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街中ダンジョン  作者: フィノ


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680話 交渉材料2nd?

「コレを使いメッセージを送信したとして到達速度は?光の速度で送ったとしても何光年も先にいるなら相手が受信しない可能性もある。また、訂正文を送るにしても間に合わないとも考えられる。」


「それ以前の問題もあるよアミット。仮にコレを言語として受け止めたとして、我々には銀河を超える光を生み出せない。クロエから発せられた音もオペラの発声の様であって音階なんかも出鱈目と感じる。まぁ、その出鱈目の音も嫌に心地良いが。」


「もっちーさっきの音出せる?歌人的には音は武器だと思うけど。」


「う〜ん・・・、まるっとコピーする事を考えてもかなり厳しいですよ神志那さん。喋るモンスターの声と同じでイメージは理解出来ても何故そうなるのか?の部分がまるっと不明ですね。」


「カオリでも無理なのカ?出来ると言われたら今度は防人もヤバい人種認定となるからよかったとも言えるガ。」


「エマ、それはナチュラルに私がヤバい人であると言っています。今更感はありますが、少なくとも私は宇宙人反対派なのでこれを使ってのどうこうする気もなければ、知らない人に断りもなくブッチホンみたいにランダムメッセージ送ったりしませんよ。」


 昔首相が著名人に電話かけて話を聞くと言う試みと言うか、電話会談と言うかがあった。ただ唐突かつフランクだったので受けた相手が困惑したとか。確かにいきなり総理から『最近どう?なんか困ってない?』と電話で聞かれたら困惑するし小心者なら今度一票入れます!なんて言うガチヤバ発言もしそう。


「ブッチホンとはなんダ?」


「昔首相から掛かってくるかもと期待した電話です。それはさておき声で呼び来てるのはあくまで波長を探る為なので、音として話そうとするとまた苦労する。そもそもそのコアはオウム返ししかしない物で長文になればなるほど精度は落ちる。」


「精度が落ちる?」


「ええ。コレの大元はガーディアンで戦闘しか知らない者です。大丈夫と言うメッセージさえオウム返しさせるのに苦労した。ついでに言うならモンスターが発する声も内容的には殺すやらバラすですね。その辺りは情報集まってます?」


「中位の証言としてなら。ただ殺意のみ感じる人もいるので内容が正確かまでは・・・、宇宙言語としては曖昧でも構わない?確か昨晩アルとテレパシー実験の話をしていた時も対話表が欲しいけどかなり難しいと話していたし・・・。」


「それはラボで出た見解だなアミット。初めに言葉があった、ならその言葉とはなんだ?アダムとイブは何を最初に話した?答えは互いにイチジクの葉を持ち『コレはイチジクの葉』だろう。それがどんな音で表されたのはかは分からない。だが現物がある以上互いのイメージは定着して共通認識も生まれる。それを全くの他者が伝えようとするなら似たものを提示するしかない。だからこそ色や図形と言ったモノは伝わりやすいが、感情と言うモノは不定形で伝わりにくい。」


「言語と言うよりは哲学における認識論だね。知識の本質や起源に根拠なんかを哲学的に探求すと言う話になるけど、確かに地球に住んでない他の生命体からすれば僕達が何をしてるかなんて全くわからないし、その中で対話しようとするなら言語よりもイメージ共有の方が遥かに理解しやすい。でも、ソーツって日本語話してたよね?もしかしてそれも何かに抵触する?」


 アミットがそう言って辺りを見回すが、抵触するしないはどうなのだろう?各国に交渉時の話は書面にして配ったが内容的にスキャンダラスと言うか、アイディンティティの問題で要約すると金やるから掃除しろとなる。当然男だったとかは伏せているのだが、言語が日本語は俺発信ではなくソーツ発信なんだよなぁ・・・。


 まぁ、入った後の時間を考えると最初の1人が入った地域の言語を勝手に学習したとも取れる。だからこそ最初のスタンピードで秋葉原と気付くまでに時間もかかったし、カネとキンの違いもよく分かってなかった様に思う。まぁ、求められてるのは闘争心だしな・・・。


 人の積み上げて来た歴史なんてものは鼻からかん興味がなくて何を渡しどうすれば取引できるのか?その点さえ理解出来ればよかったんだろう。そうすると人の在り方を渡したのはミスか?姿やら声を妻にしたのは心遣いっぽいし・・・。


