クリスマス時空 聖夜協奏曲
おかしい、バカ話を書くはずが・・・
年の瀬間近のクリスマス如何お過ごしでしょうか?俺は忙しい。師走の名の如く年末休もうとするスィーパーの売買が活発化して出土品の出品は増えるし、統合基地周辺で研究開発する企業は掘り出し物を探して躍起になるしでかなり面倒・・・。
そもそもゲート外で未だに研究開発している所があるのは、海外からの技術盗用を懸念してと言う所がある。統合基地は海外からのスィーパーも受け入れるし、来るものは拒まない。まぁ、マナーが悪いと勝手に追い出されるので治安はいいのだが、それでも技術を盗みに来る人がいるのよね・・・。
それを嫌って外に拠点を置く企業も多い。就職戦線に陰り無し。新卒で職による分類やら欲しい人材はあるものの、働き口は多数ある。なので、今年の学生は進学就職含めてかなり余裕がある。そんな中でのクリスマスなので誰も彼もが浮かれている。
「メリークリスマスー!」
「はいはいメリクリメリクリ。」
「おざなりですけどクリスマス嫌いなんですか?」
「まさか、プロポーズした日だから嫌いじゃない。ただメリークリスマスって朝から何回言ったか・・・。」
季節柄仕方ないのだろうがメリクリとあけおめことよろは何回言えばいいのだろうか・・・。前の職場は人数自体が少なかったので言っても1〜2回。しかし、ギルマスと言う立場上会うスィーパーからは毎日メリークリスマスと声をかけられる。そもそもクリスマスとクリスマスイブの違いは、クリスマスは12月24日の日没後から25日の日没前までの期間を指し、クリスマスイブはその24日の夜を指すので、朝からメリークリスマスと言うにはちょっと早いし、キリストの誕生日なので仏教徒的には普通の日である。
まぁ、今だと和尚さんがトナカイの角を頭に付けてクリスマスを祝う所も少なくないし、それを見るたびにあれは某ゆるキャラのコスプレと頭の中で俺は思っている。実際出身が長崎なので暮から年明けは市内に行くとずっとお祭り気分を楽しめていたな。
教会からは賛美歌が聞こえるし、年が明ければお焚き上げとかでお寺から火は出るし、アーケードを歩けば蛇踊りが見られる。宗教と世界観がごっちゃ煮だが、南蛮貿易縁の地の名は伊達ではない。本当かどうかは別として1000万ドルの夜景なんて呼ばれる事もあるし・・・。余談だが長崎初心者はレンタカー借りるのはやめた方がいい。
ナビに従って曲がるとその先がずっと坂道で、その上狭いなんて事はザラだし駐車場も少ない。指輪があるからと油断しているとすぐに事故る事になるし、路面電車も走るので更に車線は混沌としてくる。やはり走るならバイクだな。海風気持ちいいし、峠を攻めるなんて事も出来るし。
「昼からギルド縮小営業は、まさかメリークリスマス言うのに疲れたからとかじゃないですよね?」
「ないけど今にして思えばそれも予見してたのかも。12月頭からギルドの予定表出しといて良かった。まぁ、かなり不規則ではあるけどね。」
「深夜組とかもいますからね。ギルドは年中無休ですけど縮小営業は許されるんですよね〜。」
「そう。年の瀬やらお盆、クリスマスとかは行事を楽しむ分相対的に人は少なくなる。なるはずなんだけど、あのモミの木ってどっから持ってきたの?」
「有志が山から引っこ抜いてきたらしいですよ?終わればまた山に戻しに行くとか。飾り付けも頑張ってやったみたいですし。」
立派な樅の木がギルド前にドンと生えていると言うか刺してある?確かにクリスマスだからツリー設置を!なんて声に応えて許可したが生木1本持ってくるとは思わなかった。まぁ、子供達も海風に耐えながら見に来たり、夜は夜で工場地帯の夜景が見えるのでデートスポットとしてもそこそこ人気がある。
ちなみに有料で雪を降らせるなんて言う演出もしてくれるし、告白やらプロポーズの為に雇われた人がフラッシュモブしたりと、日暮れ以降も賑やかだし箱をそのままプレゼントボックスとして金貨数枚で売る人もいる。知ってるぞ?次はそれ福袋になるんだろ?
