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街中ダンジョン  作者: フィノ


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521話 バカ鳥 挿絵あり

「うわっ!乗り物気持ち悪っ!よくあれ食べようと思ったな・・・。」


「エマさんが乱射して殺しまくったんでしたっけ?」


「焼いたら肉質はチーズみたいになるらしいぞ?食べるか雄二?食うなら焼くけど。」


「あ〜、一応?クロエさんは食べたんすよね?」


「食べた・・・。姿見てないけど、お土産と言うか帰還のお祝いで出されたから食べた。確かにこの姿を見たら食う気は失せるなぁ・・・。まぁ、カオリ達もかなり疲弊して食う物がなかったから仕方なかったと言えば仕方なかったんだろうけどさ・・・。」


 セーフスペースin56階層@カメラ装備。前回来た時は見つけられなかった次へのゲートをカオリ達が見つけたので先へ進もうと来ている。本当は1人で行こうかと思っていたのだが、許可は下りなかったし行くなら誰かを連れて行って進める人間を増やせと言われた。


 人選をどうしようかと考えていたが、前回のメンバー比重として魔術師が多かったので今回は物理的な職メインとして雄二と千葉ギルドが安定した卓を連れて来ている。卓が物理的メインかと聞かれると迷う所もあるが、炎の拳でぶん殴っているので間違いではないだろう。


 それに卓の職の組み合わせは獣人達のいい手本となる。妖怪と言う職には比重が存在するらしいが、どこでその比重が決定するかは分からない。そして、手本となる者が少ないのも否めない。俺の場合接近戦は付け焼き刃だし直接殴るよりは魔法で殴ると言う方がしっくりくる。その点、卓は空手なんかを覚えたり、他の格闘技やらヒーロー殺法を研究したりと接近戦も雄二と殺り合える程度には上達してきているのだとか。


 まぁ、モンスター相手に型にはまった武術と言うかサブミッションが通用するかと聞かれると微妙だし、そもそもの話し人型のモンスターと言うのも少ない。安定性を求めるなら多脚だろうし、それ以上となると無反動や浮遊を思い浮かべるので仕方ない。


 そんな中で目の前に現れた乗り物はタコの下半身に鳥の上半身の様な物。これが神話生物と言われたら俺は信じる。ただカオリ曰くおバカらしいので注意は必要かな?


  挿絵(By みてみん)


 見つからなかった理由も馬がどこから来ているか分からない様にどこからともなく現れたし、空を飛べるらしいが人を乗せる大きさがある分、本来ならかなりの助走距離が必要となると思うが、背の高い木からの自由落下速度を利用して滑空したりする。


 なので飛び立つ時は逆さまになる必要性があるし、シートベルトと言う名のタコの足は身体にまとわりついてくる。ソーツよ・・・、もう少しマシなデザインはなかったのか?食べ物としては割と食べられる部類なんだからさ・・・。


「それよりもゲートですよ。雄二、場所は分かるか?」


「感覚としては結構遠いな。木の上じゃなくて何処かの洞窟っぽい所にあるけど木の上を移動したら先ず見つからない。この鳥が乗り物なら運んでもらうのが最善と言えば最善だな。」


「なら乗ろうか。」


「なら、僕は一応警戒しながら徒歩で付いて行きます。クリスタルが落ちてたなら一応の警戒も必要ですからね。」


 触手の様な部分はヌルヌルテラテラしている様に見えるが、巻き付かれても特に湿った様な感覚はない。結構ガッチリと固定されているので落とされる事はないと思う反面、これから木に登って滑空するなら乗り心地は悪いんだろうな・・・。いや、こいつって飛び跳ねるとか地上を進むとも言っていた様な・・・。


「じゃあ先頭をいくっすよよよよ!!!!!」


「こここれれれはははひひひどどどいいいななな!!!」


「!?」


 このバカ鳥!悪路爆速と言うか悪路スピードスケート?飛ぶ為の滑走距離とか考慮しなくて良かった。タコの足が地面を舐める様に這い風景を置き去りにする様に進む。そう、飛ぶのではなく地上を進む!縛られた身体は鳥に合わせる様に激しく上下し、しかしタコの腕が飛んで行くのを阻止する為にゴムの様に弾力を持って押し返してくる。痛くはない、しかし酔う。間違いなくシェイクされて酔う!


