者とは何のことか。その辺りは全く分からなかった。

 おそらく、今後もこいつが自分について喋ることは無いだろう。

 とりあえず、こいつがデッドリーメイカーと仲違いして封印され、今回の件には絡んでいないことを説明。

 それどころかデッドリーメイカーを倒すのに協力したということで、ギルドはレギアについては一切不問にすることにした。厄介そうだから、俺に面倒見を丸投げしたようにも感じるけど……。

 その後もいくつかの説明と質疑応答を交わし、受付嬢が記録を纏めた所で一番重要な話を切りだす。


「今回の件、わしら全員ギルドへ報酬の上乗せを要求する」


 ベイルさんの要求に全員で頷く。

 いくら巣窟内に入ったのが自分達の判断で、中で行われていた事が想定外だったとはいえ、下手をすれば大事になりかねない事態が潜んでいたのを解決したんだ。相応の額を出してもらわないと、割に合わない。


「報告を聞く限り、その要求は当然だな。現地で確認と調査をした上での精査は必要だが、上乗せは約束する。とても当初の報酬じゃ割に合わないからな」


 さすがギルドマスター、話が早くて助かる。


「一先ず今回は報酬の上乗せを約束する念書を渡すから、それで勘弁してくれ。精査が済み次第、見合った上乗せ額を支払う」


 ギルドマスターの提案に誰も異は唱えたかったけど、ドロンさんが今すぐ冒険者を辞めたら念書は無効になるのかをギルドマスターに尋ねていた。

 えっ、ドロンさん辞めるのか?


「文面には当該冒険者と書く必要があるから、今すぐ辞めたら受け取れなくなる。辞めるのなら受け取ってからにした方がいい」

「分がりまじだ。どうも、失礼じまじた」


 頭を下げたドロンさん以外に意見は出なかったから、ギルドマスターは念書を書くために、受付嬢は当初の分だけでも報酬を渡すために退席する。

 それを見送った後、席の近いキキョウさんがドロンさんへ尋ねた。


「貴殿が冒険者を辞めるのは、あの三人が死んだからか?」


 最もそれらしい理由だけどドロンさんは首を横に振る。


「関係無い。冒険者だがら、死ぬのどは隣合わぜ。ぞれに、あいづらは勝手に突っ込んで死んだ。自業自得」


 思ったよりも気にしていないというより、なんか割り切ってる感じだ。

 悪い扱いをされていたから、死んだことに対する悔やみとか悲しみだとかが無いのか?

 でもまあ、ドロンさんの言い分も一理ある。冒険者は死と隣り合わせ、死んでも全部自己責任で自業自得。だからこそ自由でもあるんだけど。


「今回の戦いで、分がっだ。オデ、戦うのはとこどん向いでない。ぞれにもう、あんな怖い思いは嫌だ。だがら、冒険者は辞める」


 確かにな。今回の件でドロンさんは盾持ちらしいことをほとんどしていない。

 最初のうちはちゃんと後衛を守ったりしていた。だけど全体を通すと、震えて自分の身を守ってばかりだった。

 本人も分かってはいるんだろうけど、命を懸ける場に向いていないんだ。


「でもそうしたら、家に帰れなくなるのでは?」

「別にいい。あんな怖い思いじでまで、帰りだぐない。この町で、別の仕事探ず」


 どうやら決心は固いようだ。二度と家族の下へ帰らないと宣言してまで、冒険者を辞めるつもりでいる。


「本当にいいのか、それで」

「いい。オデ、もう戦うのは嫌だ」

「そうかい。だったら私達に止める権利は無い。ただね、一つだけ言わせてもらうよ。親の下に帰らないなら帰らないで、せめて手紙ぐらいは送ってやんな。アンタの決意を込めてね」


