404話 買い物集団 挿絵あり
多少回復しました
「私はなんでここにいるんでしょうか?」
「それは家族だからよ?司、コレとかどう?可愛いわよ?」
「そんなスケスケいらん。スポブラと綿パンとかでいいよ。或いはいつもの形のやつ。私も息子や結城君と一緒にゲーセンでよく分からない家電取ってればよかった。」
「ツカサ・・・、残念な事を言いますけど最近のUFOキャッチャーはスィーパー対策で年齢制限ありますよ?」
「じっ、14歳と言い張れば!」
「無理ですよ司さん。普通の格闘ゲームとか体感型のゲームは出来ますよ?踊るやつとかドラムするやつとか。」
「お嬢さんのスリーサイズ計測終わりました。羨ましいくらいのモデル体型ですね・・・。ファーストさんもその・・・、計測いかがですか?社員一同で行いますが。」
「お父さんお母さん、思ったよりも胸は育ってました。」
早めに帰ってファッションショーを見る予定が、思ったよりも妻の仕事が長引きこうして家族+アルファで買い物に来ている。来ているのはいいのだが、逃げる隙を貰えないまま女性物ランジェリーショップに拉致されて色々と進められている。
下着は遥が作ったのがあるし、モンスターの攻撃がぶち当たったり爆散した時の様に消し飛ばない限りはくたびれる事も擦り切れる事も無いからいらないんだよなぁ〜。むしろ、可愛い下着ってなに?レースとか刺繍とか付いてると魔女は嬉しそうに見ているが、元男の俺からするとジョークグッツのパンツに見える。ボクサーにしろトランクスにしろ柄はあってもレースとかはないしな。
「私は結構です。代わりに他の人のを選んであげてください。莉菜、店の前で待っとくよ。」
「そう言いながら対面の本屋から目を離してないけど行っちゃダメよ?貴方が行くと長いんだから。もし行くなら那由多達の所にしてね。」
「へーい。」
パステルカラーや落ち着いた色のランジェリーショップを後にして喫煙所でプカリ。一応、帽子とサングラスで変装しているが、外も暗くなろうと言う中でサングラスは目立つのか店の前にいた時は可也の人にジロジロと見られた。う〜む、パイポを買っていなくてロリポップを口に入れていたから行儀悪かったかな?
なんだが人の往来も増えて来たし、ここに留まるのも邪魔になるだろうと移動してタバコを吸ってから息子達の所へ。UFOキャッチャーファンは泣いていい。或いはボッタクリと怒っていい。望田の言う様にUFOキャッチャーには年齢制限ありのシールが貼られ、入店時に何かしらの身分証を提示してくれと言われた。
免許証を提示しようかと思ったが、個人情報の塊なのでスィーパーのライセンスカードを提示すると、何度も視線が顔とカードを行き来していたが年齢のせいかな?まぁ、それはいいとして16歳以下、或いはスィーパーでない者は普通にUFOキャッチャーを楽しめる。逆にスィーパーもUFOキャッチャーが出来るのだが、投入するのは何と金貨。1枚で10ゲームするか、専用のメダルに換金するかという話だが1ゲーム千円か・・・。
まぁ、それでもする人は割といるし、そちらは職を使っていいのかアームで掴んでいないのに景品がアームを追尾して穴に落ちたり、コインは投入するもののアームは適当に動かして商品だけぷかぷか浮いて穴に落ちるなんて事も。100%景品が貰えるから千円なら安いのか、はたまた買った方が安いのか?
プライズ品のフィギュアなんかは基本的に非売品なので欲しいと言えば欲しいのかな?上手くない人も余計なお金かけずに欲しい物が取れると言うか貰えるし。ただ、浮かせたりして取れるイメージのない人は連コインする人もいる様だ。
何もしないのも悪いとメダル20枚を手に持ち景品を物色。定番と言うかお菓子の詰め合わせやジュース、アニメのキャラクターフィギュアに大きなぬいぐるみ・・・、スィーパー前提なせいかぬいぐるみの大きさが1mくらいのものから、明らかに俺よりもデカそうなものまでがディスプレイされ、本体は圧縮袋にいれられてある。ふむ、接触冷感とな?
