表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
街中ダンジョン  作者: フィノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

558/878

475話 常識アップデート 挿絵あり

 立体を平面で立体的に見せる。早い話がテレビとか3D映像とかになるのだが、問題は画素数とか?ポスターやらの劣化って早い話が破損を除けば色落ちだし、人も目で見て違うと思えばそれは既に劣化している。輸送機のコアを考えると言語は光やあるとすれば波長なんかで間違いないと思うが、それを解明出来るかと問われれば、サンプルが今の所配信動画と最適化された中位の証言くらい?


 言語対話表を作るとすれば斎藤宛のソーツの手紙と言うかプレートからだろうが、それもまた解読?した賢者曰く古い文字らしい。ただ、魔女としては古くないと言う見解らしいので判断出来ない。そもそもコイツらの時間感覚が人とは全く違うだろうし、魔女と賢者のどちらが先に生まれたかなんて知らない。


 ただ、魔女達を1つの家族と考えた時に魔女って末子か長女?かな?中間子の可能性は考慮外として、魔女が一番物事の扱いが上手くて綺麗だから他は従ったとするなら、長女なら全てを率先して行い間違った経験も糧に成長しながら同族を見守る。


 ちょうどネトゲとかの初期プレイヤーとかベータテスターとかだろうか?新しいプレイヤーよりも技術や装備は上で、チームを組んだとしたら指示に従う方がメリットは大きい。しかし、性格を考えると長女ではないんだよなぁ〜。


 だから末子。日本と言うか各地域を見ても末子成功譚と言うのは数多く、例を上げるなら3匹の子豚とかだな。手っ取り早く言うなら兄弟の中で末子が成功する物は基本的に末子成功譚と言える。最大の武器は情報量だろう。ありがたい事に失敗事例も成功事例も数多く見れるし、それを元に新たな取り組みも出来る。


 物事が上手くなるコツと言うかスタートは上手い人を真似る所から。それに慣れて自分の色を出して我がものとした時に初めて、真似た相手と似た事をした時に比べる対象となれる。それに、率先してやったはいいものの事と場合によっては死ぬしな。魔女達が死ぬと言うか、何をもって死と定義するかは知らないが・・・。


「いっその事ヘルメットを四角にしたら?ブラウン管テレビ被ったみたいなら曲面をそれほど気にしなくてもいいし。」


(デザインの変更は不可よ?それをするならヘルメットなしで宇宙に行きなさい?)


(いや、作るだけならいいだろ?作らないと技術も発展しないし。)


(作るのは勝手に作ればいい。でも、それの使用を拒否する事もある。そして私は拒否をする。結果は見えてるんじゃなくって?)


(はい、見えてます・・・。)


「それは検討されたけど液晶テレビの液って環境温度でも変化するから宇宙では無理かな?いろんな人がコントラストとか反応速度を調べたけど思う様には行かなかったって言ってたし。まぁ、好きな人が好きに研究してるからそのうち打開策は出てくるんじゃないかな?」


「打開策ねぇ・・・。」


「ハルカ!ハルカ!!ハルカ!!!帰ったんなら早く教えて欲しかった!配信動画の言語学検証に君の力が・・・、スノーフェアリー・・・?まさか獣人だけじゃなくて妖精も!?雪の女王・・・。いや、姫様じゃないか・・・。」


 ヨレヨレの白衣に無精髭、分厚いメガネに鳥の巣の様な黒髪。清潔感とは皆無と言うか、痩躯で猫背なせいでどこかのフランケンシュタインを思わせる。見た感じ白人だがどこの国の人だろう?流暢に日本語で話しているので日本育ちと言われてもおかしくないし・・・。しかし、こいつ何言ってんだ?確かにコイツに比べると俺は小人レベルの身長かもしれないが、人とは認識してもらいたいものである。


「アル、入るならノック。ここは装飾部屋よ?誰かが着替えてたらどうするの!?」


「いや・・・、ほとんどの人は早着替えだし女性も獣人くらいしか・・・。」


 何気に娘が女性として見られていない件について。それ以前にここには女性研究者もいるから下手な事を言うと反感をくらう様な・・・。ラボでの生活スタイルの謎が深まる。まぁ、研究施設で裸ってシチュエーションの方が少ないよな。あるとすればアンブレラ社的な人体実験とか?


