73話 トラッパー 挿絵あり
「ほら、コンボ!設置位置のマスがズレてる!あぁ、別方向に吹っ飛んだって、なんで逃げないんですか!切られてる切られてる!」
「まテ、この部屋で歩き回って罠の回復時間を稼げバ!シッド!なんで火の玉が飛んできタ!魔術師カ!」
「相手は複数って情報あった・・・、て、そこは隠してるんでしたね。ほらほら、あれはモンスター、主役はエマ。どんどん罠を仕掛けて、移動して!」
「なっ!巨大なローリングストーンの落下に耐えタ!重騎士はパワフルだ。なっ、今度はボーガン!」
「なんでローリングストーンなのに直撃狙うかなぁ・・・。マップ的には階段を転がすか、マグネットウォールで止めてからの直撃でしょうに。罠は一部屋3つルールがありますが、部屋移動しながら殺るって、なんで水の中にいるのにサンダーを起動した!言え、エマ少佐!」
「サー、自分が未熟だからであります!」
「よろしい、ならば罠の特性を理解し最適な罠を選択設置したまえ。今回の目標はこのゲーム最大コンボ数、つまりは10コンボとする。モンスターが弱い等の泣き言は受け付けない。ただちに罠を選定し地形把握、設置場所の選定、如何にコンボを繋げるかの作戦立案から設置まで行いたまえ。」
「サー・イェッサー!」
ぶっ続けでゲームをして3時間。このゲームは各部屋に罠を設置してその罠だけで敵を倒すというもの。持てる罠は最大9個で、天井、壁、床に関するものが3つずつ。それ以外は部屋に予め設置されているものに巻き込む等ができる。罠の発動タイミング次第では、敵があらぬ方向に吹っ飛んでコンボ出来ないので、発動タイミング、設置場所、罠の選定と狩人に必要な判断を迫られる。無論、操作キャラクターは直接攻撃は出来ない。
ゲームよろしく罠の設置はグリッドで書かれたマスにポチポチすればいいし、発動もボタン1つでキャラクターが手を振れば発動する。倒せるイメージや、設置、発動のイメージがないならある所から持って来ればいい。本当は、本人のイメージを増幅させるほうがいいのだろうが、自爆攻撃した部下の攻撃で無傷のモンスターを見たせいで、そこも増幅させるのは厳しい。
なら、イメージで事を成すならそれに酷似した空想の産物を、ゲームをやってもらうのが手っ取り早い。このゲームの敵は人間だが、ラスボスは魔神だったりするので、そこまで行けばモンスターを倒せるイメージも持てるだろう。
「シット!そっちに飛ぶナ!」
「少佐!罠は間違いなく発動した。コレは罠のせいではない、君が発動させるタイミングを見誤ったからだ。次の作戦を速やかに実行したまえ。作戦時間が超過した場合、モンスターが脱走する。このミスは自身のミスと受け止めたまえ。」
このゲームあるあるで、主人公を追ってきた敵の中心を取らえられず、微妙に斜めに吹っ飛んでいく。そうすると、コンボする都度に微妙に敵がズレていってコンボが成立しない。後の作品になると親切に何マス吹っ飛ぶとかが、分かるのだがこの作品にはそれもない。つまり罠を新しく作った場合、全て実践で試す必要がある。
それだけでも大変なのに、瀕死の敵は主人公そっちのけで逃げるのだ。罠を再設置した場合クールタイムがあるので、弱い代わりに発動の早い罠で足止めでもしないと逃げられる。モンスターに撤退の文字はないと思うが、距離を取る事はある。それに、赤峰からの報告ではモンスターも学習するらしい。それが個体なのか、共有されるのかは知らないが、奥に行けば能動的に襲ってくるのでその事も考える必要性がある。
