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98話 持ち主を探して

 町へと戻ったリルたちは手にいれたアイテムをもう一度確認する。

 手にいれたアイテムは武器だ。


「うーん……これ絶対困るよね」


 こういったゲーム装備出重要なのは武器だ。

 そう考えるリルは困り果てる。

 返すにしても情報が何もないからだ。


「どうやって返そう? 聞きまわる?」


 それが一番早いのだろう。

 それは理解できたが、リルはゆっくりと首を振る。

 下手に探せばPKに悟られる可能性があるからだ。

 折角ベールの事を隠せたのにそれでは意味がない。

 それにもう一つ重要な事。

 トリックスターだ。

 あのスキルは表記されている以上に強力だったのだ。


 だからこそ、出来ればああいったスキルを持っていることを隠したいのだ。

 だが、改めて考えてみるとベールの装備を返したいというのはよくわかったのだ。


「……こういった時は」


 クロネコかな?

 そう考えたリルはベールの手を取り……。


「クロネコの所に行こう?」


 そう言うとすぐにクロネコへとメッセージを送り、シィの店へと来てもらうようにするとゆっくりと歩き始める。


「でも、クロネコさん分かるかな?」

「大丈夫、きっと大丈夫だよ!」


 彼女ならなんとかしてくれる。

 きっと本人に伝えると期待しすぎ……。

 そう言われるのはたやすく想像がついたが、他に頼れる人もいないのだ。

 二人はシィの店へと向かい。




 暫くし……店へとついたリルたちはクロネコがいないかを確認する。

 すると少し遅れてクロネコが店へとつき……。


「急に呼んで……何の用?」


 お願い通り来てくれたことに感謝をしつつ。

 リルは経緯を説明する。

 するとクロネコは大きなため息をつき。


「それPKKをして手にいれたってことでしょ? 別に返す必要ないんじゃ?」

「でも、人の者を盗ったらダメだよ!」


 クロネコの発言にそう返したのはベールだ。

 彼女は眉を吊り上げそう言うと――。


「まぁ、真面目だねー」


 あきれた様子でクロネコは大げさに手を肩へと上げる。


「クロネコさん!」


 ベールは眉を吊り上げクロネコへと詰め寄る。

 するとクロネコは慌ててぶんぶんと手を振る。


「わ、わかったって! それでその元の持ち主を探せばいいんだね」

「うん、お願い」

「まぁ、PKに見つかると面倒だしね」


 クロネコは苦笑いをしつつ願いを聞き入れてくれたみたいだ。

 彼女は甘くしたコーヒーを飲み干すと猫の様にぐぐーっと伸びをする。

 そして、一つアクビをすると――。


「それじゃ情報集めに行きますかねー」

「「……ネコだ」」


 リルとベールは同時にそう口にする。

 だが、どう見ても猫と言ったほうが良い動作だったのだ。


「……う、うるさい!」


 彼女は顔を赤くするとそう一言だけ残し店を去っていく。

 それと入れ替えにトートが店の中へと入ってきて彼は首を傾げつつクロネコの去って行った扉の方へと目を向ける。


「何かあったのかい?」

「あ、実は……」


 ベールはトートに今日起きたことを伝えると彼は目を丸めつつ。


「PKを倒した?」

「あはは……顔はバレてないと思うんですけど」

「それは良いけど、気を付けたほうが良いよ……このゲームにはないけど犯罪者判定を喰らう可能性もあるんだよ」


 彼の言葉にリルはがっくりと項垂れる。

 彼が言った通りだったのだ。

 このゲームには犯罪者というのはプレイヤー間での話で済む。

 しかし、他のゲームでは先に手を出したほうがペナルティを喰らうものもあるのだ。


「そうだね、うかつだった……」


 手を出すことになったのは尻尾に判定がある事を考えなかったからだが……。

 おかげで思わぬ情報も得られた。

 それは良かったと考えるが……もしこのゲームに犯罪者判定があったらと思うとぞっとした。


「それに見つかったら目を付けられるかもしれない」

「うん……ごめんなさい」


 リルは反省しつつ、小さくなるのだった。

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