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入れ替えスキルでスキルカスタム  作者: 斗樹 稼多利
34/116

目的地着逆ナンパ行


 「槍術」がLV11で「飛槍術」へ進化した。

 早速使い勝手を確かめてみるために遠くの木へ狙いを定め、どれくらいの強さで振ったり突いたりすれば届くのか、どれくらいの威力になるのか、そして槍部分以外でも攻撃が飛ぶのか。こうしたことを、とにかく数をこなして検証してみた。お陰で飛距離の力加減はおおよそ掴めたし、威力は振った時の威力そのままだということが分かった。

 さらにこの「飛槍術」スキルは、槍部分で攻撃しようと意識した時にしか使えないことも判明した。

 斧部分か槌部分で攻撃しようと意識してしまうか、何も考えない無意識の攻撃だと、この「飛槍術」スキルは発動せずただの空振りに終わってしまう。


「距離を開けられたら、槍部分で攻撃すると意識して『飛槍術』を使えばいいのか」

「そうね。魔法と違ってスキルの使用を口にする必要も無いし、特に初見だったらよほどのことがない限り命中するでしょうね」

「初見……殺し……」


 まあな。突きや斬撃が飛んでくるなんて、普通は考えないからな。

 しかしそうなると、他のスキルは進化したらどんなスキルになるんだろうか。


「今後はスキルの進化のことも考えて、スキルの入れ替えをするか?」

「賛成」

「賛……成」


 よし、承諾は得たからそういう事にしよう。

 とはいえ、現状で次に進化しそうなのは俺の「水魔法」と「自己強化魔法」の二つか。どっちもまだLV9だから、レベルを二つ上げないと進化しない。


「そういえば、先天的スキルも進化するのかしら?」

「……どうだろう」


 否定はできないけど、肯定もできない。

 なにせ先天的スキルは後天的スキルと違い、同じ物を持つ人なんてそうそう見つからない。

 仮に見つけたとしても、盗賊のような悪人だとか人物的に駄目な奴でない限り、スキルの入れ替えなんてことをするつもりはない。


「確かめるには、地道にレベルを上げるしかないな」

「進化、すれば……。お腹減るの……少しは、治まる……かな?」


 どうだろうか。「魔飢」の進化系……なんか余計に腹が減る可能性もあるから、予想がつかないな。

 こんな感じでスキルの進化について喋りながら、ラーキの町を目指す旅路は色々な出来事が待っていた。

 急勾配でロシェリがマッスルガゼルの背中から転がり落ちそうになったり、一方が崖になっている道で足場が崩れてコンゴウカンガルーが落ちそうになったり、「飛槍術」を実戦で試すために魔物と遭遇したら虫系のパラライズモルフィンだったから二人が殺気全開で殲滅しちゃったり、川を渡ろうとしたらスパイクピラニアっていう小型の魚の魔物に足を噛まれたり、それを倒すためにロシェリが川へサンダーを放ったから全員が電撃を浴びたりした。

 そしてラーキの町までもう少しという所で、俺達は話に聞いていたビルドコアラと遭遇していた。


「本当に小型のゴリラみたいな体つきね」

「コアラ……なのに」


 雄叫びを上げながらドラミングをしてこっちを威嚇しだしたけど、外見は筋肉質なのと普通より大きい点を除けばコアラだ。決してゴリラじゃない。




 ビルドコアラ 魔物 雄


 状態:健康


 体力683 魔力77  俊敏593 知力298

 器用306 筋力747 耐久715 耐性389

 抵抗347 運193


 スキル

 屈強LV2 拳術LV2 威圧LV1




 うん、確かにビルドコアラだ。コアラだ、コアラだ! 決して見た目がちょっと変わっているゴリラじゃない。

 同じ筋肉質として触発されたのか、マッスルガゼルとコンゴウカンガルーが張り切っている。

 というか、能力の数値的にこの二体だけでも勝てそうだ。

 けれど念のため、「威圧」LV1を昨日レベルが上がった俺の「暗記」LV1分と入れ替えて、マッスルガゼルとコンゴウカンガルーの「跳躍」LV1分ずつを「屈強」LV2を分割して入れ替えておく。