1m半くらいのサメのぬいぐるみが全身接触冷感素材で千円なら安いな。それに、何かに抱きついてればソフィアやフェリエットも諦めるだろう。フェリエットは別として、ソフィアの生い立ちを考えると一人が寂しいと言う気持ちは分かるが、どこかの段階で独り立ちはしないといけないしそれの準備と思えばね。
メダルを入れて一応アームで取れないか試したが、卑怯と言うかなんと言うかアームが景品を撫でておしまい。一瞬目が点になったが気を取り直して景品を浮かせてさっさと穴に落としGET。ついでにもう1枚メダルを入れソフィアの分もGET。いらないなら居間のクッションにでもするかな。
「抱き枕GET〜♪コレで少しはいいはず!」
声を出したせいかこちらを見られたがまぁ、大丈夫だろう。台を離れて店内を見るが体感ゲームの方が何やら盛り上がっている様だ。息子達も見当たらないし一度行ってみるか。
「よっ!那由多ステップが華麗に見える!」
「そう言うお前だってノーミスだろ?ラストで負けた方がジュース奢りな!」
2人して何をしているかと思えばダンスゲーム・・・、に見える回避ゲーム?画面にはモンスターが現れ光ってないマスを踏むとモンスターにダメージが入る。難易度が高いのか知らないが結構な音と高速点滅は見ている側にダメージがデカい。あれだ、パチンコ屋が苦手な理由と一緒のやつだ。
ギャラリーが見守る中、やんややんやとやっている息子達を尻目に更に景品を物色。さっきのサメは欲しい人が多いのか列になってるな。他を見ると市井ちゃんフィギュアにゼリー詰め合わせ、何処かの名産お菓子の詰め合わせ等々バラエティ豊か。昔はぬいぐるみかフィギュアがメインでたまにマグカップだったのにな。
メダル分ゲームをやってほとんどをお菓子に変えて息子達の所へ。勝敗はどうなったのやら、2人でジュースを飲んでいるので分からんな。たた、汗だくなので変えのTシャツがなければ買うとしよう。ついでにペットショップ兼獣人ショップでフェリエットが欲しいと言っていた骨も。
猫が骨を噛み噛みするイメージはなかったが、歯がかゆい時にはいいらしい。獣人と言えど犬歯は人より長いので硬い物噛んで削るのだろうか?後はマタタビを買うかな。お酒飲んでるのを見るフェリエットは羨ましそうな顔してるし。
「お疲れさん。勝敗は?」
「うおっ!父さんきてたの?」
「お疲れ様です司さん。互いの健闘を称えてドローです。てか、体力オバケにクラスチェンジした那由多に僕じゃ勝てないなぁ〜。『もう1ラウンドやるか?』って聞かれたけど腰が痛くて・・・。」
「回復薬かエナドリ飲めば何ラウンドでもヤれるだろ?」
「それはゲートに取っとくの。と、言うかね那由多君。君のその発言が僕達デキてるって疑い呼ぶんじゃない?」
「?、何かおかしいこと言ったか?」
「息子よ・・・、腐った方は鉛筆と鉛筆削りでもその手の話が出来る。ここをゲームセンターじゃないと考えた上で汗だくの男2人でその発言を当てはめていくと・・・。」
「・・・、結城ちょっと距離を置こうか。」
「はいダウトー!もう今更だよ。出口なんてないだろう?僕達の関係に。」
「なんで胸元開きながら近寄ってくるんだよ!と、そう言えば父さんがここにいるって事は買い物済んだのか?流石にあの空間に高校生男子が入るのは辛い・・・。」
「那由多の意気地なし!彼女の着飾る姿を褒めるのは彼氏の義務だぞ!」
「まぁ、2人で来たなら逃走は不可だな。相手が嫌がるとかお楽しみって言うならいいけど、せっかく2人で来たからには一緒に選ばないと。ウケ狙いできわどい物を勧めてもよし、好きな色を勧めてもよし。何にせよ2人と言う事はデートだからな。」
