表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
街中ダンジョン  作者: フィノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

819/878

697話 ギルティタウン

 人気があると言われてもそんなに絵を描く気にはなれないな。それなら中野とかの方がゲート内とは言え絵を描いているので人気は出そう。なにせ取ってきたモンスターとかを見てから脳内補完で描いてるし。そう言えば橘が装備庁がまた何か作ってると言っていたな。


 大井に聞けば教えてくれると思うが、下手に首突っ込むと何があるやら。自衛隊的にも奥に行って基盤作りたいらしく16階層セーフスペースの本格的開拓を進めていると連絡が来ているし、民間スィーパーを招集して訓練しているとも言っていた。


 ゲート内で回復薬提供も潤沢だからやるのだろうが、演習はペイント弾なんてなまっちょろくなくパワードスーツ等をフル装備して実弾でやるそうだ。確かに生きてさえいれば回復出来るしモンスターと戦うにしてもスィーパーと戦うにしても実戦訓練としては申し分ないのだろうが・・・。


 実際に肌で街を感じると暗い雰囲気がないのはいい。時期的にも少し早いかスタンピードで散って行った人達の慰霊碑には花が多く添えられそれに俺も献花して東京ギルドへ。思えばここのノートがあったからソフィアの事を知れたんだったな。


 そんな事を思いながらパラパラとノートをめくって中身を読む。遠くから来て書いている人もいれば何日か置きに生存報告している人もいる。初東京ギルドと蛍光ペンなんかで書かれたモノを見ると地球を旅している人がいると感じられるな。


 靴屋の巨大ポスターにしろ創作物にしろ鋳物師が複製出来たとしても鑑定すればオリジナルかどうかはすぐに分かる。なら、鑑定師一強で言いなりかと言われれば嘘の鑑定をすれば信用をなくす。特に詐欺鑑定と断定されれば刑罰も重いな。自衛するなら複数の鑑定師に依頼するのがマストとなっているから早々詐欺被害も出ないらしいが・・・。


「もしもし?雄二君?」


「もしもしクロエさん?どうしました?」


「野暮用で東京に来たから電話してるんだよ、アポなしで急にごめんね。ちょうど昼飯時だし時間があれば一緒に昼食でもと思ったけどどう?」


「大丈夫ですよ。ちょうど今仕事も一段落して昼食どうしようかと新名さんと話してましたから。どこで食べます?」


「ギルドに来てるから食堂でいいよ。ロビーで待ってるね。」


 ちょうど昼飯時に来たがタイミング的にはよかった様だ。これで不在だったり仕事が溜まっていると言うならそのまま帰っても良かったし、松田に連絡してから千代田にギルティタウンに連れて行ってもらっても良かったな。


「木崎本部長は私達を見つけられるのでしょうか?」


「見つけられますよ。所在を明かし待っていると伝えてますからね。この魔法はあくまで知らない人から隠れるとか隠す的なものですし、橘さんとかは鑑定すれば私の居場所とか一発で見つけられますしね。」


 魔法を鑑定すると気持ち悪かったり空白だったりと鑑定師からは逃げづらい。まぁ、逃げる必要もないから問題ないのだがセルゲイも鑑定師やら獣人やらを多数配置するのだろうか?流石に獣人抜き鑑定師抜きと言うアホな縛りプレイーはない。なら機械警備をおざなりにしていいと言う話でもない。


「お疲れ様ですクロエさん。いや、ご無沙汰してますがいいっすかね?テレビで見たりニュースで見たりしてるからどうも会ってないって気がしなくて。」


「宇宙行ったりなんだりとメディアに大分出たからね。ニーナさんもお久しぶりです。こちらは・・・。」


「お久しぶりクロエさん。東京ギルドを楽しんでね。」


 雄二と新名がエレベーターから現れたがすぐに見つけられ、そのまま来客者様食堂へ。ここなら防人もいるので程度込み入った話をしても大丈夫だそうだ。まぁ、そんなに込み入った話をする気もないので大丈夫だろう。


「千代田さんですね、知ってますよ。よく東京ギルドに来てますし。昨日来てもらえば卓の奴もいたんですけどね。」


「卓君が?」


「ええ。中層を旅する計画とか都心部の獣人関連で学校に通わせるのはどの程度の割合とかですね。今はモデルケースで通わせてますけど、やっぱり学校行った方が職には就きやすくって・・・。勿論仕事してる組も職には就くんですけど幅広い知識って面がどうも足りなくなってるのかなと話してました。」


 獣人学校問題か。ゲートと言うかダンジョンが出来て数年で世界が安定するわけでもないし、それを安定させられる政府があるとするなら、とても有能なのか独裁的な権力を持っているのだろう。或いは外での出来事も自己責任とか?


