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街中ダンジョン  作者: フィノ


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688話 ババ抜き 挿絵あり

「それは仮にゲート内で墜落機を発見したとしても?」


「ええ。言語を返してはくれますがそれだけだと考えてもらって結構です。」


「一度考えをまとめたい、他の方は?」


「それがいいでしょう。」


「同意する。時間は1時間でよろしいか?」


「どうぞどうぞ。コチラも一旦ブレイクさせてもらいますよ。」 


 タバコを取り出しプカリ。さてはてコアの価値をどう評価するのか?相対的価値を考えるなら俺にとってコアは無価値とは言わないまでも必要性は低い。しかし、宇宙を目指すと言うなら備えとして欲しいとも考えられるが、その解析をしても証明する先がない。それに行き着く先がどこかも分からない。更に言うならどの宇宙人がメッセージを受け取るかも。


  挿絵(By みてみん)


 モニターは切れて画面は真っ暗。流石に話し合いの内容を他国には聞かせられないか。まぁ、貧乏くじの押し付け合いと取るか野心の提示とすのか?言葉の運び次第では相当に拗れるだろうし一人で決めたとしても面倒ではある。トロフィーは眺めるから価値があるものであって、手元に置いたら今度は頭痛の種だ。


 スポーツでもそうだろう?今年優勝してトロフィーを手に入れた。なら、来年はそれをどうやって守るのか?監督も悩むだろうが選手にも重圧がある。その期待が重しになるくらいなら眺め求める方が心は楽だ。人は前や空を眺めながら歩く事は出来ても、下や地面を眺めながら歩けば壁にぶつかる。


「松田さんはコアが欲しいですか?」


「意地悪な質問ですね。1人蚊帳の外に立ち盤面を眺める。神がいるならその視点は今のクロエさんじゃありません?」


「そんな寂しいモノになりたくなんてありませんよ。」


「寂しい?持論ですか?」


「そんなものです。人が神を産んだ以上神の限界は人の限界です。そして、生み出された神が神と名乗っても人はそれを受け入れない。なにせ理想の神は理想であって現実になってはいけませんからね。それでも神であろうとするなら・・・。」


「するなら?」


「荒野にポツンとあるサボテンにでもなればいいですよ。」


「なるほど、寂しいものですね。」



________________________

 

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「さて、アライル。話は聞いていたな?」


「ええ大統領。エマ大佐からもミスィーズファーストからコアが必要かと聞かれたと言っていましたが、はぐらかしたと聞いています。そして、今の話を聞いても厄介なモノと言う印象しかないですね。」


「確かに厄介だが政治としてはどう考える?人の目は宇宙へ向き人類以外がいる事も確認された。それはもうクロエの永遠を疑う様なものだろう?それを考えると価値はあると思うが?」


「その価値を見出すまでに時間がかかり過ぎますよ。人の寿命は飛躍的に延び、いつ必要となるかは分かりません。それにその時が来た時に必要になるとは限りません。」


「そうか・・・、しかしウチが不要とするならどこが保有するべきだと思う?個人的に言うなら日本が保有しているのが最善だとは思うが・・・。」


「それは大統領もおわかりでしょう?ミスィーズファーストが権利を放棄してその時に声を上げなかった。あの時点でミスター松田が声を上げていれば多少の論争はあろうとも日本でと言う話で収まったでしょう。しかし、声は上げられず賽は投げられた。日本政府としてもミスィーズファーストとコアの両方を保有し、その上で宇宙人が来れば呼び込んだと疑われると危惧したのでしょう。それに・・・。」


「仮に来たとしてもクロエがやったと発表すれば済む、か。トロッコ問題で多数を取り少数を殺す見本だな。しかし、そうなった時に日本政府はクロエを切れるのかい?私ならクロエを残して他を切る選択をするが。」


「切る必要性をなくす為にコアを他国に渡すんですよ。はっきり言えばこれは茶番です。最初にロシアが永遠を疑った時点で全て茶番にしてペテンにかけられた。後はそのペテンにかけられて逃げられない者の中から貧乏くじを引く人間を決めるしかない。価値とリスクを天秤にかけた時、私達はこの件から手を引くのが1番穏やかでいられる。」


