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街中ダンジョン  作者: フィノ


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閑話 98 とある星の歩み 挿絵あり

 勇士は魔物の光を交わせる。勇士は魔物を殴れる。勇士は超常の力で魔物にダメージを与えられる。勇士とはそれだけ優れた者達だ。だから勇士を増やし魔物を退け生きる糧とする。しかし、勇士はその魔物と戦い死ぬ。足数本なら再生出来るが胴や頭は無理だ。流石に脳と呼ばれるものが2つやられれば再起は出来ない。


(駆体も脆いな。来る前にあの御方から聞いた限りではもう少し頑丈なはずだし、文明レベルも低いが合格点とあった。しかしなんだこれは怠惰で蒙昧。平たく言えば雑魚だな。)


 奉公する者?救済者?が悪態をつく。それに反論する暇なく斜面を蹴り光を躱す。勇士と成れる様努力はした。日々勇士の補佐を行い共に各地を回り魔物を先に見つけられる様感覚を研ぎ澄まし糸の扱いも身体も鍛えた。しかし、それでも私は脆いのか?いや、そもそもなにと比べて脆いんだ?魔物か?石か?守りの呪いか?


(ふむ・・・、お前あの雑魚を倒せ。)


「はぁ!?分が悪いんだろう?出て態勢を立て直して魔物を倒す!」


(そうか、なら好きにしろ。滅んだならそれで構わん。別の者に救済者として働かせるだけだ。)


「その救済者とはなんなんだ!私でなくていいなら離れて他を当たれ!私はここを出て外で勇士として魔物を倒す!」


(どこで魔物を倒しても変わらんだろう?魔物・・・、ゴミは此処から出てきているのだぞ?なら、この中で倒そうと外で倒そうと変わらん。)


「それでも外には私達がいる!」


 ここで死ぬわけにはいかない!ここで死ねば勇士のなり損ないとして何も残さずに死ぬ。それはダメだ、私を逃がしてくれた勇士達に申し訳ない。生きて延びて外で魔物を倒し糧となる。ここでの死は無意味だ!


(生きる事に意味などない、意味とは自身である。故に吾は奉公する者。あの御方に指示された故に来たが、お前達は何1つ残さず知らず知ろうとせず、積み重ねず打ち崩したからそうなったのだな。終門の時は思ったよりも近い。)


「能書きはいい!」


 光が足を貫き2本潰される。外に出て薬を使えばまだ数日で生えるが、魔物相手では太刀打ち出来ない!まだ扉は見つからず魔物は増えそれに合わせて光も、魔物の持つ牙も増える。あの牙はダメだ。打ち合う事さえ許されずに呪いごと斬られる。私達を殺す為に生み出された様な魔物は、光も牙もその存在も含めて私達を殺そうとする。


(戦わぬなら逃げろ。ほら、魔物の横に扉があるぞ?)


「なっ!?」


 確かに扉はあった。奉公する者と名乗る異形が言う様に魔物の群れの中に扉は見える。しかし、その扉に向かうのは死ぬのと一緒だ。10の魔物がその扉の周りにありコチラを見ている。いつ光は放たれる?いつその牙は振るわれる?迂回して他の扉を探せばまだ帰れる。


(逃げる口実は用意できたか?ならさっさと逃げろ。)


「戦えと言ったり逃げろと言ったり勝手な奴!」


(物事とは状況によって変化する。そして、今の状況は極めて悪い。箱は絶対に手放すな。それだけで上出来としよう。)


 距離を取り別の扉を探す。魔物が更に増えている様に思うが目を動かせばそれも分かる。しかし、その隙さえ惜しい!どこだ!扉はどこだ!遠くで光の糸が見える。それは多分、他の勇士が出来損ないの烙印を押された光。200あっても勇士と成れるのは多くて30。邪魔な箱は捨ててしまいたい。それだけでどれだけ走りやすくなるか・・・。いや、中身を出せば軽くなるのか!


