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街中ダンジョン  作者: フィノ


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519話 やる気のある人々 挿絵あり

「女王陛下と知り合いになるとは・・・、謁見したのでござるか?」


「違います。私としては全く会う気はなかったんだけど、事の流れによって会う事となったんだよね。まぁ、正式に謁見したとか公式な訪問をしたとかの記録はないから、知ってる人だげ知っている感じとか?」


 公式に謁見するなんて流れなら俺は拒否と言うか、会う理由がないので行方を眩ませていたかも。流石にマスコミ入れて大々的にやるとは思わないが、副官房長官である松田が立ち会うとなると非公式でやるのもおかしくなる。まぁ、国同士の付き合いなので全てをオープンにしなければならないわけではないが・・・。


「相変わらず公の場はお嫌いですな。」


「元々一般人ですよ?今は半公務員ですが、流石に女王陛下に対する公式の場での礼儀なんて知りません。下手な事してボロが出るよりは、最初からその芽を摘む方がいい。」


「拙者も嫌でござるなぁ〜。でも、一度くらいは不敬と言われてみたいでござる。しかし、その杖なる物は簡単に作れるのでござるか?女王陛下もそれを使う様な口ぶりでござるが。」


「う〜ん・・・、どんなシナリオか分からないけど多分使う。本人の有するエピソードから考えても、使わないって手はないかな?物としては単純明快に魔法が使える杖だし。」


「ほう!それは受け渡しとまた違ったものですかな?」


「受け渡しを少数回使用で単一魔法しかし使えないものとするなら、杖は複数回複数魔法を使えるものですね。アレですよ、知ってるかは分かりませんがゲームのマテリア的な?」


 ポコポコ付け替えて使うわけではないが、受け渡した魔法も杖の魔法も感覚としては同じになる。その代わり杖は1本で色々出来ると言う部分が違いと言えば違いかな?流石にまだモンスターを殴ってないので、殴って壊れるかも分からないし、防御系としてもメアリーに渡したのは子供を護ると言う思いの詰まった物だけ。回避全振りなので受け止める事はほぼ想定していない。まぁ、鉄程度の強度はあるよ?流石に柔らかすぎれば子供が壊すし。


 後は売り言葉に買い言葉でイメージを循環させて受け渡しよりも長持ちするとかかな?量産するにしても子供に渡すなら逃げる専用で作らないといけないし、それを販売するとなると元締めはやはりギルドかなぁ?そのうちSTOP!脱法杖!とかポスター作る?


  挿絵(By みてみん)


 いや、物だけならモンスターとの戦闘でも使えるし規制は無理か。犯罪に使われないと言う保証がないので割と厳しい面もあるが・・・、そこは獣人スィーパーに期待かな?サイラスの転移魔法が薄っすらとでも見えたのなら、多分杖を使って使う魔法も見えるだろうし。


「なるほど、それなら拙者と親和性は高そうでござるな!今も似たような感じで永久機関を作らないかと言われているでござるし。」


「永久機関?それってまさかラボの動力?」


「ゆくゆくはそうしたいみたいでござるよ?各国のスカウトされた学者先生達が理論を構築しては殴り合って不備を指摘しているでござる。」


「高槻先生・・・、いつからラボは肉体言語を推奨しだしたんですかね?」


「ソーツとの邂逅配信からですな。正しき者はその情熱で暴力に打ち勝つとしてやっている様ですよ?元々自分で構築した理論や似た様な物を作ったとして、より優れた方がメインとなります。まぁ、物自体や理論は残すんですけどね。怪我したらそのまま検体コースなので問題はないですな。それに、思いっきりやり合ってスッキリしてから再度共同で取り組む事もありますし。」


「斎藤殿も最近は暇を見つけたら身体を鍛えているでござるよ。」


「学者としての闘争心が爆発してるなぁ・・・。その永久機関の理論ってどんなもの?」


「色々あるでござるが、ざっくり話すと設計図にあった特定条件下でエネルギー装置を作る案が1つ。魔法で精製し続ける様な機構を作るというのが1つ、最後に都市型循環システムを構築して人や動物が住めば、そのままエネルギーとなる様な仕組みを作る案があるでござる。宇宙開発の話しが会議でも大々的に話されたでござるし、争点はゲート非搭載型のコロニーに対する延命と言うか、食料なんかの生産率をどこまで単一で賄える様にするかでござるよ。」


 取り敢えずブラックホールエンジン作成は回避されている様だ。まぁ、流石に今そんなモノに手を出して失敗したらどうしようもなくなる。でも、宇宙ならいいよね?とかも言い出しそうだし、ブラックホールを間近で観察しようなんて言う酔狂な人々が出てこないとも限らない。まぁ・・・、うん。自分の命なので、そう使いたいなら使いばいいと思うよ?他人に迷惑のかからない範囲でだが・・・。


