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街中ダンジョン  作者: フィノ


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451話 マタタビ 挿絵あり

「どんな感じです?」


「どんな感じと言われると・・・、ぼちぼち?」


「刺し身♪刺し身♪」


 仕事をしている横でテストを解いていた2人は休憩を挟みつつ行い全て終わらせた。回答率はいいよ?正解率は別として。数学についてはフェリエットはほぼ満点でソフィアは70点台、ほぼと言うのはフェリエットの場合式の記載がない所があるので、教師がそれをどう判断するか分からないから。ソフィアの方は分からないものは解こうと言う努力は見られるものの間違っていたり、ケアレスミスがあるから。ただ、授業にはついていけるだろう。


 理科と英語はソフィアに軍配が上がりこれも両者共70点台。傾向としては法則を用いた計算はフェリエットの方が正解率は高いが、文章系の問題はソフィアの方が理解力はある。国語については互いに50点台。漢字の読み書きはフェリエットが全問正解なのに対して文章問題はやはり鬼門かどうも解答内容がズレている。ただ、前後の文から答えを探す系はそこまで悪くない。逆にソフィアは全体的に微妙。簡単な漢字の読み書きはそこそこで、文章問題もそこそこ。帰国子女と言う話なら許容範囲だろう。


 ただ社会、てめぇはダメだ。歴史にしろ地理にしろ馴染みがない。寧ろフェリエットなんて世界と言われてもうちの家の周りか長崎の実家くらいしか想像出来ないし、過去にどこかで争った話なんて興味はなく、縄張り争いした記憶もすでに忘れている。


 それはソフィアも同じで、例えばロマノフ朝とかイヴァン雷帝とかの話が出てもちんぷんかんぷん。ギリギリ近代史なら覚えがあるかなぁ?程度。最大の敵は国語だと思っていたが、確かに国語は日本にいれば溢れかえっているので、話せる読めるを繰り返せばどうにか出来る。伏兵は社会だったか・・・。せめて公民ならと思ったが、学校のカリキュラム的に2学期後半からスタートするので、それまでは地理と歴史を覚えてもらうしかない。


 赤点を30点としたなら一応、全ての教科で赤点を超えているので補習は免れるかもしれないが、歴史は別として地理で日本地図くらいは頭に入っていないと、社会に出た時にどこか他の県に行くと話が出たら1から調べなおす羽目になる。ここはやはり日本人式に暗記させるかな。


「テストは返すけど苦手科目は社会だな。公民・・・、法律系はもう少し先で勉強するとして先に地理を覚えよう。最悪歴史は捨てていい。」


「歴史はいらないですか?」


「いらない事はないけど覚えるなら地理優先。世界地図が頭に入ってないと国名を言われても困るだろうし、紛争が発生しててもどの辺りが戦っているか分からない。過去の事だけど、その過去からの流れで戦争は始まる。でも、その流れを知るにしても先ずはどこにあるかを知らないとね。」


「終わった話しなんてどうでもいいなぁ〜。今ご飯が食べられるならそれだけで幸せだなぁ〜。」


「それも一利ある。だからご飯の勉強をしよう。」


「ご飯の勉強ですか?ピロシキなら食べたいです。でも、肉まんに惹かれる私が・・・。」


「私は新鮮な魚か鳥がいいなぁ〜。硬い炭火焼をずっと噛み噛みしてたいなぁ〜。」


「はい、今言ったものを追加ご褒美にするとして、肉まんと地鶏の炭火焼が有名な所は?」


「え〜と、コンビニ?」


「その辺りの屋台だなぁ〜。」


「ハズレだ。地鶏の炭火焼なら宮崎は外せないし、美味しい鶏肉なら名古屋コーチンなんてのがある。魚なら関アジ関サバでもいいが、冬の北海道なら鮭も貝も旨い。肉まんなら発祥は中国だろうが日本なら大阪とかかな?有名な肉まん屋もあるし。別にその県や国に対して興味がなくてもいいけど、何が食べられるかは知っておいた方がいいぞ?そうすれば、どこで何が有名で食べに行くって話も出来る。」


