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街中ダンジョン  作者: フィノ


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閑話 93 傍若無人に 挿絵あり

「走レ!走レ!!走レーー!!!」


「大佐どっちに!?」


「上ダ!木の上に迎え!ディル凍結ハ!?」


「ダメであります!自分のイメージでは生命的な暖かさは出来ても凍結は死をイメージして弱いです!」


「クソが!大佐!傍若無人の大花火撃っちまっても!?」


「やめろハミング!元はと言えば俺とお前がやったツケだ!」


「クッソ!これなら槍の練習も数も揃えとけばよかった!」


「そんな事より前方からも来ます!!守りはしますけど大容量ですね!!」


 セーフスペースを出発してこうして走るのは何度目かな?いや、パワードスーツ様々で飛行制御メインで調整してもらっていてよかったよかった。中層に足を踏み入れた私達は既に何度目か数えるのも億劫なほどモンスターと連戦を繰り広げている。


 事の始まりは実弾や爆発物に対して確認したいと言う話と、エマの考える1つの持論から。それは米国チームとしての話で、今いる中位は全員無意識下で力をセーブしているのではないかと言う話から。確かにセーフスペース手前、49階層のモンスターは強いとは言え被害が出るほどかと聞かれると判断に迷う。


 なら何故手傷を負う程やられたかと言えば、チームとして動きフォロー出来る代わりにフレンドリーファイヤを恐れているからだとエマは結論付けた。その話は分からなくもない。エマが日本に来た時は既に中位もいたし、罠も出せなかったエマに誰かが遅れを取る様な事態は想定していなかった。なのでエマは全てを解き放ち職を十全に本人が使いたい様に使えた。


 更に言えばツカサと言う存在も大きい。多少のミスはねじ伏せるし本人の力量に合わないと思えば即刻モンスターは処分する。つまり、私以上に明確な安全装置が存在し、スィーパー同士が実際に模擬戦してヒートアップしたとしても介入して止めてしまう。本人は見ているだけと言いつつ、その見られる視線にやすらぎを覚えるのは、多分その視線の中に安心感を感じるからだろう。


 実際講習会でバイトと走り回っていた時も空には煙があり、それを見ればピンチには救いがあると思えた。そして、確かに私は一度目の前のモンスターがその煙から伸びた雷で崩壊させられた姿を見ている。


 逆に米国チームは本当にチーム運用されフォロー前提が定着しているので傍若無人に振る舞って個の力を底上げしつつ、実弾と爆発物の観察も兼ねて円形全周囲警戒で歩き出した。幸いと言えばこの階層に来た当初は待ち伏せがなかった事かな?バイトに騎乗するのはやめて、ここに来る前にパワードスーツを着込み空を飛ぶ。反転作用回避法なる技術を浦城さんが話していたけど、そこまで使いこなせなかったなぁ〜。


  挿絵(By みてみん)


(望田、守りはいらん。全て潰せ。やらないなら吾輩がやる。)


「言われなくとも潰しますよ!伝達しよう、拡散しよう、そしてこの音を伝承しよう!」


 響く音色はひたすらの圧縮音。時に新雪を踏む様。時に圧縮袋から空気を抜く様に。ギリリ・・・、ギリリ・・・その身が軋む音を施し共振も加える。固有振動は流石に数が多すぎる。圧壊のイメージは確かにある、それを広げモンスターの辿る未来であると伝承するけどやはり範囲が広すぎたかな?


「アンチマテリアルセントリーガンスタート!やり過ごすにはやはり数が多イ!ハミング!花火の火力ハ!?」


「折り紙付きのどでかいのがありますぜ!ここならいい、ここなら撃てる!ただ、撃ったら走って逃げないといけませんぜ!」


「今も走っているからやレ!カオリがかなり仕留めてくれたがそれでもパーティーが終わらン!」


「了解!さて!ここでとっておきのニュースだ!米国の秘蔵っ子その名も神の杖!なんとこたびハミング様がその引き金を引く栄誉を預かった!威力は・・・、核よりは小さいな、多分!いっくぜーーー!!!」


 ハミングさんが陽気に語り空に向けて引き金を引く。神の杖って確か眉唾の質量兵器?でも記者であるなら、それを使用する為に電波を飛ばす様にそこにあると指示をしたなら、何かは空から降ってくる。


