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街中ダンジョン  作者: フィノ


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389話 確実にクリアしていこう 挿絵あり

「いえ、やりようはあるのですが私としても判断に迷っています。」


「やりよう?何らかの方法があると?」


 求む!穏便な方法!過激にやられても困るし、そのせいで軍事衝突とかなってたまるか!中国はウロウロしてたけどロシアはまだ見ていない。その事を考えると中国がオファーしてロシアが答えたとか?金銭で売買される命なんて嫌なものだが、見方を変えると給料もらって危険な仕事をしているとも言える。


 問題は本人が望んだか望まないかだが、少なくともソフィアは詳細を聞かされずにやらされたと思う。記憶があやふやなので断定は出来ないが、そもそも職に就けない子供をゲートに入れてるしな・・・。ただ、これもガーディアン騒動で国の礎として仕方なくやったなんて言うプロパガンダを使われると厳しい。


 大多数を助ける為に少数を犠牲にした。全員助けると叫ぶのはいい。それが理想的で誰一人悲しまない。だが、それがいつもまかり通るとは限らない。サイコパス診断なんかである列車だ。列車の分岐点に自分がいて大勢か1人のどちらかに舵を切らなければならない時、何1つ付け加えられる判断材料がないなら多数を救う方を優先する。それが国であり政治と言うもの。まぁ、犠牲にされた方からすれば納得いかないよな。だからこそ復讐なんて言葉や逆恨みなんて言葉があるのだし・・・。


「ソフィアを知る人物を日本に招集するか、写真を見せてソフィアと断定出来るかを検証します。メリットデメリットは分かるでしょう?」


「ええ。スパイが身バレるする状況でもあるし、写真が何らかの形で広まればソフィア本人が危ない。ただ、これをくぐり抜ければソフィア自身を他人と断定できる。ただ、1点。本人の口から写真を多数取られ知る人が見れば多分わかるとは言われました。それも廃棄されてるといいんですけどね・・・。」


 あちらにいるスパイがどういった人物なのか?或いは信用出来てこちらに来る気があるのか?問題はそこかな?情報漏洩は怖いし仮に今の姿でもソフィアと本当に断定出来るなら外に出る方法はあれど時期尚早である。流石に出てすぐに暗殺とはならないだろうが、その危険はつきまとう。ただ、あちらが実験結果を全て廃棄しているなら騒ぎ立てない限り知らんぷりとか?


 ソフィアや他の人間を使って人体実験したと言うデータがなければ、いくら騒ごうと本人達の証言しか行われたと言う真実は語れないし、その語るソフィアの記憶は曖昧だ。何をするにしてもソフィアの気持ち次第か。記憶の状況からすれば思い出せるとしか言えないし、本人が見ようとしなければ記憶は蘇らない。何せ固定具としてのチョーカー。自身を客観的に見つめないと首にある物は見れない。


「状況はわかりましたが、松田さん達はどう動くつもりですか?私の方はロシアじゃなくて中国側の人間がやってきましたが。」


「それは・・・、事は穏便に?」


「ええ。自国でサボってろと追い返しました。かなり全容は見えてきましたし、ボールは私達が握りしめている。本人は亡命して残りは国同士のいざこざです。それさえ解決出来れば事は穏便に進む。」


「現状松田さんは静観の構えです。何も話さない何も行動しない。相手がじれるのを待つそうです。」


 相手からすれば嫌な沈黙だろうな。状況が分からない中で動くのも嫌なのに、その相手は無言でコチラを見つめるだけ。下手に口を開けば首筋に刃が当たるかもしれないし、いらない情報までさらす事になる。ただ、あちらはどこまでソフィアの事を知っているのだろう?


