表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
街中ダンジョン  作者: フィノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

865/878

735話 フェスの少し前

熊本が揺れた

 祭りは盛況なら内に終わり、特に大きな混乱もなかった。強いて言えば酔っ払いが夜遅くまで騒いだとか?海上にあるギルドなので、ちょっと騒いだくらいでは騒音問題にはならない。それをいい事に夜遅くまで語り明かしていたな。


 ソフィアやその友人達は帰りは妻に任せて最後の締めまで残ったが、聞こえてくる声は弔いのモノもあれば夢を語るモノもある。どんなに超人的な力を得ようとそこに人がある限り、気持ち的な問題は早々変わらないだろう。


 なにせ朝日は・・・、多分登るし夕闇も訪れる。今の地球を薄氷の上にあると言う人もいるが、割れない限り薄氷の厚さはわからない。ただ、日が過ぎると言う事はリャンとの対峙が迫っていると言う事だ。


 相手の土俵で戦うのか?更格闘技を習うなんてナンセンスだ。そもそも格闘技なんて自衛隊でやったものしか知らないし、それも型のみでとても実戦で使えるとは思えない。


 う〜ん・・・、例えば素手の相手に対して銃口を向けるのは卑怯なのか?答えは相手によるのではないだろうか。スィーパーでない人がライオンと戦うなら素手は無謀と言われるだろうし、挑むと言うならありとあらゆる想定をして武装をする。


 武術家と言う色眼鏡を外せばリャンは人だ。チャンが今は身柄を預かっているが、そこで日長1日打ち込み稽古をしているわけでもないだろうし、そんな事をしていたら逆に正気を・・・。


「考え事?」


「ちょっとね。素材フェスも近いしその事で・・・。」


「ウソ、貴方って変な所で顔に出るのよ?長く連れ添ってるんだから丸っとお見通しだ!」


「ゔっ・・・。・・・、莉菜は最強ってなんだと思う?」


 1人で考えても始まらない。他の視点を増やすと言うなら文字通り誰かに聞くのがいいだろう。俺としては挑むと言うなら相手を知らなければならない。リャンが中国人と言うなら彼を知り己を知れば百戦殆からずと言う言葉も知っているだろうし、知らなければどうやって倒せばいいのかも分からない。


「最強?う〜ん・・・、何かの競技にでも出るの?格闘技とか射撃とかオリンピックとか。魔法合戦とかあったら貴方が一番よね?」


「どうだろう?負ける気はしないけど安く勝てるとも思えないかな。ルールがあればそれに従うし、従ったら従ったで抜け道もないかも知れないし。」


「抜け道?どうしてそんなモノが必要なの?」


「必要も何も勝つならルールは熟知するべきだろう?毎回意表を突くわけじゃないけど、ルールがあってその中で何かをするなら、その中で思いも寄らない方法を取る必要もあるし。」


「それって逆じゃないかしら?」


「逆?一体何が?」


「なにで最強を目指してるかは分からないけど、ルールなんて知らなければ何にも縛られないし自由にしていいじゃない。それこそTRPGみたいにシナリオを捻じ曲げてもいいし、初シナリオならキーパーが許す限り自由に振る舞えるしね。」


「なるほど?」


 なんとなく分かった様な分からない様な・・・。確かに変に考え込み過ぎるのもよくないのか?ここの所最強と言う言葉に縛られて本質を見失っている気もするし、祭りに行く時でさえリャンとの事を考えていた。


