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VTuberの姉さんを救ったら、甘すぎる毎日が始まりました。  作者: くまたに


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第13話

 ─瑠璃視点─(隼人が起きる少し前)


 パジャマで1日を過ごすのは癪なので、服を着替えようとした時だった──


「あれ……」


 冬服から衣替えをし、去年着ていた服に袖を通してみたのだけど……裾の長さに支障は無いのだけど、少し胸元が苦しい。

 思い返してみれば、4月の頭に体育であったシャ長距離走の時に、胸が重くて走りずらかったな。


 そろそろ服を買い替える頃合だね──そうだ!隼人くんを誘って服の感想を聞こう。絶対にその方が楽しいに決まってる。

 決して他意は無い。隼人くんに服を選んで欲しいだなんて、絶対に思ってないんだから。


 私は早速着替えた。そしてボサボサな髪は、洗面所に行って軽く濡らし、秘密の裏技を使って最後にドライヤーで乾かした。

 うん、完璧。起きた時よりも綺麗に仕上がっている。


 天気もいいので髪は広がっていない。最高のコンディションで、ハイテンションのまま隼人くんの部屋の前に着いた。しかし扉を叩こうとした手が止まる──私は重大な事に気づいてしまった。

 せっかくお洒落しておいてだけど、隼人くんを誘って断られたらどうしよう。それに気合いが入りすぎてプレッシャーを与えてしまわないだろうか。

 心配になってしまい、一度は脱いだパジャマにまたしても袖を通す。


 そして今度こそ隼人くんを誘うべく扉を叩く。

 彼は今起きたところのようで、目がぱっちり開いていない。可愛いな。


「今日暇?暇なら買い物に着いてきてほしいのだけど」


 私が恐る恐る誘うと彼は快く受け入れてくれた。

 嬉しさのあまり、脳内に生息する"ミニ瑠璃"達がタップダンスを踊りだした。


 最後に集合時間を言って彼の部屋を飛び出した。

 日頃からよく化粧はする方なので、手こずる事無く手際よく出来た。


 私がリビングに行くと、隼人くんは先に待っていた。

 いつも着ているのよりもお洒落で思わず見とれてしまった。

 何だか気合いが入っている。それが私のためかな、と思うと胸の奥がじーんと熱くなる。


「服、凄く似合っているよ。それに化粧したんだね。明るい雰囲気で俺は好きだよ」


『好き』ってどういう事!?もちろん恋愛的な意味では無い事を理解している。それなのに、期待してしまっている自分がいる。

 この脳内浮かれ野郎め──っといけない。口が悪いと隼人くんに嫌われちゃうじゃない。

 なーんて、心の声だから聞こえないけど。


 ふと視線を彼に向けると、表情が暗く曇っている事に気づいた。

 もしかして声に出ちゃってた!?いや、違う。私は、彼が褒めてくれたのに何も言ってないじゃない。


「えと……ありがと──隼人くんも似合ってるよ。いつもよりもかっこいい」


 続けて私も褒めた。彼は茹でだこのように顔を赤くした。


「ありがとう。遅くなると店が混んじゃうから、もう出ようか」


 反応が初々しくて可愛いな、と思うのと同時に、私以外の女子との関わりが無いんだな、と何故か嬉しくななる。


 こうして私達のデートが始まった。


 ※


 家から最寄り駅までは徒歩で、それからは電車に揺られ約20分。駅周辺に目的の大型商業施設はある。

 昼頃だからか電車の中は意外と空いており、2人揃って座る事が出来た。


 そこで姉さんは周りからたくさんの視線を集めていた。どうしてだろう、自然と胸の奥がざわつく。

 彼女の容姿は整っている。だから必然的に視線が集まるのは分かっているが、今日は布地面積の狭い服装だ。

 こういう日に限って気になってしまう。


 電車を降りると、周囲に居る人の数が増え、その分視線も増える。電車の中と違って今回は女子からの視線が多い事に気がついた。

 異性だけに限らず、同性の人が見ても『可愛い』や『綺麗』と、目を奪われるのか。感心していると、隣から視線を感じた。


「な、なに?」


「隼人くん、かっこいいから女子からめっちゃ見られてる……」


 姉さんは頬を膨らませて言った。クールな姉さんだけど、こんな子供みたいな表情もするんだな。

 思わず吹き出してしまった。


「ねえ、笑わないで!私は本気で言ってるの!」


「視線を集めてるのは俺じゃなくて姉さんだよ」


「隼人くん」


「姉さん」


「「むむむ……」」


 お互いに自分の意見を曲げずに、『自分の方が正しい』と目で訴えている。初めは言葉があったが、次第にその数は減り、今や傍から見ると睨み合っているかのようになっている。

 しかしその空気を取り払うかのように、くぅと腹の音が鳴る。

 決して俺のでは無い──姉さんのだ。そこは履き違えてはいけない。


 彼女はすぐに腹を抑えるが、その時にはすでに音は鳴り止んでいる。

 一瞬の出来事だが、それが無ければ俺達はずっと見つめ合って、時間を潰していただろう。


「よし、早くご飯食べに行くか」


「そ、そうだね……私のお腹が鳴ったの、今すぐに忘れて」


「善処する」


 恥ずかしがってる顔を見られたくないのか、姉さんは早足で目に入ったレストランに向かった。

 俺はそのすぐ後ろを、ゆっくりと追ったのだった。

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