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街中ダンジョン  作者: フィノ


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463話 美味しい紅茶 挿絵あり

「改めて名乗ろう、英国魔法省長官サイラス・フローレス。レディに呼ばれて英国式紅茶を振る舞いに馳せ参じた。飲んでいただけるかな?クロエ=ファースト。」


「いただきましょう。改めて名乗るほどの者ではないですが気軽にクロエと呼んで下さい。フローレス()とは良い姓をお持ちだ。特別特定害獣対策本部本部長として歓迎しますよ。横にいるのは神志那、彼女は鑑定術師ですが鑑定は切り目にも今は布を巻いている。それで鑑定していないとしていただきたい。」


 松田の所に連絡が行くと同時に現れたからこうなっても仕方ない。少しの猶予があるなら先に目隠しをしておく事も出来たが、納得しないならどうしようかな?多分魔法の受け渡しとかはサイラスも出来るだろうし、他に提示する物と言われると本人の意向にそうしかない。


「何も見えないからフェリにゃんよろしく〜。てか、クロにゃんいつ目隠しした?全く気づかなかったんだけど!?」


「別にキセルやらタバコ無くても魔法は使えますからね。締め付けは大丈夫ですか?」


「それは大丈夫。この布は拘束のお駄賃としてもらっちゃっていい?」


「いいですよ。」


「床から人が現れる前に少し影が見えたなぁ〜。」


「「!?」」


 おいおいよしてくれその爆弾発言。振る舞うと言って茶道具を取り出していたサイラスも固まった所を見ると知らなかった事実なのか?確かに空間把握能力にずば抜けている獣人なら何かを感知出来てもおかしくないが、もしかしてバイト何かが使う見えない攻撃も最適化前からある程度感知できるとか?


 それならそれで警備要員としての価値も上がるし、中層へのお供としての価値も爆上がり。単純に見たいと言う好奇心だったがもしかしたら魔法を使い慣れて行くに連れてその方面の能力も向上するのだろうか?


「フェリエットさんは魔法が見えたのですか?」


「一瞬薄っすらとだなぁ〜。何をしてるかは分からないなぁ〜。」


「レディクロエ、これはそう言う事ですか?」


「誓って言いましょう。確かにフェリエットに魔法の手解きはしていますが、それで魔法移動を感知出来る様になると言う事は知りませんでした。仮に魔法そのものが感知できるならフェリエットは私が使う魔法を全て回避も可能でしょう。」


「ふむ・・・、先ずはお茶から。ジャスパーもそれて構わないか?」


「今は何を話しても水掛け論でしょう。松田副長官もそれで構いませんか?こちらとしても連絡と同時にサイラス長官が出発したので事態の想定自体が出来ていません。」


「お願いしますジャスパー補佐官。私としても報告書を読んだ限りでは獣人が魔法感知に優れているとは聞いていませんからね。クロエさんも神志那さんもその事実は?」


「私もクロにゃんとフェリにゃんの魔法の練習見たけどそんなにおかしな所はなかったかな?精々回避が上手いとか?でも、モンスターとの戦闘って基本回避だからそこまでおかしいとは・・・。」


「同じく。瞬間発火等は流石に使わないので飛ばすだけの魔法となりますが、元々が猫なので蝶も鳥も捕まえられる。相手に気配を気取られないと言う技能は俯瞰視点では余り意味がないですが、それでも上手に避けていましたよ。」


 格闘戦が出来ると言う事は逃げる事に集中すればかなりのの回避力を叩き出せる。当然面での攻撃や密度によっても回避率は変わるだろうし、それでは効率が悪いから迎撃する。職で魔法を使うのに消費するものはないから手数が減る事はないんだよね。


「さて、話は一旦やめて飲みましょう。フェリエットさんは紅茶は飲めますか?ストレートか駄目なら・・・。」


「ミルクたっぷりがいいなぁ〜、紅茶ラテなら歓迎するなぁ〜。」


「獣人はミルクを好む。ミルクポットからお好きなように。」


 入れるのが上手いのか紅茶のいい香りがする。コーヒー党なので詳しくないが多分いい茶葉使ってるんじゃないかな?一口含み鼻から抜ける香りを楽しみ、お茶請けのスコーンも焼き立てを出したのか手に取ると温かい。齧ると甘過ぎず紅茶の渋味を優しく包んでくれる。


「いかがかな?」


「良いお味です。普段はコーヒーばかりですが紅茶も悪くない。ここまで来るのにどの程度?」


「それは流石に秘密とさせてもらいましょう。ただ、寝室に忍び込むような真似はしないと紳士として誓いましょう。」


「分かりました。まぁ、それで来た場合は容赦なく始末させてもらうとしましょう。呼んでもないのに家に来て入ったら不法侵入で重罪です。」


 片手を上げて宣誓する様なポーズに苦笑して返すと若干顔色が悪い。まぁ、お互いジョークの上での話。英国の人ってブラックユーモア大好きだし。それはいいとして、両手でカップを持ち熱いから冷ました後に舌で掬うようにミルクティーを飲むフェリエットにそろそろ魔術を使ってもらおう。画面の中にもフィンらしき犬人もやって来たし。


 フィンは大元がゴールデンレトリバーなのか長めの金髪と優しそうな顔をした男である。画面越しなので分からないが多分高身長だろう。報告では大学で授業を受けていたとあったが、女学生からの人気は高そうだ。