「うちは実家だと松に飾り付けしたなぁ〜。チクチク痛いの我慢してひょっとこのお面とか宝船とか・・・。」
「それ、絶対正月用の飾りですよね?」
「楽だったよ?そのまま年越しして三賀日終われば外すかんじ。そこで勃発するのがプレゼント戦争とお年玉戦争。高校まではサンタはいるっていいはったな。」
「ピュアだからじゃないですよね?」
「当然、いないって言ったら『送り主のいないプレゼントなんて来るわけないだろ?俺はプレゼントなんかせんぞ?普段お小遣いも必要な物も渡してるからな。』って絶対親父殿は言い出す。たから、サンタはいる。欲しいものはこれ、テストは平均点は取って文句は言わせない。まぁ、その点数でプレゼントとして貰える物を探り合うんだけどねぇ。」
「なんと言うか駆け引きしてますね・・・、童心は!童心はなかったんですか!?」
「ないない、幼稚園の時にゲーム機頼んだらブーツに入ったお菓子が枕元に置かれてて見た時に『神は死んだ!』って思ったし。」
「どんな幼稚園なんですか・・・。いや、本当に言いそうなんですけどね・・・。」
「小さい頃はテレビばっかり見てたからね。スポーツ以外はニュースも見てたし絵本とかも読んでた。文字読めないと分からないし、親父殿は字幕映画とか見てたからその影響かなぁ〜。まぁ、料理は豪華だったからいいんじゃない?今日はウチでパーティーするしするでしょ?」
「音楽担当として行きますよ〜。サンタコスするんですよね?この前してましたし。」
「アレはばら撒き用かな?他のギルドからクリスマスっぽいものか欲しいって言われて魔法の玉から映像が飛び出る様にして作っただけだし。後はウィルソンさん用に作ってもう送った。多分昨日あたり届いてるんじゃないかな?」
ソフィアの件で昔からの知り合いとなったのでクリスマスカード代わりに魔法の玉を送っておいた。どうせ何回か使えば消えるしその時点で証拠隠滅ならぬ黒歴史隠滅。ふははは・・・、後世にこんな事ギルマスがしてたんすよぉ〜なんて言う輩は存在させないのだよ。あっ!カメラはやめて!映像とか写真で残そうとしないで!それと、見えてるアレはパンツではない、白いレオタードである。
「えぇ~!しましょうよ!何着でも買っていきますよ?」
「そんなにいらない。遥が作って置いてったし買ってくるならトナカイなら着ようかな?て言うかミニスカって寒くない?」
「オシャレフィールドを全開にすれば寒くないです!東北の娘とか見て下さい!フィールド全開なんで雪の中スカートで登校してますよ。」
「ウチの県は制服統合したから女子生徒でもスラックス可!九州の北海道って言われて山間部だと雪掻き上等な由布院とか玖珠舐めたらダメ。建築基準も寒冷地仕様じゃないからかなり寒いし・・・、離れ大丈夫?」
「那由多君に二重窓とかに改造してもらったんで大丈夫です。そう言えばパーティーは誰か来るんですか?」
「基本は家族だよ。工藤さんとこと顔合わせたらメリクリ言う程度。勝手に来客する人は知らないかな?ソフィアとフェリエットの友達とか結城くん達とか。まぁ、学生ならカラオケとか行くんじゃない?クリスマス資金とか言いながらゲートに行くグループもいたし、下手すると学生でも高級レストランでディナーなんて人もいるかも。」
お金回りがいいので学生だろうと高級店に入れるし、ブランド物も買える。宝石や貴金属?いっぱい出てるから安いよ?その代わり高級食材は需要の問題で割と値が張る。フカヒレとかキャビアは安くなった。取っても治癒師が治したり回復薬で傷が塞げるから、何回でも取れるし殺しさえしなければ大丈夫。
その代わりカニとかツバメの巣、フォアグラとかは高い。文字通り殺して食べる系は育てる工程があり、需要に対する供給がどうしても追いつかない。まぁ、フォアグラ美味しいかと聞かれたら俺としては微妙だしキャビア食べるよりイクラの方がいい。肉も牛や豚は安くなった半面、鳥は高くなったんだよなぁ〜。
牛や豚のロースやらモモは取っても治しやすい。その半面鶏は全部潰す方が楽なので労力コストの問題で値段が逆転してしまった。まぁ、それでもウチのクリスマスではケーキ、ピザ、唐揚げは外せない。ついでに言えばローストビーフなんかも作るらしいので楽しみが増す。