 中にある黒い物体を掴み箱を投げつけひた走る。幸運なのか光は箱に当たり一瞬少し軌道がズレて直撃しなかった。しかし、それでも休む暇もなく走るしかない。止まれば増えた魔物から数多の光を浴びて私は死ぬ事となるだろう。


(ふむ・・・、コレはお前達にとって武器となるか?)


「知らん!見てる暇はない!」


 言葉を切り地を蹴りかすめる光で駆体の一部を切り離され、紫の体液を撒き散らしながらも止まらず転がる様に進み扉に飛び込む。3つ目の日が昇り辺りは明るく、見渡せば勇士となるべく集められた場所に出た。中は魔物の巣、古くから言われたそれは真実であり2度と入りたくはない。たとえそれが試練であろうとも、だ。


「戻ったか!名は!」


「ギシカ。勇士として新たに立った。なくした身体を脱皮で治す。」


「いや、薬を使え。脱皮は少しとは言え寿命を削る、見た感じ数日で生えるだろう。」


「分かった、他は?」


「お前を含めて今は15、多分もう戻らないだろう。それは?」


「この黒い物か?必ず持って出ろと言われた。教えて欲しい、勇士とは別の何かから指示を受けるものなのか?他の勇士からはそんな事を聞いた事がないんだが。」


 先に勇士となり古来人を護衛するガゾルが不審な感じを放つ。やはりあの声は魔物の攻撃ったのだろうか?そこに留め私達を刈り取り魔物が溢れかえる地にする為の・・・。勇士がいなくなれば私達は死に逝くのみ、なんの対抗手段も持たない子や私達に生きる場所はない。


「古来人に聞いてくる。薬を貰いしばし待て。」


「分かった。」


(その薬とはすぐに戦える程治るのか?)


(・・・。)


(だんまりか。別に吾は困らないからよい。あの御方としてもお前達が選択した結果ならそれでよいと言われているしな。どうせここにはあの御方の一部も現れぬだろうし死ぬならさっさと死ね。吾は帰りあの御方を磨き清め歌い楽しませ、あらゆるしがらみから解き放つ為に奉公したい。)


 取り憑かれたのかあの声がする。回答はしない。適当な事を言われ黒い物体を持たされ、勇士ではなく救済者と言うわけの分からない者になったと言う様な魔物の攻撃の残滓に応える言われはない。薬を貰い傷を癒す。塗り固めて失われた部分の形にしておけば数日で動く様になるだろう。ただ、その間の不快感はどうしようもないが・・・。


 古来人曰くこの薬はもっと凄い物だったらしい。薬に失われた部分を漬ければたちどころに傷は癒え、脱皮の必要もなく魔物と戦う。今は亡き伝説の勇士達は寝る事も休む事も止まる事もなく、その命尽きるまで戦い抜いたと言う。しかし、それも失われ今は数日はかかる。


「ギシカ、古来人が呼んでる。すぐに来て欲しいとの事だ。」


「分かった赴こう。」


 ガゾルに連れられ黒い物を持って進む。古来人はガルシス様のある膜の中にいる。強固な膜だと聞くが作れる者は古来人のみで、その古来人も材料がなく作れないらしい。維持しているガルシス様とて長い間そこにあるので、後どれくらいここが聖都として維持出来るかは不安。それを思わせる様に膜は何処か頼りなく見えてしまう。


 ガルシス様の前にある古来人は不遜に私を見る。私は古来人が好きではない。その知と技術を称えられガルシス様の代弁者としてあるが、勇士でもなく取り込む物を作るでもなくある古来人は戦いに不要だと思う。


「勇士ギシカ、赴きました。」


「来たかギシカ。ガゾルお前は出て待機。して、本当に声が聞こえたのか?」


「はい。これは魔物に取り憑かれたと言う事でしょう。勇士として戦えない事を残念と考えますが、他を害成す前に処断を。」


「処断はない。その声はなんと言った。」


「救済であると。そして私は救済者に成ったと。」


「おぉぉ・・・、おぉぉ・・・!対話者が!ようやく!ようやく勇士ではなく対話者が産まれた!これで私達は再起の時を迎えられる!ガルシス!統合防衛機構ガルシス!残存する防衛機構にアクセス。救済者ギシカに一部権限を承認せよ!」


