530話 俺が悪いの?
愛猫に邪魔されて短いです
「さてと、まぁ難しい話でもないし単刀直入に聞こう。探索者と奉公する者は別としてその探索者は至れるのか?」
「えっと・・・、私かなり混乱するんですけどいいんですかね?そんなにぶっちゃけて・・・。」
「いいと言うか夏目さんは賢者に気付いたからね。」
「えっ!いつですか!?」
「夏目さんが至った日に屋上で問われて話した。まぁ、私の場合この事を知っている人は本当に少数でそもそも多重人格とも違うから見つけようがない。まぁ、それは置いておくとして私が青山をそばに置く理由はその奉公する者なんだけど、そいつが至るのを邪魔してないか問いたださないといけないと思ってね。」
青山は目の前のソファーに座りニコニコしているが用があるとすれば奉公する者の方か。一応入れ替われるので大丈夫だと思うが、さて本当にどうなのだろう?少なからず青山とは茶飲み友達感覚でギルドでも話すし電話もする。しかし、こと職の事となると畑違いなのであまり深くは話さない。まぁ、魔女に聞けば明確な答えがあるのかもしれないが、その辺りはNGと言うか探索者青山を見ている奴の領分になると言うか・・・。
「さて、どうなんでしょう?そもそも奉公する者はクロエさんと言うか、クロエさんの職に付随する様な・・・、えっ?」
「奉公する者が変われと言うなら代わってもらっても構わないが?」
青山が考え込む様に黙る。中で何やら言い合いでもしているのだろうか?奉公する者は青山以上に魔女にご執心らしいしなぁ・・・。魔女はかなり面倒くさそうだがこちとら45階層付近まで行って至れない奴を目の前にしてるんだよ。
普通の人ならその辺りで至ろうと何かしらの目標をたてたり自分と向き合うなんて方向に舵取りするだろうが、コイツに限って言えば何も考えずに中層に突撃しそう。流石に面倒なやつだからと過酷な階層に突撃して死なれても困る。
「吾、御前に。わざわざお手を煩わせてしまい申し開きもなく、詫びとして歌い踊り身を清めるつつ金銭と言う物を献上し・・・。」
「そういうのいいから。こちらが聞きたいのは奉公する者と探索者は別。その状態で探索者として青山は至る事が出来るのか?そこだ。職として探索者は青山以外にも出ているし程度の差を話すなら青山の方が上なのは分かる。しかし、その上と言うアドバテージも中位には劣るだろ?」
「ご心配かたじけない。しかし、それは吾には分からない領分でして。あの御方が至れと言うなら最善を尽くし青山めを痛め付けてでも至らせてお望みを叶えましょう。まぁ、此奴の精神が崩壊すれば至る以前に廃人となり職も扱えなくなるのでしょうが、何事もやらせて感情を揺さぶり・・・。」
「えっと、横から失礼しますけど精神崩壊したら職って使えないんですかね?」
「多分使えないんじゃない?そもそも使う人の意思がない状態なら何かを願う事もないし。」
あくまで人が職を使うのであって職が人を使う事はない。イレギュラーとすれば魔女や賢者、この奉公する者なのだろうがそれは人の意思による許可制であり且つ、対話出来る出来ないが肝になってくるが、大多数の職は意思もなく力を貸すだけなので人側の意思と言うか精神崩壊すればそのまま放置だろう。見ていても面白くないし。いや、魔女達は俺が精神崩壊したら好き勝手すると言っていたよな?
「ごめん、さっきの話は訂正する。精神崩壊したら勝手に身体使って遊ぶだろ?」
「いえ?その様な事は出来ませんが?余程な・・・。すいません!言いません!やめて下さい!出来ません!出来ません!出来ません・・・。」
青山がヘッドバンキングしながら出来ませんを連呼しているが、何かしらの裏技があるのかよ・・・。まぁ、肉体捨てて今更人の身体使うかと言われれば面倒だろうし、基本的には出来ないと言う認識で大丈夫だろう。しかし、余程の後に『な』か。多分馴染ませるとか内容を理解するとか、何度も使うとか?