 さっきまではドラミングに恐怖感を覚えたけど、これで恐怖感は消えた。ついでに「屈強」を失ったから防御力も落ちているだろう。

 あっ、雄叫びとドラミングでの威圧が効かなくなったから、なんか戸惑ってる。


「ちょっと、今入れ替えたでしょ」

「まあな。それより、行くぞ!」

「う……ん!」

「はいはい」


 スキルを弱らせて数値的にもこっちが上だ。でも油断せずに全員で掛かった。

 結果は火を見るよりも明らかで、俺達が勝利して次元収納へ収められた。


「ところで、今回は何を入れ替えたのよ」

「俺が『威圧』で、こいつらには『屈強』だ」

「……また、ガッチガチに、なるんだ」


 そうなんだ。「屈強」のレベルが上がったから、またガッチガチになるんだ。

 こいつらもそれが分かっているのか、例の筋肉を隆起させて強調するポーズをとっている。


「逆に『屈強』を失ったビルドコアラの肉は、柔らかくなっているのかしら?」


 元の硬さが分からないから、そこのところは分からないな。

 前にマッスルガゼルへ「屈強」を入れ替えた鱗狸の肉は柔らかかったけど、あれも「屈強」を失った後だから分からない。


「美味しければ……硬くても、柔らかくても……いい」

「そうね。ちょっとやそっとの硬さなら、特に気にならないわね」


 いやいや。味は大事だけど柔らかさも大事だぞ?

 硬い肉をいつまでも噛むのは嫌だし、美味くても食欲が失せるって。牙のような物があるならともかく、こちとら普通の人間と……あっ、アリルは犬人族とのハーフだから牙があったっけ。

 犬要素が尻尾ばかり印象に残っていたから、すっかり忘れてた。


「じゃあ今度、『屈強』を可能な限り入れ替えて与えた、ガッチガチになった魔物の肉でも食ってみるか?」

「それは嫌ね」

「硬すぎたら……美味しくても、無理」


 だろうよ。俺だってそんなの食いたくない。

 第一、そんなことのために入れ替えた「屈強」が勿体ない。


「さて、そろそろ行くぞ。お前達も、逞しいのは分かったからもう止めろ」


 まだ筋肉アピールをしていた二体を諌め、ラーキの町への道を行く。

 この先は特に問題も無く、無事にラーキの町へ到着した。

 入り口での審査も通過したら馬車乗り場へ直行し、ガルア行きの便について尋ねる。


「ガルア行きは朝方に行きの二便があるだけだよ」


 どうやらガルアまでは馬車でも半日くらい掛けて行くようで、早朝に出る朝一番の便でも到着は夕暮れ時らしい。そのためガルア行きの便は早い時間の二便だけで、向こうからこっちへ来る便も同じだと受付のおじさんが教えてくれた。