  挿絵(By みてみん)


「待って欲しい。対話者とは?一体何を話している?」


「戦闘量産型生物、ギシカ。詳細確認により勇士外である事を確認。権限者の要請により一部権限の承認を決定。各防衛機構と同調。承認完了。指定されたモノを授けます。」


「救済者ギシカ・・・。これより古の知の一部を授ける。その声は神の声。決して逆らうな。逆らえば我々は・・・。」


「・・・、各防衛機構より異常報告。」


「異常?ガルシス!異常とはなんだ?」


「同調、回線を開く。『これ以上の掃除を不可能と断定。永らく第85264256還元変換処理セクターの掃除を放棄した事が確認されました。このセクターは閉鎖され以後、再稼働の予定はありません。溢れたゴミについては精査の結果十数万年で全てのゴミが稼働を停止します。以上。』」


「まっ!待って欲しい!それでは我々の栄華は!荒廃し煮上がった星で何が出来る!我々はまだやれる!確かに過去よりも劣ったがまだ戦うモノも知識も残っている!我々を・・・、我々を見捨てないで欲しい!思念制作群体よ!何が必要なんだ!何を差し出せばまだ我々の元にセクターが残される!我々には報酬が必要なんだ!」


 ガルシス様のモノでないモノが聞こえる。内容は分からない。音として捉えられるが古来人のたまに話す分からない音と一緒で、何を発していているか理解出来ない。ただ、尋常ではない事が起こったのだろう。古来人はその場で崩れる様に叫び透明な体液を流す。まさか、ガルシス様が死んだのか?


(同族の方も全て席を立ってしまわれたか。・・・、はっ!その様に。えっ?吾はさっさと貴方様の元へ戻り奉公奉りたいのですが?いえ・・・、無理では!決して無理では!しかし、どれくらい溢れているので?・・・、はい。殺し尽くせば終わりですな。しかし、この個体が死亡した時はどうしようもなく・・・。ええ、無論最善を尽くし奉公しますとも。)


「これより個、ギシカに指定物を授けます。」


「待て!今はダメだ!」


「否定1。他の否定・・・、なし。続行します。」


(一部ではなく全ていただく。そこの愚物達は無能で不要だ。ギシカが全権者となろう。)


 古来人が何かを叫ぶがガルシス様は生きている様だ。伸ばされた腕が頭に差し込まれ何かされる。そして、奉公する者はアームを逆流し全てを取り込んでいく。取り込まれたデータは頭の中に広がり接続され知を得ていく。私達とは何か?古来人とは何か?魔物とは何か?何をしなければならなかったのか?断片は像となりボンヤリとした輪郭を見せ知るべきでない事柄も見せてくる。


 元は勇士だけではなく様々な可能性があった。魔物の巣は本来その中で魔物を倒し外は生活の場であった。そして報酬を得て古来人達は宇宙に出向き豊かに暮らした。それは壁画の内容で、その壁が以降の記録もある。古来人は怠け私達を作った。しかし、思う様な成果は出ずにひたすらに死に、残った者は分布しそして古来人の指示で生活を作り力を得る個体が現れた。


 勇士だ。古来人の勇士ではなく私達の勇士。そう、今まで指示していた古来人はただの管理者で目に見えない古来人は私達の死と引き換えに勝手に報酬を持って行っていた。ガルシスと言うのはその古来人を護る機構で私達を守るものではない。そして、承認された権限とは他の私達を強制的に指揮する権利。それは本当に強制的でもありそうしたいと思わせるモノ。


 更に奉公する者が奪ったのはガルシスと言う機構その物。宇宙の古来人は私達を観察して楽しみその生も死も娯楽と感じ、私の様な対話者と呼ばれる者が産まれれば巣に閉じ込めて使い潰す。それが古来人の代わりとして私達に求められた事。そして、ガルシスから巣に入れと強制力が送られる。


(門は閉じた。魔物は残った。さてお前はどうする?吾としてはお言葉を承った以上全力は尽くす所存だが?)


(その全力とは私達の解放か?)