「とっとっとっべべべべーーーー!!!このバカ鳥!走るな飛べ!」


 いや、叫んだからってフクロウみたいに180度首回してこっち見んな!普通に怖いだろ!てか、こいつって意思疎通出来るの?はい、無理ですねそうですね!飛べと言って飛び跳ねる様な駄作ですかそうですか!その翼は飾りかよ!


 こっちを向いたと思った首はそのまま回転して周囲を見ている様だった。そして跳ねて近くの木に飛び移ると、今度はゴムボートの様に跳ね返りながら木の間をバウンドして上へ・・・。いや、その足で普通に木に登って飛んでくれよ・・・。頂上付近まで登ってからは羽で滑空する様に飛んでくれたが、絶叫マシーン好きじゃない限りこれは罰ゲームだ。


 確かな最短移動を考えると飛ぶまでの移動時間とその場から高速で這って進む時間を考慮すれば、這う方が初速は速い。しかし、乗り心地を考えるなら飛ぶ1択!でも、これって這うよりも遅い様な・・・。


「おえっぷ・・・、酷いっすねこれ。吐きそう・・・。」


「同感。次からは自分で飛ぶかな?生贄はじゃんけんででも決めて。」


「確かに誰か乗らないと案内はしてくれないからっすね・・・。」


「大丈夫ですか?」


「卓、お前次の時は生贄な?俺はもう乗りたくない。」


「あの光景を見た後に乗れって言うのは酷だと思わないか?1人で来たなら諦めるけど人数いるならじゃんけんだ、じゃんけん。」


「それより卓が見た感じこれは速さってどのくらいだった?追い付いて来たからそこまでないとか?」


「いえ、地面進みだした時は一瞬見失って、次に見つけた時はボールみたいに跳ねてました。スタートから飛行までを考えると少なくともマッハは出てたんじゃないですかね?」


「考えるのやめよ・・・。その速度で目的地にまだ着かないとなると相当遠いな・・・。」


 マッハ1と言うと秒速約340メートルだろ?そんな速度で悪路走行すればあんなにバウンドするのも分かる。まぁ、卓も追い付いてきてるし目的地には進んでいる様なのでよしとしよう。今回潜るにしてもあまり時間はかけられない。理由としては赤峰の子の出産予定日が間近で、産まれたら集まろうかと言う話があるから。


 赤峰は福岡ギルドにいるので俺はすぐに行けるが、他の面子はそこそこ時間のかかる者もいる。例に挙げるならこの二人も東京方面なので時間かかるし北海道なら尚更。飛行機使わずに自力で来るならあまり考慮しなくていいが、楽出来ると言うかお金を落とせる時に落としておかないと本当に産業が潰れてしまう。


 それから煙草吸ったりして約2時間程度。悠々と飛んでいたバカ鳥は急降下と言うか、墜落する様に地面に降り立ち洞窟と言うか何と言うか・・・。木の洞と地面が合わさった様な所を進みゲートの前へ連れて行ってくれた。なんで鳥頭か分かったよ・・・。普通の生物なら天井にぶつかりそうなら頭を屈めたり避けたりするだろうが、この鳥はどれもせずにその石頭で破壊しながら進む。


 ただ破壊した所ですぐに元通りとなるので、どうせなら屈めてくれた方が・・・。まぁ、屈められると人の上半身が置いてけぼりのテケテケと化すのでこれ以外の方法がないとも言えるが・・・。入り組んだ道と分岐はどこか始まりの道を思わせるが、鳥がいるので間違うことはないな。


「取り敢えずゲートまでは来た。卓は何か見つけられた?」


「少なくともモンスターは見受けられませんでした。なにかの残骸の様な物もなかったですね。多分、ガーディアンの残骸があるとすればもっと奥じゃないですか?」


「やっぱりか・・・。私達もカオリ達も見つけられなかったし、今回もないならそう考えるのが妥当なのかな?雄二も?」


「ないっすね。それに続く道はここにはないと思います。」


 視界を変えて移動中も見たし、卓と雄二もないと言う。なら本当にこの先のどこかにあるかソーツが確保したかだな。ただ、ソーツが確保したと言う路線はかなり薄いと思う。何故ならガーディアンをいじくり回していいと許可されたのにわざわざ大破した物をいじくらなくてもいいから。


 どちらかと言えば何処かの階層が消し飛んでるとかの方がありそうだな。まぁ、ガーディアンが大破して大爆発するかは分からないが・・・。と、言うか知ってるやついるじゃん。


「次に行く前に一旦準備しよう。待ち伏せがあるかもどこに出されるかも分からないし。」


「「了解ー。」」


(賢者〜、ガーディアン壊れたらどうなる?)


