瑠美架は
俺が部屋に戻ると、学校の制服姿の瑠美架がキッチンに立っていて、夕食の仕度をしていた。ブレザーにプリーツスカートという出で立ちは新鮮に映る。
「雪匡さんっ、お帰りなさいっ」
俺に気付いた瑠美架は火を止め、ぱたぱたと小走りで近付いて抱きついて来た。
「ただいま」
俺は華奢な瑠美架の体を受け止め、顔を埋める様に瑠美架の頭に口づける。その瞬間、ふわりと少女の甘い香りがして、俺は肉欲の情をかきたてられるが、そんな俺の気持ちなど知る由もない瑠美架は俺の顔を見上げて、無垢で一片の翳りもない笑顔を見せる。
「会いたかったです……」
何日経っても瑠美架はこうだ。俺という存在を信じきり、ただひたすらに慕ってくれる。笑顔のまま瑠美架は少し俯き、長い睫毛を何度かしばたかせた後、再び顔を上げた。目が合ったまま数秒が経ち、そして瑠美架が小さく「ちゅう」と言った。
「へ?」
想像だにしなかったので、俺は素っ頓狂な声を上げてしまっていて、少し笑ってしまった。途端に瑠美架が赤面し、目をそらしてぷるぷると震えている。
「いや、あの、違うんです。 あの、友だちが、彼氏にこんな風に言ってキスしてるのを偶然見ちゃって、あの、これは違」
愛しさが胸に溢れた俺は、瑠美架の口を俺の口で塞いだ。同い年の恋人たちがしていた行為を、俺なんかとしたいと思ってくれたのか。口を離すと瑠美架がはにかむ。
「大好きです……」
心底同じ気持ちで「俺も大好きだよ」と返した俺だが、罪悪感にも似た気持ちのとげがちくりと胸に刺さる。瑠美架にとって俺は初めての男だ。だから余計に入れ込んでいるのが分かる。この年頃なら、初めての男を世界の全ての様に思い、入れ込むものだ。瑠美架も典型的な浅い少女の思考に陥っている。今や俺は本当にこの娘を愛しているが、この娘にとっての俺は、たまたま一線を超えた男に過ぎないはずだ。苦労など知らず、まだ男の良し悪しすら分からない瑠美架の中に、毎日無遠慮に気持ちを吐き出し続けている俺は最低の男だ。だが、気持ちとは裏腹に情欲はむくむくと勃ちあがる。こうなると当然、俺は欲望のまま瑠美架をベッドに押し倒す。下から俺を見つめる瑠美架の頬は上気して、さくら色に染まっている。いつもは着替えているはずの瑠美架は、今日は学校の制服のまま。制服姿の瑠美架を見慣れていない俺は、その可憐な姿に息を飲んだ。そして、スカート丈の短さに釘付けになる。
「スカート、凄く短いね。 いつもこんな?」
俺は、ややもすると冷たく聞こえるほどに抑揚のない声を出していた。太ももの大部分が露出するほどに短いスカートは、何だか瑠美架っぽくない気がしたのだ。しかし俺は、学校での瑠美架を知らない。俺が知らない瑠美架がいるのかと思うと、面識すらないクラスメートの男どもに対する嫉妬心が湧いてくる。こんな感情は生まれて初めてかもしれない。何かを察したのか、瑠美架が慌てた様子で声をあげた。
「違いますっ、外ではスカート折ったりしませんっ。 雪匡さんに、あの……」
瑠美架が視線をあちらこちらに泳がせながら、ちらりちらりと俺を見る。俺は、露出している瑠美架の太股を触りながら、手を徐々に内側に這わせた。瑠美架の脚は閉じられていたが、少しだけ開かれた。内股にするりと指が入り、瑠美架が小さく息を飲んだのが分かった。スカートがめくれ、黒い下着が見えた。短いスカート丈と同様、瑠美架が黒い下着をつけていることは、瑠美架らしくない。だが俺は下着の色など気にする状況下にいない。指を這わせて、瑠美架の下着の中に入れる。中指を曲げると、馴染みの場所に難なく入った。俺の頭の中は、瑠美架の感触を堪能することだけでいっぱいだ。だが次の瑠美架の言葉で、俺の意識は引き戻された。そして下着の色は、瑠美架が俺色に染まっているからこその背伸びなのだと気付かされた。
「スカートは、雪匡さんに、可愛いと、思われたくて……。 変なら直しますっ……下着もっ、雪匡さんが、喜んでくれるかなって……。 気に入らなければ、雪匡さんの好みに合わせますっ……あっ、はぁっ……」
瑠美架が顎を上げて吐息を漏らした。浮いた首の後ろに腕を回した俺は、瑠美架に頬を寄せ、抱き締める。
「可愛いよ、瑠美架……」
気の利かない俺の安直な言葉。しかし心からの言葉。だからなのか、瑠美架には響いたらしく、涙を浮かべながら満面の笑みを見せてくれた。そしてこれまでにない大きな声をあげる瑠美架。
「大好きですぅっ!」
その瞬間、俺は爆ぜた。だが動きは止めない。瑠美架のクラスメートたちは、俺が知らない、学校での瑠美架を知っているだろう。だが、俺が知る瑠美架は、俺だけが知っている。瑠美架は俺の為なら、らしくないことでもやってくれる。俺が頼んだわけでもないのに、だ。俺以外の誰に、瑠美架を動かす力がある?ないだろう。顔も知らぬヤツらへの嫉妬心が、瑠美架への独占欲に、そして優越感に変わる。そして俺は、俺らしくないことを口走る。
「瑠美架は俺のものだ! 俺だけのものだ!」
「はいっ! 瑠美架は、雪匡さんだけのものですっ!」
瑠美架の返事は、あまりにも予想通りのもの。だがその予想通りは、予想を遥かに上回るほど、俺の心を揺さぶった。女の言葉がこんなに嬉しかったことは今までにない。ガラにもなく昂り続ける俺はさらに、さらに昂り、瑠美架の尻を鷲掴みにして、強く腰をねじ込む。と同時に、瑠美架が俺の背中を強く抱き、脚を絡めてきた。俺はこれ以上ない激しさで瑠美架に何度も腰を打ちつける。瑠美架の中は狭く浅くて、俺はすぐに奥まで届く。そして気持ちをいつもの様に吐き出し続ける。俺の全てを受け入れ続けた瑠美架はがくがくと震えだし、一声あげると俺をすり潰さんばかりに締めつけ、一気に脱力した。しかし俺は動きを止めない。瑠美架は何回かの吐息の後、思い出した様にまた甘い声をあげ始めた。