「価格競争のバグり方はエグいですからね・・・。安い所は金貨1枚でもお腹いっぱい食べられますし、高級を売りにする所は金貨50枚からって所もありますし。」
「技術料込みだからね、そんな所は。S料理人の創作料理の店とかかなり高いし。まぁ、それでも食える学生はいるしそこまで出して食べない大人もいる。私はイミテーション団子ルーレットが面白くて好きかな?腹持ちいいらしいし食べやすいし。」
「最新のスィーパー食ですね。団子に何か味付けて売ってるやつ。私も食べましたけどどれも美味しいんですよね〜。団子1つで朝食コースとかは微妙ですけど。」
「オススメはパスタかな?カルボナーラとかなら違和感なく食べられるよ。まぁ、ソース食べてるだけって気にもなるけど。」
元が団子なので歯触りはそのまま。ただし味はちゃんとカルボナーラを食ってる味。ゲートに籠もる人のお供として作られたが割と好評で団子もかなり高カロリーな食材で作られている上に腹持ちもいい。売られているモノはメジャーなモノが多いが、露店なんかで腕を磨いているS料理人に注文するとかなり色々と味付けしてくれる。
「さてと、そろそろ今日は上がろうか。下も結構閑散としてるみたいだし。」
タバコを一本吸い戸締まりやらを確認。これと言って不備はないし、PCのメールも急を要するものはない。縮小営業と言う事で食堂はランチタイムが終われば大掃除を行うとして休業するし、神志那は部屋にいるもののやる気はゼロでコタツに入り定吉君とゴロゴロしている。一応職場なのだが、本人が住み着いてしまったので仕方ない。その為受付口に来客を知らせるブザー置いたりしたんだし。
ライセンスの申請も昼までで切ってしまい、受付に人はいるものの顔馴染みしか来ていないのかおしゃべりを楽しんでいる。因みにこのお喋りは推奨しているので時間が許すなら咎めない。そんな会話からも出てくる情報もあるしね。受付台に置かれたミニツリーと受付嬢のサンタ帽子がクリスマス感を出しているが、彼女は早番なのでもう少しで上がりだな。遅番は警察に依頼してそちらが対応してくれるてはずとなっているし、救護室も医大生や宿直医がいてくれる。
なんだかんだで年中無休シフト制のギルドでは、こう言った根回しをしておかないと大規模に休みが取れないんだよな・・・。今年の来場者数の推移次第では閉店日を作りたいとも思うが、こればかりは他の県の状況も考えないと決定は出来ないし、ゲートから出た人がギルド内に閉じ込められる事態は避けたいので形としてはこう言った職員定休日方式になるかも。
メリークリスマスと言い残しギルドを後にして望田が車を走らせる。夕暮れ時の市内はクリスマスイルミネーションが灯り出し割と綺麗だな。家路に急ぐ人も多い様で多少の混雑はあるものの車の流れは順調か。
「ただいま〜。」
「おかえりなさ〜い。お客さん来てるわよ〜。」
帰り着くと犬小屋には抜け殻の様なバイト。知ってた。俺の中でコタツを再現したら魔女達もそのまま出てこなくなったし・・・。コタツに寝そべりタブレットをポチポチしているバイトが見える・・・。そして、天板に顎のせてミカン食ってる賢者と魔女も・・・。そんな姿を夢想しつつ中に入ったが、来客者とな?
「客?誰?」
「私だ!」
「私よ!」
「ヘイ・ユー達。ウチは会議場じゃない!」
「知っているとも!ただ、通りすがりのサンタがプレゼントを持っていただけさ!」
「全くだわ。通りすがりの女学生がプレゼント交換に来ただけよ。」
「ずるいじゃないかメアリー!私が贈るだけになってしまう!」
「年季の差よ年季の。ジョンだってどれだけプレゼント持ってきたのかって話よ。」
「うるさいなぁ〜。手をバタバタするとコタツから熱気が逃げるなぁ〜。」
「ソフィアはコタツムリに退化したです。フェリエット、お茶とミカンを取るです。」
「猫はコタツで丸くなる義務があるなぁ〜。真面目に丸くならないとご飯抜きだから動けないなぁ〜・・・。」
なんでこの二人が・・・、女王陛下と大統領が人んちのコタツ入って言い争ってんだよ!松田と増田が胃痛でゲロ吐くぞ!俺もこの状況で頭が痛いし・・・。てか、なんで2人しているの?マジでプレゼント持ってきたの?
