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街中ダンジョン  作者: フィノ


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閑話 118 無知な者は地雷原でタップダンスを踊る 挿絵あり

「こうして来て頂いたのは他でもありません。リー・フェイシャンとテイ・ユウファン。この2名について話を聞かせていただきたい。」


「いいですけど、それがクロエさんのためになりますか?俺はあんまり頭はよくないですけど、こう言う事態になるまで貴方達は気づかなかった。」


「それは貴方もでしょう青山さん。」


 目の前の青年青山 空。過去を調べても特筆すべき点はなく、学校も普通の公立高校を卒業し、卒業後はホストとして夜の世界へ。顔立ちは精悍でありながら可愛らしさも備え、一言で言うならアイドルの様に女性受けする。


  挿絵(By みてみん)


 その為大分でNo.1ホストクラブの売上トップとしての連続記録も持つが女性関係でのトラブルの話はなく、あくまで店のキャストとして働いていた。また、本人がナルシストだった為、釣り合う人としか付き合う気がないとも豪語していた。


 ゲート出現後はスィーパーとなり蒼天として活動していたが選出戦付近で離脱。その後もメンバーとは交流があり、大分に戻ると補助者としてギルドに貢献しつつクロエと共にギルドで活動する。対外的な評価は高く一般的なギルドボード依頼や地元警察からの捜査協力依頼も引き受ける等素行に問題はない。


 書類で見る限りは問題のない方なのでしょうが、その中身は一般人とはズレた感性で動いてますね。本人は否定するかもしれませんが、一つの目的に対して他を捨て必要な行動を取りギリギリまで相手に伝えない。言動や態度に差異がある。職がある関係上、該当するかは不明ですが普通の人より物事に鋭い。まぁ、コレはクロエに対する部分が最大値なのでしょうか・・・。


「仕方ないでしょう?人の外見だけでそれを見抜くなんて。ただ、小さな体型の変化とかはありましたよ?ギルドの海水浴で何時もより胸が大きかったりとか。」


「女子高生の水着姿を舐め回す様に見ていたと?」


「女子高生に興味ありませんし、そんな犯罪行為スレスレの事はしません。あくまで一般的に目に入る範囲での発言です。クロエさんも言っているでしょう?犯罪行為は許さないって。俺は犯罪行為はしませんし、それに該当する行為を見逃す気もありません。まぁ、それの必要性は考慮しますけど。それで、こうして俺を呼んだのは何でですか?クロエさんにも関わると言うしクロエさんからも行って来いと言われて来ましたけど。」


 若干の不機嫌さは多分クロエの近くにいられないからでしょう。彼の全ての方向性はクロエに向かい、その向けられているクロエは嫌がりつつも青山を容認する。奉公する者、クロエは大会の最後で青山をそう呼んだ。多分職絡みでEXTRAではないにしても何かしらの干渉か奇妙な繋がりでもあるのでしょう。


 職と言うのは奇妙でありクロエのEXTRAと言う職にはガイド機能の様な人格があり、青山の職と言うよりは青山と言う存在が選ばれて何らかの機能が備わっている可能性もある。それが奉公する者と言う隷属?する様な方向を示すものだと考えていますが・・・。


「要件と言うのは我々と手を組まないか?と言う話です。当然青山さんの専属先はクロエとなりますが、その専属する中で得た情報を我々にも流していただきたい。」


「それは・・・。極大解釈すればクロエさんのためにはなりそうですけど、それと同時に俺の仕事を変に奪い取る事になりませんか?競う訳ではないですけど、先に貴方がたが褒められたら正直悔しい。スパイの件は法律でも裁けなくて報告するにも、息子さん達と仲良くなった後でタイミングがあそこしか無かった。」


「あくまで手柄は青山さんに貰って頂いてけっこうです。我々としてもクロエは守ると言うかサポートする対象であり、その中でまだ他国に口外していない中位と手を組めるのは有益だと考えています。それにクロエのご子息、那由多君の友人の工藤 結城にも目をかけておられましたよね?」