(解放?吾はゴミを潰すだけだ。十数万年と言う歳月は瞬く間だがそれでも種は滅ぶ。ただまぁ、あの御方は愚物よりもお前達の方がいつの日か新たなる見ものになるとお考えだ。だから慈悲深いあの御方は吾をよこした。お前が解放を望むなら自らで成せ。吾は魔物を倒し願われれば道を示すのみ。故に言う解放を望むなら愚物を排除し自らで立て。)


 勇士は戦いに身を置き朽ちて果ててその身を肥やしに土地を育て私達を守る。しかし、もう勇士は生まれない。魔物の巣は閉じ魔物と戦える者は誕生しない。なら、後は古来人がここへ攻めてくるのか?どれほど後かいくつもの子の時が過ぎた後かに・・・。私達とはなんだ!なんの為に戦い朽ちていく!?私は・・・、私は子に何が出来る?


(魔物は倒す・・・。自らで立つ為に古来人が宇宙から来るのを止めたい。私達は使い潰されるだけのモノじゃない。私の子も、その後の子もその次も!古来人の道具じゃない!どれだけ戦えばいい!どこで戦えばいい!)


(そうか、先に言うが吾はあの御方達程万能ではない。故にこのガルシス?とか言う物を使う。そうだな・・・、最低でも半分。可能なら全てを制御下に置けば愚物共は手も足も出せまい。それこそ、愚物が滅ぶまでの時も用意出来よう。)


「どうする?どうする?どうする!?他の星の開拓は上手く行っていない!無限の報酬があればそれも不要とこの前の議会で否定された。魔物の血肉で汚れたこの星の再生には時間がかかりすぎる。寧ろ、今の同族ではまともに生き抜くだけの力が・・・。しかし・・・、ギシカ!救済者ギシカ!救済を!私達に救済を!」


「否定する!私は私達を守る為に戦い朽ちる!そこに古来人はいらない!」


「ちっ!下手に出れば道具風情が!創造した我々に歯向かうのか!?ガルシス!疑似人格を停止しこれを完全制御し傀儡としろ。研究して感情がなければ勇士として戦えぬから感情を作ったが、言うに事欠いて造物主を否定するなどあってはならない。


 ふむ、この個体の中には思念制作群体の残滓が残っているのか?声が聞こえるならまだ繋がっていると仮定して、そのラインを辿ればまた邂逅し報酬が貰える。


 大丈夫だ、我々はまだ有用なはずだ。いや、こうして残滓を残したと言う事は出向くだけの技術を見せろと言う事か?・・・、もしかすれば思念制作群体は我々の技術を恐れた・・・、のか?そうだ、こうして戦闘出来るモノを創造し運用した我々の技術に恐れをなし、越えられぬ様に報酬をなくし停滞を招いたに違いない。ん、ガルシス?どうした?」


「・・・。」


「ガルシスはお前には従わない。奉公する者が制御下に置いて私が制御している。」


 接続されたアームは外され自由に動ける。古来人の技術はガルシスを通じて拾える。奉公する者と名乗る者はよく分からない存在だが、少なくとも古来人よりはマシだ!だから私の中にあり共に戦うコレを私は信じる。


「許されない。その様な事はあってはならない。ちっ、通信も遮断したか。ガゾル!コレを打ち倒せ。首から下はいらん。」


「はっ!」


(ガゾルに命令は?)


(出来ぬな。あれはお前達の様に見えて違う物だ。それより来るぞ?武器を使え武器を。)


「ジャーーーー!!!!!」


「っ!?」


 似た姿のガゾル・・・。時に話したガゾル・・・。私達と共にあったガゾルはしかし、バラバラのパーツとなり魔物の光を放つではなく牙や爪の様に生やして飛んでくる。なんだこれは!こんな事があるのか!?生えてないか足で転がる様に避けるが転がる先にも飛来し数か所刺される。焼かれる痛みはあるが体液は出ない。その代わりにその部分が全く動かない!