「しかし、我々が手を上げなければ中国かロシアが保有する事になるが?その点はどう考える?既に両国は手を取り合ってやらかした。その点を踏まえても両国に渡すのはリスキーだと思うが?」


「情報局として情報を出すなら、どこからか分かりませんが中国は最近不死薬を手に入れた。時期的には種子島からチャン氏が国へ帰った後です。出所を考えていけば・・・。」


「クロエか?他のスィーパーからと言う事も自国のスィーパーからと言う話もあるだろう?手に入れたと言う情報だけでクロエが関わっていると言うのは早計だろう?そもそも彼女は中露にいい印象を持っていなかったと思ったが?」


「正確には共産主義と言うものに対してです。まぁ、日本と言う国に住めば大なり小なり隣国からの面倒な話は聞ききます。しかし、主義主張を嫌おうともそれがそのまま人を嫌うと言う話には繋がりません。私達だってそうでしょう?中露を嫌おうとも貿易はします。何かしらの取り引きがあり、そこ利益があるなら一旦目を瞑る。」


「ふむ・・・、確かに仕掛けるなら今か。相手の弱みは明確でその分有利な取引も出来る。そのうえで国を上げで融和路線を取るなら下手な動きも出来ない。それに対する飴が不死薬で相手の首根っこを押さえるとまでは行かなくとも、購入先を潰す様な行動を控えさせると考えれば不自然な点はないか。ん?そうなるとロシアが貧乏くじを引くしかない様な気が・・・。」


「ええ。だから茶番でペテンですよ。出来レースと言ってもいいでしょう。最悪でも中国が手を上げる事が最善ですね。」


「合法的監視を可能にする為に監視する価値のある物を渡す。よく回る頭だ。保有した国は我々から警備体制と所在証明を求められたら嫌とは言えないだろうしな。そして、研究をするなら共同と言えばいい。」


「ええ。人を出して利益を貰い責任を渡す。日本はその辺り興味薄でしょうが共同監視はするでしょう。それにウィルソン君の分析は正しかった。多重人格とするなら3人としていましたが、多重人格ではなく個別の人格が3つあった。」


「なにか違うのかいアライル?多重人格でも人格3つでも変わらないと思うが?」


「違いますよ大統領。多重人格者なら他の人格はないものとして扱う。それが自身の心を守るためであると同時に、他の人格からすれば対話した時点で主人格に統合されそうになる。だって邪魔でしょう?自身の知らない所で動く人格と言うのは。逆に人格が個別に3つあるなら、それはトリプルコアの様に個別に考え意見を出し合い判断が下せる。日本で言うなら3人寄れば文殊の知恵と言うやつです。」


「1人の身体でありながら毎回3人で会議をしている様なものか。なるほど過集中の疑いがあると言うのは会議が長引いてると思えばいいのか。」


「ええ。それに大統領が選出戦でお聴きになられたでしょう?彼女の父親の口癖が俺は困らないだと。それは小さい頃から自己を客観視する様に鍛えられたとも取れる。人である以上主観は常に頭に来て感情的になればそれを優先する。しかし、立ち止まる術を知っているなら感情で動こうとも直ぐに間違いなら修正する。」


「心理的な分析は後にしよう。米国としては研究するなら共同研究と保有国の監視を行うとして保有そのものの権利は放棄する。」



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「さてとチン、我々はこのババ抜きをどう上がりましょうか?」


「保有は論外でしょう。我々のした事を他の国は知っている。なら、我々も放棄して他国に持たせる。それが最も面倒事を遠ざけられる。」


「それは確かです。確かですが日米は保有に手を上げませんよ?合法的に東側諸国を監視出来ると言う話ですからね。それでもダメージを減らすならロシアに保有してもらうしかないでしょう。」


