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街中ダンジョン  作者: フィノ


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394話 決断 挿絵あり

遅刻です

 増田との電話を切り斎藤達と話を再開するが、クリスタルも大量にあり液体の封入が済めば後は浮かすだけとの事。大地との切り離しはまだらしいが、それもやはり液体封入後でないとバランスが悪くなるらしい。この場合のバランスとは空洞箇所があるとそこに重さが集中し割れるのだとか。


 あれか、水中でガラスはハサミで切れるけど空気中でやると木っ端微塵的な?何にせよ今は中間層なので湯もみはそこそこでいいらしく、中野達も一息ついている。


「斎藤さん、これが浮いたとしてそのまま大気圏離脱って出来ます?」


「人が死んでもいいなら出来ますよ?外郭となるドームを形成し加圧して中を1気圧にし、人が呼吸出来るだけの酸素循環が出来れば晴れて宇宙ステーションとして活用できますが、衛星軌道上からは急いで離脱しないと下手をするとスペースデブリで木っ端微塵ですね。」


「やっぱり外殻構築が必要ですか。」


「今は浮かせるだけですからね。ちまちま改装していけば宇宙ステーションとしても使えますし、これが成功すれば宇宙エレベーターの中継基地としても使えます。と言うかこれを2個作れれば地震問題が解決しますね。」


「それってもしかして浮いてるから地震怖くない的な?」


「ええ。地震も津波もハリケーンも、おおよそ自然災害と呼ばれるものは考慮しなくても良くなります。知っているでしょう?超大型台風が来ても雲の上は平穏だとね。あぁ〜、僕の夢がどんどん現実になっていく〜♪後は中位に至れたらなぁ・・・。」


 元々斎藤はカーボンナノチューブの研究者で、それを使って宇宙エレベーターとかを作りたかった。何気に一番夢を現実にしてる人だよなぁ〜。松田とかもこれが浮いた姿を見ればさぞ喜ぶだろし、コロニー転用の話をすれば歯噛みする奴らもいる。飛行ユニットはガチで門外不出品になるだろうけど、何年か先には各国に公開されるのかな?


「配信の時に斎藤さんに出演してもらってもいいですか?コロニーとか宇宙ステーションの話をしたら、喜ぶ人と歯噛みする人がいるので。」


「いいですよ〜。ニックネームはソーツ斎藤ですね。」


「それでいいならそれでいいですけど、そう名乗ると私にしわ寄せが来そうな・・・。」


 ソーツは斎藤の姿を模している。そして、配信でソーツ斎藤と名乗る人物が現れる。・・・、抜け駆け交渉とか言われない?浮遊大陸とか言う超技術を見せつけた上でそれを名乗られると俺ヤバない!?いや、流石にこっち来んなのソーツとバリバリ話す斎藤では見分け付くか。


 疑う人は必ずいるだろうが、かと言ってこれを作る理論とかは流石にみんな手に余る。まぁ・・・、松田が頑張るよね?多分だけど。後はJAXAの田辺さんとかNASAの職員とかも。ぐぬぬしそうなのは山口とか?アメリカのラボで頑張っているらしいが、彼女も彼女で突拍子もないからなぁ・・・。


「なら私もたまには表舞台に立ちますかな?部下の斎藤君と呼べばその懸念も薄れるでしょう。ついでに話したいこともありますし。」


「それはありがたいですけど話したい事って?」


「採用問い合わせするなですな。ウチはスカウト制を採用しているので融資も売り込みも不要と大々的に話を。一時期その手の話で外の工場の電話がパンクしましてね。」


「あぁ・・・。確に株式会社なのに浮遊株ないしここに入りたい人は多いですからね。」


「株の方は問題ありませんな。ウチとクロエさんでほぼ独占し、他社の株を買うわけでもなく、ほとんどが研究資金と賃金後は配当に消えています。監査はしてもらいますが、特に資金調達をする必要性もありませんから上場する気もないですし。」


 その話を聞くと配当金いくらと聞くのが怖くなる。何せ売り物は回復薬だしそれ以外もガンガン技術開発してるし・・・。例えば今回の配信で浮島作って売ってと言われたらいくらとするのだろう?材料費はまぁ、ほぼタダで高額になりそうなのは技術費用と人件費と飛行ユニット代とか?


