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街中ダンジョン  作者: フィノ


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549話 本部長会議終 挿絵あり

「最後の議題はあまり話したくないですが遺品についてですか・・・。現在、ギルドの保険として死亡認定時における個人契約等の解約手続き代行等を行っています。その中で割とあるトラブルが半年を超えて外に出て来るパターンですね。本人に対しては連絡等がない場合は解約手続きに進み死亡(仮)判定がされると説明していますが・・・。」


「たまにそれで債務逃れしようとする人がいるんですよね・・・。1年後でも生存確認がされたら、そこから債務期間が発生するとは説明してるんですけど・・・。」


「まぁ、逃げたい人は逃げたいと考えるし真面目な人はゲート内でお金を集めつつ住み込みで働いてる様なモノですからね。それよりも保険金安くならないかとかの方が声は大きいですよ?特に初回入場だと1日保険で円換算で10万は高額だと言う人が多いですし。」


「でも、初期の俺等なんて保険なんてなかったしなぁ〜。中で怪我しましたって保険会社に話しても回復薬使ったら怪我した証拠もないし、何より怪我した場所が治外法権だから自己責任により支払い義務が発生しないって言われたし・・・。」


「保険会社的にもかなり参ってるとは聞きますね。怪我の程度判定も出来なければ医療方面ではギルドの保険で賄えてしまいますし、何より死亡(仮)がある以上、死亡保険の支払いも慎重にならざるをえないとか・・・。特に支払って使い終わった後に生存確認されて支払金の返還がされないと言うケースも・・・。」


「その辺りはギルドだけではどうしようもないので、政府と大手保険会社に話し合ってもらいましょうか。この件にあまり深く関わると今度は保険会社から目の敵にされますし。」


 写真集はいいとして保険会社的にはギルドの保険制度は目の上のたんこぶと言っても差し支えない。スィーパーならギルドで治療を受けると言って医療保険加入率がべらぼうに下がって赤字経営が増えたし、なら死亡保障を手厚くしようとすれば今度は死体と言うモノが見つからず、なら期間を置いて支払っても後から生存確認される事もあると出し渋るから個人的な貸金庫に預ける人が増えている。


 う〜ん、やっはりコレに深く首を突っ込むと保険会社を根本的にシステム改革するか、さもなくばギルドの医療保険制度そのものを外注するしかなくなるんだよなぁ〜。ただ、外注したとしてそれを一社が請け負った場合は一強体制が出来てしまうし、なら分散するとしてもコストがかかるだけでメリットがない。


 特に病院は回復薬が作られたり出土して以降、患者を診る場所から医学を研究する場所にシフトチェンジしつつあるし、医師会のトップは新しくなって久しい。高槻とバチバチやり合って他の人達を排斥してラボとパイプを作りたいと画策している様だと高槻本人から聞いたが、その辺りは俺には関係ないし既に高槻製薬の医師免許を持つ社長であって外の病院に勤めるかとか、医薬品を置いてもらう立場になるかと問われると疑問に思う。


 それより他の国にも分社化して回復薬の工場を作るのに忙しいので構っている暇もないだろう。ただ、解剖学や人体工学等の人の身体に対する研究場所がなくなると困ると言う話で、医療機関としての体裁は保てているし、スィーパーではない人は普通に病院に行くので少ないながらも利用者はいる。まぁ、人口増加を願うのが一番早い安定ルートかな?


