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VTuberの姉さんを救ったら、甘すぎる毎日が始まりました。  作者: くまたに


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第15話

「どう、かな……?」


 顔を朱色に染めた姉さんが、上目遣い気味に俺の顔を覗き込む。

 俺の選んだワンピースを見事に着こなしている。

 姉さんだったらどんな服でも似合うのでは。


「す、凄くいいよ。姉さんは割と身長が高い方だから、それも相まってとても綺麗に見えるよ」


「買う」


「何か言ったか」


「このワンピース、買う」


 姉さん的にも『良い』と思ったのか。それなら選んだ甲斐があるな。

 姉さんはくるりと回ったり、腕を動かしてみたりして自分の体に合っているか確認し、それが終わると「着替えてくる」と言って、試着室の中に消えていった。


 今回も目と耳を塞ぎ、姉さんの着替えが終わるまで待った。こうでもしないと彼女には悪いが、興奮してしまうからな。

 数分後、着替えを終えた姉さんに肩を揺らされ、目と耳を開く。相変わらず目を開けてすぐは、眩しくて何も見えない。


「そのワンピース以外に、何か買うの?」


 目が半開きの状態で聞いた。

 ぼんやりと見える姉さんは、考える素振りもせずに言う。


「うんん。もう少し見てみたいかな」


「分かった」


 今日は姉さんが誘ってくれたんだ。それなら彼女に心残りができてしまわないように、俺は最後まで付き合うとしよう。


 姉さんはキラキラと綺麗な目で様々な衣服を眺めていた。その目は不純物が一切混ざっていない、宝石のようだった。

「あの服、可愛い!」「この服も良いかも!」とぴょこぴょこと動き回る姿は、見ているだけで自然と頬が緩む。


 3着ほど買い物かごに入れると、姉さんはまたしても試着室の中に消えていった。


「どうかな?」


 耳を塞ぐ手のひら越しに聞こえ、俺はそろそろ疲れてきた腕を下ろす。

 瞼を上げると目の前には丈が膝上までしかないスカートに爽やかな印象の水色のTシャツの姉さんの姿が。

 彼女のスカートを履いている姿は制服がそうであるため見た事があるが、自然と可愛らしく見える。


「スカートを履いてみたんだね。水色のTシャツと着ることで爽やかさが強調されている。俺はその姿も好きだな」


「そう……ありがと」


 美少女の可愛らしい姿は最高だ。一瞬で目の疲労が吹き飛ぶ。

 この頃アオイの配信を見すぎて視力が落ちてきていたんだ。でも元の良かった頃の視力に戻った気がする。



「これは、どう……?」


 今度は上下ダボッとしたのを着ている。


「ふわふわしていて可愛いな。あと──」


「ありがと。次よ」


 何か良くない事言ったかな。

 俺の言葉を遮るように姉さんは素早く、そして勢い良く試着室のカーテンを閉めた。

 それはまるで「あなたの顔は見たくありません」と言われているかのようだ。


 そんな時だった。店内放送の音や周りに人々の声に混ざって鈍い音を耳にした。

 壁をバンバンと叩く音。音のする方へ視線を向けると、そこにはつい先程姉さんが入っていった試着室が。

 ヤバいめっちゃキレてる……『可愛い』は禁句(タブー)だったのか?

 何はともあれ姉さんが試着室に持って入った服は、上下3着ずつだったはず。

 泣いても笑っても次が最後だ。失敗は許されない。


 目と耳を塞ぐ事を忘れて過去に読んだラノベを思い返す。ラブコメの主人公達のセリフ、それだけが頼りだ。


「最後よ、どう?」


「──!!」


 モデルのようなポーズをして試着室から姿を現した姉さんに一瞬気を失いかけた。

 ひらひらのフリルの付いたオフショルダーに、下着が見えてしまいそうなくらい丈の短いミニスカート。ニーソックスで彼女のスタイルが更に良く見える。

 家から着てきたのとは違って、今回はへそ出しコーデだ。


 ふん、なるほど。なかなかやるな……!


 俺の気持ちは遂に魔王に直面した勇者のよう。

 ここでやらかしたら、死。魔王戦と同じだ。

 記憶の隅々、そして俺の人生15年で得た知識をフル活用する。


「姉さんは身長高くてスタイルいいから、そういうのも似合っているな。それに姉さんの肌は綺麗に保たれているから、オフショルダーの服がとても似合っているよ。大人のような美しさと可憐さが強調されている」


 決まった……!

 思わず心の中で大きくガッツポーズをしてしまった。これは申し分無いだろう。

 チラリと姉さんの顔を覗いた。


「うぅぅ……」


 恥ずかしそうに両手で顔を隠し、小さく声を漏らしていた。

 顔は真っ赤に染まり、ぷるぷると震えている。今にも煙を出してしまいそうだ。

 そしてそれからは何も言わずに試着室の中に引っ込んで行った。


 ◆


「そろそろ機嫌を直してくれませんかね……?」


「……」


 姉さんは試着室から出てきてからはずっとこの調子だ。何か気に入らない事があったのか、ムスッとした顔をしている。

 試着した服は全て買っていて重そうだと思い、「持つよ」と言ったのだが綺麗に無視されてしまった。


 数歩先を歩く彼女の耳は未だに赤い。

 それほど俺の褒め方が下手で、屈辱的だったのだろう……。


「次はどの店行きたい?」


「……」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~〜〜~!!!!!!!!!

 話を聞いてくれよ!そろそろ心折れるぞ?いいの?嫌だよね!?


 心で中で叫ぶも声に出していないので姉さんには少しも届かないのだった。

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