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街中ダンジョン  作者: フィノ


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637話 星見酒 挿絵あり

 準備を整え俺のバイクとパワードスーツのエマと橘、そして藤の嫁達で試験機を見ながら宇宙を進む。地味な実験として視覚共有したままトレース中に指輪に収納したら中も見えるのでは?と言う話からやってみたがダメだった。指輪の中を見たい問題は昔からあってビデオカメラを回したまま収納してみるとか、連続撮影しているカメラを収納するとか、星の軌跡を撮影する様な方法で試してみたがすべて駄目で、有線ビデオカメラを収納するなんて言う荒業でもカメラは収納されてケーブルは残るなんて事もあった。


 まぁ、対象物に指輪向けてイメージしながら収納したり取り出したりしているので、カメラと思い浮かべればケーブルは別物だし、ケーブル込みでカメラと言われても今度はどこかでケーブルがぶった切れるらしい。まぁ、今時バッテリー無いとか記録媒体入れてないカメラなんて珍しいもんな。


『トレースシステムってどこまで細かく出来てるんですか佐沼さん』


『指と首は入念に足は後回しですね。地球でこれを使う機会もそこまで多くないですから。ただ、スポーツ分野では早めの開発と言う声もあります。』


『今更スポーツ分野?R・U・Rでいいのではないカ?同時接続で野球も出来ると聞いたガ。』


『確かに野球もバレーも可能ですが、それはスィーパーとしての超次元的なスポーツでクラシックスタイルを模索する人もいます。トレースシステムの場合いくら職で能力が向上していても再現するのはこの機械のボディなので、過去から今に至るまでの人の限界で勝負が出来る。』


『なんだか凄いのに地味なイメージですね。あくまで技術面を競うと言うのなら自力が必要なんでしょうが・・・。』


『割と面白いものですよ?例えばガンナー、彼等は百発百中でワンホールショットが出来る。しかし、トレースシステムを使うとそうも行かない。確かに的は見えて必中のイメージはあると言いますが、放たれた弾は職が適用されないので一定確率で外れます。』


『何かしらで対面作業が必要な時はいいですね。私とか対面で話すのも嫌がられる時もありますし。』


 何気に内閣総理大臣は俺に会おうとはしない。チラリと顔を合わせたり握手したりはするが、話す内容は世間話で重要な話は増田やら松田を使って持ってくる。前に宇宙人による乗っ取りやら精神操作なんて話を有識者がしたと増田が言っていたが、合わないのはそれはそれで正解なのかもな。


『良くも悪くもクロエさんは人を惹きつける。今回のメッセージの件も初期案から何十歩も先に行ってしまった。ラボのアルヴィーなんて次に見つけたら逃さないと息巻いていましたよ。』


『ゔっ・・・、ゲート使って統合基地に行った時も騒いでたしなぁ・・・。』


 言語学者からすれば俺は紐解く鍵と言うよりは紐解いた後の理解者である。話せる読み取れるなら表にして使える様にする。それは間違った考えではないのだが、どの文字に表しても日本語で書いても意味はないんだよな・・・。少しの違いで全く別物になるし、モンスターの言語が理解出来てもなんとなくそう言っていると思うで終わるのと一緒。


 そもそも宇宙人に文字が必要なのか?言語が必要なのか?そこが始まりで地球にも文字を持たない民族はいるし、宇宙と言う場所を考えると音声は使えない。そうなってくるとこうしたイメージのやり取りとなるし、似たイメージがあれば勝手に受け取ってもらえるので概ね一緒になる。


 大雑把と言えばそれまでなのだろうが、嫌なら離れると賢者が言うくらいだし反りの合わない奴とずっと一緒にいる必要もないか。実際、大嫌いな奴と話続けても疲れるだけで話さなくていいならさっさと離れたいし。但しモンスター、てめぇは駄目だ。話さない代わりに拳で語って叩き潰す。


『しかシ、全員と言うか全機同じ能力で技術を競うと言うのもスポーツマンシップとしてはいいのだろうナ。ドーピングや審判の不正もなく危険行為もなくせるのだろウ?』


『その辺りはまだ研究中ですよエマさん。形状を見た海洋学者の方が先に使わせて欲しいと打診したと言う話もありましたした。魔術師:水がいれば大抵の事は任せられるのでしょうけど、海底探索となるとそこまでのイメージを持つ人は少ない。』


『クロエは何か海底探索出来そうなイメージって持ってます?』


『私ですか?猫型ロボットの大長編アニメとかならそれに該当するものがありますね。そうでなければ加圧スーツ着て散歩する程度のイメージですよ。橘さんは?』


『私なら深海2000を改造してもらうか、既存の潜水艇を使いこなすかですね。』


『加圧スーツのイメージで海底に耐えられると言うイメージが凄いナ。』


『この身体は巻き戻る。なら、水圧が掛かりっぱなしでもそこに適応してしまう。前にとある魔術師と話したけど海底行くよりコンクリ詰めの方が嫌だねぇ。段ボールに入れられるくらいならいいけど。』


  挿絵(By みてみん)


 仮の話をするならそれが1番嫌。息はしなくてもいいし、魔法を使えば出られるのだろうが、上下が分からないと言う事は仮に出られてもどちらに進んでいいかも分からないし、間違った方向に進めば何時まで経っても出られない。流石に地球の反対から出ました!なんて言うギャグは駄目だろうが出来そうなのがなんとも。