「待つのは構いませんが、実際アチラはどの程度の情報量で動いてるんですか?量次第では誤情報としてお引き取り願えますが。」


「流石にそれを詳しく知るすべはありません。ただ、スパイからの情報の中に結合体が逃げ出したと言う文面があります。捜査そのモノは打ち切られていますが、東京ギルドのイラストから生存の可能性を考え再調査に乗り出していたようです。実際発見時に衰弱していたのは何度か目撃され逃走したからだとか。」


 やはり口封じ狙いか。しかし、その情報量が確かだとすると向こうはソフィアが分離している事を知らない。まぁ、それまで知られたらラボにもスパイがいる事になってしまうしな。と、言う事は一芝居打つだけの隙があるな。それこそ、亡命と言う手段を破棄して本当に戸籍を作った方が丸く収まる様な。


「松田さんって近くにいます?と、言うか増田さんどこにいます?」


「警視庁にいます。海外からの情報精査が甘いのは仕方ないとしてゲート関連でこの様な事態になったのも見逃せない。噂レベルでも情報をどう取り扱うのか?その点の議論をしていました。」


「お取り込み中でしたか。これから日本もスパイ作るとか言います?」


「議論の中では海外の協力者は必要としていますが、そこは自衛隊側との話し合いでしょう。我々は国内を見る目はあっても海外を見る目はない。それを持つのは自衛隊であり別班だと考えています。」


 ふむ。なら、サボタージュ言い渡した中国軍らしき人達は全部増田に押し付けようかな?俺の所にいても使い道ないし、何よりサボタージュとは単純にサボる事ではなく、労働争議の一環で労働者が意図的に生産性を低下させる事である。軍人の生産性低下とはなんぞや?答えはアホな作戦立案や有能な部下の左遷、不要な物を多く見積もって必要な物を最低以下かギリギリの数にする。


 いわば軍の瓦解を目的とした破壊活動である。質が悪いのは目標を定めていないので軍が瓦解するか本人が辞めさせられるまで続くし、辞めさせられたなら軍を批判して回る。はっきり言って厄介者。それがソコソコの人数いる。ゲート内での秘密行動した事を口外されても困るだろうし、最終的な処分は口封じとか?


 魔法を持たせているので状況を視るだけならどうにかなるし、処分されたならそれまでなのだろうが、使い潰すにしても惜しいと言えば惜しい。


「増田さんスパイいります?扱いに困ってると言うか、私自身はいらないんですけど。」


「何をどうしたらスパイが簡単に出来上がるんですか・・・。そもそもその人物は信用に足ると?」


「人物と言うか人達?ちょっと頭にきて中国軍らしき人達をスパイにしました。信用出来ないなら人物鑑定とかで分かるんじゃないですかね?」


「何故最後が疑問形なんですか!しかも軍人!そんなに簡単にスパイが出来あがるなら私達の苦労はなんだと言うんですか!3分クッキングじゃないんですよ!」


 増田が久々にキレてらっしゃる。まぁ、スパイ作ろうかな?と言う横でこちらが出来上がったスパイですと言われれば、3分クッキングと言われても仕方ない。ただ、俺は料理の先生ではなく部外者でありたい。寧ろ、部外者としてやはり関わりを絶とうか。どうせ持て余してサボタージュ続行くらいしか使い道ないし。


「分かりました、スパイは放逐しましょう。どうせサボタージュしろと言ったので勝手に破壊活動するでしょうし。」


「・・・、そのスパイはいただきましょう。」


「えっ!いるんですか?もう、素直に欲しいなら欲しいと言えばいいのに。」


「放置するとどう考えても危険と判断したからです!顔合わせは?」


「後日でいいでしょう。事が終わってから、ね。話は戻りますが、前のソフィアを知る人物にどうにかして今の姿が前とどの程度違うか判断してもらってください。似ているけど違うと言う見解ならとうにか出来る。」


「それでも退室時はロシア側に出るのでしょう?日本大使館に駆け込めればいいですが、子供一人ではかなり厳しい。それに、私も今のソフィアの姿を知らない。何せ分離前にラボを出ましたからね。」


「写メを送りましょう。奏江さん経由で送れば大丈夫でしょうしね。」


 これで2つ目の難関の足がかりは出来たな。増田との電話を切り部屋に戻るが妻が話すも相変わらず大福のまま。今の時点では何も言えない。希望を語れば叶わなかった時によりダメージを受ける。ある人は言うだろう、夢や希望がなければ動けないと。しかし、それに押しつぶされそうな状態ならない方がいい。だって疲れるし。


