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街中ダンジョン  作者: フィノ


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541話 自制心が欲しい 挿絵あり

 攻撃そのものを押し潰して分解してなかった事にして白く染め上げているが、オーバーヒートしそう・・・。やっている事は至極単純に成り立つ前の刈り取りだが、その刈り取りも手数が多く千差万別なら気を抜くと見落としてしまう。それをしない為には集中するしかないし、人がコードを使うなら物理的に脳の処理限界が迫ってくる。


「さてと、僕の出番だね。」


「賢者ですか?私に今出来る事は?」


「支えておいてくれればいいよ。別に燃料棒引っこ抜いたりスイッチ押したりするわけでもないし。奉公する者は指示しただけゆっくりエネルギーを抜いて。」


「抜いたモノは好きにしても?何やら吾の本体が裂かれた様に力が半減している。端的に言えば腹が減ったから取り込みたい。」


「好きにしなよ。どうせ抜いて放出してもゲートに取り込まれるだけだからね。流石にこの量を取り込めば溢れかえる。」


「溢れかえる・・・、まさかスタンピードですか?」


「そうそれ。小出しじゃなくて5〜600個は口が開くんじゃない?適当に原生生物が多い所で。」


「疑問なんですがどうして原生生物と言うか人の多い所に?もう少しこう・・・、僻地とか人の少ない所なら対処も楽なんですが・・・。」


「ん?君は理由を理解してるだろ?わざわざ言葉にするのも面倒だけど・・・、別に僕達は君達の生死に興味はないし、ゲートを使ってるソーツ?も滅ぼしたいわけじゃない。困るのは作ったモノのやり場だよ。他のセクターに投げ込んでもいいんだろうけど、どこもかしこもゴミは多いからね。満タンになれば溢れるしどうせ溢れるなら掃除夫が多い所の方が早く掃除してくれる。ただ、それだけだよ。」


「掃除夫・・・。」


 夏目としては思う所もあるだろうし、国際会議後にゲートの運用理由等も書面で各国と共有した。この事実を知るのは首脳陣や一部の高官にとどまるだろうが、いつまでも秘密には出来ないだろう。ただ、どちらかと言えば高官よりも一般人の方がすんなり受け入れそうではある。


 ゴミ山の住人と言われていい気はしないが、それでも廃材置き場で遊ぶ事もあるし落ちてた鉄パイプや棒切れを剣に見立て、穴の空いたバケツやらベコベコの鍋を被って冒険ごっこなんて事はやる。しかし、高官や金持ち言ってしまえば幼少から遊ぶならこの玩具と渡されていたなら廃材や落ちているモノには目もくれないし、拾ったきれいな石なんかをプレゼントされたとしても、その場では笑顔かもしれないがすぐに捨てるだろう。


 まぁ、今の所報酬は充実してるしモンスターの素材も武器も人類単体では作れない代物が多く、その上で全員がチート化出来るなら苛立っても目を瞑る方が得策かな?一部の国の首相・・・、先進国の人なんかはこの事実を知って相当に当たり散らかしたと聞いたが・・・。逆に発展途上国側は割とスルーらしい。まぁ、プラスチックゴミ引き受けたりCo2の排出量肩代わりと何かと外貨獲得の代わりに押し付けられていたので今更と言った感じなのかな?


(集中なさい?思考がブレてるわよ。)


(人の精神は1つしかないもんでな。何かに集中してもその物事に対して常に考えてるから仕方ない。)


「アクセス・・・、パラメーター一覧・・・、現状把握・・・、一部機能停止へ移行・・・、同化対消滅システム停止・・・、エネルギー抜いて〜。取り敢えずその位置なら邪魔にならないから半分くらい抜いて。」


 今対消滅とか言った?ねぇ、今対消滅とか言った?そうか・・・、コレって反物質作れちゃうのか・・・。普通と言うかアインシュタイン先生の理論を元に考えると人間と反物質人間が握手をすると、1メガトン級の爆弾1000発分に相当する大爆発が起こるらしい。なのでゲームとかで対消滅魔法とか使ったら本来は周囲含めて跡形もなく消し飛ぶ。


 前にガーディアンが出て来て何処かやらかした国に攻撃したらしいが、その時は自身や爆発は観測されなかった。多分同化と言う言葉から考えるに光子レベルにまで分解消滅させてしまったのだろう。まぁ、モンスター1体持ち出して星を壊されても困る。長崎型原爆が約21キロトンの威力なのでヤバさが分かる。前はガーディアンが飛び回ってモンスター倒してくれたら楽だなぁ〜とか思っていたが、事実を知ったらこんな物飛ばない方がいい・・・。


「では抜くとしよう。む・・・、魔女様。少し、ほんの少しだけこの空間の出入りを緩めてもらえませぬか?出口のないココでは溜め込むだけになる。」


「やってるのはクロエだからお願いするならクロエにだね。ただ、君も稚拙とか不慣れとか言っただろ?ここを切り取るだけでいっぱいいっぱい。自力でどうにかしたら?緩めたらここが崩壊しかねないし。」