 クロエの古くからの知り合い工藤 結城。重要度で言えば佐伯 千尋よりも下で一般人よりは上と言う立ち位置の人物。ただ彼もまた何かあればクロエが黙っていないでしょう。コチラとしてはどこか我々の息のかかった会社か学校にでも就職ないし進学していただければと思っていましたが、何の因果か専属スィーパーの道を選んだ。


 話しによればクロエはその人物とスパイが共に行動する事を容認した様な動きもあれば、家に出入りする事も許している。このスパイ達についてはクロエが引き取ると言うので、我々としては流された情報を操作するに留まりますが・・・。ありがたいと言えばありがたい。このスパイから上がる情報を精査すれば他のスパイ達の現状も知る事が出来る。


 流石に国内のスパイを相当数潰したとしても、それを全て排除する事は望ましくなく誤情報を流すパイプとして、監視ししながら泳がせている者もある。今回のスパイは察知出来なかったにしても、他の泳がせているスパイを勝手に潰されても困りますが、クロエに関係のある情報はそこまで多くなく、調べているのは技術に関するものが主でしょうか?


 それに中位のスパイと言うのは、これから起こり得る情報戦を想定する上でいいテストケースとなる。完全擬態による別人へのなりすまし。下手をすれば夏目本部長の様な精度で擬態し政治家に化ける事も想定するとすれば、それへの対策も必要となってくる。


 クロエからの報告後松田さんと話し合い秘密裏に各政治家の指輪に本人のDNAを付着させた物と、符合料理と言う物を入れる様に指示が出ました。誰にどの料理を持たせたかが問題ではなく、その料理の味が問題であると言うなりすまし対策ですが、これなら多分獣人スィーパーへの牽制ともなるでしょう。


 なにせ獣人スィーパーは指輪の中身は見れても、その料理の味は知る事が出来ないのですからね。前にエマ大佐が米国ゲートよりラボに来た際もそれを符合として使用したと言うので、実用性も証明されたと取れる。幸いと言うかガーディアン事件で政治家は全てスィーパーとなっていたのはありがたい。


 これでスィーパーでない政治家が多数いた場合は辞職か、補助者をつけてゲートへ行かせる段取りを付けなければならなかった。私もカモフラージュとして派遣会社の経理から代表となってギルドの支援者として働いていますが、その場合高確率で私の所に話が来るでしょう。


「まぁ、あのスパイは更にカモフラージュして工藤君の方から入り込むつもりみたいでしたけど、彼もまたクロエさんが大切にする人物。優先度は下ですが見過ごす訳にもいかない。」


「我々としてもそれは理解しています。そして青山さん1人では圧倒的に手が足りない。今回の手を組む内容としては青山さんの通常の行動・・・、例えばクロエの周りで怪しい行動を取る者を発見した場合、優先して警察側に報告していただき我々が捜査して青山さんにも情報共有する。当然青山さんが独自に調査していただいても構いません。そして、我々からも青山さんに怪しい人物や行動を取る国の情報を流し調査していただく。」


「海外に目を向けろと言う話ですか?嫌ですよ。俺はクロエさんから離れたくない。」


「でもその海外でクロエに害ある行動を取る報告を受けたら青山さんはどうします?例えば奥方を合法非合法問わず拉致する方法を模索したり、その人質を盾に完全に無理やり協力や服従を・・・。」


「あるなら今から提案者共々ブチ殺しに行きます。むしろその情報をください。あるなら吐け。・・・、この星が消えようとも吾は何とも思わぬが、あの御方はそれを望んではおらん。よいか原生生物、今あの御方は楽しんでおられる。それを阻害するなら吾が潰しに来る。なに、いくつか陸を消せばよいだろう。原生生物のいざこざに吾は干渉する気はないが、あの御方の楽しみを奪うなら別だ。確実に絶対に壊す。服従させる?身の程を弁えよ。」


 これは・・・、呼び起こしてはいけない者を呼び起こした?背筋が凍る。壊すと言う言葉に何をと言う疑問符は浮かばない。ただ粛々と崩壊する。恐怖もなく言葉もなく雑作もなく壊される・・・。何かが壊されるイメージが言葉に乗り頭に入り込んでくる?