「10コンボ!目標達成。」
「油断するな少佐、別のモンスターが接敵している。増援もある、コレはゲームではない。モンスターの処理を速やかに行い、我々の安全を確保したまえ。狩人は君だ。知り得た情報を活用し罠を再配置するなりして、勝利を確実にしろ。」
「サー・イェッサー!」
ゲームの中のキャラクターが走り回り、腕を振れば罠が発動する。プカリとキセルを一吸い。教室に煙を撒き少しずつ、意識をゲーム以外に向かないようにする。さぁ、倒せるイメージを作ろうか。そろそろゲームの中の敵の叫びが頭にこびりついてきた頃、音をミュートにして語りかける。
「モンスターはゴミだ。ここはゲート内、職以外は通用しない。君は狩人だ、罠を使い狡猾に大胆にスタイリッシュにゴミを掃除しろ。君に許された生存権は罠を使う以外ない。腕を振れば虚空から設置したギロチンが落ちる、腕を振れば虚空から槍が串刺しにする、腕を振れば虚空から獲物を食らう刃が現れる。必要な罠は君が持っている。罠は虚ろい漂い至る所にある。罠は君だ、君自身が罠であり餌だ。」
「・・・(コクリ)」
「見ろ、視ろ、診ろ・・・。そこかしこに罠は設置できる。必要ならモンスターを妨害して、仲間を守れ。必要ならモンスターを欺いて、罠に嵌めろ。必要なら目に映る全てを使い、あらゆる手段を講じて仕留めろ。さぁ、イメージしよう。君の罠を。」
煙は更に濃く、部屋の中は多分外からは見えない。しかし、これくらい濃くないと補助としては心許無い。彼女が何を考え、何を望み、何を獲物としていたのか?それは分からないが、罠を使えない事には始まらない。何でもいい、イメージして思い描いてくれるなら。背後から両肩に手を起き、耳元で囁きかけるように声を掛ける。
「君が出来ないというのなら、少し力を貸してあげよう。霧の中に立つ君は虎視眈々と獲物を狙う、この霧は味方だ。君が望むなら、あらゆる罠に姿を変えよう。ただ、君が望まない限り、ただの霧だ・・・。」
「望ミ・・・。」
「逃した獲物を取る為なら、あらゆる手段を講じたまえ。その為に狩人に成ったのだろう?なら、その先に至る為にこんな所で止まっていていいのかい?」
「獲物・・・、取ル・・・。」
目が座ったエマがテレビの画面越しに俺を見ている?獲物は俺?いやいやあって2日目、獲物と言われるほど恨まれた覚えはない。しかし、間違いなく俺を見ている。何か狙われる理由がある?昼に捕まえられなかった心残りとか?何にせよ、そろそろ罠が発動しそうな感じはする。
キセルを吸ってプカリ煙を吐く。先にある煙はエマに貸してしまったので、新しい煙を補充。さて、なにか来るかな?エマ曰く罠はブービートラップと言っていた。なら、動かない触らないのが最善だが、発動の起点を何にしているのか?それが問題で任意発動だと、無理やり動かされる事も考えないとな。ゲームの中で罠が発動し、敵が引っかかり叫び声を上げる。
「!!」
煙で出来た矢が目の前に3つ飛んてくる。避ける?受け止める?左に一歩歩き矢を避ける、飛来した矢は背後の煙に飲まれて、特に教室の壁に傷はない。チラリと見たせいで、注意がそれた?いや、心理誘導か。飛来する矢に集中させて、他のモノを気取られないようにする。手品師なんかがマジックでよく使う手段。足に煙が巻き付いた。さて、順番的には上からなにか来そうだが、彼女がそんなに見え透いた手を仕掛けるか?