「そうか・・・、ならどうにかするとしよう。青山、ちょっとだけ弄くるぞ?なに、クロエの為だ。伊達になろうと後で薬で治せ。同調を強めるぞ。」


 伊達ってどう言う事?おしゃれになるの?ココではファッションショーを開かれても意味はないが、腰巻き1つよりは服着てくれた方が・・・。そんな事を、思っている間に奉公する者は両手を口に入れ下顎を引き千切った!いや、伊達ってそう言う?後から魔女にお願いするから陰腹切ってましたとか言わないよな?死ぬなと言ってるから大丈夫だとは思うが、あの2人って見ている者が違うから平気でやってそう・・・。


(集中!あの程度で揺るがない。)


(いや、いきなり自傷行為見せられたら誰でも・・・。)


(自分で頭を吹き飛ばそうとした貴女がそれを言わない。ここを緩められない以上、別の出入り口を作るしかないじゃない。確か、顎って外れると口は閉じっぱなしになるのでしょう?)


(外れ方による。大きく開いてる場合もあるし全く開かなくなることもある。てか、顎千切る理由って?)


(貴女が全て見てるこの空間で見ないとすれば他人の中でしょう?それともそこまで見たのかしら?)


(いや、見てない。)


 人の内側とか見たい見たくない以前にプライベート空間(?)だろ?人には秘密もあれば知られたくない事もある。わざわざそんなモノを暴露させなくていい。下顎のなくなった奉公する者は痛みさえ気にせずバイトから降りて歩き出しガーディアンにたどり着くとそのまま口だった部分を押し付けた。抜き取りと言うより必殺前歯とかに見えなくもないがアレで多分正解なのだろう。


「そうそう、ゆっくり飴を舐めて溶かす様に。自爆機能はパージ後消滅。外殻部の不用品は・・・、パージして脱落。メインユニットは機能毎に分解して再接続は拒否へ・・・。単体自律も権限者はクロエでいいか。指示がない限りはスリープ。」


「動かず喋ってるだけでいいんですか?もっとこう・・・、何か動かしたりとか。」


「いらないよ。そんな不確定要素満載の解体作業なんて無駄とミスの連続じゃない。元々コレはカウンター反応以外に面倒な命令も組んでないし、正常推移で溢れたりするだけなら反応しない。かなり昔に作ったから粗もあるなぁ・・・。はっ!これが羞恥心ってやつ?おっ、手が動いた。」


  挿絵(By みてみん)


「そのままの姿勢で!役得として頬を赤らめてる姿を目に焼き付けますから。クロエさんって基本的に嫌な事も恥ずかしい事も顔に出さないから頬を赤らめてる姿は貴重です!」


(賢者、真面目にやれ!!)


「真面目なんだけどなぁ〜。この表面とか言うモノ1つとっても君には武器たりえる。使う使わないは君次第だけど勿体ないと思うけどなぁ〜。まぁ、ユーモアはこれくらいにして解体自体は順調。奉公する者も嬉しそうだろ?」


(いや、わからんて。)


(私も見てるからよ。自分の事ながら腹立たしいわね。)


(なにが?)


(あれよアレ。今頃本体から回答があった。奉公する者を分割するのにエネルギーが足りない。でも、回収するのも面倒だからと手っ取り早くここに寄越したのよ!)


(それって私達とばっちりなんじゃ・・・。)


(そうでもあるしそうでもない。どの道ガーディアンは最終的に自爆してたし、誰も処理しなければ先へは進めない。危ない状況でなければ貴女はコードを使わなかっただろうし、奉公する者の分割も遅れていた。さて、何分割したのかしらねぇ?他にも私を宿した者が出たのか、それとも全員席を立って見放すだろう所が出て来たか。)


(全員席を立つとどうなるんだ?)


(なにも?昔に戻るだけ、元あった原生生物になるだけ。貴女は特殊だけど終わりがあるモノなら、1度目は私が現れても2度目の私は現れない。死んだ後にゲートが閉じたか維持できたか、繁栄したかも衰退かもどうでもいいわ。その代わり最後の始末、溢れていたならゴミの処理くらいはしてあげるわよ。)


 甘やかしなのだろうか?溢れて種としての危機はあっても一応助けは来るらしい。なるほど、勇者青山は本当の勇者になり得たのか。まぁ、その中身は奉公する者なのでまとも・・・、魔女の本体を神として布教しながらその種を助けるなら知らない宗教戦争が勃発しそうだが、本当に助けてくれる奉公する者といるかもわからないその世界の神とでは信頼感が違う。


(・・・、もしかして魔女の本体ってかなり美味しい所持ってってない?)


(そこに考えが及ぶならそこそこ見る目があるわね。危機的な状況程生物は考え願う。無力ならなおさらよね?)


(たちが悪い。壮大なマッチポンプだろ、それ。)


(無償なんてあるわけないじゃない。まぁ、それ以外の事はいいわ。そろそろ大詰めよ?)


