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VTuberの姉さんを救ったら、甘すぎる毎日が始まりました。  作者: くまたに


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第17話

 本屋やゲーセンをぶらぶらし、空が茜色に染まった頃に俺達は大型商業施設をあとにした。

 現在の時刻を確認するため、鞄からスマホを取り出した。そして電源ボタンを押すのだが──


「つかない……」


「えっ!?」


 電池切れ……自業自得だな。まあ今日はあまり使う予定が無いからいいんだが。


「今何時か分かる?」


「ちょっと待ってね──今は……5時半だね」


「ん。ありがと」


 5時半かぁー。微妙だな。

 今から帰るには少し早いし、かと言って何ヶ所か見て回ると帰る時間が遅くなるんだよな。

 今日はお義母さんの夜勤が無いから、わざわざ作って貰ったのを食べないっていうのもな……


「あっ、今日の夜お母さんとお義父さんでディナー行ってくるから、外食するかデリバリー取るか作るかどうにかして、だって」


 なんてタイムリーな。思わず、姉さんは俺の心を読んでいるんじゃないか、と疑ってしまう。


「そっか。なら外食して帰る?」


「えっと……服にお金使いすぎて、財布の中身がほとんど無い……」


「大丈夫。俺お小遣い貰ってお金持ちだから」


「えっ!私まだ今月分貰って無いんだけど!」


 姉さんはむぅと頬を膨らませている、が俺に言われてもどうにもならないんだよな……

 それに俺が貰ったお小遣いは、5月分ではなくお義母さんが「瑠璃を助けてくれてありがとう。何かお礼をしたいわ」と言い出したら効かなくなったので、仕方なく「じゃあお金で」と言って貰ったものだ。

 姉さんはお義母さんだけではなく、俺にとっても大切な家族なので救ったからと言ってご褒美を貰うのは少し気が引けた。


 しかしそのおかげで財布の中身は歴史の偉人達でいっぱいになっている。これなら少し高い店でもご馳走できるな。


「お金はたくさんあるから、遠慮無く行きたい店教えてくれ」


「ん〜……ファミレスかな」


「ファミレスで何を食べたい?」


 ここで聞くのは変だろうか──うん、変だな。でも仕方ないんだ。


「ハンバーグっ」


「よし分かった。近くに良い店あるから、そこにしよう」


「エスコートよろしくね♡」


 そう言われると何だか気恥ずかしくなるな。今日は俺達がしてきたのはよくある『きょうだいの買い物』のはずなのに、記憶を思い返してみるとカップルのデートと大して変わらない事に気づいてしまう。


 隣を歩く姉さんは「ハンバーグっ♪ハンバーグっ♪」と作詞作曲・姉さんの曲を楽しそうに口ずさんでいる。

 やっぱり周りの人にはカップルに見えてるのかなー……。

 消えろ、邪念。今日だけでも何度感じたか分からない疑問を、無理やり頭から放り出す。


 以前この辺りには友達と来た事がある。だから店の位置さえ変わっていなければ場所は完璧に頭に入っている。

 昔から勉強は出来ないけど、土地勘だけは強いんだよな。


 などと思いながら、大通りから裏道、裏道から大通りと頭の中にある地図を頼りに最短ルートで目的の店へ向かう。

 ネットの情報によると、注文してから1から作るため運ばれてくるまで結構時間がかかるらしい。だからお腹が空いてなくても早めに着いておきたい。


「あれだ」


 少し先に左右をファミレスとコンビニに挟まれた、綺麗な外観の店が見える。

 親ともあんな高級そうな店に来た事無い。どんな味なのか、凄く楽しみだ。


「ハンバーグっ♪ハンバーグっ♪」


 姉さんはハンバーグの事で頭がいっぱいで店がファミレスじゃない事に気づいていないようだ。

 入る前に断られたらどうしようかと心配していたが、杞憂に終わった。


 内装も見事なもので、至る所まで細かい工夫が施されており、目に見える景色だけで今日ここに来て良かったと思える。

 銀座のビルの最上階などにある高級レストランとは違って少し値段の高いレストランなので、予約をしないと入れないという訳では無く──


「2名様ですね。ご案内します」


 綺麗な店の制服に身を包んだ若い男性は、朗らかな笑顔で俺達を店の奥まで連れて行ってくれた。

 テーブルに取り付けられていたタブレット端末で姉さんに値段がバレないように気をつけ、2人分の料理を頼んだ。

 姉さんはもちろん好物のハンバーグ、この店はハンバーグを売りに出しているという事で俺もハンバーグを選んだ。


 料理を待つ時間は服選びの時に思った事をお互いに口にしていたらあっという間に時間は過ぎ、美しい光沢を放つライスと共にお待ちかねのハンバーグが運ばれてきた。


「うわぁ〜っ!」


 姉さんは歓喜に満ち溢れた声を漏らす。

 そして合掌し、早く食べたい気持ちを抑えてフォークとナイフを使って上品にハンバーグを1口サイズに切る。そのまま口に運ぶと彼女は幸せそうに頬を緩める。


 喜んでもらえたようでよかった。こんなに美味しそうなものを食べるのは両親に申し訳ないけれど、この頃たくさん頑張ったんだ。たまにはいいよね。

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