 自分1人で叶えられてどうにか出来る状態なら持っても問題ないが、現状ではソフィア1人、俺1人、勿論妻や増田達が頑張ってもどうにもならない事がある。特にソフィアには今何もない。頼れる人も国も何もかも。助けて連れ帰らないと言ったのは酷だったかな?ただ、容易に連れ帰るとも言えない。だからこそこうして情報を集めてるんだしね。


「ソフィア、ちょっと写真を撮りたいんだけど大丈夫?」


「さっきから話しかけても反応がないのよねぇ・・・。」


「子供からすると布団の中って、なんでか知らないけど鉄壁の城って思えるからねぇ。ホラー映画見て怖くても布団に籠もるし、親に怒られても布団に籠もる。そして何か不安な時もね。」


 包まるから安心出来るのか知らないが、何かと子供は布団に籠もる。そして親から剥ぎ取られてお説教食らうか慰めてもらうまでがセオリーかな?俺はどちらかと言えばお説教の方が怖かったが・・・。親は怖いが暗闇が怖かった記憶はあまりないな。子供の頃視てた映画がエイリアンやらプレデター、果てはバタリアンだったから?


 時代的にもホラー映画全盛期でエログロナンセンスな映画を多数放送してたな。映倫自体はあったが規制そのものが緩くおおらかな時代だったと思うし、地上波で普通におっぱいとかもバンバン出していた。と、言うか男女共におっぱいあるのに隠す理由って何?下はまぁ、分からなくもないが・・・、


「子供じゃないデース。」


「それをソフィアが言うと本格的に自立支援に回る事になる。現状の話は莉菜から聞いた?」


「一緒いる難しい聞きました。それなら私を放っておいて仕事して下さい。」


 ガッツリと拗ねてるな。妻の方を見ると妻も首をすくめる。さて、何をどう話そうか。松田とはまだ話していないので政府としての見解は分からない。当初松田は闇に葬れるなら葬りたいと言っていたし、他国と事を荒立てたくないならソフィアと言うカード伏せたままでプレッシャーをかけたいのかも。


 中国は別としてロシアが動いた理由は結合体の発見情報から。ソフィアが分離しているという事をあちらが知らないなら出し抜けるし、ソフィアを別の人として成立させる事も出来る。ただ、身柄については松田が欲しがったんだよなぁ・・・。 


 当初俺と妻も政府かラボと話し、松田もそれならと協力したフシもある。そこを曲げるとなると松田が描いている話と内容が変わってくるかも。望田にお願いした誤情報の件は松田にも連絡を入れて共有しているが、それに合わせなくとも国同士の話なら会談を開けばいい。


「分かった。ならちょっと仕事をして来よう。」


「・・・。」


  挿絵(By みてみん)


 そう言うと無言で布団から顔だけ出して見つめてくる。外見よりも精神年齢は割と低いのかもしれない。本人が年齢を思い出せない以上、推定で話していたがもう少し下とか?これで小学生なら海外スゲーと素直に褒めると言うか、DNAの神秘スゲーと褒めるかも。まぁ、中学生としてもかなり発育はいいのだが、オリンピックで海外の選手見るとコレはコレで普通なのかなぁ?


「本当に行く奴があるのですか?」


「あったから行こうとしたかな?話したくないなら話さないだろうし、時間は時間で惜しい。事態が好転するも不味い方に進むも話をして、状況を整理してその中で出来る事を探すしかない。幸いソフィアはゲートを出れば日本にいる。」


「日本・・・。何処にいても私はいらない子で居場所はないです。」

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[一言] 助けるときは最後まで面倒をみる覚悟をって奴だな >何処にいても私はいらない子で居場所はないです 子供にコレを思わせた時点で失策だよね
[一言] 3分クッキング 本日はスパイを作りたいと思います 完成したスパイなこちらです をやられたら本職としては精神ダメージでかいよな
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