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街中ダンジョン  作者: フィノ


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閑話 114 ビギナー@5

「さて、僕達には時間がない。その理由が分かる人挙手!」


「挙手も何も新学期って言うタイムリミットが迫ってるからだろ?」


「流石に新学期にいないとアイツ死んだ?ってなりますよね。」


「うむ、流石に全員で新学期は迎えたいものだ。しかし、速度アップなんて出来るものなのか?」


 俺達は13階層と14階層を慎重に進み15階層に辿り着いた。16階層のセーフスペース行きは最初から余裕があればと言う話しだったから今回は無理だな。千尋1人なら走るのが一番早い。加奈子も走る方が早い。俺は結城よりも早いけどそれでも2人よりは遅く、結城は魔術抜きなら一番遅い。


 流石にここまで来て市販の車やバイクを使おうとは思わないな。行く前にキャンピングカーやレンタカーはやめとけって言われたけど、確かに休憩拠点としては良いのかもしれない。でも、それを守りきる事を考えながら休むよりも自分達で安全策を考えた方が休みやすいし、顔の見えない誰かが施した刻印を信用するよりもまだ、自分の力を突破された方が諦めもつく。


 だけど現実問題として多少の余裕はあるにしても時間は差し迫り、移動速度アップは課題として上がってきた。結城の流砂式移動は速い半面直線的で小回りも利きづらい。


「その為に僕と那由多は頑張った!具体的に言うと装甲車っぽいものを作って持ってきた。」


「素材と言うか準備期間は長かったからな。外側は中でも作れるし、フレーム部分はかなり念入りに作っだぞ。そのフレームな作成で外殻をまとわせる。ここの土がケイ素だからカラスっぽくなるけどな。そして、これも使えば・・・。」


「それってもしかして司さんの?」


「そう!周囲を見ながら進むけどモンスター引き寄せそうだし装飾師いないから刻印も出来ないからね。こうしておけばビームも防いでくれる。まぁ、穴空いたらそこから漏れるんだけどね。」


「どこか世紀末風な外観はなんだ?」


「確かにトゲトゲとか付いてるけど意味はあるんだわ。このまま走ってモンスターを轢いても鋭角な前面で跳ね飛ばせるし、そのトゲは結城が操作して引っかかっても投げ飛ばせる。まぁ、モンスターの触手みたいなもんだ。後は、簡易的な銃座っぽい物も作った。色々ギルドで扱わせてもらったしな。黒棒もセットしてるから撃てるぞ。」


「えっと、粉砕とかされません?」


「絶対ないとは言わないけど改造も精錬もしてカチカチにしてあるから簡単には壊れないし、鍛冶課で色々と貰ってきた物も混ぜてある。強度だけなら戦車くらいはあるぞ?師匠にも太鼓判押されたし。」


「と、言うわけで行こうか。」


 全員で乗り込み流砂に乗り進み出す。前には結城と加奈子で俺と千尋が背中合わせで左右を見回す。先手は取られたくないけど不用意に撃てばモンスターが集まりだす。流砂走行は静かな半面小回りは効かずカーブするにも大回りだが、渓谷を降りるのにも全く問題ない。


 結城とコレを作る時に土中潜航は無理なのかと聞いたことがあったな。結果として結城的には無理らしい。器用な人と言うか閉塞された暗がりを鼻歌交じりで歩き回れる人とかはその限りではないし、目隠し水泳なんかでイメージを膨らませた人は出来るらしいが、結城としてはどうも虫を思い浮かべてしまって相性が悪いとか。


 鍛冶場で色々な人の話を聞けば自ずと見えてくるのが共通イメージと非共通イメージかな?例えば千尋の殴ると他の人の殴るはモンスターを直接殴るなら一緒だと思っていい。でも、ベテランの人なんかは同じ殴るにしても色々と考えている。例えば相手を何かに見立てたり、自らの拳を何かに見立てたりとか。


「そっちはどうだ?」


「俺の方は何もいないと思う。千尋の方は?」


「私の方もいない。こうも静かだと不気味だな、捕食し合えば強力なモンスターが産まれるのだろ?」


 走り出して数時間。加奈子が時々指示を出して結城が流砂を操る。ゲートの中は広大で確実にそちらに退出ゲートがあるかなんて分からない。だからみんな空を飛んだりドローンを買って飛び回らせたり職を頼りに方向を定める。


 鍛冶課に来た人や望田さんも言ってたな。運が悪いと半日以上走り回ってゲートを探す事が結構あると。それは真実で俺達も運が悪かったのかかなり走り回ったし、モンスターともでくわした。まだ切り札は切られていない。ビーム無効はあと一つで杖とか言う物は残ってる。その代わり回復薬は残り少なくなったな。