「僭越ながら護衛は?」
「ここなら要らないだろう?エマは連れて来たが温泉に行っている。」
「サイラスなら一緒にラーメン食べた後にここに私を置いて帰ったわよ?日本はいいわよね〜。海外の人間って言うだけで誰々のそっくりさんと言えば信じてもらえるし。タイガードリームだったかしら?あそこのラーメンも美味しかったし。」
「君も行ったのか。確かにあの豚骨スープには惹かれるし大量の各種チャーシューも旨い。どうだい?この後温泉にでもよるか?」
「時間次第かしら?若返り老人会主催で日本ツアーとかいいわね。結構若返った有力者は多いし、若返り老人会での政治や経済の話はご法度でしたら追放だし。」
変な会の奴らが変な掟の元日本に来て楽しく遊んで帰る。悪い話ではないよ?インバウド需要とかもあるし、外から内に入るお金としては悪いものではない。しかしね、ウチを溜まり場にすんなよ?てか、ここに来るの誰も止められなかったの?そうですね、君主と大統領って止める人間いませんもんね、ましてや国益考えると知らない仲じゃないしイケイケドンドンで来ますよね・・・。
「ジョージさんとメアリーさんお茶どうぞ。」
「ありがとう莉菜君。コタツでお茶・・・、沁みる・・・。」
「侘び寂びよね〜。庭も綺麗にしてあるし、猫人は丸くなってるし。」
(莉菜・・・、あの2人誰か分かるよね?)
(それはNGワードらしいわよ?何度も聞いたけどお世話になったジョージとメアリーとしか言わないし、誰かは見たら分かるけど話してたらなんかどうでもよくなっちゃって・・・。)
妻の肝が太い!大統領と女王陛下にほうじ茶出してる妻の肝があからさまに太い!いや、まぁ、不審者じゃないならもてなしてもいいし、あからさまに不審者じゃない2人組みなら茶はだすだろう。てか、よく許可でたなこの2人。そう言えば2人ともウインターバケーション中でどこ行くかはあかしてなかったような・・・。
まぁ、クリスマスにカリカリしても仕方ないか・・・。2人が一般ピープルの友人として来たと言うならそう言う扱いでいいのだろう。寧ろ、ここで畏まるとなんか変な感じになるし・・・。
「そう言えば那由多は?クリスマスなら家で飯食うはずだろ?」
「2人の顔を見たらそのまま着替えて、千尋ちゃん達と過ごすって出ていったわよ?私の勘では今晩ホワイトクリスマスだと思ってる。」
妻がオヤジっぽい事を言いながら頬に手を当ててイヤイヤと首を振っているが、卒業目前で就職も決まり憂いは何もない。それこそ佐伯さん所にも1人で挨拶には行った様だし、付き合ってる事に関しては既に両家とも知っている。更に言えば明日から冬休みで互いの年齢は18歳。成人年齢は引き下げられたので既に2人とも大人で、早くも車の免許は取ったので、スィーパーのライセンスと免許証があれば身分証としては事足りる・・・。
仕方ない。今回の逃走には目をつぶってやろう。てかね、フェリエットがフリーダムなのはいい。コタツから頭だけ出してクッションを枕代わりに寝ようとしている。問題はソフィアである。中学生なら2人の顔分かるだろ?いそいそとコタツに妻と入るが多少狭いな。6人入れるコタツだが、それに6人入れば狭くもなるか。暖房は効いているがコタツには魔力あるんだよ。
な~んでまた半纏着て落ち着いてコタツでミカン食ってんのかな?せめてこう・・・、ドレスとは言わないがそれなりの格好と言うものがだな・・・。
「ほらソフィア君。次はどのお菓子がいいかい?歯の抜ける様な甘い物からドギツイ色のケーキまであるぞ?」
「それよりもスコーンよ!カードで負けたからには給仕だってやるわ。」
「くるしゅうないです。次は何します?ババ抜きは勝ったですけど、協力プレイ出来るボードゲームとかします?お兄ちゃんは人がいるならパラノイアがサクッと終わって面白いって行ってたです。」
「理不尽ゲーム!それGMもプレイヤーもこのメンツだと腹が痛くなる!」
ぜってーやらせんぞ!何が悲しくて靴をなめるとか賄賂とかこの2人から聞かなきゃならん!見る人が見ればガチで卒倒する。なんなら俺も卒倒して寝室で寝たい。起きたら思うんだ・・・、アレはきっと夢だったって・・・。と、言うかソフィアは2人相手にトランプか。それはそれで肝が据わっている。まぁ、生い立ちを考えるとちょっとやそっとでは動じないか・・・。
「ふむ、そのゲームには惹かれるがウィルソンを締め上げ・・・、お願いして見せてもらった映像はもうないのかい?」
「なんの映像かしら?」
「夫がクリスマスカード代わりに送った魔法ですよねメアリーさん。この2人には送らなかったの?」
「ウィルソンさんは旧知の仲だから送った。この2人に魔法送るって、下手したらテロ扱いだよ・・・。そもそもギルドのクリスマス用だし。」
大統領と女王陛下に魔法を送る。身元的には大丈夫だと思うが、変な勘ぐりは避けたい。と、言うか1人の本部長が大統領やらにプレゼント贈れるか!流石に松田達も止めるだろうし、検閲で引っかかるだろ?
