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街中ダンジョン  作者: フィノ


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681話 話し込む2人 挿絵あり

「鑑定拒否と言うか使おうとすれば終了とか終わりとかばっかりなんだよにゃあ・・・。」


「他の職を試すのはどうだ?例えば鍛冶師による改造で再起する様に仕向けるとか・・・、そもそも意思があるのかこれは?」


「う〜ん・・・、輸送機のコアは対話型自己完結AIっぽかったんだよね。それを意思があると表現するなら意思があるって事になるんだけど、それを認めると社会学や哲学による人間の定義的に言えば生物以外の項目が当てはっちゃうんだよにゃあ。」


「ん?神志那さんこのコアには社会性や文化的な側面があると?」


「あるよアミットさん。対話型である時点で相対する自己又は相手に対して意思表明したり出来るからね。自己保存もするしこちらの要求に対して拒否するなら、それは個としての意思があるとしてしまいたんじゃないかにゃぁ。」


「ならコレはコア人として妥協点を探れれば対話の糸口となる?しかし妥協点・・・、人が取引する上でなら権利や金銭、原始的な欲求に即したモノが候補として上がってくるが・・・。食事とするならエネルギー?」


「その前にそれをどうやって受け取って貰うのか?じゃないかなアル。クロエさんになにか手がかり・・・、は聞けないか。」


「ええ。コアを引き渡したらノータッチですよ。そもそも宇宙人否定派の私に教えを請いに来た時点で呼び込もうとしている疑惑が浮上するし、大丈夫以外の会話を見せる気もない。なら自分達で調べるしかないですが、今度は何処の誰が保有しているか明確なら下手に動けば国際会議の決定に叛いたとして追求される。」


「ならコレはどっかに飾る?盗まれたら事だけど研究させないと言うなら公開して衆目に晒しとくのがいいかな?でも、下手すると指輪向けて収納して逃げる輩が・・・。」


「それは獣人を雇えば済む話だろう?見に行くなら指輪の中は空。厳戒態勢で機械的人為的警備を行う。いや、個人と言う前提ではなく組織として考えれば機械的警備は厳しい?しかし、特定の個人が所有してしまえば拉致や裏での取引も・・・、管理者を明かさなければ今度はどこに行ったかが不明に・・・。」


「エマが躊躇した状態ですね。対スィーパーを前提とした警備はデバッグ作業に似ている。昔なら巨大な金庫に入れて溶接して開かない状態で事足りた。しかし今の世の中だとなにを持って不可能するのか?そこから考えなければならない。言い方は悪いですけどコレって大きな枷なんですよね。」


「うム・・・、だから彼の国に預けると言い出したのカ。」


「ええ、壮大な責任逃れですけどね。」


 盗まれたからと言って何が起こるわけでもないが、盗まれた時点で国としての面目は丸潰れである。なら盗まれない様にすればいいのだが、今度はスィーパーの可能性が想定を複雑にさせる。例えば奏江が盗みに入ると言うなら機械警備はザルだろうし、PCに巡回ルートやメンバーなんかの個人情報があればそこから見つかりにくく動くルートも割り出せる。


 サイラスならテレポート1発で忍び込んで抜け出せるだろうし、映像記録は即座に魔術を使えば顔の割り出しもしにくい。なら、発信機と言う手もあるが世界中を飛び回わられれば位置が分かっても捕まえるのは至難の業。大切なら箱に詰めて誰にも教えず、個人の胸の内に仕舞い込んでしまうのがいいのだろうがコアに付いてはそうもいかない。


 少なくとも俺が持ってる事で懸念が生まれるなら誰かに預けるしかないし、預けられた側はかなりの負荷だが警備的なイメージは養える。これから先を考えると警備的なイメージは色々と必要になってくるし、その点だけで言えば世界警備保障なんて言う名乗りも上げられそう。


「責任逃れも何も持ってたらダメな人が持ってる時点でダメなんですけどね。少なくとも講習会メンバーや政府関係者はクロエをいきなり疑ってかかったりはしませんけど、クロエの事を表面上しか知らない人は疑念が渦巻ますからね。」