 イギリス料理は不味いらしいが、お茶とお菓子には並々ならぬ努力をしているのでそれは楽しめる。紅茶も茶葉は様々で飲み方も様々、ジャムを入れてロシアンティーでもいいしブランデーを入れて身体を温めてもいい。俺はコーヒー党だが、世界を見ればそれは少数でメジャーなのはお茶の方である。


  挿絵(By みてみん)


 結局の所漠然と何かを覚えるのは難しいが、何かと絡めて覚えて行けばそこそこ暗記は出来るもの。それが日本人に取っては食文化で、何々人と言えば高確率でその国の料理でこれ美味しい?とか聞く。まぁ、日本ナイズされた飯と本場の飯、どちらが口に合うかは別の話だが・・・。


「フェリエットは何か食べたいものあるですか?」


「肉と魚でいいなぁ〜。ただ辛くない寿司には惹かれるなぁ〜。」


「寿司・・・、緑のペーストは悪魔です。アレを食べるか靴下を食べるかと聞かれたら靴下を食べます。」


「私はワサビでいいなぁ〜。靴下じゃお腹にたまらないなぁ〜。」


「物のたとえだろう。そう言えばフェリエットの腹具合は?体育は抜きとして勉強やテストを受けるだけでどれくらい腹が空きそう?」


「う〜ん・・・、昼前に1回は何か食べたいなぁ〜。量はそこまで食べなくていいけど頭が回るものが欲しいなぁ〜。」


「なら糖分か。ラムネあたりでいいかな?あれってブドウ糖の塊だし。学校に入学するまでに色々と試してみよう。」


 ガチの空腹は別として、朝飯を山程食わせたら昼まで保つかな?デスクワークなら使うのは身体ではなく頭だし、消化速度は人より速いがその分胃の容量は大きい。つまり、詰め込めるだけ詰め込んておけば大丈夫と言えば大丈夫。そもそも獣人の腹減ったは何時でも最高のパフォーマンスを出す為の貯蓄に等しい。


 何故かと言われれば基本的に太る才能がないからだよ!筋肉量が人の倍くらいある癖にと言うか、それだけ代謝が激しいからと言うか、余分な脂肪がない分胃に詰め込む傾向にある。なので俺がフェリエットに煮干しやササミを渡すのはそこまで激しく動いてないからと判断した時。


 満腹中枢がぶっ壊れている訳では無いが、元が野良だと次にいつ食えるか分からなかった習性からか限界近くまで食べる。ペットでも置き餌をしているとその習性からか腹が減ったら好きに食べる。増田の鰹節はいい仕事したよ。角切りにして口の中で飴の様に舐められるし、噛んでも簡単に砕けない。そのうちどこかが獣人用のガム作らないかな?


 そんな話をしていたら定時になり妻も迎えに来たので帰宅。息子も連れ帰ろうかと思ったが、何やら鍛冶師総出で忙しなく動き回っわていたので特注依頼でも来たのかな?ギルドは半分民間なので外部からの依頼は多いし、相手はスィーパーばかりではなく企業からの依頼もある。


 受ける受けないは部門長の判断によるが、お抱え鍛冶師がいなかったり、ギルド鍛冶師作成と言うお墨付きが欲しい所はこうして依頼に来る。ただ、武器や出土品に関わらないものなら割と短時間で作ってしまうので珍しいと言えば珍しい。息子含め他にも数人鍛冶師の職に就いた新人と言うか見習いバイトも手伝っているので、余程人間性に問題がなければそのまま採用コースかな?


 採用人数を絞りたいと考える反面、あまり少ないと次に募集した時に集まるのかと言う不安もある。言い方は悪いがギルド職員の給料って専業スィーパーには負けるのよね・・・。福利厚生的には悪くないのだが朝から晩までゲートマラソンするスィーパーと昼間外で仕事して夜だけ1回潜るとじゃあ稼ぎが違う。


 押し出す部分は安全な職場方面となるが、どうしても目に見える稼ぎの部分で弱い。ここもなにかテコ入れが必要なのかな?勤続何年でハワイ旅行とかボーナスの部分を厚くするとか・・・。いっその事ギルド職員記念品とか作る?引退時にギルド職員だった事を証明する何かとか。


