522話 疑問 挿絵あり
年末前で忙しくて短いです
「さてと、出口よりちょっと手前だけどありがたい事に出口付近にモンスターはいない・・・、と思う。」
「やっぱ見つけづらいっすか?」
「見つけづらいだろうな。俺とお前で来た時も最初は四苦八苦しただろ?」
「違和感的なモノは割と分かる。問題は完全偽装状態で動かない奴。それだと風景として見落としてしまうし、地中から出てくる奴も感知しづらい。いや、いい手があるな。」
Q.モンスターがアクティブではありません。バックアタックは面倒なのでアクティブにして先制したいです。どうしたらアクティブに出来ますか?
A.モンスターがアクティブになる餌や、動かなければならない状況を作りましょう。
餌とするならクリスタルだが、それよりも動かなければならない状況を作る方が楽かな?少なくとも地中はやりようがある。杖だ。金属探知機として作った杖をベースとして、地中にある大型物体は炙り出せる。そして、隠れているなら隠れている場所ごと吹き飛ばせばいい。今なら先制攻撃出来るしやらない手はないだろう。
「地中は対策出来ると言うか炙り出せる。隠れてるのも先制出来るなら動かないといけない状況に追い込める。そこで2人に質問だけど、不明な敵を警戒しながら進むのと一旦戦ってから進むのどっちがいい?」
「そりゃぁ掃除を兼ねるなら戦闘っすね。」
「同感です。けど、数はどれくらいだと思います?」
「後ろのキノコ達を考えると少なくはないと思う。ただ、下手をするとわらわら集まってくる。やろうとしてるのは先制して入口周辺を消し飛ばそうとしてる事だしね。地中はある程度拘束出来るけど流石に長時間は厳しいかも。」
扇動するなら数がいた方が楽でいい。あれは数=攻撃手段であり防御手段だ。方向性を持たせて使えば多分モンスター限定で出来ない事はないと思う。しかし、その思うで失敗すれば尾を引く。仮に雄二と卓が影響を受ければバーサーカーとしてここにとどまり死ぬまで戦う事を強いるかもしれない。流石にそれは看過出来ない。戦わせるにしてもそこには個人の意思が必要だ。
「雄二、ここから次へ進むゲートへの道は分かるか?」
「かなり厳しい。ないと言う感覚はないけど、多分ここと同じ様にどこかの洞窟とか高い所とかにあると思う。ルートとしては上か下かって所だな。俺は飛べないから上なら木を伝って登るか、どっちかにお願いする事になるけど・・・、お前俺運べる?」
「運べるが両手が塞がるから頼むぞ?攻撃出来ない事はないが、魔術格闘戦がメインだから魔術オンリーになるとどこまで狩れるか分からない。」
確かにヒーローが敵を倒すとして雑魚は銃でもいいけど、ボスとなると剣とか拳とかで倒す。5人集まってバズーカ撃ったりもするが、それは合体技であって1人で使うものでもない。しかし、両手が使えないと言う事はお姫様抱っこか。腐の人が喜びそうではあるな。
「飛ばすのは私がやろう。引き続き先導を頼む・・・、悠長にしすぎた!」
サーチアンドデストロイ!カモフラージュをしたままミサイルかよ!確かに洞窟内なら爆撃で吹き飛ばすかあぶり出したほうがいい。手心なんてもんはないので見つかればすぐに攻撃に転じる。しかし、俺達もそんなにヤワじゃないんだよ。直接ぶち当てるではなく、俺達のいた地点の地面を狙っての発射はしかし、俺の声を聞いた時には既にみんなで出口に向かい走り出している。
「すれ違いざまに斬れないか?」
「ダメだ、アレはどこを斬っても爆発する!」
「蓋するから出たら周囲を破壊!」
ミサイルとすれ違いそのまま背後に氷や土で扉を作る。形は開き戸ではなく跳ね上げ式。それなら爆風は天井に向かう。先行した卓が外を大火力で吹き飛ばし森を火の海に変える中、雄二が現れては消えつつモンスターを斬る。しかし、硬いモノもいるようだな・・・。
「やはり燃えづらい!」
「いや、陽炎で炙り出されるなら問題ないよ。モンスターがよく視える。命あふれる森の中、落とされた火は木々を焼き、炙られた虫は糧となる。食え・・・、森よ。異物を取り込み拘束し、亡骸さえも残さない。行こう、留まればまたモンスターが押し寄せる。」
木は高速で再生する。なら、そこに取り込まれたモンスターは逃げる暇なく拘束され続ける。一撃で抜け出せるほどの穴を空けられるなら逃げられるだろうが、そうそう空間攻撃してくるモンスターが溢れていてたまるか!って、地面が揺れてらっしゃる・・・。洞窟内でもムカデはでたが、やはり追ってきていたか!
「クロエさん!卓!そこはまずい!直下!」
「とう!」
「警告どうも!」
すぐさま飛び立ち直下から食おうと出てきたムカデを躱そうとするが、その巨体故に無傷ではない。離れようとしたがワシャワシャと動く爪が当たり微細な傷を付けられるが巻き戻る。卓の方は飛来した木片なんかを殴り飛ばしているが、流石にコイツを引き連れて逃げ回るのは得策じゃないな。幸い伸び切った胴は見えている。下手に潰すと分裂して小型化して襲ってくるが、身体の大半は出てきているものと思いたい。
「燃え上がれ熱き炎!焼き落とせその悪を!日輪はお前を見ているぞ!必殺のぉぉぉ!コロナバーストォォォーーー!!!」
「雄二は私が飛ばす。駆ける様に飛ぶ様に、その動きは自由であれ。物理の檻を脱却し、宙を舞う影の様に軽やかであれ・・・。」
流石に飛行具無しはこのパーティーだと辛いな。雄二は信じているし、ちょっとやそっとの魔法ならやり過ごすが、徹底的に面で潰されれば厳しい。手早く杖を作って渡そう。
卓がムカデに拳を振り落とす様に殴りかかり、吐き出されるビームを切り裂きながら頭にぶち当て連結されたモノも逃さんと言わんばかりに焼いて行く。途中で見えたクリスタルを回収したからアレは死んだな。
「ムカデは倒したっすね。」
「話すのは後。まだモンスターはいるからこれを渡す。呪文は『飛べ』それで好きな様に飛べる。ただ、あまり下手なイメージをするとロケットになるから注意。」
「了解っす。エリザベス女王が使った様なモノっすね。ぶっつけ本番っすけど・・・、大丈夫っす。」
「それを使う道もあったか。まぁ、道具って言葉もあるしな。方向は任せるとして走りながら雑魚を蹴散らそう。」
雄二が先頭を飛び俺達が追う。背後からモンスターは来るし空には小型大型と集まってきている。流石に掃除してないやら遅いやら言われるだけあって多いな。
(暇!暇よ!変わりなさい!)
(いや、お前が服が嫌と言って変わらなかったんだろ?)
(それでも暇なの・・・、虫唾が走るのよゴミを目にすれば。だから変わりなさい。)
(いや、まぁ、いいんだが。戦闘は任せる。)
なんか虫の居所が悪いと言うか苛立っていると言うか・・・。まぁ、魔女はモンスター倒したい奴だから鬱憤が溜まっていると言われたらそれまでだろう。しかし、なんでこんなに魔女はモンスターを嫌う?徹頭徹尾モンスターは殺す派で俺もそれには賛同するが俺と出会う前・・・、例えば他の星で魔女が選ばれなかったらどうしたのだろう?まぁ、考えても仕方ない。