「フェリエット、何か魔術を・・・。そうだな、得意な水球を頼む。」


 そう言うと両手が塞がっているからか尻尾の上に小さな水球を出してみせた。それも1つではなく複数個。今はぷかぷかと浮かぶだけだが操作しようと思えば自由に動かせるしモンスターのビームを緩和してダメージ軽減も出来るのでそこそこ使い勝手はいい。ただ、実質的なダメージソースとしては弱いので、魔法でモンスターを仕留めるとなるとこれからだな。


「これは本当に?」


「本当ですよジャスパー。確かにフェリエットさんは魔術を使っている。使えるのはこれだけで?」


「いえ?火と風はまだ苦手ですが他は多少使えます。ただ、戦闘時にモンスターに対する決定打となるかと言われると弱い。なにせ職に就いてからまだ浅いですからね。練習中と言う状態です。そちらのフィン君は?」


「あ〜っと、私が話してもいいんですよね?フィンと言います。魔術ははっきり言うと分かりません。今猫人のフェリエットさんが水球を浮かべているのも何がなんやら・・・。フェリエットさん、魔術使うとお腹減る?」


「減らんなぁ〜。寧ろ魔術使えると動かなくていい分、効率は良くなるなぁ〜。私の夢はたまにクロエがやるぷかぷか浮かびながら寝る事だなぁ〜。」


「人の私生活を暴露しない。」


「寝ながら魔術を使う?それはイメージが崩れるのでは?」


 サイラスが身を乗り出して聞いてくるが、それはイメージ次第としか言い様がないな。そもそも浮かんで寝るのって夏場のベットが暑くってそれから逃げる為の苦肉の策だったし。ついでに言えばイメージとしても夢の世界で浮かんでいるとしか思っていないので、妻が邪魔だと思って押すと横にぷかぷか飛んでいく。


  挿絵(By みてみん)


 まぁ、本当に寝ずに頭の中では魔女達と話しているので、神経がいつ休まっているのかはしらないし、その神経もないので溜まるのは心労ばかり。ネットやらで世界を見れるので訓練中以外では好きな事をしているし、それで休めていると言われたらそうなのかな?


「糸と同じですよ。糸は生み出したらそのままの形で残る。なら、飛行出来ればその浮遊感をイメージして魔法を作りそこに設置する。フェリエットが出す水球は飲めるのに、目に見えないからや目を閉じたからといって発生したイメージが勝手に消失するものでもないでしょう?」


「まぁ、寝て糸が消えるなら魔法糸の布は一夜限りの夢物語となる。私も寝る時に練習してみましょう。おすすめは何かありますか?」


「練習の?う〜ん・・・、土魔術が得意なら土塊を朝までに石像にでもしたらどうです?夢の中でもいじっているイメージが現実に投影できるなら無意識下での魔術も使えるでしょうし、部屋が汚れるのが嫌ならスパルタですがベットの上で浮いて寝ればいい。落ちたらイメージが崩れたと言う話ですからね。裏技とするなら魔法の受け渡しでその空間に展開し続けていると言うイメージでもいいですが・・・。」


「魔法の受け渡しも中々イメージを作るのが大変でしたよ。一度固めてしまえばかなりスムーズでしたがそれまでは中々。」


「ですよねぇ〜。私も色々試した末でしたが糸を出すのさえ苦労しました。なにせ最初はへその緒や魂の糸でしたからね。」


「女性ならではですか、子を産み育む母は強い。お子さんが何人かいると伺っているのでそう言ったイメージもあるのでしょう。」


 産んだのは妻だしソフィアは再誕、アブザがいるがあれは・・・、まぁ産んだと言っても過言ではないが、サイラスと言うか他の国では元から女性と思われているので子供=俺が出産すると言うイメージもあるのだろう。生物学上は中身がないにしても外見は女性なので仕方ないが、面と向かって言われると複雑である。


「そう言った所です。それよりもフェリエットに何かリクエストや聞きたい事はありますか?せっかく来たのに資料を貰ってすぐ帰るのも勿体ないでしょ?」


「では、私の指輪の中身は何が見えますか?」


「箱が3個くらい目えるなぁ〜。そんなに大きな物はない感じだなぁ〜。」


「ふむ、見え方は同じ様ですね。それより先は見えないと言う見解でよろしいか?」


「多分ないなぁ〜。あればもっとごちゃごちゃした感じがするなぁ〜。」


「来る前に指輪の中身を出してきたと?」


「いえ?綺麗好きなので基本的にゲートを出たら箱は全て開けます。溜め込めば溜め込む程開けるのに手間はかかり、タイミングを逃せば先送りするしかない。レディクロエは開けないのですか?」


 不思議そうに見てくるが、溜め込み派と言っていいものか・・・。中層の箱とかも未開封で溜め込んでるしなぁ・・・。適当に言い訳でもしとくか。


「1回で回収する量が多いもので。流石に何百もの箱を開けるのは時間がかかる。」



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[一言] 寝てる間に土魔術行使して暴走させて起きたら土まみれとか 水で起きたら股間が濡れてましたよりマシか そうだよなぁ、クロエは睡眠要らないんだから外から見る限り寝てるように見えても精神活動は変わ…
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