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辛辣な疑い

滅茶苦茶久々に更新しました。

「おかえりなさいマサトさん。依頼の方はどうでしたか?」


 ギルドに到着した真人を待っていたのは、ニコニコと笑顔を浮かべているアイリだった。


「ふっ……。これを見て驚かないでくださいね?」


 真人はドヤ顔で、透明石の入った袋をアイリへと渡した。


「さて、マサトさんは一体どれほどの…………っ!?」


 袋の中身を見たアイリは驚いた表情をすると、真人の方へと視線を移した。


「マサトさん……」


「いやー。実は結構良いポイントを当てましてね、それでこんなにたくさん――」


「どこで盗んで来たんですか?」


「まさかの信用ゼロ!?」


 早速疑われたことに対して真人が叫ぶと、アイリはわざとらしく考える素振りをして、


「マサトさんの力なら、良くて10個集まれば良い方だと思っていましたので……」


「俺でも簡単に達成出来るって言って勧めてくれたのアイリさんですよね!?」


「″1日で出来る″とは一言も言ってませんよ?」


「ぐっ……!!」


 悔しそうな表情をする真人を見て、アイリはクスリと笑った。


「悔しがっているようですが、私だって悔しいんですよ? 一日で依頼が達成できず、お金が足りなくなったマサトさんにお金を貸してあげることにより恩を売って逆らえないようにしようと思っていたのを未然に防がれたわけですから」


「相当腹黒いこと考えてたんですね!?」


「冗談です。流石にそこまで悪質なことは考えていません。ですが……」


「?」


 疑問そうな顔をした真人に向けて、アイリは続けた。


「今日一日で達成出来ると思っていなかったというのは本当です。依頼達成に2日ほどかかるにしても、この依頼の報酬は2日かける価値があるくらいのお金を頂けます。正直、討伐依頼を2日間受けるよりも報酬は高いですからね」


「そ、そうなんですか……?」


「ええ。登録するときに所持金を見せてもらいましたが、宿に泊まれるくらいのお金はありましたし、一日くらい無収入でも大丈夫かと思ってこの依頼を勧めさせていただいたのですが……予想に反して、マサトさんは一日で依頼を達成して帰ってきました。正直、驚いています」


「……アイリさんなりに、俺のことを考えてくれてたんですね」


「はい。ですからマサトさん」


 アイリは慈愛に満ちた表情で真人に報酬を差し出し、


「次からは、盗みなんてしてはいけませんよ?」


「良い感じだったのに台無しだよ!! あと俺は盗んでないですから!!」


 結局こうなるのか……。 と言って、真人は項垂れた。


 それを見てアイリはクスクスと笑い、周囲の人々は笑っているアイリを見てギョッとしていた。


「な、なぁ……。あのアイリさんが笑ってるぜ……?」


「嘘だろ……? 俺の時なんて笑うどころかまともに話しすらしてくれなかったのによ……」


「どうなってるんだ……?」

  

 ギルド内に変な雰囲気が漂い始めたそのとき、突然ギルドの扉が勢いよく開かれ、扉を開けた人物はギルドに入るなり大声で叫んだ。


「すみません! 誰かお兄ちゃんを見てませんか!?」


 見知った声に、真人が声のした方へ振り向くと、そこには焦燥感の漂う表情をしたミーシェが居た。


「……ミーシェ? お兄さんならさっき止めに行ったんじゃ……?」


「それはもう解決したの! でも、そのあとお兄ちゃんが出かけたっきり帰ってこなくて……。夕飯までには戻るって言ってたのに……」


「……ただ道草を食ってる可能性は無いのか?」


「無いよ。お兄ちゃんはこういう約束だけは必ず守るもん。……夕飯に遅れたら、お母さんの本気のゲンコツを食らうから……」


「約束を守る理由がそれかよ!?」


 まあでも、母親が怒ったら怖いもんな。と、真人が一人納得していると、周囲のギルド員の人たちもざわざわと話し始めた。


「お前見たか?」


「いや知らねぇ。つーか今日はここに来てないんじゃないか?」


「まさかあの人に何かあったのか……?」


「街でミーシェちゃんを探してるところなら見たな。それっきりだ」


「俺もだ」


 どうやらミーシェの兄の行方を知るものはこの中には誰も居ないようで、ミーシェはさらに顔を青くした。


「そんな……。ここに居ないなら、一体どこに……? ねえアイリさん、一応確認なんですが、昼を過ぎてからお兄ちゃんがここに来て依頼を受けたりしませんでしたか?」


「……残念ですが、バトラさんなら今日は一度もギルドに来ていません」


「やっぱり、そうですか……」


 ミーシェがアイリの答えに落胆するなか、真人は考える素振りをした。


(バトラ……? あれ? どっかで聞いたような……。バトラ、バトラ、バトラ、バト……)


 必死に思い出そうと記憶をひねり出した結果、真人はとある人物の事を思い出した。


『私はバトラ・ナルーシカ。魔術士さ』


『いや、実はこれから森に向かうところなんだ。恥ずかしながら、うっかり落とし物をしてしまってね』


「あの人……か?」


「え?」


 振り向いたミーシェに対し、真人は説明した。


「さっきバトラさんっていう魔術士の人と会ったんだ。背が高くて、緑色の髪の男性だったんだが……。もしかして、その人か……?」


 真人の言葉に、ミーシェは凄まじい勢いで食いついた。


「そう! その人だよ! ねぇ、そのあとどこに行ったのか知らない!?」


「たしか森に向かっていったはずだ。落とし物をしたから拾いに行くって言ってたぞ」


「ありがとう! ちょっと行ってくる!」


「待てミーシェ! 一人だと危険だ! 俺も行く!」


「ちょ! マサトさん! 森は危険だから近づかないようにってさっき――」


 アイリの制止の声も空しく、真人は走っていったミーシェを追いかけてギルドを出て行ってしまった。

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