「難しい顔してどうしたの?また変な事でもあった?」


「いや、先駆者の社長は偉大だったとね。今時理想や情熱で人を会社に縛るのは難しいけど、人がいなければ会社も回らない。今年度の学校卒業者から職員採用をするにあたって、末永く骨を埋めるまで働いてもらうとするなら何かしらの付加価値が必要だなぁ〜と。私も仕事を変えた口だしね。」


「難しいわね。怪我は職員なら救護室で無料で見てるし転売しない前提でエナドリや薬も渡してる。お給料も普通の企業よりは多いし職を使うにしても色々触れるからイメージはしやすいのかしら?」


「多分ね。教えてもらって見た事をそのまま素直にイメージしてもいいし、自分なりにこうだと言うイメージでやってもいい。取っ掛かりは作りやすいけどその後は自己対話だからなぁ〜。」


「自己対話と一緒で仕事を選ぶのは人それぞれの理由よ。一攫千金を狙ってゲートに入る人もいるし、安定を求めて外で仕事をする人もいるの。海外は分からないけど、暇だから仕事復帰するって人もいるしね。」


「その感覚は私にはないなぁ・・・。余生はゆっくりしたい。ギルマス引退したら交渉は別として君と旅行でもしたいなぁ〜。」


 国内で行ってない所は多いから、奈良で鹿せんべいをばら撒きつつ京都で竹林を散歩して網走監獄を見つつ北海道でスキーとか?宇宙も海外も惹かれるものはないので国内だけでいいな。そんな事を思いながら家に帰宅すると妻は夕食の準備に取り掛かり、フェリエットとソフィアは学校までの経路を確認すると言ってスマホ片手に散歩に行った。


 最近の恒例行事の様に2人で散歩しているが、なんだかんだで気が合うのだろう。フェリエットがどう考えるかは別として、ソフィア的にフェリエットは姉になるらしい。学校に通うに辺り書類上は黒江 フェリエットと言う名前になっているし年齢は20歳扱い。そうなると息子もフェリエットを姉としないといけないのかと言うと、そこはそこで審議が入る。


 まぁ、どの国にも言える事だが個体成長薬を飲ませた犬猫は獣人となった時に成人として扱い、自然分娩で生まれた獣人は人と同じ計算でいいのでは?としてある。獣人ベイビー1号がまだ生まれないから未知数なのよね、成長度合いとか知能指数とか。


 それに成人扱いだから既に結婚を宣言した限界集落の男性とか、農家の跡取りとして男性獣人を迎え子供は養子と言う人もいる。つまり、今更未成年には出来ないんだよね・・・。男性側は割と分かる話でもあるが、女性側がその一歩を踏み出したのは中々でかい。


  挿絵(By みてみん)


 実際獣人の頭の良さはフェリエットも一役買っているので俺からは口出し出来ない事柄だし、神志那が調査した限りでは平均して中学卒業から高卒レベルの知能指数はあるらしい。なので成人でないと規制をかけるなら次世代から。ソフィアの通う予定の普通の中学がフェリエットを受け入れてくれたというのも大きい。


 今の獣人に小学校通えと言ったら間違いなく遊んで回るし、体格もそれぞれなので下手したら保護者が通っている様にも見える。やはり生まれたばかりの獣人でゼロからスタートして和に入れるか見るのは大事だろう。先に中学の学習要綱が出来ていれば逆算してレベルを定める事も出来るし。


「次のニュースです。JAXAからの発表によりますと米国に技術開示しているラボを浮かせた機材、通称飛行ユニットを使用した宇宙エレベーター開発に着手するとの会見が行われました。これについて宇宙技術開発に詳しいコメンテーターの田口さんはとう思います?」


「そうですね・・・、言っては悪いですが未知数としか。ゲート出現以降、私達が詳しいと思い常識としていた技術はどんどん塗り替えられています。例えば宇宙に行く=スペースシャトルとロケットブースターを利用して加速する事が前提としてあった。しかし、ラボを見て発言を聞けばそれは必要ない。いい未来を想像するなら宇宙旅行は手軽なモノになるでしょうし、宇宙空間における作業も更に手軽になってくるでしょう。」


「つまり、これから先既存のスペースシャトル方式や遠隔アームによる作業はなくなると?」


「そこまで発展しているかは分かりません。ただ、宇宙空間に置ける人体への影響はNASAからの発表でスィーパーなら緩和されるとされていますし、スペースシャトルを連日の様に打ち上げる中国やロシアでもその話は支持されててます。科学者と言うのは割と神話や宗教を大事にしますが、神から人が新たなステージに招待されているとも取れるでしょう。」


