表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
街中ダンジョン  作者: フィノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

875/878

744話 英国ブース

「確かに従来のモコモコ宇宙服よりはいいかもしれませんけど、パワードスーツ改造した方が早くありません?米国なら飛行ユニットもありますし。」


「最もな意見なんですがね、この服と装備は内部用なんですよ。」


「内部用・・・、S・Y・Sですか?」


「ええ。S・Y・S型コロニーを作る構想は既に立ち上がり素材確保も進んでいます。その中で持ち上がるのは緊急事態に置ける民間人の安全確保。スィーパーはその指輪によりパワードスーツも持ち歩けますが、子供に関してはそうもいかない。安全区画や脱出用ポッドを整備するのは勿論ですが、生き残らせる為の装備品は必要でしょう?」


「それがその目立つ服とこの酸素ボンベであると。う〜ん、やっぱりヘルメットは必要そうですけどね。」


「エマ、クロエさんにおみせしろ。」


「ゔッ、アレはカッコ悪いゾ?」


 そう言いつつエマがレギュレータを咥え、手首の辺りを触ると頭までスーツが覆った。呼吸出来るし外からの宇宙線やら太陽光を見なくて済むと言うなら確かに視界を捨てると言うのも手なのかな?その分閉所恐怖症辺りにはなりそうだが・・・。


 でもまぁ、アメリカンヒーローって全身タイツに口元だけ出してるなんてのがデフォルトみたいなもんだし、ある意味米国スタイルと言えばそうなのかな?


「一応、コレで仲間と手を繋いでいれば会話も出来ます。それに救難信号を発する装置も組み込まれているし、生存率と言うモノを考えると一週間程度は生存出来ます。まぁ、食事問題はありますがそこは高カロリー栄養水で我慢しろとしか言えません。」


「死ぬよりはマシって奴ですか。と、言うか米国は宇宙に生活圏を求めると?」


「在日米軍同様、家族毎宇宙に上げる下準備と言うやつです。宇宙軍構想の筆頭は我が国で、そこにあると言う事は住む事にも繋がりますからね。」


 確かに言いたい話は分かるし、軍事費と言うか毎度S・Y・Sを地球に降下させるにしても今度は降りた所に穴が開く。それを考えると宇宙に家族毎駐在させつつ、必要な時だけ地球に帰ってきてもらうと言うか、ゲートを搭載させて宇宙からでも地球の統合基地に来てもらえばいい。


 まぁ、そうは言いつつも子供どうする問題があるので結局は定期船を作るコースかな?元々S・Y・Sは宇宙エレベーター構想から生まれたし、小型の宇宙船自体は飛行ユニットがあれば簡単とは言わなくても作れる。それこそマスドライバー構想が全部ポシャって阿鼻叫喚な投資家もいるが、例えば駐車場よりも多少広いスペースがあって飛行ユニットが搭載されていればそれで宇宙へも行ける。


 クッソ古い映画の話しをするなら月世界旅行と言う初のSF映画があるのだが、その映画では大砲で月へ行くなんて事をしている。でも、今の世の中じゃ砲弾型の宇宙船なんてのも作れちゃうのよね。ある意味過去が未来に追い付いた形だな。


 そんな話を終えて英国ブースへ。まさかとは思ったがサイラスとエヴァが来ている。ポンポンサイラスを海外に出していいのかとも思うが、海外に行ければそれだけテレポート先も増えるし女王陛下を逃がすと言う意味ではいい手なのかもな。


「お久しぶりですサイラス長官にエヴァさん。英国では何を?」


「どこでもついて回って持続的に販売できる物ですよ。中々コレからおさらば出来る人も少ないですからね。」


「下の話だけど無視は出来ないねぇ。クロエさんは・・・、いらないか。てか、使える?」


 差し出されたのは小さな杖。トイレと言うか大小を杖が抜き取り蓄えるらしい。最終系とされる物はトイレペーパーの芯くらいの太さになっていて、最大で600回分は使用出来る上に使い終われば肥料と唱えるとバラバラになって肥料になるのだとか。確かにコレなら処理も楽だし臭いもないそうだから災害時の備蓄としても使いやすい。


 他にはドイツとも一部提携して魔法キーも作っているだとか。パワードスーツを奪われる事はかなり稀なのだろうが、最新式のパワードスーツに保険をかけるのは間違いではない。呪文さえ秘匿出来れば安全性も高いし、そのうちこんな鍵がスタンダードになるのかな?


