表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
街中ダンジョン  作者: フィノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

501/878

408話 遊ぶ子どもたち 挿絵あり

「それで、ソフィアも泳ぐんだよな?」


「およ・・・、ぐ?」


「いや、その格好して海に来てなんで急に日本語が通じなくなるんだよ。」


「よくよく考えると私は泳いだ記憶がないです。ここって沖合ですよね?」


「かなり沖合だな、少なくとも陸から10kmは離れてる。砂浜から落っこちると足はつかないから金づちは浮き輪やらライフジャケット推奨だし、緊急用にライフセーバーもいる。」


「夏休みはここまで走って海で汗を流して温泉入って帰るって那由多は言ってたな。」


「バイトの部分が抜けてるぞ?まぁ、飛び込んでさっぱりしてからバイトする気ではあるし、魔術師に頼んだら温泉いかなくても丸洗いしてくれる。」


 小屋の壁をなくしこちらを見る生徒を無視しながら歩く。たまにスマホで写真を撮られるが今更だと諦めた。多分ネットにアップされるだろうけどそれもすぐに消えるしな。今までは父さんの家族でも大々的に騒がれる事はなかったけど、ソフィアとのツーショットなら諦めるしかない。だって配信開始されたのはついこの前だし・・・。


「ソフィアは浮き輪を使うといいなぁ〜。莉菜から泳ぐ時はいるから取りに来いと言われたから取ってくるなぁ〜。」


「流石お母さんです。ありがたやありがたや。」


「手を合わせて言う辺り、やはりソフィアも日本人だな。さて、フェリエットが戻るまでは砂浜で遊ぶとしよう。」


「なら僕の独壇場だねって、他のやつが築城してる!」


 なかなか出てこなかったからか、それとも先生に散らされたのか、大部分は四方に散り露店を見る者や海で遊ぶ者が見える。そして、浜辺には二階建てくらいの和風の城が新築されている。少ないとは言え魔術師もいるのでやろうと思えば作れるのだろう。ただ、浜辺の砂を集め過ぎると底が視えるのであの程度が限界なのかな?


「毎回思うんですけど器用ですよね。」


「器用で片付けていいかは迷うが、そう言うイメージがあるからだと思うぞ?加奈子。」


「それにしてもですよ。」



ーside リーー



 それにしてもだ。補充はない、資金はある、青山や伊月と言う警察を警戒するものの今の所家宅捜索を受ける事はない。そんな薄氷の日常を過ごしたが、目の前にソフィアと名乗る新たなファーストの娘がいる。そう、新たな娘だ。テイから任務続行の知らせを受けた後、身動きの取れない中である情報から話し合ったがソフィアと名乗る人物は、祖国が今回の件で確保しようとしていた人物であるらしいと言う事で落ち着いた。


 ただ、我々には容姿等に関する情報はない。通信網やネットは広大に張り巡らされ写真1枚送る事は簡単だが、その通信網が監視されていれば送る事も出来ない。過去なら気にはならなかったが、R・U・Rが日本により作られそれを使う技術により監視の厳しさが不明なためだ。


 一説にはR・U・Rを使用する為のサーバーは既存のスーパーコンピュータの数世代先・・・、下手をすれば数十世代先ではないかと言われている。確かに祖国でも日本より仕入れた物品でハブを取り付けたり出土品をいじると言う試みは試行錯誤されているが一般で使用すると言うレベルで洗練されていない。


 それに、日本の通信技術と祖国の通信技術では通信速度の問題でバレる可能性もある。結果として祖国の衛星を介した情報交換のみだが、ソレさえも今は何が失態に繋がるか分からないと通信そのものが封鎖されている。


 まぁ、それはいい。観察は継続で引き上げ時期は未定だしソフィアなる人物は目の前で無防備に遊んでいるがそれをどうこうする事も出来ない。何せ海外との物理的な接触は出来ないし拉致などすればどこの国がしたのか?その部分で祖国の名が一番に上がる。


 なら、せめて友好な関係を作る方が良い。アニメが好きだと言う話ならそこから話を広げよう。どの道彼女が本当にどこにいたかの検証は出来ないのだし。


「浮き輪持ってきたなぁ〜。」


「ついでにライフセーバーとしてきました。」


「あ、青山さん父がお世話になってます。」


「いや、俺の方こそお世話さしてもらってありがとう。」


 大き目の浮き輪を持って帰って来た猫人と共に現れたのは青山。警戒すべき人間だが彼もまたよく分からない存在だ。ファーストの手の者と言うのは確実だが、一体何が彼をそこまでの信奉者にしたのかは分からない。


「それじゃあ海へ入るです!」


 そう言って今度こそ対象達が海へ走っていく。砂浜では城の他にも砂で出来た手で沖に投げ飛ばしてもらっている者や水面を走る者、変わった者は塩を精製していたりする・・・。