「ここで神と言うとソーツになりますね。訂正としてソーツは宇宙人であり神ではありません。しかし、エレベーターと言うからには先に到着地点を作るのでしょうか?」


「どう考えているかは分かりませんが、建設方式は概ね3つだと考えられますよ?1つはワイヤー投下方式。宇宙空間に上がる途中の重力圏内でワイヤーを地上に投下してそれを使い昇降する。2つ目は地上からの打ち上げ方式。ロケットにしろ飛行ユニット使用にしろ地上に向けて何かを落とすよりは安全です。そして最後の3つ目・・・。」


「上から降ろす、下から上げる以外に上げる以外となると?」


「人の想像力です。」


「人の想像力?え〜と、スィーパーに持って上がってもらうとかですか?」


「違います。今提示した以外の方式を思いついていると考えられます。詳しいと言っても私もラボの中の技術は全くわかりません。人は考える葦なので情報収集に弱くとも考える事は出来ます。でも、その考えが正解とは限らない。宇宙に何があるか分からないのと同様、ラボにも何があるか分からないと言う事です。」


「なるほど、想像力は無限大!安くなったら私も宇宙に行ってみたいですね!では次のニュースです。」


「ただいま〜・・・。」


「おかえり、やけに疲れてるな。」


「作ってる物がかなり気を使うからな。厚さ均一誤差コンマ以下。機械使って密度の平均値も調べるし神志那さんの鑑定で不合格なら作り直し。何に使うんだかなぁ〜、あれ。」


「ん?完成品やら用途を聞かされてないのか?」


「全く。俺はバイトと言うか見習いだから詳しい話は出来ないんだって。それでも触らせてくれるからありがたいと言えばありがたいけど、気分としては目隠しして知らないガンダムのプラモ作ってるとか?」


 本当に何作ってるんだろ?バイトまで駆り出して作ると言えばよっぽどだし、息子が帰ってきたからとギルドの鍛冶師連中が大人しく仕事を終わるとも考えづらい。それに神志那が鑑定する辺り本当になにかの特注品とか?少なくとも個人使用品ではないと思うが・・・。


「何にせよ先にシャワー浴びるか?ソフィア達も散歩に出てるから浴びるなら今だぞ?」


「あ〜・・・、母さん俺だけ晩飯遅れてもいいー?」


「残しておくのはいいけど、どこに行くのよ?夏とは言えそろそろ外も暗くなるわよ?それにもう出来てるけど?」


「いや、離れ改造計画が全く進んでないから寸法だけでも測っておこうかとね。一応図面とか配管は確認したんだけど、あの離れって本来家のカテゴリーじゃないだろ?」


「台所もトイレもあるし風呂のない3Kの間取りだが、前の持ち主曰く倉庫に分類したらしい。まぁ、倉庫が先にあって台所とか付けたのか、台所とかあったのを倉庫と言い張ったのかは知らない。」


「・・・、状況次第じゃ3kから2kに変えていい?シャワーだけでいいって話だけど水場はあった方がいいだろ?」


「私としてはそれで構わないが、今住んでるのはカオリだからなぁ〜。先にプランを立ててカオリが承諾するなら好きにしていいぞ。」


「分かった、つきましては親父殿。費用の一部を貰い受けたいで候。」


「よかろう。バスタブに洗面台に後はタイルとか?必要ならお前が作ったモノを焼いてもいいぞ?土から作ればセラミックも陶器もガラスもいけるだろう?」


「圧倒的な美的センスの無さに泣くから買うよ・・・。知ってるだろ?姉ちゃんからさんざんダメ出しされて心折れた宿題の絵とか・・・。」


「あの時は確か部族のお面を描いたんだったかしら?」


「違うよ母さん・・・、たぬきを描いたら部族のお面って言われたんだ・・・。それ以来俺は筆を折った。」


「まぁ、お前の場合変なサービス精神で目的からズレていくからなぁ・・・。」


 シンプルに仕上げれば別に悪い出来ではない。たぬきの絵も藪かなんかで寝ている絵を描いていたし、そのまま出せば下手ではあるが遥からそこまで酷評はされなかった。ただ、なにか物足りないと思ったのか髭を付け加え、バランスが悪いと藪の葉は大きくなり信楽焼のたぬきを見たせいか、徳利も増えてと繰り返していき最後にはたぬきではなく本当に部族のお面の様な絵に・・・。あれは流石にフォロー出来なかったな。まぁ、タイトルを部族のお面にしたら銅賞かなにか貰っていたが。


