450話 テスト 挿絵あり
大遅刻です
テストをもらった次の日、2人を本部長室に呼んでテストをやらせてみる。別にここでなくてもいいのだが、妻の所だと預かっている子供達が遊ぼうと誘って来るので気が散ってしまう。ここが静かかと言えば、何かあれば人が来たり電話が鳴るので静かとも言えないが下でするよりもマシだろう。
「はーい、今からテストを始める。入学する中学の中間と期末テストで本来は1教科に付き50分の制限時間がある。ただ10枚その形式でやると、ほぼ一日テスト漬けになるから時間もペースもどれから解くかも任せる。まぁ、今の実力を知る為のものだからそんなに意気込まなくていいぞ〜。」
「面倒だなぁ〜。」
「ダメですフェリエット。ちゃんとやらないとおバカ認定です。」
「おバカでいいなぁ〜。最底辺なら後は少し点数を取るだけで褒められるなぁ〜。」
「なるほど、その手があったです。」
「そんなズルはしなくていい。真面目にやれば点数に応じてなにかご褒美をあげよう。」
フェリエットがズルをしようとするが、流石に問題を解いてもらわないと実力と言うか時間内に目標を達成出来るのかという点が見れない。そもそもテストの問題的にフェリエットはほぼ解答出来る。問題は取り組む姿勢とかやる気とか。神志那病と言うか、猫だからと言うか熱中出来る事には集中するがそうでもないものにはあまり関心がない。なのでこうして釣る材料が必要なわけで・・・。
「なら刺し身を要求するするなぁ〜。」
「私はお菓子が欲しいです!」
2人仲良く挙手して欲しい物を言ってくるが、ソフィアもお菓子の魔力に屈したらしい。まぁ、自堕落に食っちゃ寝している訳でもないので特に肉は付いていないし、三日坊主感が否めないとは言え息子に教えてもらいながらストレッチをしたりしている。
割とソフィアは身体が柔らかいらしく立ったまま両手の手の平が地面につくし、なんだか分からないヨガのポーズも出来る。ただ、頭の後ろで足を組んだのはいいが足が外れずに慌てていたのには笑ってしまった。そして、そんなヨガをするソフィアに息子は目のやり場に困ると愚痴をこぼすが、別にピッタリとした服でもないので意識しなければいい。まぁ、バルンバルン揺れる胸は確かに目に付くが・・・。文句言うなら電気屋に言えよ?
ソフィアの部屋にテレビを設置したのだが、アンテナの分配を切っていたので繋ぎなおさないといけないし、部屋にベッドを運び込んだので普段とは違い身体を動かすには多少手狭だ。なので居間でするしかない。誘われてやってみたが、三日坊主だった接近戦練習の時に身体の可動域を広げようと無理やり伸ばしたのが効いたのか、立ってから開脚していくとそのまま地面につくことが出来た。まぁ、骨は無いので出来ない方がおかしいと言えばおかしいのだが・・・。
「そのご褒美が欲しいなら真面目に解くように。終わったら言ってくれ。」
10枚のテスト。休憩を入れると1枚60分で10時間だが、個人的な話をすると1時間丸々テストを受けた記憶はない。解ける所からどんどん解いてしまって解らない所を見直しはするが、2回目3回目で分からないなら答えは出ない。寧ろ、余計にこんがらがるので見直すなら解答出来た所に間違いがないか見直すとか?