「この塩を美少女女子学生の塩として売ってら小銭が稼げると思わないか?」


「ラベルはソフィアちゃんでいいな。ファーストさんもいれば高額で売れるけど、流石に那由多が呼んでくれないもんなぁ〜。」


「ソフィアちゃんが呼びかけたら、もしかしたら来るんじゃないか?」


「その呼びかけをお願いする難易度の高さよ・・・。」


「ソフィアさんにお父さんを呼んでもらう・・・。」


 ファーストの生体細胞採取は目標の1つとして考えているが中々本人に会う機会もなく、家に遊びに行く機会がない訳では無いが白い髪を探しても見つからず、化粧もしないと言うのは本当なのか化粧品や櫛も見当たらない。


 本人から直接採取するとなると・・・、枝毛を見つけるとか?指摘されて気持ちいいものではないが、ないと言い張れるものでもないので髪を抜いてもおかしくはないだろう。ただ、青山が私を見る目だけがどうしても行動を起こすのに躊躇いを持たせる。


「お兄ちゃ〜〜ん!ソフィアは空を飛びますよーーー!!」


「ちょ!お前大丈夫か!」


「何かあれば私も走っていく。」


「なら僕は泥舟作ろうかな。那由多作成して浮かせられるだろ?」


「崩壊させない程度にはな。その時は加奈子も手伝ってくれ。外装をトロンプ・ルイユで補強すればさらに硬くなる。まぁ、投げ飛ばされた先で浮き輪で浮いてるから大丈夫かな?フェリエットが浮き輪に結ばれた紐持ってるし。」


 視線の先では猫人が浜辺で紐を持ち青山がソフィアを見守る。手出しは厳しいな。彼女の細胞も欲しいが採取した後も当面は送る機会がないので死蔵することになるし。


「難しい顔してどうした加奈子?」


  挿絵(By みてみん)


「那由多君の鋼の理性を称賛しようかと。女の私からみても千尋ちゃんはスタイルいいですからね。」


「空手ばかりでゴツゴツした身体だ。それより結城、加奈子に言う事は?」


「ん?僕?言っちゃっていいの?」


「なっ、何をいう気ですか!?爆弾発言なら胸にしまっていてください。私の胸はないですけど・・・。」


「いやいや、着痩せする人はいるって聞くけどねぇ。」


  挿絵(By みてみん)


 今日は泳ぐと言う事で違和感のない範囲で盛ったが大丈夫だろうか?日々の水泳の授業で少しづつ盛っていたので大丈夫だとは思うが・・・。


「加奈子は自分に自信を持った方がいいよ。なんかこの前休んだ後から元気なかったし、何が原因か僕には分からないから気軽に頑張れとか言えないけど、今日は最大限に気晴らし出来る様にするよ。差し当たって・・・、海底とか隆起させてみる?」


「・・・、ぷっ、それってもう火山じゃないですか。でも、海の上を漂うのは楽しそうですね。トロンプ・ルイユで船出すから補強無しで乗れるか試してみません?」


 対象はあくまで結城だ。確かに追加要因は増えて増援もないがやる事は変わらない。変に意気込む事なく自然体で溶け込む様に私はこのメンバーにいればいい。そうすれば、ソフィアやファーストとの接触機会も確保出来る。



ーside 司ー



 マスタールームから見下ろす先では子供達が遊んでいる。青山曰く時枝という人物にはそこそこ警戒した方がいいらしい。ただ、その警戒のレベルと言うものに迷う。何せこれと言った行動も起こしておらず俺に対してもアクションを取る事はないらしい。


 なら、息子相手かと言われるとそれもまたない。仮に息子にアプローチをかけて千尋ちゃんから略奪すると言うなら、いくらなんでも期間が短すぎる。そりゃぁ、恋とは落ちるものと言うが落ちるなら出会い頭で、次の機会は何かしらの危機的な状況。


 日々の行動に好意を持ったとしても、既に相思相愛の2人相手に引っ掻き回した所で憎まれるだけ。行動を起こさないならどうでもいいし、ソフィアを見せても反応は薄いので全く持って目標がわからない。まぁ、警戒した方がいいという話なら警戒はさせてもらおう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
評価、感想、ブックマークお願いします
― 新着の感想 ―
[一言] 青山はなぁ多分主観でクロエの邪魔になると判断したら躊躇いなく消す一種の地雷だからなぁ
[一言] 千尋もアスリート系の美人だな >空手ばかりでゴツゴツした身体だ これもそのうち色々対応できるようになるんだろうなぁ 塩じゃなくてもっと希少元素の精製にチャレンジするやつも居るんだろうなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