「因みにコレの存在を知ってる人は?」


「ダウトですアミットさん。ここでコアを私が回収するから見せられるのであって、知っている人の名を明かせば常に監視下に置かれても文句は言えない。」


 少なくとも4カ国の首相は知っている。その後の警備をどうするかは俺も知らない。寧ろ知っていたらかなり不味い。多分たらい回しになりそうな予感はするが、1つの国に警備全てを任せる事はしないだろう。


「監視下に置かれてもいいから解析者として調べるか迷うなぁ・・・。でも、これ自体にやる気がないなら調べても何も判明しないと言う事もある。なんにせよ今回は有意義な会談だったよクロエさん。」


「それはこちらも一緒ですよ。祭壇の確保はまだですがインスピレーションを渡すと言う話は前提として除外してましたし。」


「除外?なんでまた。」


「人を凌ぐ技術力がある時点で人の行う事は全て実施してると思ってました。」


「あぁ。それはよくある間違いだね。どんなに優れていても環境や状況により剪定されたルートはある。それが何通り何万通りとあれば必ず見落としも生まれる。でも、あくまで可能性だから全て実行していてもおかしくはないんだけどね。彼等がどこでどうやって生まれどれ程の時を作る事に費やしてきたかはわからないし。」


「それでもですよ。いざ交渉の席に着いて報酬の中身を弄って欲しいと言う申し出に対して、拒否される事は絶対ではないですが少ないと思います。しかし、無手で交渉に臨むのもまた落ち着かないものでしょう?」


 最悪を想定するなら弄るから交渉権返還しろとか?流石にそれは許容出来ないので物別れに終わる可能性もある。まだ人類には交渉してもらう場が必要でゲートがある以上、後はよろしくさようならは許容出来ない。ただ最悪を想定しなくても人の在り方を知ったソーツがそれを元になにか作ってないとも限らないんだよなぁ・・・。


 と、言うか再交渉なしにゲートをまともに運用出来る他の星凄い。魔女達的にもスタンピードなんて殆ど起きないらしいし、闘争心で選ばれた俺達よりもよっぽど戦闘者に向いてるんじゃない?いや、まぁ、火薬作って先に花火を作るか銃を作るかの違いはあるんだろうけどさ・・・。


 そんなこんなで長かった会談は終わりアミットは帰ったが、アルと神志那がコアを眺めている。収納したら政府に引き渡すまで指輪から出す予定はないし、次にじっくりと見られる機会がいつになるかはわからない。見納めと言う訳では無いが、少人数で好きなだけ調べられる機会と言えばこれが最後かな?


 まぁ、アルはラボに在籍しているので日本政府が解析依頼なんて出してくれば見る機会もあるかもしれないが・・・、その際は一切手伝う気もないし場合によっては袂を分かつルートも出てくるのか。仮に他の宇宙人がメッセージ受け取って地球に来たら?実害がないなら呼んだ人に対処してもらおう。


 そんな事を思いつつ交代で昼食やら仕事をこなしているが2人の話は終わらない。未知との遭遇は2時間くらいの映画だぞ?出来ればそれで終わらせて欲しかったんだが・・・。


「神志那、例えばこれを人の心だとイメージして暴露させるのは?言うだろう?心が叫びたがってるんだと。」


「その叫びが閉店のお知らせだかんね?心理学的に考えると必要なのは休息だし私達はコアの思いを邪魔してるとも言える。それに伝わらない言語で語りかけても雑音扱いだろうし、クロにゃん風に声をだしてみたけど喉ガガガ・・・。」


「音階として表記してみるのはどうだろう?何オクターブや何MHzと言う話なら人でも理解出来る。いや、微弱な電気信号の方が分かりやすいか?心ではなく脳とするなら構築したイメージを電気信号として送れば・・・、電気信号ではダメか。どこをどう刺激すればいいかが分からない。」