「抵触するかは分かりませんが、私が話しかけられた時は既に日本語でした。まぁ、技術力の差をやらを考えると日本語なんてものは児戯程度なんでしょう。現にスィーパー式勉強法とかの成果は目覚ましいですし。」


「確かに凄いナ。私も記憶力が良くなっタ。」


「その割にエマやんの米国弁はそんままだけどね。てか、アミットさんコア貸して!」


「待て神志那!私も調べる。」


「はいはいどうぞ。でも、コレで懸念事項のいくつかは崩れたかな?」


「幾つかと言いますと?」


「洗脳ないし思考誘導。これはまだ懸念としてある。しかし、それを地球規模でやるとするなら下準備も必要だし、何より難しい事をさせようとすれば共通認識の探り合いになる。単純な指示ならまだしも文章の改ざんなんて本人がいいと思った文章が正解で、どこが悪いか分からないと改ざんのしょうもない。それに、僕達は言語が話せて対話出来ると言う部分を重く受け止めていた。」


「それは・・・、独り占めを懸念して?」


「それもあるけど、それの全く逆も想定された。人はゲートに入って職を得た。それが事前準備で次の段階は人の意識の中に入り込み、最後は地球を乗っ取る。クロエさんはそれを行う為の使者であり人類をさっさとゲートに入れて仕事を終わらせたい。そんな想定だよ。まぁ、一貫して宇宙人否定派でソーツに暴言はいたりしてるから確率は低かったけど、対話方法を見せたりそれの翻訳機的なコアを政府に渡すと言ったりとで使者説は消えたかな?」


「暗号文的な取り交わしの懸念ですか・・・。」


「そう。日本人が大勢いる中で僕と誰かがヒンドゥー語で話せばそれは密談だ。それをそのままソーツとクロエさんが行えば地球を売り渡したと言われても弁解は難しい。言語と言う物は何万もの人を助ける事も出来るけど、逆に何万人もの人を殺す事も出来る。そして言語が死ねば存在は消える。」


 アミットが手を組みながら話すが日本でも8言語が消滅危機言語と言われているな。有名な所で言えばアイヌ語とかだろうか?既に若い世代への継承は難しく話せる人も少ない。更に言えば文字も持たないので話せる人がいなくなれば緩やかに存在は消えていき死んでしまう。


「流石に地球を売り渡す度胸はないですね。と、言葉で言っても信用がないなら行動で示し、それで足りないなら交渉で示す。まぁ、その交渉の糸口も何も掴めないのが現状ですが・・・。」


「うん。その交渉とやらだけど1つだけ提示出来る可能性があるモノはあると思う。」


「!?なんですかそれ!」


「過去の配信で彼等は作る事に拘っていた。なら想像力、或いはインスピレーションならどうだろう?」


「物品等ではないものを渡すと?」


「姿形がないなら残るのは意思や思念だからね。ヒンドゥー教的には現世ではダルマ、アルタ、カーマを求め、最終的には輪廻から解脱することを目指すけど、相手が既に解脱済みなら何も求めるものはない。それでも創造神の様に作る事にの拘るのなら、作るだけのきっかけや想像力は欲しがるものに該当するんじゃないかな?」


「なるほど・・・。なるほ・・・、その想像力やらインスピレーションってどうやって確保するつもりなんですかねぇ?アミットさん。交渉材料として提示するならするだけのモノ、或いは人が必要ですよ?先に言いますが交渉なんて言うチンケなものの為に誰かの脳みそやらを売り渡すのはナンセンスです。」


 脳の約6割は脂肪だが捧げた脂肪よりも低い。まぁ、捧げた先は魔女達だと思うのでソーツの査定がどうなるかは分からないが、回復薬作れるなら脂肪なんていらんだろう?


「それこそ魔法でイメージを固めて渡してみては?幸いな事にクロエさんには国からも海外からもバックアップは付く。寧ろ交渉するからと協力を呼びかければ人は集まる。その中で使えそうなインスピレーションをピックアップしてコアの様にイメージ送信装置として渡してみて反応を伺うのも間違いではないでしょう?」


「う〜ん・・・、考えるだけ考えてみます。」

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― 新着の感想 ―
800話おめでとう、東京戦からもうちょと続くんじゃが大長編ですな 学者さんの想定がソーツを低く見すぎてないか? クロエ使途に取っ掛かりするまでもなく全人類奴隷化やろうと思えばすぐに出来るでしょうし …
人類側でソーツに対する期待が急騰してるな 現実知ったら壊れるんじゃなかろうか
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