 程度の差や能力的なモノもあるが、全員超人化してしまうウチでは問題を抱えつつも何かしらの指針を出さないとまずい。だからこそ政府は新しい法律をどんどん作るし現状に即していなければ改定もされる。


「獣人関連は政府も警察も注目したいます。窃盗事件発生時には鑑定師とタッグで事に当たったりしてもらっていますし、スィーパーと戦うにしても自衛が出来る。報酬としての食費や金銭も許容範囲内ですし。」


「今は派遣って形で獣人スィーパーを斡旋したりしてますけど警察でも獣人雇用します?」


「その議題は警察内でも出ていますよ。ただ出世させると言う部分がデリケートで延々と平だと獣人側としても納得しないのでは?と言う意見もでていますし、派遣と言う形はギルドとの協力関係を築く上でも今後を含め橋渡し的な役割があるのでは?と言われています。」


 大分ギルドは警察側と友好な関係が築けているが、反りの合わない所も当然ある。本部長が若いと言うのもあるし、人員的な問題や仕事の区分的にこれはギルドだ!とかこれは警察だ!とか揉める事も。確かにスィーパー犯罪はギルドが面倒を見てもおかしくないのだが、そんな事を言われても手が足りない。


 大前提としてギルドは民間と政府の中間組織としての役割もあるし、各省庁的にも協力を大前提とした行動指針を出しているのだがまとめ役として俺がいるものの、各本部長が各省庁のトップと同等の権限を持つあたりでもつれる。なにせ口は出せても俺も1本部長。命令と言う形も取れないし、本部長会議で取りまとめて松田やら黒岩に話すに留まる。


「その辺りは先送りには出来ない問題ですけど、簡単には終わる問題でもないですからね。」


「そう言えばクロエさんのこれからのご予定は?」


「松田さんに連絡したら千代田さんとギルティタウンに行こうかと思ってますよニーナさん。話は聞くんですけど一度くらいは自身の目で見てみようかと。雄二君とニーナさん、どちらか行った事あります?」


「私はないですね。統合基地には行くにしてもギルティタウンと言う集合体は点在し過ぎているのと、住む住民が様々な国の方だから下手すると日本語も微妙に通じないなんて話もありますし。」


「俺はありますけどそこそこ大きい街ですね。普通のと言うかギルティタウンは国毎に固まっているコミュニティが主なんですけど、中には多国籍で運営されてる所もあるんですよ。割と不思議と言うか変な差別って言うのがない所は全くないけど、逆に同民族以外お断りって言う極端な所もありますね。」


「ふむ・・・、お断りを掲げている所には近寄らないとして、下手すると部族化するなぁ・・・。」


「部族化?」


「そう、部族化。外との接触を絶って同族内で全てを賄い、古くからの仕来りを重んじる。血が濃ゆくなるとかそれで障害が出るのか出ないのかと言う問題もあるけど、有名人なのはハプスブルク家とか?なんにせよ狭いコミュニティで狭い人間関係が続けば貴族主義みたいになる事もあるだろうし、学力が低下し続ければ狩猟民族になるかもしれない。まぁ、狩猟しなくても食べ物はそこいら中にあるから更に質が悪いかも・・・。」


 無垢であると言う事は同時に白痴である可能性がある。狩猟をするなら罠を考え怪我を考えリスクを考え、取れない時の備蓄を考えと頭を使うが、ゲート内だと馬は勝手に走って来て人に食われる事に抵抗もしないし、そこら辺の草も樹の実も食える。水だって水箱があれば不足はない。


 つまり考えない人がずっとそこにあり続ける可能性があり、後からそこを訪れた人が神になる可能性も・・・。どの程度長期的に見ればそうなるかは分からないが、ある程度は話をしながら各国と連携してギルティタウンも回らないとまずいんだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
評価、感想、ブックマークお願いします
― 新着の感想 ―
セーフ部族時間が経てば出来るだろうが外と違い物が基本分解されるので2代目以降のみでは維持自体が不可能のような 一代目は確実にスィーパーで外の知識があるので不老等で超ジェネレーションギャップがある程時間…
獣人の出世は飯を豪華にすれば解決だろ その組織でしか用意できない食材があれば完璧
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