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街中ダンジョン  作者: フィノ


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718話 千代田さんが来た

 フェリエットとソフィアは学校に行き、俺と妻はギルドへ。息子はどうやら泊まり込んだらしく今朝は見ていない。シフト的に夜勤ではなかったと思うけど、仕事が立て込めばやむなし。まぁ、その場合今日は昼で上りかな?いくらエナドリ飲んでシャキッと出来るからと言って、休みがないのは違うんだよ。


 そんな事を考えながら挨拶を交わしてマスタールームへ。PCを立ち上げると見たくないメールアイコンが点滅している。仕方ないのでメールチェックするが、望田やエマは今日の昼ぐらいには帰ってくるらしい。


 米国中位も参加しての素材集めなので楽しんだと言うか、互いにやる気を出してハッスルしてたとか。詳しい話は後から聞くとして死者が出なくてよかった。


 その次のメールはサイラスから。事の発起人はマイロらしく、主人と共にゲートを歩むなら自力を上げたいと獣人に声を掛け、それが伝播して参加するスィーパー獣人が増えていたらしい。そこでみそなのがマイロに悪気はなく、敬愛する主人に魔法を色々使える様になって見せて驚かせようとしたとか。


 うん・・・、コレだと確かに白羽の矢はフェリエットに刺さるな・・・。フィンに魔法の手解きをしたのはフェリエットだが、それを真似れば必ずしも上手くいくとは限らないし、激しすぎれば魔法に忌避感も持つ。まぁ、使いたい使ってみたいと言う気持ちがあれば職として答えてくれると思うよ?


 癒やしが欲しかったとは言え、魔女の同族だし癒やされてるなら多分力はくれる。それで至れるかは分からないけど、流石に打ち止めはないよな?


「ん?はい、本部長クロエです。」


「受付に千代田と名乗る女性が来られて面会を望まれていますが、いかがしましょう?」


「神志那さんの鑑定後マスタールームへ案内して下さい。」


 普通ならアポ取って面会なんだろうけど、今の時代そのアポから情報が漏れる事を嫌がっているだろう時間に訪ねてくる人は増えている。それを無作法と取るか情報管理が行き届いていると取るはかその人次第。


 まぁ、礼儀も生き物の様に増えたり減ったりするのでいいだろう。しかし、電話でもなくメールでもなく直接来たと言う事はなにかあったのかな?それとも素材フェスの打ち合わせとか?増田が松田付きと言うかいい様に扱われているので、それの代わりかもしれない。


「おはようごさいますクロエさん。」


「おはようございます千代田さん。わざわざ大分ギルドへはどの様な用向きで?」


「1つは素材フェス、ゲート素材に関する価格安定に向けての取り組みです。」


 席に促しコーヒーを魔法で入れて差し出す。ガムシロップを2つとクリープを入れる辺り苦いのは苦手な様だ。まぁ、本人の趣向なのでなんとも言えないが、凛とした見た目なのでブラックだと思ってもしまうな。


「今朝メールで本部長達の帰還の知らせは受けました。私の素材も提供しているので量としては十分だと思いますが?」


「その点に関しては不明です。中層の素材そのものが希少価値がまだたかく、今回の放出量で安定化まで漕ぎ着けられるかは・・・。」


「もしかしてかなり寄越せコール入ってます?」


「入っています。入っていますが、日本政府として今回以降の採取は自国で行えとしています。流石に自国の中位を使わずに日本にばかり頼るなと。」


「まぁ、そうなるでしょうね。仮にコレを日本政府が飲んだらいい使いっ走りにされた後に下剋上しなければならない羽目になる。そうなるとどの国とも深い溝が出来る。」


「ええ。松田副官房長官もそう話されていました。今回は先に放出して価格を決める。しかし、これから以降は国ではなく企業と個人で決めてもらうと。まぁ、クロエさんがいる以上詭弁と言う声もありますが・・・。」


「難しい話ですね。残念な事に私は女神ではないので素材をばら撒く気もなければ、モンスターを駆逐する戦闘者でしかない。そもそもモンスターを綺麗に倒すのってしんどいんですよ?」


「分かっているからこその弁ですね。政府としては詭弁と声を上げる国とは一定の距離を保つとしています。いくらモンスター討伐後の残材だとしても、それを回収するにはかなりの労力を必要とするとして。そして、その価格帯については・・・、四カ国で逆入札形式としました。」


