609話 お引き取り願いたい 挿絵あり
多少グロいです
リュウが爆弾発言をしてきたわけだがそれってマジ?騙りならガチで付き合い方を考えるから付き合いたくないにシフトチェンジするわけだが、この場でわざわざ人を怒らせる様な事を言うかね?前置きとして『仮に』とある分本人達もよく分かっていないのか?
ラボではアル達が宇宙言語を解明するとして研究しているわけだが、こいつらのなにをキャッチしたのだろう?ハートフルコンタクトをキャッチしてバカげた取り引きしようとしてないよな?いや、その前に俺の場合魔女達の言語と言うか光の波長とイメージの送受信、後はコードくらいしか知らない。
つまり、魔女達に関係のない宇宙人からのリクエストとかオーダーを貰って俺の所に持ってこられても困る。そもそも宇宙って広いし肉体の有り無しもあるし、なによりゲートのセクター数を考えると膨大な人種?宇宙種?がいてもおかしくないわけで・・・。
面倒なら離れると言う選択肢はないわけではない。相手がどれくらいの速度かは知らないが、来るまでにS・Y・Sを量産して逃げる準備をした後に対話をすれば、最悪被害なしで終わることも出来るし観光とか言うなら穏便に済ませる事も出来る。リアルMIBに憧れない訳では無いが宇宙人がいる事を人類が知っている関係上、今更隠しても時すでに遅しだよなぁ・・・。
『・・・、コンタクトの方法は?』
『最初はコチラへの問いかけ・・・、だったと思います。発信元は不明ですが冥王星より更に外から何者か、と。クルー全員に白紙に何かを書けと言う様なイメージが届きました。』
『それは・・・、書いたんですか?』
『無記名は無理でした。中位がいれば或いはと言う話ですが、残念な事にこのステーションにはいません。それと時を同じくして宇宙ステーション運用プログラムの不調から破損が発生。データとしてはその他にも収集出来たと思おますが、内容は分かりません。数名程そのデータを検証しようとして・・・。』
『先程の負傷者となったと?』
『気持ち悪いんだよ。なんと言うかそのデータと言うか波長と言うか・・・、大丈夫な奴はなんともないと言うか少し気分が悪い程度だが、ダメな奴は吐き気やら目眩やらで酸欠の様な症状になる。』
データ見るだけでそれってなんぞ?あからさまに敵対心バリバリの様な・・・。闘争心と言うか地球をいきなり離れろと言われても『はい、そうですか』とは言えない。寧ろ、今なら・・・、今までも戦う前から戦いを放棄するなんて言う選択肢は人にはない。そもそも生まれからしてスタートは数億のサバイバルレースで1位以外全員死亡のデス・レースやって、こうして誰かと話すまでに成長してるんだし・・・。
『それはもう・・・、仮の話ではないですよね?なんで今さらそんな話をするんですか!』
『我々として・・・。いや、地球人として危機回避は必要だと判断された。ストレートに真実を話せば無用な混乱が起る。それこそ、貴女が始めて配信を行った時の様に。我々が嫌われているのは知っている。ゲートでの事やソフィアと呼ばれる少女についても我々は理解している。しかし、それでも話さなければならない状況だと判断した。』
『ロシアとしては何もなかった、全ては何も起きなかった。そう結論をだしてファーストには今後ビジネス以外では接触しないし、その接触も日本政府を通じてしか行わないと確約する。』
『その発言、全てカメラに収められNASAとJAXAに中継されていますが・・・。それと、ソフィアと言う私の娘です。』
『失礼した。中継は構わない。既に両国として話はついている。』
なんと言うか背中が寒い。ここまでしおらしくされると逆に疑いたくなる。しかし、先ずはそのデータと言うか波長を確認しない事には始まらない。しっかし、見て気分の悪くなるデータを見ても大丈夫かね?魔女達のおかげと言うか精神を鍛えられているので簡単には吐かないとは思うが・・・。
『とりあえず見てみましょう。コントロールルームでいいんですか?』
『こっちだ、案内しよう。』
リュウとキリロフが先な進みそれについて行く。無重力で進むので疲れはないがやはり広いな。適当な壁や床に手や足を添えてその反動で進むがS・Y・Sに戻ったら感覚の違いで転びそうだ。連れてこられたのはステーションの端。厳重にロックされているが、閉じ込めて地球に落とすとかないよな?まぁ、それをする意味もないが。
『このステーションは外宇宙観測用に様々な望遠鏡が搭載されている。全天X線監視装置やカロリメータ型宇宙電子望遠鏡CALETなどがな。ここはそのシステムの中枢部であり、ステーションの目と口と言っていい。本来なら両国の間を飛んでたんだがな・・・。軌道が変わって落ちれば両国に被害もでる。』
『口?宇宙言語が理解出来て話せる人がいると?』
いたら俺はいらない子になる訳で、それはそれで望ましい。ここに軟禁されるルートも出てくるが、それはもう何がしたいのか分からなくなってくる。外宇宙放出とかされるのだろうか?されたらバイクで帰って来るけどさ。
『違うよファーストさん。シャコの目なんかも研究した望遠鏡やセンサーもあるけど、口と言うのは外宇宙に向かって光る玉の配信の映像をループして流してるからだ。』
配信の光る玉って輸送機の奴だよな?修理してとか助けてとか言ってた。確かに救難信号として相手が理解してくれれば、コチラにやってくる理由は救助だ。なにをどう助けるのかは別としてわざわざ介錯しに来るほど暇ではないと思いたい。しかし『助けて』のお返しが体調不良ってなんぞ?
