109話 レッドと迷惑行為
掲示板へとついたリルたち。
早速件の書き込みを確認してみると……。
「これ……」
その内容は酷い物だった。
投稿者はナナシとなっているが……。
アルケミストの少女は粗悪品を扱っている。
120回復するポーションを買ったが実際には12しか回復しない。
粗悪な材料を使っている証拠。
また、その効果に見合った金額ではない事。
そして、お金が無かったら物々交換でもいいと原石をねだられたこと。
その原石が実装予定だったペットの入手条件だったというのを何らかの方法で知っていたとの事。
詐欺を訴えると伝えたところ、120回復するとは明記していないと言われた上、営業妨害を訴えられたとの事。
そして、原石で手にいれた小鳥を見せびらかせてきたとのことだ。
「……こんなの」
嘘ばっかりだ。
出会ったばかりのリルでさえ、彼女はそんな人ではないと理解できた。
しかし、レスはそんなはずはないというものも多くあるが、この騒ぎに火をつけてお祭りをしようとする動きも見れた。
そう、彼女はそんな人たちの犠牲になったのだ。
「原石は引退した友達にもらったんです……それに私120回復するポーションを作れますし、実際に明記してます」
そう言ってミリーはリルたちにそのポーションを渡してきた。
試しに飲んでみると視界の先に120回復したのを確認できた。
HPが満タンのため変わることはないが、確認は出来るようだ。
「……こんなことを書いて、なにが目的なのかな?」
ベールはそう疑問を浮かべる。
しかし、リルには理解できた。
ただの嫌がらせ……それで相手が辞めたとしても気にしないのだ。
どうせ現実で出会う事は無いのだ。
リルとベールのようなことは珍しいケースでそうそうあることはない。
だからこそ……。
「……強気に出られるやつもいる」
ロールプレイだけではない。
ネットという顔の見えない状況でのみ強気に出る者。
犯罪に走る者。
「レッドよりたちが悪い」
リルはそうつぶやいた、
なぜか?
レッドギルドやプレイヤーは必要悪だからだ。
ネットゲームをやるにあたりチート行為をせずにレッドをやるプレイヤーはまだ必要ともいえる。
何故なら人と接する以上、善人ばかりでは面白くないからだ。
モンスター以外の明確な敵。
それもまた必要なのだ。
勿論、迷惑すぎる行動は処罰の対象になる。
だが、純粋にゲームを楽しむためのレッド行為は――。
「これは許せないねー……」
その声は聞いたことのある声だ。
「ハ、ハルちゃん!?」
そう、そこに居たのはハルだ。
彼女は掲示板を覗き込むと――。
「実に嫌な書き込みだね……アルケミストはなる人が少ないし、減られると困るんだよねー」
へらへらと笑ってはいるが目は笑っていない。
そんな彼女を警戒しつつリルはじっと見つめる。
すると――。
「あれ? 今回は別に警戒する必要……ないんじゃないかなー?」
そうは言ってもやはり、彼女はレッドだ。
何を考えているか分からない以上、仲良くするのは危険だからだ。
何より……。
「ハルちゃんは……レッドとしてもやり過ぎだと思う」
そう伝えると彼女は声を上げ笑い始めるのだった。




