653話 突入 挿絵あり
固定された宇宙ステーションは巨大なさながら十字架の様に見える。そして気密性MAXなので浸水している様にも見えないが、裏を返せば侵入すればそのまま吸い込まれてしまう?
「斎藤さんあれに入って大丈夫ですか?こう・・・、500m近く垂直落下とか水に引き込まれて中ではしばし身体打つとか。」
「その点は大丈夫でしょう。出す前に確認を取りましたが外部との通用口には内部に繋がる前にシャッターがあって第1段階としてその部分を水没させた後に水を指輪に収納して先へ進みます。その後の第2段階で燃料区画に進み燃料を指輪に収納し引火や爆発を防ぎます。問題と言えば上下左右に前後と道は少ないですけど上下するならタラップとかがないので毎回作りながら進む事くらいですよ。内部の広さとしてもパワードスーツ着てすれ違えるくらいはあるので、そこまで問題はないと思います。橘さん、鑑定した感じ燃料部分はどこにあります?」
「1番下です。フライボードとか飛行ユニットが有れば楽に移動は出来そうですよ。ただ、ステーション全体に燃料パイプで燃料が巡ってるので思ったよりも回収時間はかかるかもしれません。」
仕方ないとは言え燃料タンクは1番下か。まぁ、上層部にタンクが来なくて良かったと思おう。パージ出来れば大部分は無力化出来るのだろうが、配管内に燃料が残っていても面倒だしねぇ。魔術師:水が多数来ているから配管内水没も手なのだろうが、下手に配線やら基盤がショートしないとも限らない。
「では、先発して行ってきます。不測の事態が発生した場合は扉を作って脱出するのでそれまではモニタリングお願いしますね。NASA側の方は燃料回収後に外観調査を開始して下さい。」
話た斎藤に飛ばして欲しいと言われたので指定の高さまで浮かせれ水球に入れる。橘とエマはこの場に残ると言うので俺はどうしようかと思ったが、フェリエットが飯食ってる所で現地モニタリングしているそうなのでそちらに向かうが、増田も黒岩に呼ばれてリュウ達の監視+周囲の警戒要員として残る様だ。
ステーションの予備電源は生きているのか斎藤が扉を操作すると開き中に水が入る。身体は逃がして開けたので吸い込まれないが多少身体は煽られている。まぁ、無事侵入を果たし扉が閉まるのを確認してフェリエットの所へ。
「いっぱい食ってるか?」
「ご馳走は蜜の味だなぁ〜。」
「最近は多く食べる女性が人気な様ですよ?」
「おろ、松田さんも来てたんですか。」
「政府としても確認しないわけには行きませんからね。貴女も食べるし美人な獣人も漏れなく食べる。それが笑顔で美味しそうに食べるなら魅力的でしょう?」
「まぁ、そうなんですけど昔読んだ女性同士の牽制の話で素直に喜べない所もありますね・・・。」
「女性同士の牽制の話?」
「ええ。細身な女性が私大食いなのと言って食べていると、他の女性から凄く食べるからトイレ長いんだねと・・・。」
まぁ、昔は食べたら出るのが当然だったので健康的なのだが、女性としてはそこには触れて欲しくない。しかし、それをあえて言うと言う事は牽制か嫌がらせだろう。本当に食が細いとか拒食症なら羨ましいと言う感情もあるかもしれないが、それをわざわざ言わなくてもね・・・。
「男性には分からない女性の世界の話ですね。そう言うクロエさんは?」
「知らないんですか?美少女はトイレいかないんですよ?ゲート出現以後1度も行ってませんね、化粧もしないので。それより斎藤さんからの映像は?」
「こちらの簡易モニタリング施設で監視してますよ。音声も届くので気になる事があれば指示も出せますね。何かあります?」
「う〜ん・・・、気になると言えばステーションの目ですかね?作りとしては多分簡単な物ですけどそこから外宇宙へメッセージは送られた。そして、相手から返されたメッセージデータもそこにある。アレ以外で気になるものとすればソレですね。データの取り扱いってどうなってます?」
「廃棄です。」
「・・・、よく了承しましたね。いや、国内に保存したから・・・、ソレはないか。」
「読み解いた貴女が言うならそうなんでしょうね。私は読み取れない側の人間なのでそうとしか言えませんよ。まぁ、そのせいでクロエさんからのメッセージが受信出来たら優秀なんて話もありますけどね。実際宇宙人はなんと?」
「ここで話はなしてオフレコを保証出来ますか?」
「防音とかします?」
「そんな事をするくらいならこう言いますよ。クロエ=ファーストは嘘つきだとクロエ=ファーストは言った。そして私は一部からペテン師と呼ばれている。だから私を信じす過ぎると迷うと私は話す。さて、それを踏まえて話しましょうか。宇宙人は大層お怒りでしたよ、何者かを示せと言うほどにね。」
「それを仲裁出来るなら政治方面にも来ませんか?」
「ソレ来るなって言う話でしょう?民主主義の崩壊の引き金を引き、独裁政の象徴にするにしてもその前段階で発言権を持たせるにしても永遠を生きる私は何れ政治に絡めば独裁者になるしかない。寧ろ、それ以外の選択肢がない。だからこそ、最初から建前が作れる様に私は政治に口を出さないとしてるんすよ。だって、個人で話して承諾しても国として不可を出すなら私は国に従う。逆に国に対して文句は言っても仕事ならこなすし無理なら無理と言う。」
簡単に言うなら学級会を開いたとして委員長を総理とするなら先生は外国で俺は多数の中の1でしかない。まぁ、発言権が強いのは分かる。しかし、クラスで決まったなら従うし、改善点があるなら発言する。だが、その改善点も個人の視点でしかなく多数の視点で揉めば更に良くなるかもしれない。だから俺の発言は極力控える。まぁ、場外乱闘は仕方ないだろう?
物事に対する情報量は発言の裏付けになるし、発言するならデータやら証拠は出す。魔女や賢者は証拠として出しづらい職だとしても話して証拠が出せるなら出す。なにせ暴露してしまったのだ、個人として嫌う時間は終わりである。
「やはり出る気はないと?」
「それで総理にでもされたら面倒です。政治は民意で選ばれる。そして私はその民意を操れるかもしれない。そんな不届き者は政治家ではなく新興宗教の教祖でしかない。そもそも私の目標は家族が無事である事ですよ?言い方は悪いですが知らない人にまで優しくする義理も時間もない。」




