607話 とりあえずデリバリー 挿絵あり
『分かった、カートリッジは頼む。機器トラブルは聞いていると思うがプログラムと強度不足だ。各セクターの接続部品がイカれて無理に引っ張れば接続部が分離する可能性がある。プログラムの方はバランス制御方面でデブリの衝突で貫通こそしなかったものの元の軌道に戻せない。』
「了解しましたが我々としても今後があるので、先ずは修理から検討したい。酸素供給装置装置にプログラム、最後に強度不足と酸素欠患者だけでトラブルはいいですね?そちらにいるスィーパーの職はなんですか?」
『鍛冶師はいる。残りの目星い職は魔術師:雷くらいで後は槍師や剣士なんかがメインだ。カートリッジは最もだが患者は早急に診察したい。パワードスーツが脱げなくて直接診察は出来ていない。』
職としては足りなくない。しかし、壊れるから引っ張るなはブッシュして来るな。流石に牽引と言うか飛行ユニット取り付けで運ばれる事を嫌った?既存の宇宙ステーションなので真正面から見れば十字架の様に見えるが、前後にもセクターが飛び出す構造なので・・・、寧ろ何でそんな折れそうな構造にしたよ?中央が共用スペース兼両国の密談場所だとしてもそこから単純に延長すればいいと言う物でもないだろう?
小型化すればいいと言うものでもないが、大型化すればそれだけ衛星軌道上ならリスクもある。いや、ハリボテだからこそ大型化して無理な増築をしたのか。
「酸素残量は?コチラには全員に行き届く分のカートリッジ残量がある。先に話しますがこの会話はNASAとJAXAにも記録として残る。」
『当然だ。我々は不祥事を起こしたがそれを隠ぺいする気はない。この宇宙ステーションが落下すれば地表への被害は計りしれず、最終手段は指輪に収納したからの全員で地球ダイブだ。』
キリロフが苦い顔で話すがそのシナリオは最初からifシナリオだろ?衆目がある、現状は発信している、そして助かる手立てがそこにある。なら、何1つ怖がる事なく真摯に異常事態と話せば自ずと救いの手は差し伸べられる。差し伸べなければ俺達が何故助けないと文句言われるし、そのifシナリオを引き起こせば法的にもまずい。
宇宙開発って宇宙条約なんかで宇宙飛行士が事故や緊急着陸の際にすべての可能な援助を受けられると定められてるんだよね・・・。そして、その法の下に彼等は宇宙飛行士として事故に合い援助を求めている。
「分かりました、鍛冶師の方は酸素供給装置を修理可能ですよね?必要な物を連絡して下さい。その間に私が先行してカートリッジを・・・。」
「私も同行しましょう。プログラムなら覚えがあります。」
「なラ、私はステーションの制御方面で助けよウ。山口、付属ユニットは使えるナ?」
「大丈夫ですよ!マニピュレーターやウインチもあるから補強や補修作業も大丈夫です。また、ユニットには酸素精製装置や医療品や器具も付けてありますから、多少の怪我は大丈夫です。もう少し時間があれば全想定コンプリートしたマスターユニットが!」
「戻ったでござるが山口女史落ち着くでござるよ。拙者は嫁達と俯瞰映像撮影係を務めよう。流石に間近では角度等が分からぬでござろう?と、言うか修理したら元の軌道に戻れるのでござるか?」
「その辺りはデータ貰わないと私としても改造しようがない。まぁ、アチラには魔術師:雷がいるし・・・、そのイメージあるよね?」
「あるよねと聞かれても拙者からはなんとも。拙者と奏江殿は違う、故に拙者は感情は分かってもプログラムとしてのコンピューターを弄るのはそこまで得意ではないでござるしS・Y・Sの電子制御部分も基本はプログラムで、拙者はフィギュアのペーパー掛けの様にエラーを潰すのが主でござるよ。」
『ま、待って欲しい。我々は救援要請をだしている。先に患者と隊長1名だけでもそちらに移せないか?』
「言語問題ならお気になさらず!私は賢者ですよ?中国語もロシア語も・・・、おおよそな言語は理解出来ます。まぁ、その言語で職を使うのは遅くなるので使いませんが。」
流石に通信速度は多少遅い気もするが自分アンテナは健在でネットのには繋がれるし、賢者がガチで暇潰しに言語マスターしてしまった。翻訳アプリ風な喋り方からネイティブまでとりあえずいける・・・、かも。何にせよリスポンスはそこまで速くない。なにせ聞いた言葉を翻訳しないといけないからね。
『いいじゃないかリュウ。カートリッジはくる、修理はして貰える。そして何より我々は全員無事でS・Y・Sへ避難する。流石に壊れそうな宇宙ステーションを修理したからと言って、すぐにそこに乗り込めとは言わないだろうし、宇宙ステーションを収納してしまえば我々が乗るものはない。』
『それもそうか。崩壊の危険のある宇宙ステーションをこのまま残すわけにもいかず、最悪廃棄の方向で両国間では話が進んでいる。』
「廃棄は決定する方向であると?」
『我々にはまだ連絡は来ていない。』
鬱陶しい!鬱陶しいがこれで中露の宇宙への足がかりを多少遅らせられると考えるなら安いのか?まぁ、宇宙ステーションは安くないし流石に今年中にS・Y・S出来ましたとは言わないだろうし、次の不祥事には流石に厳しい目が向けられる。まぁ、先ずはカートリッジからか。流石に自国基準で国際規格には
合わないとは言わないだろう。
「了解しました・・・、カートリッジは送るとして一旦話をまとめます。」
回線を閉じたがさてどうするかな?修理しても乗る気がない。乗って中で勝手に壊しても俺達のせいにされる可能性がある。1番楽なのは丸っと回収して地球で不備の証明をする事だが鍛冶師と魔術師連れてきてるし、伏せてるが鑑定師もいるだろう。
「とりあえずデリバリーします?」
「それをしない方が問題が出るナ・・・。面倒な奴等ダ!」
「デリバリーには私が行きましょう。その間に隊長として話をまとめておいてください。」
特に批判は出ずに橘達は早急に話をまとめに入り、俺はヘルメットを被り宇宙服へ。パット見ドレスだがこれでも宇宙服!船外活動のデータもいるし本当かどうかは分からないが酸素欠乏症患者も気になる。