(どうなるか?さぁ?壊れ方によるんじゃない?再生は出来ないだろうし、命令は奥へ行ってモンスターを倒せだしねぇ。考えられる状況は無数だよ。)


(なら、そのガーディアンが不時着してまだ戦ってる可能性もあるのか・・・。)


 損傷と言うかばら撒かれたパーツからガーディアンは壊れたと思っていたが、下手すると不時着して未だに戦ってる可能性もある。エネルギーが何かは分からないが簡単にはエネルギー切れで押し負けるとは思わないが、ムカデなんかから直下攻撃を受ければかなり厳しいとも思う。う〜ん・・・、案ずるより産むが易しか。


 嬉しいのは未だに戦ってくれている事だが、無差別攻撃状態だとそれはそれでヤバい。出来れば爆散してパーツだけ残してくれた方が理想的ではあるが・・・。仮に輸送機と同等以上の命令系統システムを積んでいた場合、奥でモンスター倒せと言う指示に対してどう考えるか?


 機体が残っているなら徹底抗戦だろうが、兵装も全ておシャカにされて機体だけなら体当たりしまくってるとか?モンスターは体当たりで死なないと思うが、通常兵装に近接武器がないとは言い切れない。


「俺達はいいっすけどクロエさんは大丈夫ですか?ゴスロリとか着ます?」


「いや、キセルがあれば十分。先に言うけどガーディアンがどんな状態かは分からないしモンスターも何がいるかも分からない。下手すると洞窟に出て崩落とモンスターハウスのダブルパンチもあり得る。気は抜くなよ?」


「洞窟内だったらどうします?」


「その時は雄二に先導を頼む。ここも結構入り組んてたけど足はあった。でも、次は自力だから洞窟内なら壊さない様に進むか、最初っからぶっ壊す前提で一直線に外に向かうかだね。流石に洞窟の上に何があるか分からないし、壊して進むのは最後の手段にしたい。」


 そう言ってキセルをプカリ。今回はドレスではなく遥に作ってもらったハイネックロンTとGパンなのでイマイチ魔女は乗り気ではない。まぁ、モンスターがいれば興が乗るので大丈夫だろう。前回もドレスが邪魔になって最終的に脱いだしね!


 卓はヒーローとなり雄二は剣を抜く。今さらゲートを抜けたら平穏だとは思わない。ただ、願うなら近くに次のゲートがあってみんなで無事に辿り着きたい。


「じゃあ、先頭貰うっすよ。」


 そう言って雄二が入って間髪いれずに俺達も入る・・・。


「邪魔だクソボケ!!」


「ババを引いたか!だが、ヒーローとは逆境でこそ心の強さを見せる!とうっ!」


「なんなんすかコイツ等!」


「知らん!殺れ!」


 ゲートを抜けるとそこにはモンスターのドアップ・・・。強化して頭突きしたがダメージはあるのだろうか?不意打ちするモンスターに不意打ち返しをしたが、出た場所は洞窟内で卓の炎が辺りを照らす。空間的にはゲートが入るくらいの高さはあるが、いるのは俺よりも多少背の低いモンスター。


「天井警戒怠るな!上からも来る・・・、ぞ?雄二先導!このままじゃ蜂の巣だ!」


「こっち!」


 雄二が走りその後を俺と卓が追う。上ではギロチン下では射撃型、背の低いモンスターは頭が広がって傘の様になり弾丸の雨を凌ぐ。ダンゴムシの次はアレが狙い目か!強度は実証された。一体に煙を巻き付け突っ走るが、雄二はいい。先頭だから安全な道を1番に進める。しかし、後続となると話は別!