「よく効くだろう?コレは反逆人格個体抹殺装置。お前達を始末する為だけの存在だ。我々に逆らわなければまだ勇士なんて言う空想の中で生きられたものを。」


「勇士を否定するな!私達の生き様を否定するな!私達は戦いに身を置き朽ちて土に帰る、そうして生きてきた!そうして生き繋いできたんだ!」


「それさえも作られたものだ。・・・、首だけ残してヤれ。」


 まだ動ける。刺された部分以外は緩慢だが動かせる。戦う為に生んだと言うならその生まれを尊び誉れとしよう。更に迫る爪や牙を手や足でいなし砕き糸で縛るも迫る物は多い。更に傷を負い守りの呪いも砕かれる。ゾルン、私ではダメなのか・・・?


(阿呆が。武器を使え武器を。)


(だから武器とはなんだ!?)


(その黒い物はお前達の武器なのだろう?箱の中には報酬と武器がある。そして、その黒い物は武器だ。まさか!お前達は武器さえ教えられずに戦っていたのか?)


(知らん!勇士とは駆体のみで戦い生きて来た。)


(やはりアレは愚物か。あの御方達が席を立つのも分かる。本来その勇士とやらも含め武装して戦う。・・・、お前、ちょっと制御をよこせ。)


(それで・・・、それでここが切り抜けられるなら。)


(2度はしてやらん。だからよく見ていろ。お前の機能は理解したからな。)


 胴に迫る爪や首に迫る牙、全身を貫かんと迫る無数に飛来する光の爪や牙はいつか見た闇の空を思わせる。見ていろと言うが私達は自分で闇を作れない。闇が欲しければ何かを被るしかない。駆体の感覚がなくなりいよいよその時が来るのか?


「ほう・・・、確かワイヤーチェーンソーだったか?なるほど、よく裂ける。」


「!?」


「遅い!圧倒的に遅い!この瀕死の駆体でもお前が雑魚だと分かるぞ?いや、今は全快か?まぁ、どうでもいいが。」


  挿絵(By みてみん)


 それはあまりにも一瞬だった。脱皮し外装を脱ぎ捨てると共に走る糸は触れただけでガゾルだったモノを切り裂き破壊していく。全快とは言え嘘の様に駆体は動きその速度は圧倒的で魔物の光さえ軽く避けられるのではないか?


「何が!?」


「黙れ愚物、吾は奉公する者。あの御方のより救済を承った。故にコレの糧となれ。」


(凄い・・・。)


(たわけが!お前はお前の駆体を分かっていない!そして、魔物の巣に入る意味もな!あそこはあの御方達が力を貸してくれるか確かめる場所ぞ!もう借りられぬが慈悲深い故、死ぬまでは見ていてくれる。)


「我々はまだ見捨てら・・・。」


「変われ。流石に慣れぬ事をしてお前の駆体が悲鳴をあげてある。」


「ぐっ・・・がガガガが・・・!!!!」


 古来人は何かを言う前に縦に裂かれ絶命した。ガゾルだったモノも動く事なく転がっている。終わったのか?バラバラになるほどの苦痛が各所から起こり転げ回りながらも生を感じる。


 どれほど転げ回ったのか・・・、ガルシスは動かず私を見ているがそもそもコレに意思はなかった。ただただ古来人に従う道具だった。重い駆体を引きずり他の私達が見る中ゾルンの元へ向かう。


「戻ったのですか?どうでした?」


「勇士にはなれなかった・・・。」


「それは・・・。」


 悲しそうな感覚が伝わるがそれには及ばない。そう、私はガルシスを通し古来人の話を聞き知ってしまったのだ。そして、私が何をしなければならないかも。


「悲しむ事はない。私は救済者となった。そう、勇士ではなく救済者。それがなんなのかは・・・、まだ分からない。だが、私は私の思う救済の道を歩こうと思う。」


 古来人の好きにはさせない。私の子もその後の子も多くの私達も含め、私達は私達として新たにこの場で魔物を倒しながら歩みだす。

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戦闘量産型生物等と言いつつ本編の地球人より弱いような もとの古来人とやらが技術力合格闘争心赤点ギリギリで報酬もらって心が折れたのかな?
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