「私には使えないですね。3年近くトイレには行ってないですし。ただ、米国なんかも欲しがると思いますよ?」


「その話は既に来てますよレディクロエ。国が全ての技術を出す訳では無い。しかし、出せる範囲を国毎で考えた時に格差も出て来る。その格差を埋める為に取り入れるのか、それとも奪うのか?過去なら奪うと言う話も分かりましたが、魔術や杖、受け渡しと言うものは個人技能に属するし、伝授したとしてもその効果には揺らぎもある。ある意味女王陛下の舵取りは正解ですよ。私が疲れますけどね。」


 サイラスがやれやれと言った感じで話すが、魔法立国目指すだけあってそちらの方面での問い合わせは多そうだな。日本政府としても色々とやっているけど、魔術に関しては法を先に整えるのかそれとも技術として扱うのかで揉めているところもある。まぁ、それを横目にさっさと企業はゲート内に招待して研究したりしている所もある。


 公に魔術はあると知れ渡っているのだけど、それをどこまで規制するのかは本当に微妙な所で、その犯罪者を捕まえるのもギルドが絡んで警察と協力してとなって来る。まぁ、他の国もギルドがスィーパー管理に絡んでくるし、その辺りはまた法整備として動きがあるだろうし、AI裁判やらの件もあるしどこまで簡易化出来るやら。


 そう言いえばドローンの小型化AI装備化なんかでガジェットは充実してきてると言われてるし、スィーパーに付いてこれないまでも撮影は出来るだけの制度があるから、犯罪者は逃げ場がどんどん減っていくな。


「激動の時代を今も昔も生きた人ですからね。そう言えばEUは離脱したままでいいんですか?」 


「離脱した所で近いに変わりはないですからね。組み込まれるよりは自由をと言った所ですよ。まぁ、協定拡大で往来は自由な感じですけどね。そもそも人がどんなに防柵作ろうと監視しようと来る者は来るし行く者は行く。必要なのはその後の態度と言う位置づけです。それに、日本語がどこでも通じるなら知らなかったと言うのは茶番でしかない。」


「新しいバベルは塔を建てずに技術を育てた。そして人は広がり自由を得た。代償は自己責任と言ったところですか。」


「ええ。私達は日本式ギルドを作りませんでしたけど、それでも管理方法の多くは日本式を取り入れてます。AI裁判やら法律には期待する所が多いですよ?」


「その辺りは日本政府に任せてますよ。ギルドが法律を作り施工して取り締まってはすべてが腐る。三権分立と言う訳ではないですが、取り締まる側と整備する側が一体化したら、それはもう鬼に金棒のやりたいほうだいを許したことになる。だからあくまでギルドは政府の一組織と言う立ち位置ですよ。まぁ、だからこそ逆に文句言う事も出来るんですけどね。」


 現場と上の考えが違うなんて事は多々ある。今の日本政府だって変な法律作る事もあるし、明らかにスィーパーを締め付けて馬鹿にした様な法律が議題に上がることもある。でも、その意見自体がそこまで来たと言う点は見逃せない。結局意見のやり取りと言うのは不満のやり取りで、少数が多数に切り替わる時は何かしらの転機である。


「上に立たないのはそんなところからですか。」


「まさか、元々私は戦う者で政治にはかかわらないとしてますからね。それでも話されるなら答えますし意見は返す。ただ、それを貰って鵜呑みにするのではなく、自分達に落とし込んでもらわないと困りますけどね。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
評価、感想、ブックマークお願いします
― 新着の感想 ―
今更EU等と言う枠組みを持ち出しても仕方ないしねぇ 今後は文化的に近い国が寄り添ってコロニー作って某Gダムのコロニー見たいな単位でやってったり
緊急時のスーツ起動してから宇宙に放り出されれば約1週間は持つ栄養と空気が有る 排泄はその杖か最悪そのままは緊急時で分かる 温度どうなるんだ太陽光で照らされての上昇やほぼ真空だが放射熱等の低下は超断熱等…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