「援護がねぇ・・・。まぁ、確かに父さんは普通に(?)母さんとランジェリーショップに入ってたしな。」
「今日は大人数で店側も迷惑するだろうから離れたけどな。下手すると莉菜がおそろいを買うとか言い出しそうだし。ま、買い終われば連絡が来るだろう。2人共変えの服は?ないならTシャツを買ってやるが?」
「変えの服か・・・、そう言えばこの前全部出して洗濯したな。」
「僕はありますよ〜。全部ってどんくらい?」
「ギルドの鍛冶やって汗かく度に着替えてたから・・・、30枚くらい?」
「母さんブチ切れ案件だな。悪い事は言わないからその量ならコインランドリーを使いなさい。じゃないと洗濯機何回回すんだって怒るぞ?」
「既に怒られた後だよ・・・。でも、買ってくれるなら早くしよう。女の人の買い物が長いって言っても家具とかも見るんだろ?」
「その予定なんだが・・・、最悪今日は服で終わると思え。女3人で姦しいと読む。それが今日は4人。フェリエットが歩いて帰ると言ったのは正解だよ。」
お猫様は長くなるから歩いて帰るなぁ〜と言って逃走した。外食すると言っても譲らずお金だけくれと言う辺り本気の程が伺える。妻としてはフェリエットの新しい服や下着も買うつもりだったらしいのだが、それも全部任せるとの事。
別に妻は少女趣味と言うわけではない。だが、俺よりも身長が高いとは言え妻よりも低いお前にヒラヒラやフリフリ、パステルカラーの服が届いても文句言うなよ?どちらかと言えばお前もボーイッシュと言うか活動的な服を好んでるけどさ。そんな話をしつつゲーセンを後にして男性服売り場へ。
夏なので速乾素材の服多いな。仕事終わりと言う事で今の俺の服はジーパンにTシャツだが、ノースリーブとか涼しそう。下も短パンとかに変えたいなぁ〜。接触冷感のステテコとか涼しそうだし。汗一つかかないが、今年の猛暑は視覚でも暑さが伝わり死ねる。
「じゃあ、ちゃっちゃと選んでくる。」
「分かった、私もちょっと見てくるから先に買っといてくれ。」
息子達と別れ服売り場を物色。サイズ的にジュニアサイズとかになるんだよなぁ〜。ダボダボが好きなのでオーバーサイズは構わないのだが妻や望田から色々見えるからあんまり大きめにするなとも言われている。別にチラ見えとか脇見えとか気にしないのだがダメらしい。
あまり離れず見ていると黒系の夏物があったので適当に手に取りそのまま会計。体型が変わらないと言うのは数字さえ覚えていれば、その範囲内なら服が着れると言う事。なのでタグを見れば着られるかどうかすぐ分かる。デザインはそこまでこだわりないし、何やら付属アクセサリーもあるので得した気分ではあるな。タグも切ってもらったのでそのまま試着室に向かいさっさと着替える。
鏡を見るがこの格好に帽子とサングラスは合っているのだろうか?そうは言っても今はキャップもなければ他のサングラスもない。顔バレと言うのは今更感があるが、隠しているからプライベートと言い張れる部分もあるのでこのままでいいか。
息子達の所に戻りながら他の商品を見ると魔法糸何%配合服なるものが・・・。100%でない以上どこかで綻びが出るのだろうが、それでも丈夫なのだろうか?価格的に言えば金貨数枚とそこそこ高く、100%だと何枚になるんだろ?ショッピングモールで買うような品かと聞かれると判断に迷う。
奥にはスィーパーなりきりセットやら市井ちゃん変身セット、多分宮藤が許可したのであろうクロエちゃん式ドレス等々。色々ある。ちょっと橘プラモは欲しいな。いい値段するがパッケージの絵柄には惹かれるものがある。ただ、背景が宇宙なのは壮大さを出す為なのだろうか?