 タバサさんから受けた言葉にドロンさんは無言で頷く。

 なんとなく、手紙を送れって言った理由は分かる。

 親なりにドロンさんのことを思っての言いつけを拒絶してまで決意したんだから、その自分の思いをぶつけてやれってことなんだろう。たぶん。

 元実家での元家族からは、これっぽちも感じなかったし俺も一切抱いていない気持ちだな。


「どりあえず、今回の報酬貰うまでは力仕事で食いづないで、ぞの後に辞めで仕事探ず」


 肩の荷が降りたからか、初めてドロンさんの表情が和らいだ。

 顔の彫りが深くてゴツイから、なんか厳しい父親がたまに見せる優しい表情って感じだ。


「それならお前さん、わしが仕事を紹介してやろうか?」

「えっ?」

「知り合いのドワーフに、大工をしている奴がいる。お前さんはガタイはいいし力も強いからいいと思うんだが、どうだ? ちょうどあいつも人手を欲しがっていてな」

「お、お願い、じまず!」


 早々に次の仕事が決まったドロンさんは何度もベイルさんへ頭を下げる。

 ただ大柄な巨人族が小柄なドワーフに頭を下げても、身長差が埋まらないっていうか頭を下げている感がしない。

 良くて目線を合わせようとしているで、悪く言えば頭を下げても見下ろせるほど小さいって見下してそうだ。


「ジルグ、君。お腹……空いた」


 昼飯時とはいえ、こんな時でも安定してるねロシェリさんや。

 受け取る物を受け取ったら飯屋に行くと約束し、この場は水魔法で中身を継ぎ足した水袋と干し肉を手渡して凌いでもらった。

 それからしばらくして戻ってきた受付嬢から念書と報酬を受け取ったら、今後の互いの健闘を祈りあって解散。

 約束通りに飯屋で食事をした後、アトロシアス家へと戻った。 


「「おかえりなさーい!」」


 出迎えてくれたユイとルウの従妹コンビよ、腹への同時飛びつきは止めてくれ。危うくさっきの昼飯が胃から戻って来そうだったよ。

 従魔達と玄関前で別れた後、奥さん一同と休みだったリアン従姉さんも交えて話せる範囲で何があったのかを話したり、怪我は大丈夫なのかと心配されたり、数日は休めと言われたり、ちょうど起きたレギアの勝手な言い分と口の利き方に苦笑されたりした。

 そうして報告と休憩を取ったら汗を流して来いと言われ、風呂へ向う。ロシェリ達には従妹コンビとリアン従姉さんも同行している。


「おい、俺様も風呂に入れろ」

「はっ?」


 脱衣所で氷石のタグを外したらレギアがそんなことを言ってきた。


「そこから出て、勝手に入ればいいだろ」

「元の姿じゃ湯に浸かれねえんだよ。氷石が嵌ってるこれなら錆び難いから、気にせず持って行け」


 ……まあ、入浴くらいならいいか。

 軽い気持ちで承諾し、レギアが憑依した氷石のタグを首に下げて入浴する。

 数日ぶりだけど、やっぱり風呂はいいな。


「おおっ。久々に浸かったが良い気分だな」

「久々って、最後に浸かったのはいつなんだよ」

「んな昔のことは忘れっちまったよ。ハッハッハッ!」


 昔っていつ頃なんだ。ていうかこいつ、何年生きてるんだ。

 気になるけど、今はこの至福の時間を堪能するのを優先しよう。せっかく広い風呂を独り占めしているんだから。


「そうだ、風呂に入れてもらった礼に良いものを見せてやろう」

「良いもの?」


 何を見せる気なんだこいつ。


「正面を向いとけ」


 言われるがままに正面を向いても壁しかない。

 湯煙が漂っているものの、薄っすらとだから視界は良好。

 すると急に壁が透けだして、向こう側にある女湯にいるロシェリ達の入浴姿がハッキリ見えるようになった。


「なぁっ!?」


 思わず声を上げ、手で視界を塞ぐ。

 だけど無警戒だったから反応が遅れ、バッチリ見てしまった。

 既に見ているロシェリとアリル、いずれは関係を持つ予定のあるリズはともかく、リアン従姉さんとユイとルウは駄目だろ。


「これ、お前がやったのか!」

「ハッハッハッ! 俺様の「透視」スキルを共有させてやったんだよ。どうだ、良い眺めだろ」


 そういえばそうだ、こいつはそんなスキルと能力を持っていたんだった。


「まあまあ、役得だと思って見ておけよ。どいつも貧相だが、男なら嬉しいだろ」

「貧相言うな!」


 ちょっと発達不足ではあるけど、個人的に良いと思う箇所はあるし柔らかいし感度は……って違う! 煩悩退散!


