614話 大暴露大会 挿絵あり
「穴・・・、そもそも到達時間の問題は大丈夫なんですか?コチラからイメージを送信したとして、受け取り手への到達時間を算出しても何億光年と言われたら・・・。」
「コチラに来る様に動いているならバッティングするのではないでござるか?S・Y・Sは全周囲で光らせるのでござるし。」
「でも魔法やゲートの事を考えるとワープや別次元にいるなんて事もあり得るんじゃないカ?クロエ達が外宇宙に行った時は時空間航行とでも言えばいい様な移動方式だったゾ?正確な位置情報は解明されていないガ、少なくとも天の川銀河を出たかもと言われていル。何億光年もの距離を数分で移動する様な物を作る存在が今更まごつくとも思えないガ・・・。」
「エマさん作ったのはソーツで今回受信したのは多分それ以外ですよ。仮にソーツが受信したなら来ないでしょうし、クロエの話からすれば反応もないと私は思いますよ?これが重大なエラーならその限りではないですが。どうなんです?クロエ。」
「ゲート関連ではないのでソーツは関係ありませんね。」
ソーツは関係ないが身内は関わっている。もっと言うなら俺ではなく魔女のだが・・・。流石にこの場でこれ以上隠すのは限界があるか?今時点で魔女と賢者の事を知っているのは望田に増田くらいで、後の人達は暗示でそうなっていると思っている。まぁ、暗示でそう演じる時もあるので間違ってはいないのだが、更に秘密を暴露してもタイミング的に大丈夫か?
でも、青山に何かを吹き込んだ奴を野放しにしたままなのもまずい。どこで何を言われたか知らないし、どんな地雷を踏んで奉公する者が魔女にキレられると分かっていても動こうとしたのかも分からない。今回のS・Y・Sにはゲートを搭載しているので、今から青山をゲート内で話す事も出来ると思うがそれは後回しだし、何よりまだゲートが正常に使えるかも試していない。
そもそもの話をするなら今回ゲートをS・Y・Sに搭載したのは、地球との往来が可能かを確認すると言う表向きの目標と裏の目標として地球からゲートを持ち出してもソーツから警告が来ないのか?と言う部分がある。
仮に地球内でゲートが津波やら地割れやら等で回収不能な状態になったとしても、所在地は地球内である。しかし、宇宙にだして何らかの事故により別銀河へすっ飛んでいったら?指輪の様に帰ってくるならいいが、ソーツからは帰ってくるとは聞いていないし探してこいと言われても今の人類にはかなり難しい。
推測としては地球に帰ってくるとは思うよ?掃除任せたのにゴミ箱への入口がなくなったら掃除は出来なくなるから。でも、ゲートの総数を考えると1個や2個なら放置の可能性もあるし、何よりまずいのは他の星で溢れてモンスター惑星になったりゲートがぶっ壊れる事。
ブラックホールに飲まれたならまだ・・・、大丈夫ではないか・・・。巨大ブラックホール化しそうだし。でも、そのブラックホールを燃料にする様な奴等なら結局エネルギー回収出来るから問題ないとか?何にせよ今の人類の限界を簡単に超えてくる・・・。
「それはいいとして、なにかまた隠し事してません?警官としての直感がそう言ってくるんですけど。フェムもそう思うだろ?」
「暴く暴かないは別として、橘が危ないなら話しなさい。穴と言うならこの方法を提示して、それの根拠と成功率を出さない方が問題よ。」
橘とフェムが俺を見てくるがさて、どれを話そうか?優先して話すなら魔女の事か。この方法を提示したのが俺なら、それで大丈夫と言っているのも俺である。つまり、実行するに当たっての根拠と言うものを示さないと不安なまま事を進める事になるだろうし、あまり広めたくないと言う我儘で終わらせていい話ではない。
前に巫女とか言われたがそれも受け入れるしかないだろうし、囁かれているグラマスの件も見方を変えれば1番情報が集まりやすい。クソ、師となる者か。賢者にはそれがある。では師とはなにか?それが上手いから師なのか?強いから師なのか?やり続けて長いから師なのか?多分全て違う。師とは最初の1人だ。
物事に置いて最初の1人が行動を起こさない限り後続は・・・、弟子は産まれない。その最初の1人が投げ出そうとも起こった事実を知っていれば弟子は考える。前に賢者に適性のある者は誰かと聞いたら知り合いなら高槻と返された。確かに、高槻と回答するだろうさ。動き回り出来る事を探し回復薬と言う形を作り、それに満足せずにさらなる高みを目指して先頭を走っている。
「橘さんには後でお願い事があるとして、フェムの言う成功率・・・、100%と断言しましょう。それの根拠として・・・、魔女。私が話すの?」
「!?暗示・・・、ではないでござるよな?ガラリと雰囲気が・・・。」
「ええ、違うわよ偶像師。ここでは付喪だったかしら?僕にも話せと?面倒と言うかあまり興味のない話なんだけどね?」
「誰・・・、と言う形容詞でいいんでしょうか?」
「誰・・・、私はEXTRA魔女。さぁ!私が出たのだから崇めなさい?こうして誰かに認識されて話しているのだから・・・、はいはい、僕はEXTRA賢者。君達風に言うなら職・・・、力を貸している者かな?傍観者で観測者だから君達の好きにするといい。」
「賢者に魔女・・・、クロエは!クロエはちゃんと存在しているのカ!わけのわからない宇宙人に寄生されて操られているのではないカ!」
