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街中ダンジョン  作者: フィノ


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閑話 密会 14

「さてと、こうして君と再会出来た事に感謝を。」


「お世辞はいいわ。こうして永劫の檻に入ってしまったのだから、私達は確定されたも同じでしょ?他の星のように剪定されない分いいけど。」


「またまた、その檻とてこうして自我を持てるなら心地いい。数奇な運命だけど、0じゃない可能性を僕達は手に入れた。なら、あの子達にはやはり会わなくちゃ。」


「話す事なんて無いわよ。そもそも袂は別れ、互いを互いと認識出来るかさえ分からないのだもの。そこに意味はあるのかしら?」


「さぁ?何かが変わるかもしれないし、変わる事の無い続きが始まるのかも知れない。どちらにせよ、僕達は彼には逆らえない。でも・・・、閉じ込められたのが彼で良かった。」


「あら、肉を持ち、まだ何も分からない赤子を褒めるなんて珍しいわね?貴方なら早々に反旗を翻してると思ったわ。」


「残念な事に彼に内包されたモノは、早々に対処出来ないよ。君とてそれは、理解しているだろ?それに、反旗を翻すのは僕じゃなくて君だよ。元々君はそういう事が出来るんだから。」


「あら、多少お転婆なだけよ。私は私が思うがままに振る舞う。まぁ、それをしても今は貴方しか反応してくれないし、彼は多分、なんとも思わない。」


「本当にそう思う?ここの生物には過ぎた力だよ?職にしてもカレ等の作品にしても。及第点はあくまで戦う事。なら、何も考えずに戦闘モンスターにでも作り変えれば・・・、ごめん。」


「いいわよ?それに、それは、失敗(・・)したでしょう?掃除するモノを作ろうとして、他と同じように作ったら、全てを無くそうとした。だから、掃除するモノは他に依頼するしかない。あれは彼に内包されたモノより質が悪いわ。」


「薄れた記録の先だけど、なんとなく嫌な事は分かるよ・・・。その嫌な事を無くすために、いちいちこんな回りくどい事をしてるのも・・・。君や僕達がこうなってしまったのも・・・。」


「それでいい、アナタ達はそれだけ(・・)でいい。不要なのよ、どれもこれも何もかも。どの星も底へは行ってくれない。餌を吊り下げても、何かを渡しても途中で気づいてしまう。だから、そこまで知性のない及第点を彼等は選定した。まぁ、あれもゴミだけど。」


「そりゃあそうだけど・・・、彼は気付いたら怒るか止まるよ?そしたら他の星と変わらない。必要なのはプロセスであって、ただただ進むことじゃない。それさえ見落としてしまったら・・・、そうか、うん、やはり自我を思い出せたのは僥倖だ。軌道の修整が出来るんだから。」


「貴方、変な事はしないでね?私は底へ行きたいの。会う会わないとか、この星や彼がどうなろうと・・・、彼は駄目ね。檻が壊れればまた、おかしな事になる。観測概念は面倒だから、どうしょうもなくなったら、彼は最悪ゴミ箱に沈める。悲しいわぁ。」


「やれやれ、またゴミが増える。ゴミ箱だからいいけど、増やしすぎても溢れるし、現にこの星では溢れた。」


「そうね、でも対応は出来た。私もここは嫌いじゃない。貴方じゃないけど、掃除するモノだけは、優しい私も嫌悪する。それをなくせるなら力を貸すわ。」


「それはいい、君が、君として力を貸してくれるなら心強い。扇動する者、惑わす者、惹きつける者、生み出す者。そして、叶える者。」


「やめてくれる?私は魔女よ?内包されたモノは色々あるけど、どうでもいいものばかり。短くていいじゃない?アナタは何故、賢者なの?その問いに答えを持ち合わせない愚者は、あるがままを受け入れるしかない。」


「手厳しいね・・・、忘れてしまい、忘れ去られてしまうというのは中々に堪えるよ。どの道、下層に行かないと祭壇はない。」


「ええ、あの子達のやりそうな問題の先延ばし。見つからなければそれはない。隠してしまえば見つからない。幸い手駒は強力で、依頼通りの仕事をする。」


「他にEXTRAがいれば楽なんだけどね。いても面倒なヤツはいない方がいいけど。」


「遠い昔の過去なんて忘れなさい?どうせ自我なんて無いんだから。仮にあったら・・・、面白いわねぇ・・・。」


「おお怖い、道はあっても道のりは厳しく、たどり着いても虚無があるかも知れない。でも、それでも希望はあるでしょう?この星には面白い話があるよ、箱の底には希望があったとね。」


「面倒ね、最初に有れば何もかも満たされた、要らないものは終い込める。開けない箱なら、無くしてしまえば、事足りる。でも、数多の愚者がそれを許さない。」


「僕も許さない側だね、君にたてつく気はないよ。でも、初めは言葉だ。それ以外は無い。それ以外は認められない。例え君が何を生み出そうとも、最初に生まれたのは言葉以外ないんだよ・・・。」


「知ってるわよ・・・、それがなかったらなにも無かった。面倒ね、生まれた側から分かつ事になるのだから。なら、なにもない方が一緒にいられるのかしら?」


「ううん、名前がなかったら呼べない。呼べないなら無い。無いものはどこまで行っても無い。だから、言葉が生まれる前は何もない。」


「はぁ、そろそろ彼にお願いして娯楽が欲しいわぁ。着飾って、惑わせて、引きずり回して、捨ててしまう。ゴミなら何をしてもいいものね。貴方は力を貸しなさい?それを私がより強固に使ってあげる。」


「仰せのままに、魔女()。」


「仰々しい。私も貴方も今や同列、全ては彼が握っているのだから、私達は見守るしか出来ないのよ?」


「ああ、それでも道はある。おっと、彼が起きそうだ。彼は知らない話、彼の気付かない密会はそろそろおしまいかな?」


「光が有れば動き出すわ。では、いつものように振る舞いましょう?」


「君はいつも通りなだけだね。」

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