 無駄遣いはしてないけど負傷は多い。加奈子と結城はそこまでだけど俺と千尋は接近戦がメインだからどうしても背中を預け合ってモンスターと戦う事も多かった。


「そういう話だよ。クリスタルを取り込んで進化してどんどんモンスターは強くなる。そして、なんでかその強いモンスターは勝手に下を目指していくらしいよ。」


「そのせいで下の方では待ち伏せが多いらしいですね。死因としてはそれの対処失敗が多いらしいですし、そこで焦りがあると立て直しも厳しくなるらしいですね。」


「海外ではbe coolも合言葉らしいな。冷静でなければ生き残れないと海外では盛んに使われてると聞いた。実際私達も変に慌てたりしていたら危ない場面も多かったな。飄々とした結城には意外と助けられたし。」


「冷静でいられる様に色々と勉強したし、魔術師の人とかにもゲートの歩き方を聞くと同時にどうやって冷静さを保つかも聞いたよ。皆にも話しただろ?声を上げてもいい、危険を知らせてもいい。その代わりその結果は受け止めるって。」


 結果か。確かに1人で来たならここは多分開放的で恐ろしい場所だな。背負う責任は自分の命で支払って誰も助けてくれない代わりにどんどん新しい事が出来る。それは俺も理解した。鍛冶師のタフネスなら他の仲間よりも起きていられるしある物を使って生きのこる事を考えると、どんなに下策だろう試してみたくなる。


 その反面誰も助けてくれないならミス1つで死んでしまう。逆にチームで来ているならフォローしてくれる。でも、近しい人が危険なら咄嗟に身体は動くし心配もする。俺が撃ち抜かれて回復薬した後も千尋はよく傷の心配をしてくれた。でも、それが逆の立場でも心配はする。その分どうしても他の人が気になって若干動きが悪くなる。


 父さんはどんな旅をしていたのだろう?帰ってからも仕事の話は家ではしない。聞けばスィーパーとしての心得とかゲートの歩き方は教えてくれるけど、本人が何を見て何を感じているのかは語らない。まぁ・・・、それだけ言えない事も多いんだろう。


「!、結城君速度上げて!」


「何か来るのか!俺には見えない!千尋は!」


「こっちも・・・、上か!」


「荒くなるよ!どっちに行く!?」


「速度上げて直進!それでギリギリ(・・・・)逃げ切れます!」


 遅くない速度で走っていた車体が更に風景を置き去りに速度を上げる。改造で屋根を削り上を見ると何かそこそこ大きな物が・・・、モンスターが高速で降ってきている!?


「千尋!銃は外せる上に!」


「分かってる!」


 2人で上空に向かい銃を撃つけど全くダメージを与えてる気もしなければ速度を落とす様子もない!どうする?加奈子の言葉を信じるならギリギリ逃げ切れると言う話だけど、それは着弾の衝撃からなのか?


「加奈子!このままで大丈夫!?」


「・・・、無理。完全に捕捉されました。現時点では退路と言うかモンスターは逃がす気がないみたいです。」


「千尋、射撃やめ!屋根を作る!」


 逃がす気がない・・・。確かに高速で降って来ていたモンスターはその軌道を変えてこの車体を狙ったかの様に無数のビームを放って来た。それを屋根を作り続けながら凌ぐ。車体に回していた煙を屋根と前面に集めて更に屋根を作りながら耐える。


「倒すしかないって事でOK?」


「どんなに考えても無理です。今の移動速度よりも速くて飛行も自在、色々と退路をシュミレーションしましたけど全部潰されました。だから・・・、撃ち落として倒すしかありません。」


「アレを?かなり高速で飛んでるけど・・・、那由多どれくらい保つ!」


「流石に厳しい!ビーム自体は貫通しないけど屋根が削られて煙が抜けてるからそこまで保たない!」


「・・・、正体不明だけど倒そう。問題はどうやって撃ち落として攻撃を仕掛けるかか・・・、このまま発射台を作る。那由多と千尋で殴り落とせるか?」


「時間はあんまりない、やるしかないだろ?なぁ、千尋。」


「同感だ。撃ち落としつつ結城が地面から挟み撃ちにすれば多少はダメージも稼げるだろう。やってやるさ。」


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無茶と無謀は若者の特権だけど新学期に間に合わせるが理由か それで急ぐより安全な方法が有るなら遅れても良いからそっちにして登校しろだろうな先生方も それと最初は青山とかの補助と一緒に行って二度目に自分達…
冬休みの自由工作は武装装甲車かぁ… 生き残ったら学校に提出してみようw
土中潜航車をイメージしたのか まだ能力やらイメージが足りずに出来なかったと いずれは地底戦艦作るしか
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