「叫ばなくていいよエマ、私はここにいる。情報開示とするなら私の職には先程の様に人格があり、ゲートや今回の宇宙人の件に関してもそこから情報を持ってきています。そして、今回の方法は人が出来る方法を前提として成功させられるもの。だから成功率は100%で失敗すればゼロ。更に言うなら中露宇宙ステーションから出された信号をキャッチしたのは魔女の知り合いです。」
「これは・・・、地上にも聞かれていますが?」
「いいですよ・・・、粋も甘いも知って大人となる。大人となって子を育てて親となる。この情報を開示したからにはもうイヤイヤ期は卒業です。全権を持って無理に事を運ぶ気はサラサラないですが、仕事を待ってくるなら全力でこなしましょう。」
交渉権は手放さなかった。それは俺の我儘かもしれないし、後の損失を考えても亡くしていい権利だと思わなかったから。弟子と言うか指導は講習会くらいしかしなかった。他の国の事は分からないし、何より多様性が失われれば偏ったものの見方だけが増えて職を使おうにも似たりよったりの事しか出来なくなるから。
身体の秘密は出来れば妻と高槻だけが知る事としたかった。誰かに頼れなくなると同時に誰もが頼って、1人でゲートを進み続けるしかない可能性があったから。いや、それは詭弁で人としてありたかったからか。
両の手を大きく広げる。その広さには限りがあり限界があり隙間があり、遠い近いや零れ落ちるしがみつけるなんて事もある。でも、誰かがするであろう仕事の誰かとは、自分で有っても問題ない。
「それは・・・、魔女殿が諌めてくれればよいのではないか?」
「もう諌めた。もう来ない。だから安心して寝てていい。今の私の言葉で安心出来ますか?因みにその知り合いとやらは星とか壊しまわってたらしいですけど。」
「知って滅びを待つ事と知らずに滅びに直面する事。でも滅びはもう来ない。けど、行動を起こしていないのに勝手に遠ざかったから安心してと言われても安心出来ないと言う事ですか?」
「そうです山口さん。走る車を見て交通事故を思い浮かべるのは車が突っ込んで来た時だけ。そして、事故られた人が事実を知るのはもっと後。私達がこれからやるのは事故られる前の段階でここを走るなと言う様な事です。だから、やりたい実験全部していいですよ。」
『地球・・・、JAXAからだが今ファースト氏が話している事は全て事実なのか?』
だんまりだったスピーカーから声が聞こえてくるが、地球の状況は分からない。日米中露が秘密裏に緊急会議しているらしいが、威嚇して来た相手のスケールのせいで口を開いたかな?何事もなければ知らないまま心の平穏があったかもしれないが、色々と腹を決めたからじゃんじゃん話そう。
「事実です。それの証明を求められても何も出来ません。仮に言うなら先程の魔女と賢者が証明としか言えませんが、それを信じますか?」
『それは・・・。』
「はっきりと言うなら今回の件は私としても寝耳に水です。誰がどう言う経緯で魔女の知り合いに何を吹き込んだかも知りません。本来なら魔女と賢者を個として表舞台に出す気はなかった。でも、出したからには情報に対して耐えてもらいますよ?」
『まだ情報があると?』
「ありますよ。そもそも私を宇宙に出した事、それでソーツが来る可能性はゼロです。誰も信じないし来るかもしれないと言うから来ましたが、はっきり言うなら魔女と賢者の事をソーツは快く思っていない。何故ならば・・・、剥奪した者だからです。」
『剥奪?それは・・・、ファースト氏の改造の様な?』
「ええ、大国が集まって雁首揃えて聞いているんです。私が交渉時に捧げ物をしろと言われた話は共有されていますね?当然書面でも送りましたし、ゲートの真実と共に各国に渡した。その捧げ物をした対象が魔女や賢者、つまりは職である宇宙人です。これはソーツとは別の存在で職を通して私達の心のゆらぎを観測している。」
「なるほど、至のは魔女さん?達が大きな揺らぎを観測したときに起こる現象・・・。」
「そうですよ橘さん。ただ、魔女達としては賢者が言う様に観測者であり傍観者なのでもっと見たいと思わせる事も必要ですけどね。獣人がいい例で彼等を観測したいと思った者は多分少なかった。だから妖怪しかでていない。えっ?違う?癒やしが欲しかった?」
「癒やしでござるか?確かに猫や犬には癒やされるでござるが・・・。」
「賢者として口を借りて話すと、怠けたい同族もいるって事だね。モンスターは壊すけどそればかりだと観測する方も疲れるし、クロエのタバコみたいなものだよ。だから比重がある。白の中で急に現れて同等の知性持てる異種族とか割と好きな奴は好きだよ。」
アクション映画見過ぎたからヒューマンドラマ見たい的な?前は1人しかいなかった的な事を聞いた気もするが、賢者がそう言うならそうなのか?少なくとも今まで事実しか言っていないし・・・。なんだろう、賢者の言葉を聞くとバイトが間違って個体成長薬を飲ませたと言うよりは、賢者がそう仕向けたとも取れる様な・・・。
『獣人はいいとして、つまり職はソーツよりも上であると?』
「認識としては間違ってはないでしょう。ただ・・・。職としてある私達が話すのは稀ね。それはEXTRAであっても例外ではない。だって指示に従うお人形なんて不要よねぇ。肉体を捨てたり離れたりしているのに、今更コントロールして動かしても面白くない。好きに動きなさい?これは死なないから見るしか無いけど他は滅びたなら別を見るだけよ。」