「というわけだから、ガルアに行きたいなら明日また来な」

「そうですか。ありがとうございます」


 さて、どうするか。朝早い二便しかないのは仕方ないとして、問題はその二便が冒険者ギルドが開くより早く出ちゃうってことだ。

 この後で冒険者ギルドへ寄って魔物の解体を頼んで、それを翌朝に引き取っていたら間に合わないぞ。

 だとすると、この町で二泊して明後日の朝の便に乗った方がいいか。

 そんな事を考えていたら、アリルに背中を叩かれた。


「ねえ。魔物をギルドで処理してもらうのはガルアに着いてからにして、今日は明日に備えて早めに休まない?」


 あっ、そうか。別に今すぐ処理する必要は無いんだ。

 時間経過が遅い次元収納なら、保管が一日くらい延びても影響は無いだろう。

 処理した順に使っているからすぐに痛みそうな肉は無いし、依頼を受けて倒した魔物でもないしな。

 でも急ぐ旅という訳でもないから、明日はゆっくり休んで明後日に移動するのも有りだ。


「とりあえず……先に、ご飯……」


 鳴っている腹を押さえてそう訴えるロシェリの要求に則り(従い)、飯屋に入って食べながら決めることにした。

 適当に入った飯屋で値段も味も量も平凡な飯を食べながら話し合った結果、早くガルアに行ってみたいというロシェリとアリルの要望を聞き入れ、山中で狩った魔物の処理はガルアに着いてからして、明日の朝一番の馬車便でガルアへ向かうことで決定。食事が終わったら飯屋の人に従魔も泊まれる宿の場所を聞き、お礼を伝えてその宿へ向かう。

 いつも通りに三人で一部屋を借り、ロシェリと計算の勉強をしたり、アリルと本を交換して読んだりしながら寛ぎ、保管している肉を宿の人に渡して追加注文をした夕食を済ませたらこの日は早めに寝た。


「おや……すみ……」


 ベッドへ潜り込んできたロシェリさんや、先日のやり取りもあってか結構耐えるのが辛いんですが?

 アリルもどうしようか迷ってこっちをチラチラ見てないで、できれば助けてくれ。早く寝たいのに寝られん。

 この後、無茶苦茶頑張って気合いで堪えて眠った。



 ****



 まだ日が出て間もない早朝。予め宿の人に説明していたお陰で鍵の返却はスムーズに進み、宿を出て人も疎らな通りを歩く。 


「ふぁ……。まだ、眠い……」

「気持ちは分かるけど、次の便だと到着は夜だから宿が取れないかもしれないわよ」


 その通り。朝一番の便なら夕方頃に着くから、少なくとも夜に着くよりは宿が取りやすいだろう。

 ただでさえ従魔も泊まれる宿っていう条件付きだから、どこでもいいって訳にはいかない。だからこそ、例え眠くとも早起きして朝一番の便に乗る必要がある。


「馬車に乗ったら寝れるから、もう少し耐えてくれ」

「膝枕……希望」


 はいはい、分かった分かった。

 というかあんなに密着して寝たのに、まだ引っ付いて寝たがるのか。

 でも膝枕程度なら問題無いって考える辺り、だいぶ毒されてきている気がする。

 あれ? ひょっとしなくても毒されてるのか?

 まあいいか、異性に好まれて悪い気はしないし。

 ……毒されてるな、うん。


「ちょっと、何悟ったような顔してんのよ」

「いやな。膝枕をあっさり受け入れるほど、知らぬ間に慣らされていたんだなって」

「ああ、なるほどね。……私も片方、借りていい?」


 アリルよ、お前もか。


「……好きにしろ」

「じゃあ……好きにする」


 やっぱり毒されてるなあ、俺……。

 知らぬ間に影響を受けていることを改めて実感しつつ、馬車乗り場へ到着。

 従魔達は自力で走る旨を説明し、料金を支払ってガルア行きの便に乗ると既に何人か客がいた。

 大きな背負子を足下に置いた行商人風の初老の男に、楽器の手入れをしている眼鏡の女性吟遊詩人、眠そうな猫人族の男の子を連れた同じく猫人族の男、法衣姿の中年女性、そして冒険者風の装いの若い女性二人と少年の三人組。