諦めではないがテストを前に出ない答えは頭を振り絞っても簡単に出るものでもない。要は必要な正解率が出ればいい。それすなわち平均点。まぁ、フェリエットとソフィアの2人のテストで平均点を出すのは多少酷なので目標は半分と言ったところかな?そんな2人は真面目にテストを解いている。
それを見つつ仕事を進めるが、望田の帰還はまだかかりそうだ。通信状態が悪いから仕方ないのだが数日遅れで届くメールの内容はセーフスペースを出発した事を最後に届いていない。メンバー的には安々とやられる様なメンバーではないと思うが魔術師中位ゼロがどう響くか。
望田を魔術師と捉えれば色々出来るのだろうが、そのイメージを伸ばせるかは望田次第。信じて送り出したが待つだけというのも中々辛いな。俺は万能ではないが死に遠い所にいる。なら、それだけ先に進み奥を見せて他の人にイメージを作ってもらわないといけない。
まぁ、それも望田が帰ってからか。ゲートの中も進まないといけないが外も大変だよ!配信で飛行ユニットの事が知られ米国に技術開示をしたまではいいけどその後が問題で、枠組みの中で少しづつ開示を広げていきたいチーム日本側とさっさとよこせと言う国連側・・・、チーム共産連合で話は拗れまくっている。元々配信で中国軍と名出しで牽制と言う名の嫌がらせをしたので、中国側は水面下は別として表立っては沈黙している。
寧ろ何を言っても日本政府が事務的回答以外返さないと言うのがボディーブローの様に効いて気絶したいのだろうが気絶する=脱落なのでロケット打ち上げはやめないし、国連を通じての発言自体もやめない。だが、色良い返事は一切なく残る道は自分達で発展させる道しかない。
まぁ、発展は好きにすればいい。その矛をゲート内や宇宙開発で競う様に使うなら何一つ問題ない。特に共産連合が公開した再現映像では日本で買ったパワードスーツを独自発展させただろうロボテックスーツを使い宇宙ステーションを開発している動画がアップされていた。
そこまですると飛行ユニットいらないんじゃない?バランスはエアー排出で整っていた様に見えたし、動きは緩慢だったが少なくとも作業は出来ていた様だ。それを見て焦る議員もいたようだが、下手に焦りを見せるとその議員の方が他の議員から今のアドバンテージの指摘を受けて割りを食う。なので最近の議員は不用意な発言はしないが、代わりにラボやらギルドに好き放題言ってる。
特に煩いのはJAXA。内閣府・総務省・文部科学省・経済産業省が共同所管しているので、早い話が宇宙開発っぽい話に絡めて色々と話を持ってくる。その中でウチよりも割り切ったのがバックボーンも弱い佐沼の会社。R・U・Rの技術や出土品にハブを付ける等ユニークな開発をしつつ実績を出してきた。特に増田が言っていた1J規格通信もサーバーを用意するのは佐沼の所。
仕事はなくならないかわりに利益はうなぎ登りなのだが、この前ファイアウォールを作った様に弱い部分もあれば、物理的な産業スパイも現れている。政府としてもギルドとしても保護したい会社筆頭だが、一部の株は海外の投資家に買われているので外資系とまではいかなくともそこそこの発言権はある。そこで、密約とでも言えばいいのかゲート外は販売と設置オンリーにして開発そのものの場所をラボに間借りできないかと打診があった。
それに出した回答は会社持ち株を一部取得する代わりに場所を提供するというもの。これにより何かしらの不利益が佐沼の会社にあった場合、ラボは持株会社が攻撃されたと言う正当性を持って動けるし、大株主の俺に話が来ても個人として動ける。株自体はギルドの持ち物に出来ないが、個人として動くのは自由なのだよ。
ただそんな中でスィーパーハッカーの出現は少数だが確認された。今の所被害はないが、どれだけ増えるかは分からない。顔を確認したいが電子データの世界を飛び回っているので、本人の姿はアバター化されてデフォルメされいたり、本人がネットの世界を動きやすい形に最適化されている。
それを考えると案内人をわざわざ人型にしたのは間違いだったかな?奏江も人型だったのでそれがメジャーだと思ったけど、戦闘機の様にスピード命タイプから破壊特化なのゲジゲジの様なのまでいる。寧ろ人型って不人気?姿も形も好きに出来るなら好きなイメージで作業する方がいいのだろう。ただ、残した方がいいと言う話は本当で物珍しさから来るハッカーはどんどん絡め取られている。
「これはこれでいいなぁ〜。」
「ほいほい。採点しだしたら終わるまで返せないし、採点後の書き換えは禁止。その点数がそのままだけど見直し完了でいい?」
「いいなぁ〜。」
速いと言うかフェリエットが数学の中間と期末を出してきた。解答用紙を見ながら採点するが、式を書いたり書かなかったりしている。解答そのものは正解だが次からは式を記入する様に言っておかないとな。