 流石に中位を捕まえてきて人体実験するのは無理だと思うが、下位ならワンチャンある?被害に目を瞑れば下位が下位を捕まえられない事はない。まぁ、それは高槻が許さないだろうが・・・。


 アルと呼ばれた男は娘の一喝で萎縮したのか俺の方をチラチラ見ながらだんまりを決め込んでいる。ただ、視線を何度か上下させてようやく誰か気付いた様だ。ある意味新しい反応だな。でも、この人人の顔を見ずにどこを見てたんだろ?


「も、もしかしてファーストさん?」


「その前に謝る。じゃないと出禁よ出禁。」


  挿絵(By みてみん)


「すいませんでしたハルカ。え〜と、遅ればせながらアルヴィー・デューラーと言います。ファーストさんで間違いないですよね?」


「ええ、クロエ=ファーストで間違いないと思いますよ?どう見えているか知りませんけど。」


「アルは言語学者、普通の人だけど変人なのよね・・・。」


「変人とは酷いなぁ・・・。単純に文字を図形として見続けたせいで人も図形に見えてるだけだよ。でも、ファーストさんは今まで見た物の中で1番綺麗に見える。それこそ人じゃなくて不変的な何か・・・、妖精とか精霊とか?」


「そんなの不老とか不死の薬飲んだ人だけで十分でしょ?」


 娘が文句を言っているが中々ドキリとする事を言ってくれる。本人はおどけているが、何がどこまで感覚として捉えられているのやら。鑑定術師では俺がどうなっているのか分からない。しかし、それ以外の職ではどうなのかは知らない。


「アルさん、貴方の職はなんですか?」


「オカルトです。言語学とは積み重ねた道を歩いて知る旅ですからね。文字とは最初絵でした。それが象形文字や楔形文字の様に簡略化された記号になり、それが特定のグループの中で共通認識として定着して文字となる。ファーストさんは絵画はお好きですか?私は好きで見るたびに文字の羅列を思い浮かべる。」


「は、はぁ・・・。」


 確かにちょっと変わった人だな。絵を見て文字の羅列に見えると言うなら、配色された色の名前や技法でも見ているのだろうか?でも、デジタルアートとかなら2進数が見える?オカルトなら暴露があるので曝け出させればそんなモノも見えてくるのかも。後は自身が理解出来る道さえ歩めれば・・・。


「ハルカもいるしファーストさんもいる・・・、言語学の発展の為に手伝ってもらえませんか!?」


「いや、私は言語学はちょっと・・・。」


「クロエは英語とかも読むの苦手だもんね。」


 娘のフォローはありがたいが、今なら英語もロシア語も・・・、多分賢者が暇潰ししてればネットにある言語なら多分読める。話せと言われると若干怪しいが、言葉とは音の振動なので翻訳サイトで読み上げた音声データがあれば話せる。いつの間にかバイリンガルを超えてしまったが、どこでスタンピードが発生するか分からない以上、かなり有用な技能と言えるな。


「いやいや、これはハルカやファーストさんしか・・・。厳密に言えばプレートを読み解いたファーストさんなら出来るはずなんです!」


 猫背からさらに腰を折って手を取ってお願いしてくるがどうしたものか・・・。はっきり言えばあんまり関わりたくない。だって、読み解けたら宇宙人とコンタクト取ろうとするだろ?そもそも1972年に打ち上げられたパイオニア探索機には宇宙人と言うか地球外知的生命体とコンタクトを取ろうと男女の絵やら地球の情報を書いたプレートが仕込まれていた。


 それを誰が受け取るかは知らないし、下手すれば隕石にぶち当たってバラバラになったり、星の環境次第では溶けてなくなるや燃え尽きる事も考えられる。まぁ、誰かが受け取ったと言う事実が出てくる前にソーツは現れたし、宇宙人を見つけてしまったわけだが、それを考えると闇雲に地球の情報をばら撒いていいものか・・・。


 『おっ!なんか知能ある奴いるやん、見に行ったろ!』ならまだいい。『おっ!なんかおるみたいやん、支配したろ!』だと目も当てられない・・・。そもそも外宇宙から地球まで来れる技術力がある時点で人間は勝てない。仮に事を構えるとして、わざわざ地球の中まで来てから攻撃なんかせずに、手っ取り早く宇宙からビームでも隕石でも降らせて数や技術を奪ってから大手振って降り立てばいい。


 現にソーツがその方式で設置した!後は報酬出すから掃除よろしく!だしなぁ・・・。戦えて報酬に魅力があるから受け入れられているが、報酬を削られていたらガチの侵略者である。そう考えると宇宙人的には優しかったのかなぁ・・・。