 思ったよりも人がいるなと思いながら会釈をして空いている席に座ると、早々にロシェリが俺の膝を枕にして寝ようとする。

 しかしスペースの関係上、横になることはできない。


「うぅ……膝……」

「諦めろ。他の客に迷惑かける訳にはいかないだろ」

「むぅ……。じゃあ、肩……借りるね」


 そう言うやいなや、右肩にもたれかかって寝息を立てだした。

 寝るのが早いとかなんとか突っ込む前に眠ったロシェリに呆れていると、左肩にも重みを感じたから振り向くと、さも当然のようにアリルがもたれかかっていた。


「何よ。好きにしろって言ったじゃない」


 確かに言いました。だから文句は言いません、好きにしてください。


「じゃあ、おやすみ」

「ああ……」


 はぁ、まったく。何がどうなってこうなったのか。

 思わず俯いて溜め息を吐き、若干頭痛を覚えつつ顔を上げると他の客達の注目が集まっていた。

 眠った子供に寄りかかられている猫人族の男はなんか納得するように頷いていて、吟遊詩人の女性からは興味深そうな視線を向けられ、行商人風の男と法衣姿の女性からは温かい視線と笑みを向けられ、冒険者風の女性達からはニヤニヤした笑みを向けられ、仲間っぽい少年からは尊敬の眼差しを向けられている。

 うんまあ、こうなるよな。


「それじゃガルア行き、出発します」


 御者がそう告げて馬車が走り出す。その後に続いて従魔達が追いかけて来るのを確認したら、現実と向き合うことにした。

 何かって? この周囲からの注目に決まっている。

 近所に住む知り合いのおじさんおばさんみたいな感じでいる、猫人族の男と行商人風の男と法衣姿の中年女性はまだいいとしよう。問題は吟遊詩人と冒険者三人組だ。

 妙な勘繰りをされて絡まれないよう、寝たふりでもして誤魔化すかな。


「ねえ君、その子達と仲が良さそうだけど恋人? 良かったら馴れ初め教えてくれる? お姉さん、今なんか新しい詩が頭に舞い降りてきそうなの」


 誤魔化す前に吟遊詩人に絡まれた……。

 というか、頭に舞い降りてくるってなんだ。


「違いますよ。普通よりちょっと仲が良いくらいの仲間ですよ」

「そうなの? でも待てよ。彼にとってはそうでも、彼女達からしたら……」


 なんか考え込むように俯いてブツブツ言いだした。舞い降りてないじゃん、考えてんじゃん。


「あら? そっちの金髪の子はエルフなのね。珍しいわね、集落の外に出ているエルフは」


 今度は法衣姿の女性か。


「しかもその髪の色と肌の色の組み合わせ……。ひょっとしてその子、タブーエルフなのかしら?」

「……知ってるんですか?」


 まさかとは思うけど、アリルを追い出した連中のような事を言いださないよな。

 もしも同じことを言いだしたら、この人のスキルを入れ替えてやろう。


「ええ。エルフにとっての禁忌を犯した姿でしょう?」

「はい」

「エルフにとってはとても罪深く、許されない姿だと聞いているわ。でもね、一部ではちょっと違うのよ」


 ちょっと違う? どういうことだ。


「一部のエルフの間では、タブーエルフは他種族との愛に生きる決意をした姿と言われているの」


 なにそれ、全然印象が違うんですけど。

 法衣姿の女性曰く、他種族の男との恋に落ちたエルフの女性が、共に同じ時間を過ごしたいからと自ら禁忌を犯してタブーエルフとなって、その相手と同じ時間の流れの中で一生を共に生きたという実話があるらしい。