「永久機関の話しはいいとして、杖は何か試供品的な物はありますかな?」


「英国で作った物は全部贈与品にされたので、簡単な物を作りましょう。そうですね・・・、ちょっとあれ取ってが出来る的な物を。」


 英国でイメージは固めたのでそこそこ早く作れる。ただ、材料何にしよう?ゲートの中って還元変換するから材料に乏しいし、やっぱりカーボンかな?人がいて呼吸して吐き出してるならそれがないわけもないし。売り言葉と買い言葉は呪文を入れる関係上必要として、純粋に伸びて物を取ってくれるだけの杖。それこそもうマジックハンドとかでいい。なら、金属探知機の亜種として作り、呪文の頭だけ『アレ』と言う物体Xにして、その部分に必要な物を思い浮かべる様にする。


 使い勝手は悪いな。アレがどこにあるか分かっていないと探し続ける事になるだろうし、杖としては探せと指令を受けているのでやめろと言うまで探し続ける。ただ、明確なイメージと指示があればそこそこ長持ちはするかな?


「ほう・・・、糸の時も思いましたが不思議なものですな。これも全て魔法ですか?」


「いえ、物自体は炭素を固めて作ったカーボンですよ。受け渡しよりも長持ちで、製作者の込める魔法やイメージでかなり自由度が高い。その半面受け渡しみたいにビー玉サイズではなく、そこそこ大きくなるのがネックですが、まぁ不便はないでしょう。はいどうぞ、これは先生にあげますよ。」


「杖を作るとしてやはり全部の工程は魔法がいいのでござるか?」


「作り方によるかな?必要なのは魔法を発動させる受け渡しの部分。それを何重にも織り込んだり重ねたりして回数を増やしたり、場合によっては使用者に寄り添う形にしていく。今高槻先生に渡した杖は全て魔法で作ったから材料はCo2だとしても、長くなったり先生の思う様に動いてくれる。そこで重要なのが詠唱。作った人が好きに決めていいけど、ある程度はやりたい事のイメージにそう方がいい。先生『アレ取って。』それがその杖の呪文です。『アレ』の部分を欲しいものにして、どこにあるかイメージしながら言ってみて下さい。」


「ふむ『エナドリ取って。』・・・、ほう!これは便利ですな。」


 高槻が杖を持ちながら詠唱すると、杖が伸びて席の後ろのエナドリに巻き付いて戻って来る。動きたくない人はこれで更に動かなくなるな。渡すと寝たきり真っしぐらに思えて量産していいか迷うが、あくまで防犯の杖として作るなら多分大丈夫なはず!


「確かにコレは拙者向きの技術でござるな。嫁達を効率的に動かすなら蓄電式と電池式の両方と思い電気の封入をやってみたりしていたでござるが、骨格部分を魔法で作り魔法糸で筋線維等を作っていけば魔法生物としても成り立ちそうでござるな・・・。新たな造形の夜明けぜお!!!」


 藤が叫んでバチバチ放電した雷を形にしようと躍起になっているが、ここでそれをすると感電のリスクが・・・。まぁ、制御出来てるから大丈夫なのだろうが、髪の毛が逆だとうとウズウズしている気がする。なんにせよやる気はある様なのでよしとしよう。


「取り敢えず何かイメージは出来た?」


「難しいでござるが嫁の為ならなんのその!要は作成も込みで魔法を加工し、それでも足りなければ学者先生達に要請して手伝ってもらえばいいでござる。面白そうならここの先生方はヘルプに応じてくれる故、女王陛下のお披露目が楽しみでござるな!」


 藤がウキウキしているが、お眼鏡に叶うものだといいな。と、言うか自分戴冠式ってメアリーは職に就いていなかったと思うが特殊メイクでもするのだろうか?ジョージは若返ったと発表してDNA鑑定とかしこたまやって本人と認められたし、メアリーもその辺りは大丈夫だと思う。後はその戴冠式で何を語るかだな。


 会議の流れではほとんどの国が宇宙開発に目を向けたり、交渉内容に目を向けたりと未来志向な所が多い。しかし、それは同時に明日を見ていない。確かにゆくゆくは宇宙に出る事になる。だが、それが明日かと言われたら違うし、明後日かと聞かれても違う。日々進歩はするがそれでも普通の人にとっては見えない地球離脱よりも明日なにするかの方が大切だろう。


 ラボでそんな話をして数日。どうにかこうにか日本へ帰り着き、東海林からのインタビューがあるかと思えば、東海林自身が英国にいるのでインタビューの話しは延期となり、代わりに各本部長達と連絡を密にしながら仕事をこなす日々。藤に杖の事を開示した様に兵藤含め魔術師中位には情報を流し議論を行う。


 やはりと言うか争点は杖の安全性で、受け渡しが出来る魔術師も増えた中で勝手に作られれば警察も大変ならギルドもてんやわんやになるのでは?と言う意見が多かった。やはり新しいモノを広めるのは難しい。どんなに安全に作ろうとも、それを使う人間に悪意が宿ればたちまち凶器と化す。例えば高槻に渡した杖だ。


