414話 お祝い 挿絵あり
帰省して遅れました
「お祝いはいいが程々にな。屋根の上をウロウロするなら短パンは履いておく事。」
「布切れくらい見られてもいいなぁ〜。そんなに見たいならお店で見ればいいなぁ〜。」
「フェリエット、それは違うのよ。隠してあるから見たくなる。隠されてるから中身が気になる。スカートの中は乙女の秘密の場所よ?大っぴらにしたらありがたみがなくなるの。」
妻の諭す論点が違うような気もするがあっているような気もする。確かにランジェリーショップでムラムラする事はない。その代わり下着でうろつかない妻のスカートの中は気になるし、たまになんでもない時に見えたらちょっと嬉しい。やはり必要なのは恥じらいなのだろうか?身体を洗われる時も無抵抗よりそこはダメと言う方がやる気度UPするみたいだし・・・。
と、言うかフェリエットに口止めするの忘れてて獣人に職に就ける事が知れ渡ってしまったんだが!?一応ゲート立ち入り受付では特定年齢以下の子供は入れない様になっているし、獣人も職に就けない人枠で立ち入りさせない方針となっている。まぁ、スィーパーの手伝いなら同伴と言う形で許可も出しているのだが、フェリエットと言う1号が出たせいで後続が直ぐに生まれたらどうしよう?
賢者達曰く物好きが力をと言うか職に就かせている。なら、そいつがもふもふパラダイスなんて考えていたら?暇人だからオールウェルカムで色んなもんを見よう考えてる可能性があるんだよなぁ・・・、なにせ独占状態らしいし・・・。
「どうしたの貴方?顔色は悪くないけど思い詰めたみたいな表情して。」
「いや、実は先送りしたらダメな事を先送りしたんじゃないかと・・・。フェリエット、お祝いに来た獣人はそのままゲートに入るのか?」
「さぁ~なぁ〜。頭悪いやつはダメって言ったから多分入るなぁ〜。」
「抑止力!いや、頭悪いから入るのか。賢いなら考えるだろうし・・・。」
時間的な事を考えると日本はこれから夜になる。スィーパーの活動時間に昼も夜もないが兼業の人は、わざわざ獣人を向かえに行ってギルドに来るのか?いや、それはミニマムな視点だ。世界に目を向ければこれから今日が始まるところもある。職に就けたと言う情報はなくとも日常的に獣人とゲートに入るなんて人も・・・。
やっべー・・・、ガチに怒られる案件かも。いや、流石に海外で獣人が職に就いたと言うニュースが舞い込んだとしてもそれを責められるいわれはないな。それに考察と内容まとめで検証は何1つ出来てないから知らないも一緒!よし、明日の俺に頑張ってもらおう。流石に寝て起きたら獣人スィーパー祭りなんてないはずだし・・・。
「頭悪いって獣人の頭悪いレベルってなんなの?」
「勉強を嫌ったやつは多分資格がないなぁ〜。」
「勉強を嫌う・・・、つまり中学生にモノを教えるレベルは必要とか?」
「分からんなぁ〜。でも、入ればはっきりするなぁ〜。勝手に入って勝手に死んだら仕方ないなぁ〜。」
でた獣人のドライなところ!獣人の生死感は死ぬときゃ死ぬを地で行くからその辺はドライなんだよな。まぁ、人もその辺りがドライな人はドライだし大きく違うかと言われると困るが・・・。忠犬ハチ公が聞いたら助走つけて殴ってきそうなレベルの発言だが仕方ないものは仕方ない。割と犬人も飼い主が死んだと通知が来たら納得するし。
「外で何騒いでるんだ?さっきは獣人がいっぱい来てたし何か厄介事か?」
「お帰りですお父さんお母さん。」
「ただいま二人とも。ソフィア、そのハチマキは受験の時にするもんだ。」
「大丈夫、ヘアバンドの代わりです。」
家の中から息子と娘が出て来たが、那由多はいいとしてソフィアの頭には必勝ハチマキが巻かれている。特に中学受験させる気はないが、夏休み明けまでに中学レベルの学力を付けると言う意気込みだろうか?