足は拘束された。再度飛来物を使うか、頭上から何かを落とすか・・・。いや、足元か。人の死角で最も大きいのは頭上だが、次は足元か背後だ。最初の矢で動かされたと考えるなら、どちらかだと思う。しかし、足の拘束がブラフだとしたら?矢を避けるにしても、どちらに避けるかという予測が立つのか?答えは判断材料が無いので立たない。
よし、再思考しよう。安地は分かっている。それはエマに近寄るかテリトリーから逃げる事。自爆するかと問われれば、可能性は限りなく低い。狩人なのだ獲物を取る為に死んでは仕留めたかの判定が出来ない。それでは狩人失格だ。囮にする事はあれど、存在意義を投げ出す事はない。なら、更に下がればいいのかと考えれば、そこには更に罠がある可能性があるが。
なら、どう行動するのが最善か?せっかくできたイメージを悪くするのも申し訳ないが、コレばかりはコチラも罠を受けると痛いので仕方ない。足の拘束を外し一歩前に出て、エマの横に並び立つ。これなら爆発はないし、来るものも予測しやすい。
一歩出た先で頭上から煙の塊が落下してくる。重量があるのかは知らないが、罠なら攻撃だろう。塊を煙で受け止め混ぜ合わせて、貸した主導権を奪い返す。続けて背後からペンデュラムが胸を穿こうと、自由落下で迫ってくるが、コレばかりは横に一歩歩いて横を通り過ぎさせる。勢い付いた振り子が通り過ぎ、一歩歩いて元の場所へ。危なかった、少し動くのが遅れていたら地面から打ち上がった槍に串刺しだった。
しかし、振り子が今度は正面から胸を穿とうと振れてくる。それを煙で絡めて奪い返す。これで2手目。ゲームと同じ感覚で発動させているようなので、若干のラグがある。それがなければ、嵐のようにトラップが襲いかかってきていただろう。
腕時計をチラリと見ると、そろそろゲートに行ったメンバーが帰ってくる。流石に扉を開けて、いきなり増援認定されてトラップに襲われても危ない。そろそろ煙を返してもらうか。棒立ちになると、背後から銃弾、頭上からギロチンのような刃、足元からはトラバサミ。少し、ディテールが細かくなったそれが襲いかかってくるが、何れも元は俺の煙。どんどん奪い返して行って辺りの煙はだいぶ晴れてきた。ここからが大詰めか。ラスト1つくらいエマ自身で補助なしで発動してもらいたい。
「ほらほら、獲物は健在で補助はない。そろそろ自分で罠を設置したらどうですか?」
ゲーム画面から目を離さないエマは、罠を設置するために画面内のグリッドを見る。ふむ、多分それが現実でもイメージ出来るなら、そこに罠をはめ込めばいい。設置条件はあるが、それは銃から撃ち出した弾でも事足りる。身体能力高めなのだ、方法はどうあれ設置さえしてしまえばそこはエマのテリトリーになる。
「コレはどうダ?」
座っていたエマが急に立ち上がって殴りかかってくる。罠がうまく行かずに焦れた?拳を避けようと下がるが、なるほど彼女は中々素直らしい。突き出された拳に手袋は嵌められていない。しかし、この拳は直前まで手袋で触っていたのが見えた。
「なるほど、いいイメージができましたね?」
「これだけ罠を使って叫びを聞いテ、手取り足取り教えられたんダ。1つも発動しないならワタシは潔くここを去ル。」
優しさか、或いは講師なので、傷付けては不味いと思ったのか?彼女が出した罠はトラバサミ。後ろに避けたが、その目測より伸びて挟もうとする刃は対処しなければ、パチンと挟まれて顔に穴が開く。なので、閉じるより先にキセルを挟み込んで閉じなくした。これが拳の先からのジャンプマインなんかじゃなかったので、優しさだと思っておこう。流石に爆発系だと、対処出来ない事もないが教室がメチャクチャになる可能性がある。
「さて、罠は発動できましたね?なら、残りのゲームソフトも全部攻略してください。後に行けば行くほど楽になりますが、中には特定条件を達成する、ミッション形式のモノもあります。狩人なら、必ず為になるでしょう。後、設置をグリッドの感覚でやるなら、ありとあらゆる所にグリッドを重ねて下さい。それがたとえ、空間であろうとも。」
「空間ニ?壁や地面でなくとも出来るト?」
「無意識だったんですか?補助したとはいえ、煙から矢は飛びペンデュラムは振られた。遠隔発火は動画で見たでしょう?あれは、そこに火がついてる、或いは水があるというイメージの延長線です。罠の設置場所は選ばない。身体に設置出来るなら当然出来ますよ。」
「うぅ厶。職とはそこまで自由なのカ?物理法則などの檻はないのカ?」
首を捻っているが、そこで止まってしまったら困る。物理法則などと言い出したら、それこそ弾がないガンナーは黒棒が飛んでいって一発でおしまいだし、魔法職は何もできない。スクリプターなんてパントマイムもいいところである。
「魔法職は法を破る。縛られて窮屈なら逸脱するしかないでしょう?現に貴女の手からはトラバサミが出た。」