「ただいまです〜。」


「結城とメガネがチーかまくれたなぁ〜。」


「メガネ?」


「加奈子お姉様です。2人で遊んだ帰りの残り物らしいです。」


「あの2人か。確か今日ギルドで見たから2人で潜ってたのかな?」


「潜るって言うと2人共スィーパー志望か?進学なら今頃夏期補習とか・・・。」


「父さんそれ古いよ。ペーパーならほとんど問題にならないから補習も自由参加。大学としても志望学部ごとのテストはやるけどセンターはなくなったし、どちらかと言えば面接の方に比重を置くんだって。」


「それは知らなかったな。莉菜は知ってた?」


「う〜ん・・・、大学が逆スカウトしてるのは聞いたかしら?薬学部に調合師を呼び込もうとか、医学部に治癒師を呼び込もうとか。鍛冶師は土木建築系が欲しがってるって話は聞いたかな?」


「なら、東大とか誰が行くんだろ?」


「さぁ?オカルトとか?昔千尋が言ってたな。愛し合う2人が東大に行くと・・・。」


「世界を二分する大戦に発展し未曾有の危機が訪れる。」


「と、東大は危ないところですね!?」


「2人でいるならさっさと子供作って忙しくしてれば世界とかどうでも良くなるなぁ〜。」


「ち〜が〜う〜だ〜ろー!なんで愛し合ってるのに世界で大戦繰り広げる話になるんだよ!ソフィアもフェリエットも今のは父さんの冗談だ。」


「あら、夫婦の喧嘩は子供にとって世界を揺るがす大事件よ?主に皿が飛んだりコップが割れたり。」


「日夜そんな世界大戦は子供の知らないところで繰り広げられているのであった。お前も気をつけろよ?東大に行かなくとも夫婦喧嘩にいつの間にか発展するケースもある。」


「お、おう。と、2人は先にシャワー浴びるか?俺は後からでいいけど。」


「フェリエットがお腹すいたと言うから先にご飯食べます。」


 話し込んで外も暗くなったのでそのまま全員で食事。いやぁ・・・、東大は別にしても本に夢中になって何回妻から怒られたか・・・。悪気はないのだよ、強いて言うなら本が面白いのがいけないのさ!若干汗臭い食卓ながらも話は尽きない。ソフィアからすればスィーパーは全員チートらしく、今頭を抱えている勉強もスィーパーに成れれば全て解決すると叫び、どうにかしてスィーパーに成るか勉強しなくていい道を探すと言って息巻いていた。


 叡智と言う意味のある名前だが叡智どこ行った?ただ、大学入学の話を聞くと高校受験も様変わりしそうだな。中学まで不登校で勉強してなくても高校で追い付けるなら自由学習が推奨されるとか?いや、流石にそれはないな。下地ありきのイメージなのにその下地を無視していい訳がない。


 ただ変わるとすれば教科書とか?う〜む・・・、スィーパーに成る前提で考えてしまうが指輪と職、この2つがない状態で働くのは今の世の中にそぐわない。それこそ、ギルドに駐車する大型トラックのドライバーの様に特殊な物を運んでいるなら仕方ないが、そうでないなら普通車で大量に荷物は運べるし、渋滞に巻き込まれたら最近は車を収納して走ったり空を飛ぶ人も。


 16歳未満は過去の生活風景だが、その年齢を超えると全員チート化するんだよなぁ・・・。まぁ、全員チートならそれは平均なのでチートではなく大人になったと言う事だろう。特にゲートに潜るなら16歳から酒も飲めるしタバコも吸える方向に進みつつある。明日帰る増田も言っていたが、モンスターと戦い危機に瀕した後ほどストレスを感じる事もあれば、若い人ほどそれをなにかで緩和したいと考えるらしい。