「決まったか?」
「スポーツメーカーの速乾シャツに・・・、父さんはどこを目指してるんだ?」
「夏の暑さから逃げられる場所かな?涼しそうだからコレにしたが似合わんなら指輪の肥やしだな。」
「いやいや・・・、司さんに似合わない服は服だけです。取り敢えず一緒に写真を1枚。そう言えば、莉菜さん達と会いませんでした?夏服撰びにコッチのフロアに着てましたけど。」
「えっ!マナーモードて着信見落としたかな?」
結城君に言われてスマホを見るとLINEと不在着信の表示がある。LINEを見ると『今どこ?』との表示が・・・。タイミング的に着替えてた時だな。会わなかったと言う事は行き違いになったんだろう。まぁ、俺がさっさと買った服屋以外にも色々な店があるし。
「母さんから伝言で父さんの服も買うってさ。まぁ、先に買ったからいいんじゃないか?」
「バカ、コレがバレると後から恨み言いわれるんだぞ?『普段は買わないのにこう言う時は買うのね』って。下手するとソフィアと一緒に選ぶ算段も・・・。」
「つけてたからもう何着か買いましょうね、ア・ナ・タ。」
振り向くとそこには妻達が!着せ替え人形は勘弁してほしいが不思議とさせたがる人はいるんだよなぁ。柊さん然り、講習会メンバー然り。ミニマリストと言うわけではないが、身体は1つしかないのでそんなにたくさん服があってもいつ着ればいいのやら・・・。
「お父さんが物凄くセクシーです。」
「ソフィアちゃん、あの服は去年よりもおとなしいんですよ?なにせ去年はチューブトップで街を歩いてましたからね。」
「感覚が若いと言うか私が古風と言うか・・・。その、那由多も私にああいった服を着てほしいか?」
「どうだろう?似合わない事はないけど千尋の好みとは違うんだろ?なら俺と一緒に選べばいいんじゃないか?」
「そうだな・・・、うん!一緒に選ぼう。」
「うんじゃ僕は若い感性を使ってソフィアちゃんの服を選ぼうかな。」
「そうだな。元々は娘の服を買いに来たんだ。そんなに人数いらないし那由多と千尋ちゃんはぶらついてきなさい。」
息子がナチュラルに千尋ちゃんを誘ったので援護射撃を行い送り出す。当の息子は次の機会にとでも思っていたのか、一瞬どうしようか悩んだがすぐに千尋ちゃんの手を取り歩き出す。息子よ、それが正解だ。親子は絆だが家族は守るものだ。
「いい子ですよね、那由多君。」
「司の息子だからね。さてとソフィアの服を選びましょうか。」
「お父さんと一緒の服は?」
「未成年が腹を出すな。冷えて風邪引いたらどうする?普通のTシャツや短パンにしなさい。」
「えー・・・。」
「まぁまぁ、取り敢えず見てみようよ。」
カップルは置いてソフィアの服を買う。歳のせいなのか単純に好きなのか明るい色やパステルカラーっぽい服をよく手に取っているように見える。ただ多分ソフィアの美的センスは少し人と違う気がする。
「見てください!可愛いです!」
「それは・・・。」
可愛い・・・、のか?俺にはそのセンスは分からない。魔女や賢者も首を傾げるので間違いはないと思う。キモかわいいとかいうやつだろうか?そんな波乱な服選びも終了して家具を買い込み帰宅。設置は楽なのでソフィアの思うレイアウトにして完了。さてと、ここが新たソフィアの居場所だな。