「ただいま、お昼はお兄ちゃんに作ってもらった?」
「はい!冷凍唐揚げとチャーハンでした。美味しかったしお米パラパラは凄いです。」
「自炊の練習も兼ねてるからな。食べるならうまいもんの方がいいだろ?コンロの作りを変えれば火力強化も出来るし。」
「やるのはいいが元に戻しておけよ?知らずに使うと危ないし。さて、フェリエットから聞いてると思うが今晩はフェリエットの好きなものを食べる。出かけるから準備して。」
準備をして外食、フェリエットの要望は鶏肉だったので悩んだ末に焼き鳥居酒屋と言うチョイスになった。はっきり言うとコスパは最悪の部類に入るがお祝いなので仕方ない。行き付けなんてないのでレビューで良さそうな所+妻の勘で店を選び入店して個室へ。
フェリエットとソフィアは2人でメニューを見ながら何を食べると話し込み、それを横目に適当に串盛りを注文。帰りは妻が運転してくれると言うのでハイボールも頼む。息子はスタートからご飯物と鉄板焼を頼んでいるが、まぁ若さがあるから仕方ない。
「お父さん何で外食ですか?」
「・・・、はぁ?フェリエットから聞いてないのか?」
「いや、俺達も父さん達のクラクションの音で外に出たんだよ。それまでは俺は部屋で勉強してたし、ソフィアもタブレットいじってたし。」
「そうか。タイミング的に集会と言うかお祝いのさなかに帰ってきたと言えばそうだしな。」
「結局何のお祝いなんだ?」
「フェリエットが職に就けたのよ。明日から神志那さんが専属で検証するらしいわ。」
そんな話を聞いたソフィアがフェリエットを見ながら恨めしそうにしている。何度か見た事あるな。弟が職に就いた兄を見た時や同級生でも生まれが早い遅いで職に就けるタイミングが違ったりする。まぁ、このタイミングのおかげでいじめなんかの問題が多少は減った様だ。
いじめていた相手が先に生まれていたら?ガチに殺しに来ても文句は言えないよな?殺人を犯したら犯罪者として捕まえるが、そうでないなら警察は動けない。中にはいじめていた相手が自分を殺しに来ると思い込み引き籠りになったいじめっ子もいる様だが、そこまで恨まれる様な事をしたのだろう?
どれくらいで同じ土俵に上がれるかは知らないが、同学年なら数ヶ月。年下をパシリにしていたとしても相手がS職に就けば国としては保護対象でもあるし、何よりSでなくとも逆襲するだけの力はある。結果として道徳心と言うか自衛的モラルとでも言えばいいのか、そんなものが向上した。
「フェリエットもソフィアを置いていく〜。」
「ソフィアがおバカじゃなかったら職に就けるなぁ〜。でも、人間はおバカでも年齢で職に就けるから楽といえば楽だなぁ〜。」
「おバカでもって、そんなにおバカはいないだろ?」
「那由多はダメだなぁ〜。この国の学力と海外・・・、アフリカの部族の学力を比べると歴然だなぁ〜。それでも職には就けたなぁ〜。」
「それはそうなんだけど・・・。」
「やめとけ那由多。黒江家の男は女性には勝てない。それにフェリエットが言う事は合ってるし、人は就いた後に捏ねくり回すだけの思考もできる。でも、獣人のスタートを考えると個体差と言うか学習環境にも天と地ほどの差がある。」
日本ではタブレット学習を推奨したが海外では当然そこまで行っていない所も。なので極端な話をするとスラムに獣人が住み着いて共同生活をしている所もあれば、都市部から平原に行きどこかの部族の神様的な扱いを受けるなんてことも。
確かに虎の精霊とかライオンの精霊と言われれば信じてしまう部族の人もいるだろう。まぁ、近代化されてビジネス部族なんて言葉もあるから一概には言えないが、要は獣人も演者としてビジネスしていると考えればそれまでか。
「それって俺は父さんに勝てなくないか?」
「何で勝ちたいかによるんじゃないか?身長や体重、格闘センスでは多分私はお前に勝てないぞ?」
「それ以外の面で勝てる気がしねぇ・・・。稼ぎては勝てないし考え方も未熟っぽいしなぁ・・・。」
「それに思い至れるなら大丈夫だ。父さんなんて若い時は馬鹿な事を何度もやった。例えば吐くまで飲んで何回も後悔したりとかな。別に馬鹿な事をしたら駄目と言う法律はない。けど、した分は後悔を覚えておかないとためにはならない。それだけの話だ。」
「そうか。まぁ、ぼちぼちと自立出来る様に頑張るか。」
「ところでフェリエット、貴女の職はなんですか?」
「妖怪だなぁ〜。何が出来るかは明日から調べるなぁ〜。」
「本当ににゃん太が化け猫になった!」
「人になった時点で化けてるけどな。」
そんな話をしつつ食事を楽しみ帰宅。そして新しい今日が始まりギルドへ。到着して早々待ち構えていた神志那にフェリエットは攫われていったが、当の本人は舟盛りを貰うと意気込んでいた。そして俺は気が重いが増田へ連絡・・・。
「もしも〜し大丈夫ですか?増田さんですか?」
「大丈夫ですがどうしました?先ほど獣人が職に就けたと言う文章を頂きましたが。」