「いいじゃねえか、ちょっとくらい。どうせ向こうは気づいてねえんだしよ」

「そういう問題じゃない!」


 まったく……なんつう事をしでかすんだこいつは。

 ごめん、リアン従姉さん、ユイ、ルウ。さっきの光景は当分忘れられそうにないよ。

 でも、後が怖いから本人達には言わないでおこう。

 悪いのはレギアだけど、とばっちりを喰らいそうだから黙らせてもらう。


「お前が望むならメスというメスの服を透けてみせるが、どうだ?」

「絶対にすんなよ、そんなこと!」

「安心しろ。若いメスにしか使わん」

「そもそも透視するな!」


 そんなことされたら毎日が落ち着かないし、どこを向けばいいのか分からないだろ。


「というか、お前が見たいだけじゃないのか?」

「生憎と俺様は人間のメスに興味はねえ。これは単純にお前へのサービスだな」

「余計な事すんな!」


 いや、全く興味が無いわけじゃない。

 だけどそれそれ、これはこれ。何事にも分別は必要だ。


「んだよ、ツマラナイ奴だな。男ならもっと食いつけよ、貪るようにガン見しろよ! 黙っていてやるから、見放題を満喫しろよ!」

「お前は俺をどうしたいんだ!」


 頑張って反論した。滅茶苦茶頑張って反論した。

 だけど自分勝手で人の話を聞かないこいつに反論も正論も通じず、さっさと風呂から出ようと思って湯船から上がろうとしていたら、せっかくの礼を受け取らないなら見たことをバラすしかないなと言われた。

 そんな事をされたら、仮令たとえどんな理由であれど見たのは確かだから責任を取れと言われそうだ。

 だから俺ができることは……。


「ハッハッハッ! どうだ絶景だろ」

「皆、弱い俺を許してくれ……」


 正論を言っているのは俺の方なのに、暴論を吐くレギアに屈してしまった。

 できるだけ見ないよう視線を外しながらとはいえ、見ていないとレギアが煩いからチラチラと見ている。

 あれだけ食べているのに細いロシェリの腰、スラリとしたアリルの脚、小ぶりながらも引き締まって形のいいリズの尻、長身で引き締まった体つきとバッキバキに鍛えられた腹筋をしているリアン従姉さん、やや細めながら年相応の体つきをしているユイとルウ。

 こっちの声は聞こえず、女湯ということで無防備で無警戒な六人の裸体が湯煙で隠れただけの状態で見え、記憶へと刻まれていく。


「ついでだ! 湯煙も透視してやる!」

「いい加減にしろ!」


 より鮮明にハッキリ見えた女湯の光景は、当分の間記憶から消えることは無いだろう。

 そして風呂上りに会ったらメッチャ気まずかった。

 挙動がおかしかったからか、何かあったのか聞かれたけどレギアの相手が面倒で疲れたからと誤魔化しておいた。

 言えるわけがない。言ったら説教で済めば良い方、見た以上は責任を取れとリアン従姉さんと従姉コンビを嫁にされかねない。嫁が増えること自体は嫌って訳じゃないけど、こんな理由なのは嫌だ。それに従姉妹なのも少し抵抗がある。

 だから誤魔化すしかなかった。レギアのニヤニヤした表情に、とても苛立ちを覚えながら。

 その後、部屋に戻った俺達は夕食まで思い思いに過ごす。

 風呂に入ったのに疲れた俺はベッドに寝転がって休み、その隣でロシェリが寄り添いながら昼寝をして、アリルとリズはテーブルを挟んで雑談に興じ、レギアはまた眠りだしたからベッド近くの棚の上に置いておいた。