 それが大人のしている少しだけ身体に悪い事を真似ると言うなら、可愛気と受け取っていいのかな?回復薬やエナドリ飲めばチャラに出来るし、俺も吸う側の人間なのであまり口出しは出来ない。と、そう言えば・・・。


「フェリエットはお酒飲める?」


 風呂に順繰り入りマッタリと過ごす中、貰い物の事を思い出した。猫にまたたび犬にイヌマンと言うが、イヌマンはミミズを干したりしたものなので日本人にはハードルが高いな。


「司が飲むそのシュワシュワかなぁ〜?苦いのはいらないなぁ〜。」


「まぁ、ハイボールはウィスキーの炭酸割りだから苦いと言えば苦いか。ただ、こういう物がある。」


「父さんそれって・・・。」


「なんですお兄ちゃんあれ?」


 取り出したるはマタタビ酒。モノによるが自家製だと飲みづらいので炭酸で割ったり砂糖を加えたりする。今回は増田からもらったので多分飲みやすいとは思うがとうだろう?効果としては滋養強壮とか?またたびの由来は元気になってまた旅に出ると言うのもあるらしいし。


 初めてなのでコップ一杯はやりすぎだろうと煙で小さなコップを持ってきてそれに一口分入れる。ただ、フェリエットは俺の横に座っていたが、封を切った時点で身体を俺にスリスリしてきている。マタタビの実や粉は猫の時にたまにあげていたので、床に身体を擦り付けたい衝動だろうか?


「この一口。それ以上は様子を見てからだな。」


「の、飲んでいいのかなぁー!?なんだか踊りだしたくなるなぁ―!」


「暴れるのはダメだ。それだと飲ませられない。せめて身体を擦り付けるくらいにしときなさい。」


「飲ませて大丈夫なの?フェリエットもスィーパーよね?」


「だから試してるんだよ。早々マタタビは生えてないけどそれに類するものがあった時にフェリエットがどう行動するか分からない。猫人の間では未だに猫草は食べられてるしね。犬人用にミミズの粉は流石に売ってないけど漢方なら多分あるし、犬人がたまに地面を凝視してるのは干からびたミミズがいるからだよ。」


 一応エナドリも出したし多分大丈夫だろう。そんな中でフェリエットは思い切りがいいと言うか一気に飲み干した。そして、唇についているであろう酒を舌で舐めて大きく息を吐く。なんと言うか髪が俺を絡め取ろうと袖口やら背中やらから入ってきている。そして更にスリスリと・・・。暴れはしないが表情も蕩けてるな。


  挿絵(By みてみん)


「もう少し欲しいなぁ〜♪後一口欲しいなぁ〜♪」


「いや、後はご褒美にしよう。飲み過ぎも身体に良くない。」


「大丈夫だなぁ〜♪今ならゲートも走り回れるし朝まで何人とでも子作りも余裕だなぁ〜♪」


「自分は大切にしろ!そんな事言うならもうやらん!」


「ならしないなぁ〜♪代わりにもう一口欲しいなぁ〜♪」


「父さんこれは泥沼何じゃ・・・。」


「いや、マタタビ自体は依存性無いし少しすればシャキッとする。酒が抜けるのは少し時間がかかるかもしれないからエナドリを飲ませておこう。」


 缶を渡して飲む様に言うと素直に飲んだので多分大丈夫だろう。ただ、多幸感は酒とマタタビのダブルパンチで半端ないのかも。この姿になってマタタビあげるのも初めだしなぁ・・・。


「大丈夫です?フェリエット。」


「大丈夫だけど元気いっぱいだなぁ〜。疲れが吹っ飛んだなぁ〜。」


「滋養強壮か。どうするかは考えものだな。」


 瓶を指輪に収納しフェリエットを見守りつつ就寝時間となったのでそれぞれの部屋へ。ただ、どうしてもフェリエットが家を抜け出さないか心配だったので夫婦の寝室へ連行したが、朝まで抱き枕コースは確定かな・・・。


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[一言] キウイフルーツももとはオニマタタビでマタタビラクトン持ってるから猫人には誘惑多いねぇ というか野生種のサルナシが普通に生えてるし、涼しい地域が主だけど 給料は普通に払う以外に良い方法ないで…
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