「いや、アル!今の疲れたとか終わったってイメージをどう受信してるか分かれば4音は確定した言語として扱えるんじゃ!」


「いや、それは厳しい。人に分かりやすく変換されたイメージなら大元は別物だ。人側がそう受け取っているだけでコアからすれば鎮まれや静寂こそ美徳かもしれない。休むと言うイメージだけでも膨大で何をもって休んでいるのかさえ検討もつかない。それはS・Y・Sから送られたメッセージを受信した人間にも当てはまる。大丈夫、雑なら頭にこっち来んなとかだぞ?」


「う〜ん・・・。ヤバい初めてテストの答え見たいと思ったかも。共通イメージはあるけどその後の変化は個人差として変数にする。なら大丈夫を1とした時それな付随するXは人な数だけある。・・・、ダメか!その公式を作ろうとしても始まりの1がどうして1となるのかで解答が出ない。」


「2進数ならどうだろう?受信出来るを1として出来ないを0とする。共通する大丈夫の部分を1としてそれ以外を0・・・、違うな。それで表記しても通じないし対話表とは言えない。なら、言語野の電気信号を解析した方がマシだ。量子コンピューターとして考えたらどうだ?」


「量子通信の限界が光速を超えないから厳しいかな?でも人がビーム避けられるから限界突破は可能と言う見方もある。光の特性は直線で進む事だけど、仮に進む先にワームホールがあってそれを超えられるなら到達距離はあまり意味がない?そもそもソーツって実体がないみたいな話だし、自己観測をどこで行うかで存在位置が変わる?え?もしかして精神体の移動方法って目的地さえ知ってれば出来るテレポート方式?そうなると輸送機で外宇宙へ行った時の挙動って量子化されて空間を突っ切った?ヤベー、疑問が疑問を呼ぶぜ!」


  挿絵(By みてみん)


「そう言えばメッセージを受信出来た人や獣人の脳波も集めたと聞くがそのデータは持ってないのか?」


「流石に私の所には回ってきてない。脳科学者やらは見せてもらってると思うけどギルド鑑定師じゃ畑違いだしにゃぁ。クロにゃんデータ持ってたりしない?」


「持ってないですし時間切れです。」


 コアを眺めながら2人であーだこーだ話しているがまだ話が終わる気配がない。しかし、流石に17時も回ったので業務終了のお知らせである。宇宙行ったり種子島で足止め食らったりと家族成分が足りないので残業はなしだし、その為に会談後から業務をこなして終わらせてんだよ。


 松田とスケジュール調整したけどコアの受け渡しで取りに来るか持って行くかで揉めたな・・・。松田としては安全面を考慮して俺に持参してもらいそこまま保管庫(仮)に入れてもらおうと考えていたらしいが、コチラとしてはその保管庫も含めて所在を知らない方がいいと解答した。


 なら誰が受け取りに来るかで増田と名が上がるのだが、ゲート内であった成りすましを考えると多少安全性にかけると言われた。寧ろそうなると適任誰よ?卓やら雄二に統合基地で受け渡すと言う案も出たのだが、今度はロシアか中国が盗まないかといい出すしまう。


 いやね、確かに両国のラブコールは今凄い。宇宙での救出劇からそこそこ日数も経っているのだが、言論統制と言うかプロパガンダと言うか日本を悪く言う様な記事は消されているし、両国間であった事件の記事なんかも消されている。見解の別れた冷凍餃子事件も消されてウィキペディアも修正された様だ。


 今の所まだ日本政府はツンツンしているが世代が変わればデレるのかな?まぁ、政治は政治家に任せるのでコチラに飛び火しなければどうでもいい。


「あぁ!コアが・・・、消えた・・・。」


「消えたんじゃなくて指輪に収納したんです。あるとずっと話し込むでしょう?業務終了でマスタールームは施錠しますし、コアの貸し出しも受け付けません。さぁ、帰った帰った。」

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これがスイーパー化で更に向上された上位の頭脳達の現物まで時間があった後での議論? 知能指数が違うと会話が噛み合わないのがコレなのか まるで急にコアの議題が出てきて何でもいいから答えようとする学生達のよ…
コアへの報酬ならボディしかないだろ 満足いくものを払えるまで1000年以上かかるだろうけど
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