手首から生えるように出たトラバサミを目の前まで持ってきて、カチンカチンとしながらエマが見ているが、これこそ法則無視もいいところ。普通に考えるなら、トラバサミは動かないし手首に生えたら普通に痛い。映画の鉄男ではないのだ、身体から鉄?が生えたらたまったものではない。
「自分で出したから否定も出来なイ。所でどうやって消ス?」
「えっ?消せないんですか?」
「消せるなら消していル。消えないから残っていル・・・。ずっと消えないままじゃないよナ?元に戻るよナ?」
エマが焦っているが、俺も焦っている。えっ?普通になくなれでいいんじゃないの?なにかトリガーがあるとか?発動はした、捉えられなかったが、それは確かだ。現に目の前にトラバサミはある。しかし、自身の職の事を俺に聞かれても困るんだが・・・。
「・・・、捕捉シッパイ。罠を破棄して再設置。対象を設定するまでステイ。」
エマがトラバサミに語りかけると、消えるようにトラバサミが消えていく。良かった、自分でどうにか出来たようだ。これで無理やり引っ剥がしてくれとか言われたら、どうしようかと思っていた。そりゃぁ、しても回復薬でどうにか出来るけど、あれも一応有限?な物資ではある。高槻に投資しているので、試作品は多数もらっているから少しくらいなら無駄遣いしてもいいのだが・・・。
風の噂では多数のサバイバーを雇い入れたと聞いていた。材料問題があるので、そこを本格的にどうにかするつもりなのだろう。精度のいい回復薬が出来たら、ギルドに多数回してもらえるよう、根回しはしておくか・・・。
「それデ、このトラップでモンスターは倒せるのカ?初めて出たので実感がナイ。」
「それは明日にでも試しましょう。ただ、トラバサミで倒すなら余程強力な、例えばサメとかワニが肉を引き千切ってる姿でもイメージしないと駄目ですね。それに、他の罠があるなら単発じゃなくてコンボでいいじゃないですか。数減らしたいなら散弾でも地面に撃ち込んで、簡易地雷原でもいいですし。」
「ファーストは物騒だナ・・・。」
「ゴミにかける慈悲はないですからね。」
物言わぬ怪物ならさっさと倒すに限る。モンスター愛護団体とか出て来たら、なんと言おうと邪教である。物語で怪物と心通わせるのは、あくまで怪物に心があるからであって、ゲートのモンスターにはそれはない。
「クロエー、そろそろ終わりました?」
「カオリか、終わったから入っていいよ。」
「それじゃあって、ゲームしてたんですか?」
「訓練ダ。トラップが出せるようになっタ。」
ゲートから帰ってきたメンバーが、ぞろぞろと教室に入ってくる。宮藤から報告を聞くと、死亡者は0で負傷者は回復済み。それと、早い組の到達階層が30階に届いた。そうか、目標35階層まで早い組は残り5階層。中位以外も先に行っているので、全体のレベルはかなり高いだろう。横で話を聞いていたエマが信じられないモノを見るような目で見ているが、ウチではこれが日常運転である。
「一度30階に行ったメンバーは、遅れてる方の補助に回ってもらいます。先に行きたいメンバーもいますが、講師からの要請でそうしましたが、構いませんよね?」
「いいですよ。宮藤さんが決めたなら文句はありません。私はあくまで助言役ですからね。それに、中位と35階層到達が揃った人は、どんどん引き抜かれて行きそうですし・・・。」
「そうですね・・・、現に今日は兵藤さんが使い回されてましたからね。一斉卒業じゃないにしろ、来年くらいにはそれぞれの行き先が決まってくるかもしれませんね・・・。」
ちょっと宮藤としんみりする。秋葉原以降で約4ヶ月半。またまだ暑いが、そろそろ秋の気配も近づいてきている。しかし、庁舎がどこも完成していないので、当面の間は各組織の使いっ走り・・・、いや、それは流石に不味いな。物はなくとも威厳は必要で、スィーパーを引っ張る人間がいつまでも小間使では面目が立たない。
どこかの時点でどこどこ県の本部長として、正式任命しないといけないなぁ・・・。あれ?これって俺がしていいものなのかな?メンバーは本部長候補で間違いはないのだが、現在その役に付いているのは俺しかいないから、多分、俺が任命者でいいと思うが、今度千代田に相談しとこ。
「このメンバーが日本の最大戦力か。そのうち我が国からも色々と話が舞い込むだロ。」
先を見据えてかエマとんでもない事を言う。嫌だ、外人の相手なんて今回以外絶対嫌だ。よしんば相手したとしても、それは地元に帰ってから。寂しい気もするが、それと地元に帰るのは訳が違う。
「いやいや、私以外にしてください。私は貴女以外受け入れる気はないんですから。」
そう返すと、エマがアブラの切れたブリキ人形の様に、ぎこちなく俺の方に首を向けた。何だ何だ?もしかして、後続を送り込む為の工作も仕事のうちってか?悪いが、その手には乗らんぞ!