 そう考えると奇しくも無駄な時間を過ごした様な気がするな。うん・・・、最強あげますで納得しないなら納得する形を提示すればいいのか。それこそ互いが納得する形で。



________________________

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「もうすぐ羽田に着きますよ。」


「早いもので明後日から素材フェスか。既に人員はあらかた配置されたって聞くけどどうだろう?」


「早くご馳走が欲しいなぁ〜。会場に屋台はないのかなぁ〜?」


「私も最新技術が早く見たいぜ!他の国ってどこまで見せてくれんの?色々とコンタクトは取ってるけど国家機密とかぶち撒ける?」


「そんな事はないですよ神志那さん。理論発表会的なモノもするらしいですけど、あくまで商品に対してとかでしょうからね。」


 飛行機で大分から羽田へ。指定されたメンバーを連れてやって来たけどかなり人が多い。それもそのはず、世界各地から政府公認で最新モンスター素材を買い付けに来るブローカーと、当日現地で商品を宣伝する企業人でごった返している。


 これなら早めに大分を出た方がよかったかな?既に降りる時から注目の的だし、鑑定対策としてサングラス掛けてるけど神志那の視線から逃げようとする人もいる。あんまりコソコソしていると本当に警察から尋問されるので堂々としてればいいのに・・・。まぁ、誰にでも隠しておきたい秘密があるから仕方ないんだろうけどさ。


「お待ちしておりました。」


「お久しぶりです千代田さん。神志那さん?」


「本物〜。誰も化けてないよ。」


「了解です。では、この後は?」


「望田さんや神志那さん、フェリエットさんは会場確認の為に現地へ行って打ち合わせをしてもらう予定ですね。クロエさんについては私と共に松田さんの所へ。」


「了解しました。そう言えばウィルソンさんってもう来てます?」


「来ていますがエマ大佐と共に米国ブース設営に回っています。面会をご希望でしたら時間調整しましょうか?」


「いや、それなら当日にでも会いますよ。どうせ他国の方とも会う事になるでしょうしね。」


 サイは来る。サイラスも来る。流石にアライルは来ないがウィルソンは来ている。若返りの薬飲んでお忍び来日する要人もいるかも知れないが、流石にそこは自己責任。日本政府としてはお忍び来日に対して安全を保証しないと言っているし、それを押して来たなら文句も言えないだろう?


 そもそも素材を売る、新しい商品を売る。コレが目的なのであって、素材の価格は殆ど決まっているし開幕すればその価格も共有される。つまり、要人がお忍びで紛れ込んでも何1つ利益にはならない。


 と、そうは言いつつ先進式のパワードスーツやらが欲しい所は欲しいだろうし、サイラスが売ろうとしているトイレ用の杖なんかは杖の研究素材やイメージ材料として欲しい所は欲しい。


 なんにしてもフェス会場は論争の場ではなくお金がモノを言う欲望の坩堝。流石にそこから転売と言うか、外交のカードとして素材を使う国もあるかもしれないが、それはもう国同士でやってくれ。少なくとも価格は決まり後は、それが欲しいのか欲しくないのかになってくるんだし。


 そんな事を考えつつ望田達と別れ千代田の運転する車に揺られて、やって来たのは国会議事堂。気の早い議員は会議すると意気込みつつ、本当はここが安全と知っている人達。まぁ、防衛拠点と言うか要警備対象施設だしな。


 初のスタンピードの時は増田が議員を本当に殴り飛ばしたりしたが、流石に今回はそんな騒動はないだろう。既に雄二が手配したスィーパーもいるようだし、中に入るには鑑定必須。


 俺の場合鑑定出来ないが、その代わりに今回はドッグ・タグで本人確認をするそうだ。まぁ、指輪の肥やしになっているが、貰ってからずっと持っているので大丈夫なのだろう。


「待ってましたよクロエさん。」


「お久しぶりです松田さん。と、言ってもwebではよく会ってますけどね。」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
評価、感想、ブックマークお願いします
― 新着の感想 ―
現実でも法を「知る」のは重要なプロセスだしな 昔のタヌキとアナグマ事件とかのように
ルールの枠内で、手段を問わず最大限の利益を稼ごうとするのが日本だが もうそのルールを自分の都合で作り使う側のGMでPCじゃないのに認識が囚われたままだったか うん、賢者じゃなく愚者だなソーツの初回優遇…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