 何気にここってAクラス出土品を扱えるだけの人材もいるから、危ない物を持ち込むとなるとここになるんだよなぁ〜。まぁ、ここがないとギルドとしてもかなり不味いので何かあればギルドとして対応しよう。人、これをズブズブの関係と言う・・・。


「他の所って回復薬まだ作れないんですか?」


「いえ?作れてますよ?ただ、ネームバリューと効能の問題でしょう。ウチは量を揃えればゆっくりですが欠損も治せます。他の所は接合するにも大元が必要と言う違いがありますな。後は価格が低価格と言う部分で戦ってます。」


 ゲートから出た物はかなり価格が安定したが未だに高い。ただ、効果と言う面では折り紙付き。等級が低くても接合だけならすぐ出来るので高い。高槻が作るモノは似た様な効能だが速度という面では一歩引く。まぁ、それでも体調とか良くなるしとりあえず飲めば病気も治るので売れる。そして、大量生産出来ると言う強みがある。なので、注文は後を絶たない。


「これからも頑張ってくださいね?変なモノをゲートで拾ったら届けますから。」


「変なモノ・・・、さしあたって中層の木が欲しいですな。出来れば根っこごと。」


「あれかぁ・・・、善処しましょう。地下茎なので分離が面倒なんですよね。それに他の所に持ってきて植えると増えそうで・・・。いや、この巨大テラリウムなら大丈夫?」


 巨大な鉢植えと考えれば広がらない?いや、まぁ。広がると確定した訳でもないから大丈夫といえは大丈夫なのかな?木片は大丈夫だったし。そんな話をして一緒にぐるぐる。魔法でやるのでかなり楽。流し込んで気流を生めばいいのでどんどん攪拌出来る。たた、相当疲れたのか中野達は若干乾いた笑いを浮かべていたが・・・。


「かなり早く中間部も出来ましたし、後は大丈夫ですよ。本当に中位には夢がありますねぇ〜。鍛冶師と組み合わせて何かするとした時に体力も欲しいし魔法も欲しいし。藤君とかは実際どうなんです?」


「拙者は元々造形師ゆえ魔法はあまり考えておらなんだが、ラジコンとかロボコンを考えるとすればやはり電気と言うかたちが最適だったのであろうな。魔法と言う名の電池も製造出来る様になったゆえ、嫁達もほぼ自立しているでござる。」


 確かに藤の嫁達にコードは繋がっていない。ただ、一息つく=スキンシップなのかな抱き着いたり頬擦りしたり、着物の中に手を入れたりと中々お子様には見せられない状態でもある。


「自立行動ってどれくらい出来ます?」


「通常・・・、日常的な生活なら1年は大丈夫でござるかな?ゲート内で一緒に戦うなら余計に消費する場面もあるが、そうでなければ多分それくらいでござろうか?」


「ほうほう・・・、獣人達を指揮できます?箱開け代行とかもそろそろ考えたいんですけど。」


「大丈夫でござるが引き離すのは勘弁願いたいでごさる。」


「了解です。金銭に執着心が薄い分、獣人を使って箱開けしたいって話もしてたんですよね。危ない箱もあるし職員が指揮するのが妥当かなぁ・・・。」


 最悪ウランとかセシウムを引いたら獣人が死ぬ可能性も・・・。回復薬飲ませればいいが、そもそも獣人は指輪持ってないからやはり人が管理しないと駄目かな?悪い事を考えるとすれば、ギルドで代行サービスを使って設計図が出ればそのまま回収としてもいいし・・・。いや、それだとやはり代行を使ってもらえないから定額買い取りが妥当かな?いくらで納得するか分からないけど。


「開けるだけなら適当なbotを作ってもいいでござるよ?こう・・・、コンベアーで箱を流して蓋だけ開けるような。」


「それはそれで魅力的ですね。出口で判定器持ってきてどんどん判定していけば済むでしょうし。」


 お金になるけど手間と面倒が先行する箱開け。死蔵されてる設計図もかなりあるとどこかの専門家がテレビで言っていたが、死蔵したまま死んでいる可能性もあるので実数を確認するは不可能なレベル。まぁ、設計図が出る確率自体はかなり低いのでいいといえばいいのかな?