(とりあえず、明日はバロンさんのところで武器と防具の点検をしてもらって、次の仕事は修理とか調整次第かな)


 ぼんやりと天井を眺めながらそんな事を考えていると、今の俺達の能力がどうなっているか気になった。

 あの戦いの中で進化した「火魔法」スキルが、どんなスキルになったのかも気になるから確認しておかないと。

 まずは右手を天井に向けてかざし、それに対して「完全解析」を使って自分の能力を確認する。




 ジルグ・アトロシアス 男 15歳 人間


 職業:冒険者 Dランク


 状態:健康


 従魔:コンゴウカンガルー


 体力1729 魔力972 俊敏1026 知力921

 器用1012 筋力993 耐久1001 耐性617

 抵抗630  運306


 先天的スキル

 入れ替えLV7 完全解析LV7 灼熱LV9

 能力成長促進LV3 魔力消費軽減LV8 逆境LV7

 剛力LV6 活性化LV5 体力消費軽減LV5


 後天的スキル

 算術LV3 速読LV3 夜目LV4 水魔法LV10

 空間魔法LV8 動体視力LV10 暗記LV2

 斧術LV10 槌術LV10 土魔法LV9

 風魔法LV9 咆哮LV7 威圧LV7 強振LV5

 料理LV2 解体LV4 刺突LV4 強打LV4

 斬撃LV2 採取LV1


 進化スキル

 飛槍術LV1【槍術LV11】

 自己強越化魔法LV1【自己強化魔法LV11】

 業火魔法LV1【火魔法LV11】


 閲覧可能情報

 身体情報 適性魔法 趣味 三大欲求




 能力の数値もスキルのレベルも、「能力成長促進」の後押しのお陰で順調に伸びている。

 だけどレベルの高いスキルは成長に時間が掛かるようになってきた。

 LV7に達するとそれが顕著になり、LV10になると完全に足踏みしている。

 今回の戦いで「業火魔法」に進化した「火魔法」も含めて、進化したスキルはどれもスキルの入れ替えでLV11に達したのに対して、「火魔法」より先にLV10に達していた「水魔法」と「斧術」と「槌術」は全くレベルが上がっていないのがその証拠だ。特に「水魔法」はこの三ヵ月、全くレベルが上がっていない。

 「能力成長促進」スキルの後押しがあっても、LV10の壁を越えるのは相当な時間が掛かるのか?

 いずれは成長するだろうし、「能力成長促進」で普通より成長に必要な期間は短くなるだろうけど、どれだけの時間がかかることやら。

 レベルが上がった「完全解析」の表示でも進化スキルっていう別枠で表示されているし、進化すると普通のスキルと別物って扱いになるのか? それとも見やすいように「完全解析」が気を使ってくれたのか。

 ……まあその辺は別にいいや。急いで成長しなきゃならない理由は無いし、今は「業火魔法」スキルとレギアの強化に体がついていけるよう、訓練して使いこなせるようになることに重点を置こう。

 しかし、これは何度見ても解せないな。




 三大欲求:食欲6 睡眠欲5 性欲5【嫁限定10】




 この三大欲求は、その人の食欲と睡眠欲と性欲を十段階で表示すると「完全解析」では出ている。

 人並みが5ということだから俺は平均的なんだろう。でも何で限定条件付きで性欲が10になるんだ?

