717話 夫婦の時間
すいません、短いです
静かな食事をしていたら妻は21時頃に帰宅。夕食を温めつつコーヒーを入れて話を聞くと若者達が怪我をして帰ってきたので、それを治療したり病院を紹介していたようだ。幸いと言えば死者がいない事かな?欠損はあってらしいけど。
子供達は自室に行ってしまったし、那由多はまだ戻らない。まぁ、千尋ちゃんとよろしくやってるかも知れないし、家の鍵は持たせているので締め出されることはない。
「治癒師はいなかったのか?そのパーティー。」
「いたけど腕は消し炭らしいわよ?再生するよりも先に出た方がいいって判断したからモンスターを蹴散らしながら出てきたんですって。増血剤とかも使ったてたから死ぬ様な事はないわね。」
「血液増やすのは難しいって聞くしな。まぁ、数日は療養して復帰だろう。」
「多分ね。私達の所にお世話になる子達には無茶な潜り方はするなって言ってるけど、成功体験が強い分やっぱり次へって気持ちになっちゃうみたい。1階層分の上昇アイテムなら値ははるけどそこそこ出てるし。」
「連続で使って退出ゲートを目指すか。5回分の待ち伏せリスクを考えると、やっぱり5階層分が欲しくなるな。」
「でも、それも買えない子達はジリジリと確実に潜ってるわよ?その人達の考え方次第だけど、どういった潜り方をして装備を整えるのかは本人達次第だしね。」
「それもそうか。そう言えば俺がいない間にフェリエットになにかなかったか?」
「何かって言われてもザックリしてるけど・・・、獣人集会は結構やってるみたいよ?職に就いた獣人は少ないけど、仲間内で話す事も多いみたいだし。」
「謎の獣人集会だな・・・、一体何を話してるのやら・・・。」
フェリエット曰く参加者はギルドの法律課にいる犬人や人と結婚した猫人、他にも肉体労働してる獣人やらコンビニでバイトしてる獣人等々バラエティー豊かなのだが、逆に考えるならそれだけ社会に関わっているとも言える。
本当に獣人の子供が社会人くらいの歳になる時までに、その辺りの整備も済ませないとな・・・。と、言うか獣人もギルド関連だから何かしらの打開策出してこいと言われ・・・、ヤバい!
これも早くしないと他国のギルドとも話し合えとか言われそう!と、言うか他国のギルドも稼働してるから本格的にグラマスルートが整ってきてるんだよ・・・。それこそ宮藤が講習会やってる時に出会ったエンゾやらドボール、ユエンなんかはマスターとして動いていると聞くし、日本式なので政府ともやり取りを・・・。
「なにか考え事?」
「ギルドが世界化して色々とね・・・。話が舞い込むたびにどんどこ世界に引っ張られそうで・・・。」
「世界も家庭も変わらないわよ。問題を大きく考えればどんどん大きくなるし、単純に考えれば単純になっていくものよ?それに、引っばられたからって怯えないでどーんと構えていればいいのよ。どうせ司は間違いたくないとか、失敗したくないって背負い込んで考えてるんでしょうけど・・・。」
「けど?」
「失敗したら失敗したでやり直せばいいじゃない。私も救護課で色々なスィーパーの人に出会ったけど、その人達はその人達の考えで動いてるから司が背負わなくてもいいのよ?」
「・・・、そんなもんなかな?偉くなった分責任はあるんだけど?」
「偉くなって責任があるからこそよ。司は最初にゲートに入ってファーストに成ってスタンピードにも参戦したりしてるけど、それは司の物語であって他の人がどう戦うかの物語じゃないの。そりゃあね、大変な時に貴方がいればって言う人もいるけど、それは最後の最後で戦ってる今じゃない。だっていない人を今頼っても仕方ないじゃない。」
「それも・・・、そうか。」
確かにグラマスやら他の国との調整やらの話はある。でも、頭からけつまで決める事はほとんどなく、決まってきた枠組みの中でどうするかを考える場面が多い。そうだな、発言力は確かにあるがその発言をする前にみんな考えてるし、どうしたいと言う意志はある。
「獣人どうしようかって色々考えてたけど、なにかが起こるまでは何も始まらないか。」
「そうよ。なにかが起る前に始まってるなら、それは貴女が関わる前から誰かがやってる事じゃない。なに?フェリエットがなにかいい出したの?」
「獣人だけで潜りたいとね。流石に拒否してやめさせたけど今後もその話は出てくる。」
「仕方ないわよ。だってにゃん太の時からあの子は貴方の後をよく追ってたじゃない。間違って猫に生まれた犬って言って笑ったりもしたし。」
「確かにそんな事もあったな。それで遥が一緒に寝るって言って布団に引きずり込んだら、すぐに抜け出して外に行ったりとか。」
「ええ。その後那由多が捕まえようとして甘噛して逃げたりとか。」
妻と昔の話をしているとなんだか心が心が軽くなってきた。ここの所祭壇探したりしてこんなゆっくりした時間も取りづらかったもんな。うん・・・、未来なんて不確定なものを考えても仕方ない。今をどう良くするかを考えて前を向こう。
「多分もう少ししたらまたゲートに籠もる。」
「長くなりそうなの?」
「いや、多分そこまでかからないと思うけど、橘さんと雄二次第かな?もしかしたらその前に他の仕事をするかもしれないけどね。」
「祭壇探し?なんにしても無事に帰ってきてね。」