「奉公する者、全部抜くと面倒だから指示するまで抜いて。」


「アレの動力と言うか燃料ってなんなんです?」


「終わりそうな小型の白。いや、星って言うのが正しいかな?大きさ次第で次のエネルギー源にも出来るし各種変換方法も安定させる機能もあるよ。」


「その割には小さい・・・、ゲートの中と同じ原理ですか?未だにゲートの端を見た者はなく広大な空間がルーブしてるのでは?と言われてますけど。」


「似て非なるものかな?君達にはまだ早いよ。さて、分解圧縮固定、隔壁はパージメインコア露出、はいはい指輪に入って。他のユニットも入れてっと。残りはエネルギー抽出ユニットだけど・・・、奉公する者はもういい。魔女もその活躍で喜ぶだろう。」


 賢者の呼びかけで口だった部分を離すが、血が乾いてパラパラと言うかベリベリと言うか・・・、余程強く押しつけていたのかその形に張り付いた血が残っている。魔女に背後から抱き締められたまま維持したが、そろそろコレも維持が厳しいな・・・。


 元々モンスターが殺到しては殺されていた場所が急に空白地帯となり、代わりに出来たこの空間に侵攻しようと入って来るモンスターに対処していたが、喋るモンスターは異物感が半端なく残るし無闇矢鱈と暴れる。そうでない者も倒せてはいるが魔法と違い慣れない方法での攻撃なので、強力なモノだとは思うが今一つ程度が分からない。


 奉公する者はまた高そうな薬をつか・・・、何で肉?と言うか馬の頭?おい、何でそれが消える。何で顎が生える。いや、うん。アレって肉壁の変化だよな?えっ、このタイミングで至ったの?元々方向を定めてるとか言ってたけど。早着替えで服を着た青山はニコニコしながらこちらに歩いてきて口を開いた。


「中位へ至りました!これで俺は弾除けでも椅子でも変なエネルギーの塊やらからでもこの身一つで守ってみせます!ええ!奉公する者にだけいい思いなんてさせません!俺がクロエさんに奉公して守って貢いで顎で使われて有能であると褒めてもらうんです!魔女とか賢者とかは引っ込んでればいい。そうすれば俺とクロエさんとの時間が増えますよね?雨の日は平面になって影から見守って、たまに踏まれてその重みを感じながら雨や水溜りからも守って・・・。」


(さて、変わろうか。解体も終わったしエネルギーも下火でほとんど残ってないし回収も済んだし。)


(も、もう少し遊んでかない?ほら、ここが解除されたら外にはモンスターがいるだろ?)


(統計的に見てこの後は脱出アイテムで出るつもりだろ?問題の先延ばしはよくないよ。)


(魔女は?ほら、今回走り回ってばかりで暇だろ?)


(嫌よ。まだ奉公する者が出て来そうだもの。)


 3人が3人で顔を突き合わせてどうぞどうぞ。誰かやるって言えよ!魔女とかモンスター抹殺娘だろ!お眼鏡に叶うそこそこ強そうなのもいるだろ!なんか、青山の話し聞いてるとゾクゾクしっぱなしで怖いんだよ!


「青山、クロエさんは女性だ!」


「夏目さん!」


「スカートの中を真下から見上げるなら女性の方がいいだろう?私がじっくりと真下から鑑賞するからお前は雨だけに集中しろ。」


「私の感動を返せ!なに真面目に変態行為を堂々とやろうとしてるんですか!本当にしたらただでは済ませませんからね!」


 夏目はやはり夏目だった。しかし俺の貧相な尻とか見ても面白いんかね?もっとこう・・・、女性らしいムチムチと言うか肉付きと言うか・・・。


  挿絵(By みてみん)


 その点妻の尻は素晴らしい。小さ過ぎず大きすぎす程よいサイズ感と柔さでもっちり感が素晴らしいってそうじゃない。結局俺が出てしまったが解体も上手くいったし早く出ないとココのモンスターと3人で無限バトルする羽目になる。ただ、夏目には釘だけ刺しとくか。


「これから出ますが本当にやめてくださいよ?痴漢で捕まったとか聞きたくない。」


「冗談ですよ、程よく緊張もほぐれたでしょう?。やるなら合意の上です。」


 なんだか釈然としないが当人同士がいいならいいのだろう。多分そう言うプレイだし。コードを解いてすぐさま脱出!流石に疲れた・・・、主に精神面が。ただ、それでもやらなきゃいけない事もある。


「もしもし増田さん?」


「もしもし?どうなりました?失敗して数日後に人類全滅はないですよね?流石に私も胃が・・・。」


「無事終了です。電波が悪くとも定期報告はしていたでしょう?ガーディアンは無力化できました。」

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>集中!あの程度で揺るがない ここが魔女のセリフで次がクロエでその次が魔女 その次は前半がクロエで後半が魔女になってる? >終わりそうな小型の白 時々出てきてたけど少なくともここでの白は白色矮星っぽ…
青山中位、ガーディアン回収、クロエのコード使用と お使いクエスト的には今回満点だな 奉公する者の本体は増やすことが出来る どの様な星か分からないので上下有りまくるが 星一つのエネルギー≒500程の…
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