「君からのプレゼントなら直通で受け取ろう。メアリーは杖を貰ったし私にはクリスマス魔法と言う事でどうだい?」
「ふっふーん。いい杖を貰ったわ。今日は持ってきたけど普段は孫に貸してるのよね。何時も握りしめて寝る時は抱いて寝てるそ・・・、私もいい夢が見られる様にもう一本お願いしようかしら?」
「来ましたよツカサー。と、言うか明らかに聞き覚えのあるヤバい声がするんですけど、私の耳は正常・・・、正常でしたね・・・。」
「おぉ!最強の盾のお出ましじゃないか!エマは風呂に行っているが後から来るそうだ。」
「思ったよりも普通の人なのよね。やっぱりスィーパーは見た目じゃなくて考えで見極めないと。」
「えっと・・・、ありがとう御座いまする?」
両手にサンタとトナカイの衣装を持った望田は危機回避失敗により1D10のSANチェック。ダイス成功により発狂はしていない。いや、言葉がおかしいから不定狂気?確かに望田と俺がいれば危ない事はあんまりない。それこそスタンピードでも起きない限り普通のスィーパーに後れは取らない。でも、今いる2人は相手が悪い・・・。
「ふむ、コスプレパーティーか!生憎と衣装はないが私の顔のお面でも被って面目躍如としよう。」
「せこいわね私は衣装チェンジで戴冠式スタイルも可能よ!」
「ぐぬ!メアリーそれこそせこい!聖しこの夜、女性はサンタコスが正装である!」
「なら貴方はトナカイよジョージ。お誂え向きにトナカイの衣装があるじゃない!」
「流石に小さいだろ、あれ。と、話がそれだがクリスマス魔法だ。あるかい?」
「ありますよ・・・。妻としこたま撮りましたからね。」
1つ取り出して発動!娘達や息子とも撮ったが、それは家族としての思い出でだすつもりはない。息子はトナカイ一辺倒だがソフィアははしゃいでいたな。ただ、スタイルがいいのでどこかの宣材写真としてもそのまま使えそうな出来栄えだった。妻の言う様にスィーパーばかりが全てではないので、色々と体験してから将来を決めて欲しいものだ。
「おぉ!ウィルソンとは別パターン!」
「これって売るの?買うけど。」
「売りません。あくまで配布用ですよ。多少魔法が籠もってるから見れば清らかな気持ちくらいにはなるんじゃないですか?」
聖夜に捕物劇とかしたくないので大人しく過ごせと魔法が込めてある。配布は完了して杖ではなく玉なので持って明日まで。あまり大人しくしてもらうと今度はゲートに入らない不具合が出るのよね・・・。
その後は皆で料理を食べてゲームしたり歌を歌ったりと賑やかに過ごす。合流したエマは魔法が見れなかったと嘆いたので再度玉を出し上映して面倒になったので渡してしまった。何やら妻と話し込む場面もあったが、お世話になったお礼とかだろうか?ちょうどカラオケで練習した歌をアカペラで歌ったり、アメージンググレイスを歌っていたので聞き取れなかったな。
一皮剥けばただの人。権力の衣を纏多数を指揮する重責を負い、その示す先が必ずしも栄光に続くとは限らない。しかし、今夜くらいその荷を降ろしてハメを外してもいいだろう。
「メリークリスマス!良い夜を。」
「ああ、メリークリスマス。良い夜を。」
「メリークリスマス、さようなら名残惜しいわ。」
ジョージとメアリーの滞在時間は正味2時間程度。それが長いか短いか?本人達の気持ち次第だろうが、リフレッシュ出来たならいいと思う。
「さてと、私達は続きをしようか。聖しこの夜、まだ夜は続いてるからね。」