「設計図はどこも欲しがりますからな。不死や不老の薬の設計図が出れば私も欲しい。」


「不思議な事に薬系って私が把握している限りではゼロなんですよね。装置とか溶媒ってのはあるんですけど。」


 身体がないからかクリスタルを液化するモノはあるが有機物を狙ってどうこうするものはない。それが回復薬と言われればそれまでなのだろうが、そもそも回復薬の設計図は出てこないし・・・。


「まぁ、作ればいいですよ。研究していつか先の未来で完成させる。私も不老や不死を探そうかな・・・。」


 そんな事をぼやいている斎藤を見ながらこの場を離れる。配信の撮影は藤がカメラマンをしてくれると言うし、機材はラボにあるので大丈夫。会議室にリモート会議出来るような設備もあるし、最悪生配信じゃなくてもいいしね。


 仮に生配信中にどこかのパワードスーツ着た集団がまた現れたら盛大に配信してやろう。なんなら近づいて有無を言わさず何をしに来たかインタビューして言い逃れできない言質を奪ってやろう!やらかしてほしいけど、やらかしたらその国下手したら終わる?まぁ、1個人の意見として処理されるかな?生放送だったら無理だろうけど。そんな事を考えながらソフィアの元に戻る。増田からの話もあるのでそれも伝えないとな。


「戻ったよ〜。朗報と言えば朗報だけど、今のソフィアと昔のソフィアでは似ている部分が3割らしい。」


「お疲れ様、似てる所3割ってほぼ別人?」


「どうだろう?あくまで写真での判定だから声を聞けば似ているって感覚が増すかもしれないし、無くて七癖って言葉もあるから一緒に行動するような機会があれば、もしかしてって感覚が増えるかも。ソフィアとしては顔以外は変わってない?」


 そういいながらソフィアを見ると大福は解消されてベッドに座っていた。そこから立ち上がり鏡の前でポーズを取りながら全身を詳しく見ているが、わざわざ尻を揉んだり胸を揉まなくてもいい。

  挿絵(By みてみん)


 ただ、適当な服を着ているがモデルと言われればそうなのかな?と思うくらいには整った顔にナイスバディではある。う〜ん・・・、高身長な分やはり年齢は分からない。


「多分少し身長高くなった思います。後は・・・オッパイとお尻も育った?」


「いや、疑問形で言われても・・・。体格も私は知らないし。」


「もしかして司の願望とか投影されてる?私の身体じゃ不満?確かに年齢でそろそろ体型崩れてきてもおかしくないけど・・・。」


「いや?願望も何も大元はソフィアの理想だしなぁ・・・。本人がこうだったって思いで作ってるし。それに莉菜は奇麗だよ。全然崩れてないし。」


 妻が両手で頬を押さえてイヤイヤと首を振る横で、ソフィアも何故かイヤイヤと頬に手を当てて首を振る。何が琴線に触れたか分からないが、2人はそれなりに打ち解けたのだろう。まぁ、元々妻はコミュ力お化けなところもあるしな。


「さてと、私が戻ってきたって事はそろそろ決断をして貰うって事だけど納得する結果は出せた?」


 俺達側が懸念した事はほぼ解決出来た。残るのは家族の問題でありソフィア自身の心の問題。それが解決すれば晴れて進む道が見えてくる。その道が幸の多いものか、苦難の道を選ぶかは本人しかわからない。


「答えはあります。辛かった事も誰だか分からない人達の事も忘れません。それは私の一部です。その一部を連れて私は日本国籍を選びます。」


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― 新着の感想 ―
[一言] >浮いてるから地震怖くない的な?」 もうデブリかスーパーフレアと呼ばれる火星軌道くらい飲み込む大規模な太陽現象位が脅威だな、スーパーフレアは太陽系で起きる可能性は低いと言われるし 配当は大…
[一言] ソーツ名乗ったら分かってて言う奴がうじゃうじゃと湧くような スパイ生放送はやってみて欲しいかも 一部を連れてってことは三択目を選んだ感じかな? 辛い過去も忘れてしまったものも自分を形作る一部…
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