「過去には吾を恐怖?敬う?そんなモノを集めて糧ともした。しかし、そんなモノは必要ない。不要なら壊す。不快ならなくす。いや、先回りしてなくせばよいか。この国以外不要である。ゲートも運べるなら勝手に回収して・・・、いや。米国と英国は残そう。不要だがクロエの仲のいい者がある。」


「ま、まっていただきたい!」


「なんだ?今不要なものを消す予定で事を進める所だが?」


「それはソーツもクロエも望まない事でしょう?人を殺すのは法にも触れる!」


「法に触れる・・・、なら陸を消そう。勝手に死ぬ分にはよい。」


「まだその動きはない!そしてクロエがOKするわけない!むしろ激怒する!」


「勘違いするな原生生物。吾はあの御方に奉公する者、故にクロエが残り周りが残ればよい。そして、残ったモノで楽しむならそれでいい。お前もクロエが親しくしているから手を出していないが、そうでないなら既に壊している。」


 これは・・・、青山ではない。人ではない。クロエの様に職にある人格?制御されていない?危険過ぎる人格ではないのか?それに本当に壊す用意がある?マズイ!これはいくらなんでもマズイ!青山をこの場で私が倒す?中位に至った青山を?駄目だ、最初に話た青山ならまだどうにか・・・。何か言葉は?あの御方とは?いや、そこから分析して話を・・・、狩人として地雷はどこにあった?


「服従なく自由にする為の協力関係です!人として事をなせば褒めてもらえる機会も増えるでしょう!敵対者をなくすのは確かに必要ですが、それを貴方・・・、奉公する者?が成しては楽しみが減るのでは?」


「楽しみ・・・、ちっ。この白はまだ誰も席を立っておらぬ。やり過ぎれば吾もあの御方からお叱りを受けるか・・・。協力関係は分かったので協力しましょう!これで俺もクロエさんに褒めてもらえる機会が増える!まずは何をします?スパイはクロエさんが預かったので・・・、相手の国に乗り込んでバカを暗殺しましょうか?大丈夫です!悪い企みをした人間が体調不良で死亡したとでもすれば問題ありません!」


「い、いえ。まだ関係が始まったばかりなのでそこまでは。青山さんはクロエの周りの事をお願いします。本日の話しはこれだけです。」


「そうなんですか?では帰ります。」


 一気に空気が軽くなった?青山は席を立ち扉に向かい私は全身から噴き出す汗と・・・、鼻と目から伝う生温かな感覚を不快に感じて手の甲で拭えばそこには血が・・・。これは?攻撃された感覚はなく、ただ話しただけで何かのダメージを受けた?


「あぁ、増田さん忘れてました。」


 そう言って振り返る青山。先ほどの様な恐怖感はなくとも正体が全く掴めず、なにが起爆剤になるか分からない危険人物。協力関係は認められましたが、これを運用するならクロエ経由でないと何があるか・・・。しかし、何1つ情報を渡さないわけにも行かず、ならその運用方法を先ほどからの会話で導き出すしか・・・。


「・・・、なんでしょう?」


「連絡先教えてもらえませんか?協力関係と言うなら連絡先を知っておくのは必要ですからね。」


「ええ。・・・、教えますが基本的にクロエ近辺でなにかする時は伊月刑事と共に行ってください。こちらからの連絡は基本的に彼経由で行います。彼もまた、クロエと近い人物です。」

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奉公する者が法をよく知らないのは 青山もよく知らないのか、そこまで共有してないのか まあ区別が上位存在にしては最低限はついてるが台湾さんまだ判定外か この地雷原もクロエが先に情報共有してないのが悪い…
生贄差し出した~!? 伊月さんかわいそう
人間の範疇の外にいる奉公する者と交渉できるんだからネゴシエーターとしてとびきり優秀だな、増田は 初期からクロエと関わってきただけのことはある
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