『もう映像は止めてますよね?受信した物を見てみましょう。』
『分かった、我々も気分が悪くなるが立ち会おう。』
キリロフがコンソールを操作して眼の前のモニターに映像が映し出される。目と言うだけあって火星方面を見ている様な映像が映し出されるが、今の所何も感じない。時折星は瞬いているが、それが何かのイメージを伝えているかと言うと違うし・・・。
「何人か言え!土地は消さないが中国とかロシアとか言うなら壊す!!!!!誰が助けるか馬鹿者!!!!!白の中は流石に手を出さないが外なら別だ別。端末とは言えあの御方に不快な思いをさせる前に消す!!!!!あっ、違うなら優しくしてやるぞ?何か言え・・・。」
(・・・、ヘイ!魔女に賢者!コレってアレだろ!?)
(・・・、アレね。)
(ブフッ!アレだね。)
おいおいおいおいぃーー!!!なんで奉公する者がブチ切れメッセージ投げつけてきてんだよ!お前魔女の本体LOVEで地球とか興味ないだろう!!!てか、なんでロシアと中国襲う気マンマンなんだよ!青山を通して情勢やらは知っているだろうが、アイツの前で中露邪魔とか言った覚えはないぞ!?てか壊すってなんだよ壊すって!
えっ!気分悪い人って壊れかけてるの?何?どこが?脳とかヤバい?治せるのかそれ?チラリと2人を見ると咳をしたりえづいている。リュウ達が言っていた初っ端の白紙に署名って人種書けとか言う話だよな?それで名前ではなく人種書いた人が気分悪くなったとか?
『リュウさんにキリロフさん。なんと送り返しました?』
『地球人のリュウ。』
『人間のキリロフ。その映像を見ているとやはり気分が悪い。こう・・・、ミスすれば死ぬかの様な・・・。』
『他の人・・・、重篤な方にもなんと返したかは聞いていますね?』
『ほぼ全員地球人の何々と返答したらしいぞ?配信でも地球人の斎藤と挨拶していたからそれに習った。一部は人種を出した後に訂正した様だが・・・。』
『医務室の方は要経過観察です・・・。』
『内容はなんと?』
さてなんと言おう・・・。お前等宇宙来たら壊すって言ってます。流石にどストレート過ぎるし納得もしないだろう。と、言うかこれはガチに魔女案件だろ?流石に青山には文句言えるが奉公する者とか多分初対面もいいところだぞ?
(多分、奉公する者が怒る様な事を吹き込んだ人がいるわね・・・。)
(怒る様な事を吹き込む?なんだよそれ、そんな話は聞いてないぞ?)
(言うわけないじゃない・・・。自身の怒りを私や貴女に報告してどうするの?自分が不快だから他人に不快な話をしても、された者も不快になる。そして・・・。)
(主を不快にさせるのは奉公する者としては許せないよね?思うに地球にいたら手は出さないけど、そこから出れば奉公する者的には何してもいいと考えてるね。まぁ、僕としてもその考えは賛成だけど。)
(そこ賛成なのかよ・・・。)
(当然じゃない。虫籠の中の蝶は愛でるかもしれないけど、外を羽ばたくなら羽をもがれても文句は言えないわ。まぁ、流石にこれは・・・、面白くないわねぇ。)
壮絶な笑みを魔女がその顔に称えているが、その視界に入るのが怖い・・・。俺に向けられているわけではない笑みだが、それはどこまでも不吉さを醸し出し精神モニターに映し出される映像も何かを失敗した像や不快な文字れるが浮かぶ。
(飲まれないでよ?君が飲まれるとここが不快になる。)
(ここが不快に?)
(ほら、あそことか。)
賢者が指差す先には・・・、1枚の食パン?いや、モゾモゾと動く表面には無数のウジが湧き折り重なる様に蠢き、弾き出されたウジは黒い床にパラパラと落ちたかと思えば共食いをする。そして、ウジが湧いているのは・・・、口だ。顔もなく床から生え縁取りされたかの様な唇の中にそれが這いずり回り・・・、パチリと目が合った。
目、目、目・・・。白い死肉色をしたウジの背からギョロリとコチラを向いた・・・。足から背、背から顔、そして頭の先まで這いずり回られ噛み付かれ、鼻からは苦く酸っぱい胃液の様な粘液が滴る・・・。
(アレは床だ、君じゃない。単純に君が不快だと思う物の現れだ。魔女も怒ってるのは分かったから抑えて。文句があるならさっさと本体を通して文句を言う。)