「素直にハイといいますか?」


「素直にハイと言わせるんです。我々はロシアの尻拭いで目の敵にされて中位も差し出した。まぁ、中位の件はビジネスなのでいいです。しかし、あの時ロシアが矢面に立てば我々は更に有利な交渉も出来た。その点を考えればロシアとしても嫌とは言わないでしょう?それに、ロシアとしてもメリットがないわけでもない。」


「種子島の交渉の件ですか?我々は利益を得たがロシアはお礼金と言う名の賠償金を支払うにとどまったと聞きましたが?」


「ええ。金の切れ目は縁の切れ目と言うでしょう?支払いが済めば関わりは消える。そして次にいつ関わりが持てるかは不明ですし、何よりいい印象を持ってもらえるとも思えませんよ。」


「つまり賠償金に留めたのではなく賠償金だけでいいから顔を見せるなと言う警告であると?」


「その可能性はゼロではないでしょう?彼女はなんだかんだで身内に甘い。その中でソフィアと言う彼女の娘の事を考えればロシアからは遠ざかりたい。ですが、コアを保有しているなら大なり小なり関わらない訳にもいかない。特に研究するとして、教えを請えば勝手にやれと言われるかもしれませんが、成果を見せると言えば見ない訳にもいかない。」


「・・・、仮にそれを監視する術を保有していたら?チャン、私は既にファーストは人外で何をしてもおかしくない存在だと考えています。下手に関わるよりも一旦距離を置くと言う解答をロシアが・・・。」


「言わせない為に旨味を伝える。それでダメならさっきの貸しを返せと言う。それでダメなら我々はロシアと袂を分かつ。資源はクズ札で人口も少ないロシアに今の所旨味はありません。融和路線を打ち出した中でロシアと距離を置く事に不自然な点はなく、台湾離脱もその為の布石として許したと公にはすればいい。歴史なんてものは後から見たメモ紙で文書さえ残せばそれが真実になります。」


「分かりました、その話を伝えましょう。私としても国内含めて監視されるのは嫌だ。」



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「我が国で保有しろと?」


『ええ。先程旨味もその他も伝えました。では。』


 ホットラインは切られ電話口からはツーツーと電子音声が聞こえてくる。カードゲームは得意だった。ポーカーもブラックジャックもドゥラークも手堅く立ち回れば大負けはしない。しかし、仕組まれた様な勝負ならどうだろう?コアと言うものの価値は高い。他の国がどう評価したかは別として宇宙に目を向けるなら手元に置きたい。


 しかし、それの代償が国内監視及び警備体制の露呈となる。なら保管場所をゲート内としたらどうか?ダメだろう。ゲート外なら法律が通用し守る根拠も持ち出せるし、必要ならその為の法律を作る事も出来る。


 しかしゲート内となれば仮に泥棒が忍び込もうと、襲撃者が大量に押し寄せて奪取されようと罪には問えない。そして一度ゲート内で盗み出されれば人から人へ手渡され地球上もゲート内も駆けずり回って探さなければならない。その上で秘密裏に保有する事も出来ないだろう。


 どこで手に入れたと言う点は可能かもしれないが、何処にあるのかは明確にしておかなければ何度でも問い合わせが来る。それに解答出来なかった時が国としての弱さが露呈した時だ。つまり、他国に見られなが万全と呼べる警備体制を構築し、その警備方法を知らせる。


 はっきり言えば我が国の警備体制を丸裸にしろと言っている様なものだろう。そして、過去ならそれに対してNOと言えたが今回はNOとも言えない。中国の言う貸しの件もそうであるし、日本政府やファーストとの冷え込んだ仲を改善すると言う点でも引き受けるに値する。更に旨味を目指すなら・・・。


「警備確認の為に呼ぶ?杜撰ではない警備体制を作った上で攻略依頼を出せば或いは・・・。」


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まあぶっちゃけ保管だけならそこまで面倒に考えなくてもいい筈何だよな だってソーツ製の指輪に入れていれば他人からの直接干渉は獣人がスキャン出来る以外無理だし 洗脳等が怖いがそれ言い出せば超人社会で何も出…
ハズレを引いた、はずなんだけど自覚はないようだな やっぱり中国とはプロファイリングの歴史の差か
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