「モブの家臣なんて誰も覚えていない」と言われた日
おはようございます。
週明けの午前中、いかがお過ごしでしょうか。
出先の都会のホテルで、この記事を書いている。
スマホで操作しているので、スピードが遅い!
このエッセイは、ライトノベル未経験の作者・雨日が「小説家になろう」で
『秘密を抱えた政略結婚』シリーズを書き始めた記録です。
今日は「モブの事なんて読者は覚えていない現状」について書く。
◇ 「終わる」と言ってから38話
雨日が書いている連載が、まもなく終わる。
「終わる」と告げたのは、もう38話も前のことだ。
家族から呆れられた。
「38話もあって終わるとは告知が早すぎる」
でも、今度こそ本当に終わる。
連載は、あと8話。
あと4日で終了。
胸を張って「終わる」と言っても大丈夫!
ーーだよね? (不安)
連載が終わるにつれて、伏線をはっていたものを次々と解いてきた。(つもり)
その伏線をはったのはーー80万文字前の話。
読者は誰も覚えていない。
これはもう、雨日の自己満足だ。
そんな自己陶酔をしていた時に、家族が指摘した。
「モブの家臣なんて、読者は誰も覚えていない」と。
◇モブってなに?
ーーモブ?
あの家臣がモブ?
「モブ」
これも、小説家になろうの世界に入って、知った言葉だ。
読者様、知っていた?
雨日は昨年まで知らなかった。
モブとはーー
物語の中で主要人物ではない、「群衆の一人」「背景の人」のこと。
名前も台詞もない、もしくは一瞬だけ登場するキャラを指す。
家族に指摘されるまで、雨日はあの家臣を「モブ」とは思ってなかった。
ちゃんと名前も書いていたよ?
何度も物語に登場させたよ?
ーー60万文字前まで!
・・・そりゃあ、覚えていないかもしれない。
60万文字って、もはや前世だ。
でも、作者にとっては昨日のことなんだ。
あの家臣は、雨日の中では頑張っていた。
心の中で主君を支え、弓を引いていた。
雨日の心の中では今も焚き火のそばで笑っている。
それを「モブ」と言われてしまうと、
ちょっとだけ胸がきゅっとする。
◇モブじゃない! あの子はモブじゃないのよ!
「モブじゃない! あの子はモブじゃないのよ!」
雨日の頭の中では、彼の家族構成も、妻も、これまで歩いてきた人生も、すべて出来上がっている。
好物は蜂蜜入りの牛乳。
大人に見られたくて外では紅茶を飲むけれど、
家に戻ると蜂蜜をたっぷり入れた牛乳を飲みながら、
「美味しい」と小さく笑うのだ。
・・・もちろん、そんな描写は小説には一文字も書いていない。
でも、雨日の中では確かに彼は生きている。
彼の人生を、雨日は知っている。
だからこそ「モブじゃない」と言いたくなるのだ。
そんな熱い想いを、家族は一刀両断した。
「そんな人、覚えてない」
「そのモブ、前の連載に登場した家臣だろう? 読者も覚えてないよ。モブの家臣は!」
そんな!
さらに追い打ちをかけるように言われた。
「モブの家臣に伏線はるな。誰も気づかない」
ーー正論すぎて、何も言い返せなかった。
◇世知辛い、の一言で終わった展開
「じゃあさ、恩人の主人公に対して弓を引くシーンはどう思った?」
それは、雨日が泣きながら書いたシーンだった。
手を震わせながら、何度も書き直して、
この家臣の人生の意味をそこに込めた。
家族は少し考えてから言った。
「あぁ。世知辛いねと思って」
・・・世知辛い。
それだけ?
あんなに情熱を注いだのに。
家族は、記憶の彼方にあったその家臣を
ぼんやりと思い出しながら、
「世知辛い」と一言で済ませた。
雨日は笑うしかなかった。
物語を生む側と、読む側の世界は、
ときどきこんなにも遠い。
◇それでも雨日は、モブを愛している
読み手にはモブの家臣。
書き手の雨日にとって、登場人物は大事な子供達。
これは完全なる自己満足。
けれど、自己満足って、悪くない。
「あのシーン、ここに繋がるんだ」と、
自分だけが気づいてにやにやしている瞬間。
その小さな喜びが、連載を続ける燃料になってきた。
読者が忘れてしまっても、雨日の中では時間が途切れない。
登場人物たちは80万文字ぶんの人生を生きている。
雨日だけが、それを全部見てきた。
「モブの家臣なんて誰も覚えていない」と言われてもいい。
彼らの人生の糸を、最後まで結んでやりたい。
それが自己満足でも、終わりの儀式でも。
雨日にとっては、それが“書く”ということだから。
雨日の連載作品紹介
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『秘密を抱えた政略結婚 〜兄に逆らえず嫁いだ私と、無愛想な夫の城で始まる物語〜』
▶ https://book1.adouzi.eu.org/n2799jo/
完結済み・約50万文字/14万PV
政略結婚から始まる、恋と戦と家族の物語。
※モブの家臣は第103話から登場します。
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『秘密を抱えた政略結婚2』(現在連載中)
▶ https://book1.adouzi.eu.org/n0514kj/
約60万文字/ストック8話
1日2回更新中・完結まであと4日!
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短編公開しました!
「政略で結ばれた夫婦が、秘密を受け入れた日」
https://book1.adouzi.eu.org/n8008ld/
お腹の子の父親が誰なのか――決して口にしてはいけない。
それでも、夫婦は愛で結ばれていく。
どちらの物語にも、作者・雨日の「誰も覚えていない家臣」への愛がたっぷり詰まっています。
読んでくださった方、本当にありがとうございます。