 矢の雨が降るとして自分に当たる物だけを切り払えばいいと言うのは幻想で、密度の濃い雨ならハリネズミは確定。その雨がランダムに降るのではなく、統制された射撃なら逃げ場はない。飲まず食わずで戦えるモンスターだからこそ出来る荒業だな。


「燃え上がれ僕の炎!鋼鉄の雨を溶かしこの場に光を!」


「スライディング!凍てつけ扉!門を閉めよ!ここは冬のたまり場凍えて眠れ!」


「邪魔な弾だな!でもどこを斬ればいいかは見えてる!」


 卓の魔法でモンスターの弾丸は赤熱するが溶かし落とすまでには至らない。まぁ、溶かし落とせば被害はさらに広がるのでこれでいい。しかし、地面に落ちれば熱波が広がるので雄二の先導する先に入り蓋をする。だが、放たれた弾丸は早く結局走り抜けるではなく足からスライディングで出る羽目に・・・。先導していた雄二が一部の弾丸の先を切り払って横の弾丸に当てて隙間を作ってくれて良かった。長い髪が邪魔をして一部穴だらけにされたが、巻き戻るので大丈夫。


 そんな遭遇戦を終えても休む暇はなく、引っぱり出したモンスターのクリスタルをさっさと抜いて素材へ。取り敢えず頭は硬そうだが、それを見聞する暇なく指輪に放り込んで走り出す。


「雄二は引き続き先導、私はモンスターの感知を担当、卓は後方警戒と遊撃。」


「「了!」」


 プカリと吐き出す煙を風に乗せて行き渡らせながら視界は変えっぱなし。モンスターはそこそこいるな。天井に張り付いてるのもいるし、さっき素材にしたのもいる。


「前方20!さっきのキノコだ!」


「見えたっすけど、突撃してきてる!でもこの先っす!」


「なら押し通ればいい!水平型フェニックスキーック!!」


 早い話が真横に飛ぶ飛び蹴りだが、頭を正面に突撃して来るキノコモドキに着弾。しかし硬いな!足型は付いたがぶち抜けていない。


「加勢するぞ!」


 蹴りの反動でバク宙しながら着地した卓の横を雄二が駆け抜け剣を振るう。何度か打ち合い硬い傘で剣を凌ぐが、すぐさま攻撃に転じた卓が雄二の相手する以外のキノコをぶん殴る。なるほど、胴体は頭より柔らかいのか。狙うならピンポイントと地中から出した魔法の槍は確かにモンスターを貫き、卓と雄二の攻撃も胴体と言うか傘以外には通用する。


 キノコだと思ったらダンゴムシからの進化かな?アレも腹は柔らかかったし。やり方が分かれば後は早く天井からの射撃や地中から湧き上がるムカデを回避しながら進む。畜生!崩落が怖いから派手にしてないのにモンスターが壊すな!次あのゲートから出た組は泣くぞ!やっぱり崩落が怖いとかではなく天井をぶち抜くんだった!


「あの先が外っす。」


「後でキノコ鍋でも食おう。なんか無性に腹立ってきた。」


「それって天井ぶち抜かなかった事に対してですか?」


「それもある。それもあるけど、仮にここが崩落したら次はどこに出る?流石に瓦礫の中に出る事はないと思うけど、さっき私はモンスターの目の前に出された。仮にあの距離分のスペースがあればスィーパーを転送出来ると考えるなら、ぶち抜いたら完全にオープンスペースを作るか完全に地中に埋めるしかない。少なくとも、空間があれば生き埋めの可能性があるからね。」


 歩く大地がある関係上下手にぶち抜くと上から土が落ちてくる。地面は還元変換しないと言うか、他のモノより緩やかに分解されては降り積もっているらしい。なので下手にスペース開けて埋めると出た人は土の中にいる状態になるんだよなぁ・・・。浅ければいいが深いと目も当てられない。救いがあるとすれば、この先洞窟を木が支えてるとか?アレなら壊してもすぐに回復するし・・・。


「何にせよもう外っすよ。襲撃を警戒しつつ今来た所を観察しましょう。」

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タコの頭に鳥の胴体にしなかっただけセンスはある、と言っていいのだろうか? まあ不整地での高速移動対応と考えればこの組み合わせも有りだろうか いやそれこそ飛びゃいいのか
バカ鳥なんだかウマポイのに比べ姿がイアイアな方向になってるな ゲートが今度は地中に有るパターンに、今回はバカ鳥いて洞窟があったけど 完璧に砂や地面の中の空洞、又は水や劇物の中で次にそれを送り続けてる…
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