「そもそも読み解いてどうするんです?宇宙人がいると分かった以上、不要な接触は控えるべきだと思いますが?」


「宇宙人が地球に来た時に意志疎通出来なかったら殺されるかもしれないじゃないですか。」


 お互いの見解は正反対だが能動的と受動的の違いだろうか?或いは日本とスイスとか?戦争しない為に軍隊持ちませんと、戦争仕掛けられたら応戦しますだから軍備強化してます!の違い。まぁ、自衛隊は海外だとジャパンアーミーなのであまり意味はないが、それでも日本は海外での戦闘行為は禁止されている。


 でもアルの言う事は分かってしまうんだよなぁ・・・。誰が何をどう話すかは別として、意志疎通が出来ない中で事を進めるのは非常に怖い。そもそも万能に見える賢者や魔女だって未知の宇宙人と出会えは翻訳してくれるかも分からないし・・・。


「プレートと言うと斎藤さんへ宛てたものでしょう?アルさんとして宇宙言語は今の所何個あると考えてます?」


「2つか3つです。配信の内容から分かるのはそれだけで、それ以外の宇宙人がいたとしても今は考慮出来ません。例外とするなら肉体言語?日本の方がたまに言うコレなら分かりやすいかな?」


「遥、この人って頭いいの?肉体言語とか言い出したけど・・・。」


「さぁ・・・?でもラボの中でもたまに先生達は肉体言語で語り合ってるよ?」


「ボディーランゲージ?」


「頬が歪む拳がボディーランゲージの範疇なら・・・。」


 いつからここはファイトクラブになったんだろう?高槻がノリノリでチェーン・マインとか使ってモンスター倒してた時に動きがいいなぁ〜とは思ってたけど、もしかして意見を通す最終手段が肉体言語で日夜どこかで舌戦から格闘戦とかに移行してるとか?怖い話をするならここって瀕死や欠損は怪我の範疇には入らないらしい。


  挿絵(By みてみん)


 寧ろ怪我をしたら社訓に則り困った人を見捨てないと言いつつ新薬の検体にされるとか・・・。確かに不思議ではあったんだよね、薬の精度が向上しましたと言う割に何で試したかの部分は書かれず、たまにマウスや豚の回復映像だけ来るの。そうか・・・、ここにいる人達って研究者であると同時に被検体でもあるのか・・・。法律無視が出来るから怒らないし、怪我しても検体として丁重に実験されて元通り。話だけ並べるとやべー場所でしかない。


「自身の研究を手伝ってもらうには『お話し』するのが一番だからね。ファーストさんの見解としては2つですか?」


「いえ、言語と言うなら4つ。試験管宇宙人のモノ、輸送機のコアが話すモノ、斎藤さんへの手紙、そしてソーツが話すモノ。これで4つです。」


「ん?ん!?ん!!?待って下さいね?待って!ソーツの言葉は日本語でしたよね!?」


「本来ソーツが扱う言語は別にあります。それはモンスターの扱う言語と言うか叫びに似ている。ここにいるなら聞いたことあるでしょう?喋るモンスターの話を。そして、コレ等は全て独立していると私は考えます。特に試験管宇宙人とプレートは別です。」


「そこ断定していいの?クロエ=宇宙人説が真実味を帯びてくるんだけど・・・。」


「最適化すれば多分分かってくるよ。最適化された人はモンスターの叫びの内容が分かる。それは試験管宇宙人とは別で、コアが話したものはどちらかと言えば会話ではなく機械に対する命令。肉体を捨てたなら文字は不要だからそもそも必要ない。故に、あの試験管宇宙人は全く別の種族であるし、文字は別の宇宙人の物を使用した。」


 光がそのまま共通言語だと嬉しいけど、そもそもあれってイメージを送り付けてるだけなんだよなぁ〜。いや、それの方が宇宙では効率的だから一般化している可能性もあるのだが・・・。なんにせよサンプルケースが少ないので何とも言えない。


「それだと検証のやり直しが!確かに録音データや藤さんからの証言が!と、言うか試験管宇宙はテレパシーだったんですよね?」


「多分としか。光っていた様にも思わなかったので、別の方法でイメージを送りつけてきたんでしょう。」


 な〜んか話しかけて来たのは分かったけど、訳したのは魔女だしモノマネの方が衝撃的でなんともなぁ・・・。ただ、下手すれば誰かが生贄ルートに入っていたので良しとしよう。幸いにもあれから以降姿も現さないしな。


「やっぱり手伝ってください!行きますよーー!!!」


「自分で歩く!自分で歩くから!?」


「お父さん!?」


 軽い身体って持ち運びとか誘拐には便利なんだろうな・・・。痩躯なアルにお姫様抱っこされて携行品にされた。後ろから遥も追ってきているし、話しても聞く耳を持たないからそのまま研究室行きかなぁ・・・。途中すれ違う研究員は二度見するし、藤と斎藤の顔も見えた。笑っていたがここの日常とは?