 あれで仮に『心臓取ってきて。』とお願いすれば、杖は紛れもない凶器となる。まぁ、対策としては強度を落とすとかかな?スィーパーではなく、普通の人が壊せるレベルならまだ逃げる余地もある。この議論は政府預かりでどうするか検討するとしているが、そんな中でメアリーの戴冠式が行われた。



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「よろしいですか女王陛下。」


「ええ!派手に行きましょう!古臭いものが最新に置き換わるその瞬間、英国はその歩むべき道を歩き出すのだから。」


 女王陛下も思い切った事を考えるのぉ・・・。壇上は空、そしてそこへ向かうのに自身の足ではなくワシの移動を所望された。国外にバレれば面倒だと思ったが、クロエの様に消えて現れただけを押し通すようじゃわい。


 今は特殊メイクで老婆となり、その頭には輝く王冠を被られカテリーナと杖を持たれておる。そのどちらもがこの国のものではなく、クロエより贈与された魔法の品。ええんじゃろうか?コレをここで使えば新たなるレガリアとされそうじゃが・・・。


「地に芽吹く2つの実。風よそこへ運んでくれまいか・・・。」



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「現場の東海林です!英国バッキンガム宮殿前は凄い賑わいを見せています!これからエリザベス女王陛下が戴冠式を行うそうですが、次の英国の君主は誰か知らされていません!地元市民によると、女王陛下は病気療養中だったと言う話もあり、英国政府に対してゲートの薬等を何故使わないのか?そんな疑問や不信感が囁かれています!」


「東海林さん、確認しますがこれから戴冠式と言う話で間違いないんですよね?」


「はい!国際会議後、各国報道陣に対して数日内に戴冠式を行うと言う話しがもたらされました。国際会議での各国の思惑が話された中、これが一服の清涼剤となればいいと思います!ホテル代も英国政府が出してくれたので、撮影クルー一同感謝しています!」


「お金の話しはいいですが、もうそろそろ始まるんですか?」


「はい!そろそろ壇上に女王陛下が・・・、あれ?もう登壇されてる?えっ!カメラマン撮れた!?は?急に現れた?・・・、魔法?英国は魔法省を設立し、魔法に注力している国です!その国の女王陛下が魔法で登壇されました!女王陛下の横に立たれる方は魔法省長官サイラス氏です!」


『ご静粛に・・・、コレよりエリザベス女王陛下の戴冠式を行います』


 静まり返った広場に浮かぶのは疑問符。ワシも知らなければ不思議に思う。何故相手の名が呼ばれすエリザベス女王陛下の名が呼ばれるのかと。しかし、そんな疑問符を横に女王陛下はさっさと冠は台座に置いた。そして、誰もがまだ見たことのない新たなるレガリアとなる杖を掲げる。


「チャイルドシルダーよ!私の愛すべき国民を・・・、子供達を護る為に魔女によって作られた杖よ!呼びかけに答えて『出でよ守護精霊!四方に有りて護り、災いを退ける者となれ。』さぁ、精霊さん、私を剥がして新しい私としてくださいな。」


 杖より現れた精霊達は女王陛下の言により特殊メイクを剥がし、老婆に見える様にした細工した器具を外し最後にその服に手をかける。普通なら暴漢に襲われていると止めるじゃろう。しかし、その素肌は晒される事なく呪文を紡がれたカテリーナが服となる。


 誰もが唖然とする中、紡がれた魔法は人々の目に焼き付き新たなる女王は更に呪文を紡ぐ風にして口を開き、ワシが派手に演出をする。地より芽吹かせるは黄金樹に聖堂、風が運ぶは心地よい旋律。風の精はシルフじゃが、スモークを使いそれを風で囲みダンスをさせる。割と手間ぞゃったぞ?


「さぁ!精霊達よ私を新たなる女王エリザベス・アレクサンドラ・メアリーとして冠を!」


 風の精が・・・、その他の精霊達が置かれた冠を皆で運び女王陛下の頭に乗せる。やはり良いの。その冠はエリザベス女王陛下によくお似合いだ。


  挿絵(By みてみん)


「私事、エリザベス・アレクサンドラ・メアリー・オブ・ウィンザーは新たなる英国の君主として、新たなる君主誕生の時までこの身を捧げます。ええ!古臭い伝統を新たなる伝統に変え、幻想とされた魔法を白日のもとで使い、魔法立国として隔絶した技術を磨きいずれ空の果てに旅立つ時まで!大地と共に生きましょう。帰る場所は確かにあります。魔術の腕を磨きたいと願う者は受け入れます。なにせ英国は魔法の都。その新しい君主が魔法と共にある事はとても自然で楽しい事です。」


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― 新着の感想 ―
まあ魔法は法則の方は脱法してるからある意味STOP出来ないけど
次の君主ハードルが高い、 これ周りからみたら上位の魔術師じゃないと駄目そう 大統領や総理は次がすぐだけど君主は長いから クロエを名誉貴族とかにして電話友達にはしなかったか ただのメアリーの友人でする…
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