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龍介くんの日常 2  作者: 桐生 初
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龍介の不安

葉っぱが取れるまではベットに居ろと竜朗に言われた龍介は、ベットで本を読んだり、龍太郎は病気だからと、宿題を出してくれていないので、マックブックでトランスポーターのDVD1から3まで3本まとめて見たりして過ごしていた。


「1は車がBMってのが気に入らねえな。

2は1番いいけど、この剣道シーンはどうにかならんのか。リュック・ベッソン、爺ちゃんに演技指導には入ってもらえよ。

やっぱり、3はイマイチだな。フランクは恋愛に走っちゃダメだろ。」


お手伝いさんが持って来てくれた昼食を食べた後、眠くなって、トランスポーター3を見ながらウトウトしていると、亀一からのLINEでハッと目覚めた。


「ー校内で問題発生…。生徒会長の出番の様だ…。具合が良くなったら、なるべく早く来て欲しい…って…。なんで詳細書いてねえんだ?」


詳細を書けと返事を送ると、寅彦からメールで来た。

亀一は携帯で文章を打つのが嫌いなので、寅彦に任せ、寅彦も携帯でチマチマ打つより早いからと、あの早打ちでパソコンで打ち込み、メールして来たと思われる。


ー熱大丈夫か。大人しくしてるか?

問題の概要はこうだ。

中等部3年A組で、乱闘事件が発生。

先生が理由を問い質しても、分からないが、酷くムカついたというだけ。

それが3-Bでも発生し、あっと言う間に、中等部全体に蔓延した。

理由は最初の3-Aの生徒と同じ。

理由もなく、抑える事が出来ず、ムカついたという。

ところが、中等部の建物を出ると、そのムカつきは収まり、殴った相手と普通にやっている。しかも、殴られた方は、その事を全く覚えていないらしい。

中等部の先生達の間でも、ボーっとなって授業に支障が出る人も居て、日を追う毎に、そのボーっとおかしくなる人数は増えて行くので、中等部の建物から、一時的に高等部の建物に引っ越してみたところ、全員普通に戻った。

建物に何か有害物質でも出ているのではないかという話になり、学校側が業者に頼んで調べてみたが、何も無いらしい。

だからと言って、中等部の建物に入ると、おかしくなる者続出なので、困っているので、調査して欲しいーと、中等部副校長からの依頼だ。

指示してくれれば、こっちで動くので、出てくるのは無理せず、指示してくれればいい。

きいっちゃんは寂しいだけだからな。


「理由無く、抑える事も出来ず、ムカつく…。」


龍介の脳裏に、あの時の悟の様子が浮かんだ。


「例の電流を帯びてるとか…?

でも、冷水に頭突っ込まなくても、中等部の建物を出れば、直ってるって事だよな…。

仲良くやれる、問題起きねえって事は…。

でも、なんか引っかかるな…。」


実は龍介も、携帯で文字を打つのはあまり好きでは無いので、トランスポーターを止め、マックブックで寅彦に返事を書いた。


ー熱は今のところ大丈夫だ。心配かけてごめんな。

その中等部の奴が、理由も無く、抑える事も出来ず、ムカついたっていうのが、俺が佐々木がおかしくなってる時のと被るような気がして気になる。

殴った奴、殴られた奴、ボーっとなって授業にならなかったという先生に詳しく状況を聞いてくれ。

あの時の佐々木の状態は瑠璃が知ってるから、その上で、佐々木の状態と酷似しているようなら、何処かに、例の電流があるのかもしれない。

ただ、建物内から出れば、元に戻るっていうのがよく分からない。

佐々木はずっとだったからな。

その辺はきいっちゃんに調べて貰ってくれ。

何か分かり次第、連絡を。

謎の電流なので、呉々も注意して調査する様に。

明日は行くから、電流の調査は明日にしてくれた方がいいかな。

やっぱり、今日は聞き込みだけで留めておいて欲しい。


直ぐに寅彦から返事が来る。


ー了解。

ちゃんと寝てろよ?

聞き込みの結果は帰ったら報告する。


寅彦とやり取りをしていて、ふと亀一が諏訪湖に調査に行きたがっていた事を思い出し、心配になる。


ーきいっちゃん、諏訪湖行くとか言い出しそうだから、気をつけてくれ。きいっちゃんが暴走しねえように。


暫く間が空いて、寅彦からの返事。


ー俺には無理だと思うが…。まあ、努力はしてみます。


確かに、寅彦では、亀一は抑えられない。

今までは、しずかだけが抑えられていたが、しずかが居なくなると、麗子位だろう。

栞は亀一には全く逆らわないし…。

龍介なら喧嘩にはなるが、なんとか止められる。


ーやっぱ、行こうかな…。


ベットに居ると、不安だけが募って来る。

亀一はあと2カ月もしたらお父さんだ。

何かあっては困る。


ー行こ…。


龍介は葉っぱを剥がし、シャワーを浴びて、制服に着替えて、家を出た。




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