「ドゥ、ダメージ鑑定ハ!?」


「エマさんやべぇ。あのバカこの辺りをふっとばす威力込めやがった!着弾までは多少時間があるが本気で走れ!」


「上出来じゃないカ!ダレスはカオリをカバー、私とグリッド、ドゥはここでモンスターを迎え撃ちディルは遊撃!バイト、暇なら頼厶!」


(よかろう。)


「ここに留まるのでありますか!?」


「お前達にはハメを外す気概も仲間を本気で信じる心意気も足りン!私はカオリが守りきれると信じていル!そして!ハミングの弾が一旦パーティーをお開きにさせてくれるともナ!」


「嬉しいねぇ!名誉挽回、使うのはグレネードランチャーで景気づけだ!ダレスもなんかやれよ、お開きの前にパーティーを楽しもうぜ!」


「その楽しんだせいで下水のゴキブリ並みのモンスターに追われてるんだかな!望田さん、パーティーに誘われたが行ってもいいかい?」


「どうぞどうぞ。笛の音が響いたら私の所に戻ってきてくださいねー!」


「あんたいい女だな、後で一杯奢らせてくれ。」


「口説くなよダレス。鑑定でフルサポートしてやるが・・・、喜べ全方位からダンスのお誘いだ。ディル、ちょっと下がれ。木の上にもわんさかいる。大佐!ムカデも来てるぞ!」


「ムカデくらい対処してあル!グリッド!あまり離れるナ!逃げ遅れれば蒸し焼きは覚悟しロ!」


「了解!って、ありゃなんだ!?飛行要塞か?」


「違ウ!魚型の巨大モンスターだ!ハミング、あれは撃ち落とせるカ?」


「分かりませんね!神の杖は自由落下物ですよ?相手の高度が上がればその分ダメージは減る!」


「なら俺がやる!さっきの槍もせっかく貰ったなら使わんとな!」


「グリッドさん援護するであります!その肉感的な部分は水で侵食され結合して溶け出す!水はつながり1つとなる!」


「モンスター混ぜた水壁カ、そのまま相手に返してやれ!」


 上空には煌めく点。多分あれがハミングが撃ち出した神の杖を模したもの。取り出すイメージは暴風に耐えるモノと衝撃を逃がすモノ。これが終われば一旦休憩したいな・・・。流石に連戦でみんな疲れてるし。でも、見えてる巨木まで折れないでほしい。守りの範囲を最大まで広げ、密度も濃くイメージも明確にハッキリと。この音のイメージは私の中から湧き出したもの。なら、それを強く強くイメージしていけば硬さは増す。


 防壁完成の知らせを笛の音で伝え、仲間達が集まりそれを追うモンスターも次々と攻めてくる。地中のムカデは地雷源に突っ込んだのかどんどん爆破で地表に追い出され、その胴体に挟まった小さなモンスターをすり潰す。ただ、上とは違い巻き込まれるのは少数で興味ある殺意を込めた声がたまに聞こえる。でも、一旦はこれでブレイクできるだろう。


「着弾!!」


 響く轟音の中で隔たりは生まれ、私の作った防壁の中はそよ風さえ吹かない。その代わり防壁の外は本当に爆心地が目の前にあるかの様に地面はめくれ上がり木は薙ぎ倒されモンスターも衝撃で吹き飛び、ある者はバラバラにされる。


 その光景になんの面白みも感じることはない。モンスターは慈悲なく潰す。その結果がこの光景なら私達は自身の成したことを当然と受け付けなければならないのだから。


「防壁が動かせるならこのまま紛れて一度大勢を整えよウ。」


 そのエマの言葉で私達は舞い上がり降ってくる木や、グリッドの槍で穿かれ高度を落とす魚を尻目に動き出す。私達は確かに戦えツカサなしで中層を進んでいる。


 


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[気になる点] >モンスター混ぜたミス壁カ これは上の文からすると水壁の誤字だろうか [一言] モッチー用スーツ格好いいなぁ まあモンスター相手なら塗装は白メインでも問題ないか 色覚がどうなってるか判…
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