「・・・、ファーストは・・・、その、女性が好きなのカ?」
変な事を聞いてくる。女性が好きか?答はYESだが誰でもいいわけではない。
「女性は好き。でも、誰でもいいんじゃなくて妻が好き。変な気は起こさないでくださいよ?」
「・・・、了解しタ。」
ボチボチ話し込んで明日の指示を出して風呂へ。流石に遥は一緒に入ると不味いので、先に帰している。しかし、最近一緒に入っても問題ないのではと、本人が言っているのが気にかかる・・・。体も戸籍も女性なのだが、心は父親なので複雑だ・・・。年頃の娘にどう接するのがいいのか・・・。
「ほらほら、脱がしますからね・・・!」
「おイ!ファーストは子供じゃないんだロ。自分で出来るんじゃないカ?ナツメ。」
「出来るよエマ少佐。だが、スキンシップは大事だろ?むしろ、コレは頑張った私達へのご褒美だ!それに、嫌なら抵抗している。君も触ってみたまへ。」
家族である以上、流石に娘とおなじ風呂に入るというのは不味いよなぁ。妻と地方で女湯に入ったが、まぁ、それはお互い知らないからいいのであって親子なのでガッツリ知り合いである。
「Wow!何だこの柔らかさと触り心地は!と、いうかファーストはなんの香水を使ってるんダ?」
「エマさん、コレは体臭です。考え込んでると更に無抵抗なんですから、さっさと風呂に入れますよ!」
「まて望田!今日は私の番だ!小わきに抱えて走るな!キレイなお尻が見えてる!」
「日本の風呂とはこんなに大変なモノなのカ?ハッ!円盤皇女?アガペー!いやいや、違うだロ・・・。」
しかし、妻と入って娘と入らないというのはどうなのだろう?拒否されたと思って傷付く?ん〜、自分に置き換えると、この歳で母親と風呂に入りたいかと聞かれたら・・・、親孝行で背中を流すとか?日頃の感謝の気持ちで、それくらいしてもバチは当たらない。
「えぇ〜と、クロエいる?」
「遥ちゃん?どうして風呂へ?」
「服を作ってるし、一応メンバーの身体のチェックはしたいなーなんて。それに、温泉のあるとこ出身だとホテルのお風呂は狭くて・・・。あら、思考の彼方に飛んでってる。で、なんで丸洗いされてるの?」
「当番で洗う係が決まってるんですよ。エマさんも入ります?ここまで無防備なクロエは、ここでしか見られませんよ?後、先に身体洗ってくださいね。」
「アー、考えておク。身体は洗った、先に入る。」
「遥さん、この感触のクッションって作れますか?」
「試してみましょう、小田さん以外欲しい人います?って、ほとんど欲しいんですね・・・。」
親孝行か。老け込むには早い・・・、寧ろ若返ったのでする方?この身体で親父と風呂入ったら犯罪というか介護?ハハならまだ許される?
「は〜い、髪乾かして拭きますからね〜。」
「珍しく帰って来なかったですね。」
「コレは現実逃避じゃないのカ?」