 そんで将来の約束はしたけど嫁じゃない、まだ嫁じゃない。どうしてこんな表示方法をした、「完全解析」よ。

 関係に至るまで何度も耐えていたからか? そういう年頃だからか? 何にしても解せない。

 さて、俺の方はここまでにして、皆はどうかな。まずは隣で寝ているロシェリから。




 ロシェリ 女 15歳 人間


 職業:冒険者 Dランク


 状態:健康


 従魔:マッスルガゼル


 体力217 魔力1049 俊敏193 知力865

 器用211 筋力157  耐久432 耐性458

 抵抗776 運321


 先天的スキル

 魔飢まうLV7 衝撃緩和LV5 能力成長促進LV3


 後天的スキル

 光魔法LV8 氷魔法LV7 治癒魔法LV8 雷魔法LV7

 整頓LV1 精神的苦痛耐性LV1 回避LV3 騎乗LV5

 闇魔法LV7 採取LV1


 閲覧可能情報

 身体情報 適性魔法 趣味 三大欲求




 相変わらずの体力は低いままか。戦闘ではそれを補う魔法があるとはいえ、せめてもうちょっと頑張ってほしい。

 移動がマッスルガゼル頼みだから、「騎乗」スキルのレベルが5になっているぞ。

 そして向こうで喋っている二人は……。




 アリル 女 17歳 犬人ハーフのタブーエルフ


 職業:冒険者 Dランク


 状態:健康


 従魔:メガトンアルマジロ


 体力730 魔力856 俊敏847 知力741

 器用894 筋力405 耐久479 耐性536

 抵抗642 運269


 先天的スキル

 活性化LV7 色別LV5 魔力消費軽減LV6

 能力成長促進LV3


 後天的スキル

 弓術LV8 解体LV6  料理LV6 氷魔法LV7

 採取LV5 風魔法LV8 潜伏LV5 付与魔法LV7

 夜目LV4 複射LV5  連射LV5 植物魔法LV2

 聞き耳LV1


 閲覧可能情報

 身体情報 適性魔法 趣味 三大欲求




 リズメル 女 16歳 馬人族


 職業:冒険者 Fランク


 状態:健康


 従魔:ビルドコアラ


 体力232 魔力1051 俊敏215 知力608

 器用673 筋力182  耐久417 耐性439

 抵抗724 運379


 先天的スキル

 悪意予知LV4 能力成長促進LV2


 後天的スキル

 農耕LV2 精神的苦痛耐性LV2 土魔法LV5

 水魔法LV4 植物魔法LV4 料理LV3 罠設置LV1

 穴掘りLV2 解体LV3 採取LV3 観察LV2

 火魔法LV2 雷魔法LV1 闇魔法LV1


 閲覧可能情報

 身体情報 適性魔法 趣味 三大欲求




 うん、最後に加わったリズもしっかり成長しているな。

 体つきの成長が全く無いのは言うな。リズだけじゃなくてロシェリとアリルも気にしているから。

 そうだ。インテリジェンスマジックデスサイズの「闇魔法」と「火魔法」を、スキルの入れ替えで与えたことを後でリズに伝えておかないと。

 ロシェリにも「闇魔法」を与えたことを伝えて、二人には使いこなせるようにする訓練をさせないとな。

 一人だけ何も無いアリルからはジト目を向けられそうだから、今のうちに言い訳でも考えておこう。

 そういえば、ロシェリ達の三大欲求は見たことが無かったっけ。

 見なくともロシェリの食欲は確実に最高値を叩きだすだろうけど、ちょっと気になるから見せてもらおう。




 ロシェリ

 三大欲求:食欲10 睡眠欲6 性欲4【ジルグ限定10】


 アリル

 三大欲求:食欲7 睡眠欲5 性欲4【ジルグ限定10】


 リズメル

 三大欲求:食欲5 睡眠欲6 性欲5【ジルグ限定10】




 ……見なかったことにしよう、特に性欲の部分。


「ちょっと、どうかしたの?」

「……なんでもない。眠くなっただけだ。寝るから飯になったら起こしてくれ」

「分かったよ、おやすみ」


 何かに気づかれそうだったのを適当に誤魔化し、目を閉じる。

 隣にロシェリが密着しているのと、性欲の表示を思い出して悶々としながらも少しばかり眠ることができた。

 ちなみに夕食の時にリアン従姉さんと従妹コンビに会ったら風呂での光景を思い出し、気まずくて話にくくて従妹コンビに引っ付かれて動揺を必死に押さえ込んでと、自分の中ではちょっとした激しい戦いが起きていたことは秘密だ。

 アリルが何も言ってこないから、「色別」は使わなかったんだろう。正直助かった。そしてニヤケ顔のレギアにはとてもムカついた。


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