「異議なし。頭の痛い話はこれ以上沢山だ。本部長ってもっとこう・・・、最前線で戦ったり指揮したりするのがメインかと思ったっすけど、こんなに事務作業ばかりとは・・・。」


「それ分かる〜。普通にスィーパーしてた時よりも安定してるけど毎日書類がぁ〜!」


「しゃぁないんやけどなぁ。ウチも本部長本部長言われて色んな人からサインとか判断頼まれたりするし。」


「まぁ、必要な議題が出切ったなら後は自由ですよ。酒盛りしてハメ外してもここならバレませんし、少ない時間ですが本部長連合として51階層で憂さ晴らしして来ても文句は出ません。」


「なら誰か行くなら自分がついていきましょう。教導ばかりで中々時間も取れませんからね。」


 俺は樽を取り出し飲む構えをとる。流石に先日の件もあるし留守番でいい。他の面子は話し合って憂さ晴らし組が大半となりぞろぞろと出て行く。まぁ、ギルド稼働状況を考えると当事者も気が気ではなかっただろうし、それをサポートしたり協力体制を取る方もいざと言う時に備えて人員整理なんかをしていた。


  挿絵(By みてみん)


 最初に稼働して体裁を整えた分、割と自由が利くのが今の俺のアドバンテージなのかな?まぁ、そのアドバンテージも全稼働に伴いなくなるし、余程の事がない限りは県外からヘルプを頼まれる事もないだろう。チビチビとウイスキーを飲み望田は自身のパワードスーツの改良案を話し合うとしてドックに向かい部屋に残ったのは橘やら数人。その数人も橘を残し望田について行ったりラボの見学に行ってしまった。


「さてと、二人きりですが人払いして何する気ですか?」


「何もする気はないですけど強いて言うなら増田さんからですよ。彼もまた巻き込んだと思ったら巻き込まれた側の人間ですけどね。」


「立場ある人は何かを回避しようとも逃げ切るのは難しいですよ。なにせその立場が自身を証明してますからね。内容は?」


「中露関連です。どうも互いに牽制する動きが活発化してるとの連絡が来ています。」


「当然と言えば当然の動きですね。どちらも目指すものが一緒なら後は争奪戦です。数が1つとは言いませんが発見数が少ないなら、出来る限り先に箱を確保して発見確率を上げるのが普通でしょう。それこそ中層の付近の箱を取り尽くす勢いでね。」


 共に切磋琢磨出来ない以上この展開は読めていたな。残念な事に人種も違えば考え方も違う。しかし、目標が同じなら必然的にぶつかり合う事になるだろうし、それをしても咎められない場所は用意されている。ゲート外でゲート内の事は言わせないよ。特に国際会議の場でその事は言及されたしな。


 それに今頃疑心暗鬼も酷いかも。発見された薬はオークションにかけられ誰が買ったかは明かされていない。まぁ、R・U・Rサーバー使ってないからハッキングされるとバレる可能性もあるが、そこはもう勝手にやってろと言う話である。


「永遠は人類の夢と言いますけど私は今の所必要ないですね。一杯頂いても?」


「いいですよ。人なんて心変わり激しい生き物です、年取ってから追い求めても間に合いますし他の方法で延命する可能性もありますからね。特に鑑定師なんて普通の寿命だけでも延ばせるでしょう?」


「それを言われると反論はしにくいですね。起き抜けに体調確認代わりに自己鑑定するのは当然ですし、そうでなくとも激務ならエナドリを飲む。体調不良で休む=ズル休みと言われて学生にもそれが浸透しつつありますからね。」


「うっ、それはきついなぁ。ズル休みとサボりは学生の特権でしょう。私はした事ありませんけど。」


「根は小市民ですからね、クロエは。何にせよ中露は今の所簡単には動きません。仮に動き出すとするならそれは内紛の可能性が高いし我々が関与するべき事情ではない。一応、ソフィアさんの件はコレで決着と思ってください。」


「了解しましたし。油断はしないにしても吉報と受け取りましょう。」

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― 新着の感想 ―
中露は人種はともかく共産主義で同じ考えのはずなんだけどね まあ共産主義も早いうちから色々分裂したけど 組織が高度化するとトップは雑務に追われるのは仕方ない 今から簡単な互助組織に単純化するしか
死亡確認は職を伸ばして頑張るか生存確認装置でも出てくるのを待つか ソーツに指輪かゲートに機能を追加してもらうかが確実か 共産グループ結局はそうなったか、ただソーツからしてみれば 判別はしてないだろう…
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