 そんな無駄話をしつつ3機をリリース。ずっと手を振っているがそう言う信号ではダメであくまで人が操作していると言うのを確認しないといけないので割と疲れるだろうな。


 当初の予定として50km。流石に10kmで電波途絶はないとして15km地点から開始したが各チェックをしながらなので見守るにしても割と時間はかかる。特にデブリの飛来もないしやる事と言えばバイクの操作練習と魔法のイメージ練習くらいか。


 地球降下実験のイメージとしてはゆっくりと降下すればいいらしい。それだけならいいのだが、ご多分に漏れず人口衛星やらが周回している領域があるのでそこだけ一気に降りる。流石に衛星をズラすと日常生活やらに支障をきたすし、下手にデブリを吹き飛ばしても他の衛星にぶち当たる可能性もある。


 なので出来る限り何にも触れず駆け足で通り過ぎるのが正解となる。と、言っても何かしらのバリア膜的な物は必要でそのイメージとして考えるのが飛行ユニットである。要は地球の重力に対して反発力しながらゆっくり降りているのだから、それを平面でイメージして飛来物を地球に叩き落とす様にイメージすれば勝手に燃え尽きる。


 当然魔法は何もなくても使えるし視界を変えればそこだけ空白地帯を作る事も出来るが、今回の実験としては出来る限り飛行ユニットのみの使用をして欲しいと言われてるんだよな・・・。仮に直滑降で大気圏突入したとしてマッハなら耐えられるが・・・。宇宙からマッハで降りてきてどの地点で減速しよう?飛行機のルートやらは全て分かるので飛行機に当たる事はない。まぁ、取り敢えず小型デブリ対策用の魔法から試すとしよう。


『橘さん手伝ってもらえます?』


『いいですけど何するんです?試験機の方は嫁達が撮影したりしているから暇と言えば暇ですけど。』


『地球降下実験用に作った魔法を試したいと。私の方に飛んで来るか何かを投げてくれればそれでいいですよ。』


『そしたらどうなるんです?』


『イメージとしては下に・・・、バイクの下方にカクンと逸れる感じですね。宇宙的なイメージと言うのも難しいので試しておきたいんですよ。一応、緊急用として使わない方向ではあるんですが・・・。やっぱり危ないので何かを投げて試してからにしましょう。』


『それくらいなら大丈夫でしょう。落ちると言っても何かにぶつかるわけでもないですし。』


『私も何か手伝おうカ?』


『エマも手伝ってくれるなら橘さんを見失わない様にしてもらえるかな?流石に無限に落ちる事はないと思うけど一応ね。』


 そうして始めた実験だが、宇宙の無重力スゲーと言った所だな。ある程度の早さが欲しいと言ったので人が走る程度の・・・、時速で言えば60km/hくらいで飛んできたのだが、バイク手前より下方に逸れて行き真下に来た瞬間にハエが叩き落とされる様にスコンと落ちて行った。


 いや、まぁ。ハエを叩き潰すって1/100秒って速さで回避行動を開始する奴を捉えて叩き落とすのだから相応な速度になる。橘としても予想外の速度で落下したのでドップラー効果を残しつつ消えて行ったが、魔法の効果は下に落とすだけなので適当な所で止まり帰って来た。


『ク〜ロ〜エ〜・・・、なにがカクンと落ちるですか!カクンどころかガクンと落ちて宇宙の藻屑になるところでしたよ!』


『凄い速さだったナ。追えない事はないガ、宇宙で迷子は御免被りたイ。流石にネットを出しても橘の方が危なかっただろウ。』


『地球ならそこまで凶悪なものでもないとイメージを甘くしてました。後で何かしらの謝罪をしますから許して下さい。と、言うかなにか投げて試してからって言ったじゃないですか!』


 そんな話をしながら実験はつつがなく終了。最終的には55kmが限界地点で手も振らなくなり回収し、S・Y・S帰投実験についてはやはり斥力バリア発生中はどの位置からも入れなかった。やはり、監督を用意してから指輪取り出しが出入りとしては楽だろう。ただ、侵入許可信号式なら出来るかもと言う話もある。その辺りはどうするかだな。


 ちなみにクレードル帰投は無重力区画なら十分に出来るが、そこまでして楽をするのかと言う問題もあるらしく悩みどころだとか。まぁ、人と同程度の大きさだしそこまで面倒かと言われるとねぇ。


「さて、何をしてもらいましょうかね?と言っても私も甘かったので展望室で一杯お酌して下さい。」


  挿絵(By みてみん)


 帰投して歩いていると橘がそんな声を上げた。まぁ、宇宙にいるのも残り少ないだろうし星見酒には丁度いいだろう。

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― 新着の感想 ―
空気が薄いせいで音がほぼしない大気圏上層でドップラーというと光の波長になっちゃうような まあクロエは耳が良いということであるいは橘が爆音立ててはたき落とされたか
ああ、トレースシステムの機体で外に出るんじゃなくて sys外からどの程度の距離までなら動かせるかの実験だったのか 地上でも55キロなら長距離通勤以外は現場作業やゲート外のクリーンルームでの作業が出来そ…
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