至る過程で語録が減るのを馴染むとするなら、上位に至れば残る語録は1つ。Extraまで行けばゼロ。もしかしてExtraなら魔女みたいに職と対話出来るとか?う〜ん・・・、それは職側が面倒と言い出す様な・・・。いや、一応至る過程を見続けているのでそれだけ愛着があると言えばそれまでなんだけど・・・。そもそもExtraってそれしか適性がないか至っていくしかないみたいだし。
「乗っ取りなんて出来ない。吾それ以外は答えない。」
「それはまぁ理解したけど肝心な部分は?」
「それは吾の領分ではない故、あの御方達しか分からぬ。吾が仕える御方にしても他者の楽しみを奪うつもりはない。つまり、青山は至れるが、そこにちーと?はなく本人次第としか言えぬ。」
「えっ?もしかして裏技的に至る方法とかもあったんですか?」
「望田だったか?吾は知らぬ。そもそも吾はあの御方に奉公奉る事以外に興味はない。そして、コレはクロエに奉公したいと言う。故に互いに扶助している。」
「扶助するのはいいとして相乗とかするなよ?厄介なんだからな?まぁ、至れるならいいとして後はプロセスか。まぁ、そこは感情的なモノだから本人次第として・・・、仮に、仮に青山が本心から思う奉公が私に出来れば至ると思うか?」
「吾には分からぬが、探索者様として見たいモノとはネジ曲がっている様に思う。」
「ちょ!それ永遠の下位になるやつでは!?」
(ヘイ魔女!これ不具合では?そりゃぁ至る至らないがランダムだとしてもほぼ確定で至れないのは違わない?)
(カウンター反応みたいなモノだから私に言われても困るわよ。そもそも奉公する者と青だっかしら?コレの親和性が異様に高過ぎるから悪いの。初手でのミスは貴方にあるんじゃないかしら?)
(初手のミス?いや、ミスも何も知らんやつ相手に何をミスしろと?)
(本能的に美しいと思うなら、それだけその相手に気に入られたいと思うでしょう?それが異性なら幸せにしたいと思うでしょう?性別なんて言う区別があって、その区別がスパイスになるなら尚の事よ?)
(それってつまり奉公する者が宿るなら男性で且つ、容姿端麗で肉体的にも異常がなくて・・・。)
まじまじと青山の顔を見るがホストしてただけあって顔はいい。年齢的にも若いし、タバコも吸わないから健康的である。その上青山自身が率先して異常なほど俺の役に立とうとしてくる・・・。えっ、コレって俺の容姿のせいなの?でも、そうなる様に作ったのはソーツだしなぁ・・・。結果論を言うならソーツが悪い。しかし、ソーツが作ったモノに文句言うとブチ切れるしなぁ・・・。
「取り敢えず至れると言うのは分かったからよしとしよう。まぁ、何か必要なら手伝うとして・・・。」
「なら1日フルコースで奉公しても!?」
「やめろバカ、お前どっちだ?」
「両方の総意ですが?」
面倒だ・・・、でもそれで至れるなら安いとも感じる。だが、それが1回で済むかどうかも分からないし、やるなら最後の手段かな・・・。
「総意でもやらん。本当に最後の手段だ!難しいだろうが他の方法と言うか至る為に目標を持て。」
「それは死ねと言ってるのと同義です・・・。」
「う〜ん・・・、要はクロエの役に立てばいいんですよね?」
「まぁ、そうなんだけど・・・。」
「なら、2人で潜ればいいんじゃないですか?クロエは手出しせずに見守る。青山はめいいっぱいの奉公精神でモンスターを狩る。これなら役立ってるって思えるし探索もしてるし全部解決するんじゃありません?」