 そのため一部のエルフ、特に女性の間ではタブーエルフは他種族の異性と共に生きる決意の姿と言われ、愛に生きる決意の証とまで言われているらしい。


「若い頃に巡礼の旅の途中で立ち寄ったエルフの集落で聞いたんだけど、そこには数人だけどタブーエルフもいたわ。他種族との家庭を作ってね」


 追放対象のタブーエルフを受け入れる集落もあるのか。

 同じエルフでも地域とか考え方とかによって、タブーエルフの捉え方が違んだな。アリルもその集落出身だったら良かったのに。


「ひょっとしてその子も、あなたと一緒にいたくてタブーエルフになったのかしら?」

「違います」


 即答で否定したのに、どうして周囲から温かい眼差しが向けられるんだろう。


「違うんだからぁ……」


 なんかアリルの小声が聞こえたから横を見たら、顔どころか耳まで真っ赤になっていた。

 こいつ、まだ寝てなかったのか。ていうか話聞いてたのか。

 なるほど。反対側にいるロシェリは静かに寝息を立ててるから、眼差しが向けられている原因はこいつか。


「ほうほう。なら、ここの詩はこう変えて……」


 吟遊詩人のお姉さん、間違っても妙な詩を作らないでください。

 そのままの流れで互いのことを話しあうことになり、とりあえずガルアを目指す旅の冒険者と伝えておいた。

 行商人風の男は行商人ではなくガルアの町で商店をやっていて、ラーキの町へ仕入れに行っていた商人らしい。

 法衣姿の女性は見たまんまの聖職者で、教会の用事を終えて帰る最中とのことだ。

 吟遊詩人のお姉さんは旅から旅への流れの吟遊詩人で、しばらくはガルアで仕事をすると教えてくれた。

 冒険者の三人組はガルアを中心に活動をしていて、護衛の依頼でラーキの町へ来ていた。女性二人がDランクで、少年は片方の弟でFランクとのこと。

 そして猫人族の父子は、奥さんが病気で亡くなったから子供を育てるために冒険者を辞め、父親である男性の実家へ帰る途中らしい。今後は冒険者ギルドで解体職人として働く予定だと、眠る子供の頭を撫でながら教えてくれた。


「大変ですね」

「なぁに、親なら当然のことだ。こいつ一人で留守番させる訳にはいかないし、万が一にも大怪我して働けなくなったり死んだりする訳にはいかないからな」


 こうした普通の父親としての話を聞くと、改めてあの元父親が間違っていると認識できる。

 別に貴族じゃなくていいし裕福でなくてもいいのに、どうしてこういう普通の父親の下に生まれなかったんだろうか。

 生まれる子は親や家族や家柄を選べないってことだな、うん。

 この後は旅の話や雑談を交わし、馬を休めるための休憩時に起きたロシェリとアリルが吟遊詩人のお姉さんにいじられ、同じく起きた猫人族の男の子がコンゴウカンガルーの拳打の練習を真似したり、剣を使う冒険者のお姉さんと手合わせをして勝ったら勧誘されたり、食事休憩の際にロシェリの食事量に驚かれたりと、賑やかで和やかな馬車の旅は順調に進み、予定通り夕方頃にガルアへ到着した。


「おお、ここが……」

「人……たくさん」

「賑わってるわねぇ」


 夕暮れ時とあってか、一仕事終えた人達で町中はごった返している。

 特に多いのが冒険者で、ここが冒険者に人気で活動が活発だという一端が見て取れる。


「ガルアに到着です。お忘れ物にご注意ください」


 馬車乗り場に到着し、御者にお礼を言って他のお客達と別れ、冒険者三人組から教えてもらった従魔も泊まれる宿へ向かう。

 道中で空腹を訴えるロシェリに促され、屋台で旨そうな香りをさせている串焼きの肉を買い食いして通りを歩いていると、正面から周囲より頭一つ抜きんでた身長の女性が歩いて来るのが見えた。

 いや、女性というより少女か? 背丈の割に顔に幼さが残っている感じがして、近い年齢に見える。

 そんな顔立ちで背が高く、おまけに重装備の鎧を纏って大きめの盾と剣を背負っているから、余計に目立つ。


「わっ、背の高い人ね。あの人も冒険者かしら」

「騎士団の……鎧じゃ、ないよね」

「そうだな。たぶん同業者じゃないか?」


 そんなことを喋りつつ擦れ違った直後、誰かに肩を掴まれた。


「あ、あの!」


 振り返れば、たった今擦れ違った背の高い女性がいる。


「何か用ですか?」

「どこかで、お会いしたことがありませんか?」


 えっ? 何これ逆ナンパってやつ?


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