「喜べ諸君!我々の研究に大いなる成果が出るかもしれない!」


「アル〜、未知の言語に対する発展とは・・・。」


「米国機密文章の閲覧許可出ました?NASAとJAXA経由で開示しろって文章は送ってましたけど。」


「証拠か?古代に宇宙人が地球を訪れたと言う証拠が石板から分かったのか!?」


「この蛍光灯の点滅時間はコアと同数にしてるけどなにか読め取れる?」


「いや、目が痛いくらいしか・・・。それよりなにかアルが叫んでましたよ・・・、おぉぉ!?」


 研究室と言うよりはギークルーム?片付いてるよ?そうしないと勝手に物は消えて行く可能性があるから。ただ、部屋の作りを一新して固定処理した壁で覆ったからか、そこそこ荷物はある。部屋は広いとは言えないが狭くもなく数人がPCとにらめっこをしていたり、点滅する蛍光灯とか電球を眺めていたりしている。


 居心地が悪いと言えばかなり悪いな。お姫様抱っこもそうだが日本人が1人しかおらず他は白人黒人黄色人種に性別も年齢も様々。表のプレートには共同言語解明局と書かれていたが、さっきの話から推測するとここがNASAとJAXAの支店なのかな?


 多分偉い学者とかなんだろうが、部屋の感じといい人数といいちょっと科学部っぽく見える。別に薬品とか使うわけじゃないのになんで白衣を着たがるんだろう?制服効果狙いかな?バカには出来ないし白衣ってカッコいいし。 


「アル・・・、悪い事は言わない。確かにここではロリコンだろうとヒッピーだろうと咎める奴はいない。でも、1人の人間として誘拐は許されないからな?」


「変人だからいつかはやるかもと思ってたが・・・。」


「アルは首か、社長としてもアウト判定だろうし・・・。」


「アルってドイツ人だろ?その娘が日本人なら早めに日本政府に和解申し入れとかしないと国がヤバい様な・・・。」


「違う!この人は!」


「降ろさんか誘拐犯!」


「ゴフッ!」


 娘がアグレッシブである。寧ろ世間の荒波に揉まれた?36階層まで行ける中位からの腰への飛び蹴り。お淑やかな娘だったとは言わない・・・。子供の頃の息子との喧嘩では高確率で娘から手が出た。いじめを見かけたら1人でも助けに行って手が出た。うん、平常運転か。流石に大人になったら成りを潜めていたが、ゲートを進んで闘争心が復活したらしい。


 ただ、文句を言うなら俺を降ろしたのを確認してから蹴り込んでくれないかな?衝撃でアルは手を離したのでそのまま飛んで少し離れて着地。振り返ると倒れたアルが腰を擦っているが、巡回でもしていたのか猫人がドボドボと回復薬をかけている。


「痛いじゃないかハルカ。」


「痛くしないと人は学ばないと知った。クロエ大丈夫?」


「まぁ、お姫様抱っこされただけだしね。と、言うか遥の中で今の私はどう言うポジションなんだよ・・・。」


「えっと・・・、妹的なサムシングとか?」


「遥・・・、外の常識では私は父親で遥は娘らしいぞ?」


「知らない間に常識がアップデートされてる!?えっ、お父さんって呼んでいいの?」


「那由多は学校でゲロったしいいんしゃない?」


 ここで親子を確かめる。色んな国の人がいる中でカオスがカオスを呼びそうだが、俺は遥の父親である。その事実は変わらないし、互いに認めていれば何を言われようとも関係ない。親子の形は人それぞれだしね。


「親子はいい。検証と言うか言語表を!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
評価、感想、ブックマークお願いします
― 新着の感想 ―
まあ化学的というか科学的現象に頼った表示装置じゃ無理だな 設計図に期待するしか まあ人体実験は禁止されてるけど自分で自分を実験体にするのは問題ないし 何ならそこからノーベル賞にまで発展させた人いるし
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