「逆入札形式?かなり時間を要すると思いますが?品目もモンスター数もかなり多い。」


「それを推して安定化を狙うと言う話です。内密な話ですが今回の安定化に向け、日米中露で会合を開き一定数の素材融通をする代わりに当日は買付をしないと言う取り決めを行いました。」


「それもまた詭弁ですね・・・。表向きはそうでも裏で買い漁るでしょう?どうせ流通して最終的に自国に来ればいいんですし。」


「それは想定の範囲内です。要は大国が買わないと言う、ある程度のパフォーマンスが出来ればそれで構いません。逆に大国全員が下法な値段を付ければ安定化は遠のき、それに呼応したスィーパーも高値でしか売らなくなる。ただそれでも最低価格はそれなりの額だと考えて下さい。」


「まぁ、価格付けろとか言われるよりマシですね。流石に重りのない計りで重さは決められない。ギルドへの報酬は?」


「3カ国・・・、いえ、2カ国に融通した代金が丸々ギルドへとなります。日本政府は素材フェス時のマージンを貰いますが。」


 米国にはエマがいるし、今回参加しているからそっちから融通してもらうんだろう。ちゃっかりしていると言うかなんと言うか・・・。目利きも山口さん使うつもりだろうし米国産S・Y・S建造計画とか立ててる?


 まぁ、日本だけの専売特許でもないし作り方はばら撒いている。遅かれ早かれどこかの国が建造出来れば他の国も作り出すだろうし、技術協力と言う話はどこも叫んでいる。


 数学に強いインドなんかも飛行ユニット完成間近とニュースでやっていたし、中露よりも先に行きそうだな。それこそ種子島にある中露宇宙ステーションは連日色々な国から視察申込みがなされて、種子島自体が観光バブル状態だと聞く。


 中身が旧式でも中露宇宙ステーションの近くにはS・Y・Sが停泊しているし、鑑定術師が渡航してくれば丸裸とまではいかないが理論を盗まれるかも。まぁ、その理論やら建造方式もゲート素材を使えば再現出来る。来年辺り本当に宇宙に住処を移した人が出てくるかも。


 住みやすいかは別として、宇宙に住むのに一定数の憧れを持つ人もいる。それこそガンダムじゃないけど、水星行ったり土星行ったりするのは憧れる。まぁ、俺の場合行くと宇宙人に遭遇しそうなので地球引きこもりでもいいけどさ・・・。


「それは・・・。私の一存でははいと言えないので、本部長会議と言うかメールを送っておきましょう。流石に中層に出向いてその素材集めたのに一銭も懐に入らないと言うのは痛い。」


「中露から支払われる額のいくらかでは手打ちに出来ませんか?」


「くどい。先程も言いましたが中位と言えど人間で、死ぬ時は死ぬ。半分公務員ですが半分は民間人です。定額で動くラジコンではないので、全員が納得する額を話し合います。」


「分かりました。その件は松田さんにも伝えておきましょう。開催地は東京となりますが、そこに異論は?」


「ないと言えばないですけど、東京で大丈夫ですか?」


「大丈夫とは?」


「首都に大量のスィーパーを呼び込む。今回のブローカーは国指定としてますけど、キャパシティ的には下手をすると選出戦以上の規模になる。それに乗じてスパイと言う話もありますし、開催期間中に日本国内を行脚しないとも限らない。増員して警備に当たるにしてもかなり大変ですよ?」


「地方開催を示唆すると?」


「示唆と言うかゲート内開催は押せるかと。あそこなら警備いらずと言うか、売り手だけを守れば済みますしね。」


「その案は確かにありましたが、シェンゲン協定拡大のテストも兼ねています。特定の個人の行動がその国の不利益になる。米国とは一部協定を結びエマ大佐の様に往来出来る方もいますが、他の国とはまだ協定を結んでいない。今回来る国の方には協定の話をしつつ、日本のルールを守れるかを見ます。」


「なるほど、そう言う狙いがあるなら構いませんよ。増員要請があれば何人かは出しましょう。」


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アポ無し突撃訪問、職でテレパシー等の機密連絡とれたりしないのか アポ取って妨害するならどうぞの行動出来る強者スィーパーが凄い方面にはいかなかったか G4だけどほぼG2で本当はGファースト何だよな 素…
コーヒーや茶の類も質の良いものが安価になっていきそうだよな 現実での礼儀の最先端は結婚式の御祝儀に万札は使わない、だな でももう1年経つから騒ぐ奴もいないか
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