329話 森の話
忙しくて短いです
「その口調をやめなさい!何人の性癖を歪ませようとしてるんですか!」
「いや、その前に橘さんが私で性癖歪む方が問題なのでは?」
「橘・・・、サイボーグにもそノ・・・、熱いパトスや抑えられないリビドーがあるのカ?さっきのクロエの言葉でそんな気持ちになるなラ、既に歪んでいるから早急にメンテナンスした方がいイ。」
「米国以来久々に顔を合わせたと思ったら、中々言いやがりますねエマさん?私は人間です。パワードスーツ着た姿をサイボーグと言うならエマさんだって反応装甲を自作して着るじゃないですか!」
「アレの大元はトラップだからナ。イメージとしては体中に地雷を巻き付けている様なものダ。」
「私よりそっちの方が余程理不尽でしょう?」
「だガ、安全装置も必要なければ大型化もしないゾ?」
「まぁまぁ、ここで話すのもなんです。何か食べましょう。」
流石に裏路地っぽい所とは言え人通りはゼロではない。なので、3人で騒いでいれば当然人目につく。人に囲まれるのも面倒だしさっさと適当な店に入りたいんだが・・・。あぁ・・・、見知らぬ人がスマホをこちらに向けている・・・。
「クロエ、情報ザコと言うならクロエはそもそも最新の韓国フードを知ってるんですか?」
「し、知ってるし!ほら、茶色くてぶっとくて白いのが伸びるやつ!」
「卑猥な事は言わない!チーズハットクの事でしょう?それはもう終わってます。」
「な、なんじゃと!」
驚くしかない!まだ食べた事ないけど、ブームはもう終わってるらしい。いや、タピオカを考えると10年くらいしたらまたブームが来る?でもナタデココは来なかったしなぁ〜。そんなに食べたいかと聞かれるとそうでもないけど、あると摘むくらいはしたい。ただ、ナタデココもタピオカも味はないんだよなぁ〜。
最近は味のないガムなんてのが流行ったらしいが、それはそれで学生時代から買ってたかも。いや、今でも禁煙パイポ吸うくらいならそっちの方がいい?ギルドで預かってる子供達の前でタバコを吸う訳にもいかないしなぁ。
「なんでそこでナチュラルにロリババアムーブをするんですか・・・。」
「橘、クロエをババア扱いするのには無理があるゾ?」
「彼女は私よりも歳上です。親子程は離れていませんが、若者が目上の御婦人を罵倒する時には適切です。」
「しかしだナ・・・。せめてこウ・・・、ロリガキとかでどうだろウ?」
「なんですかそのメスガキの亜種みたいなもの。そもそもロリもガキも子供を指す言葉でしょう?エマさんだってクロエの年齢は知っているはずです。」
「うム、知っているが見てみロ。アレで歳上で父親で子持ちなのだゾ?」
「妻1人子供は2人、獣人が・・・、1人?ですね。」
獣人ってどう数得るのが正解?一応人と付いてい日本では人と表記しているが、海外ではパスポート作る時にどう表記するで論争が起こった。と、言うのも猫だから食べさせない方がいいものや犬だから駄目なものもある。あるのだが、獣人化してそれを引き継ぐのか否かが分からず、アレルギー扱いするのかどうかも微妙と言う事で犬猫表記はあった方がいいだろうと言う見解が出たのだが、それに対して獣人と同居している人達が彼等はパートナーだから人表記を付けろと言い出してややこしくなった。
なら、ならキャットマンやドッグレディと表記しようとすると、外見を見れば犬猫もいらないと人権団体が叫びだし、未だに収拾はつかず現段階では総合して獣人とのみ表記されて性別は書かれない。ただ、この話の面白い所は人が言い合っているのであって獣人の意見はゼロ。当人そっちのけで話し合ってるし、フェリエットにこの話をしても勝手にすればいいとしか言わない。
実際本当にどうでもいい問題だと思うが、話し合っている人達の中では重要な問題であり、譲れない事でもあるのだろう。そもそも、獣人が出だしてすぐに海外旅行行くのか?そう問いたいが、よくよく考えれば日本が島国なだけで他の国を見れば圧倒的に地続きが多い。そのためパスポートが必要なのだろうが・・・。
「ならそれらしい言動を・・・、普段はしているので普段通りにしてハメを外さない。」
「ウェ~イとか言ってないので大丈夫でしょう?それにハメを外すならハート型のサングラスして、タオル振り回しながらフェスの雰囲気とか出しましょうか?」
行った事ないけど夏フェスとか多分そんな感じ。真夏にタオル振り回して歌に酔うのも楽しそうだが、個人的には海辺をバイクで走る方が好き。ただ、夜は勘弁な?ヘルメットに当たるカナブンは凄い音するし、腕に被弾すれば本当に痛くて仕方ない。
「行きたいなら有名歌手のコンサートに招待するガ、ジャンルは何がいイ?ジャズか?歌姫のコンサートか?生憎演歌は知り合いがいないガ・・・。」
「フェスだと・・・、ロックとかデス・メタルとか?あの首が折れそうなくらいヘッドバギングするのは少し憧れますが、髪が邪魔なのでやめときましょう。」
「綺麗な髪が傷んだら事だしナ。それで橘、店は結局どうするんダ?」
「素直に韓国式焼き肉です。ヤンニョムチキンとか言っても多分クロエは知らないでしょう?」
「それくらい知ってますよ!赤くて甘辛いチキンでしょ?他にもチーズタッカルビだって知ってます。」
「肉関係には詳しいんですね・・・。店は眼の前です入りましょう。」
「おい待て。店が目の前ならなんで私達はここで言い合いしてたんだ?」
「それは・・・、情報ザコだから?」
情報ザコも何も事前情報ゼロなんだが?いや、任せきりだったし悪ノリして遊んだからこの始末か。そんな事を思いつつさっさと店へ。店員がぎょっとした目で俺達を見るが、にこやかに手を振ってスルーして個室へ。初めての店の割にはオープンスペース以外があるのはありがたい。ありがたいが、道路側に面しているので、ガラスに3本ラインが入って顔全体は見えないモノの外から見ようと思えば見える様な・・・。
まぁ、外を気にしても仕方ない飯を食おう飯を。最悪煙で誤魔化せば外からは見えないだろうし、話の流れがヤバそうなら口元を隠せばいい。
「い!いらっしゃいませーー!!ご注文は奢りですか!?当店来店記念に無料で何でも食べ放題コースがございます!お代はサインと店員達との記念写真です!あっ、後灰皿どうぞ。」
「ちょっとタイム!あっ、灰皿どうも。」
(橘さん、この店って食べ放題コースあるんですか?)
(話を聞いた限りではリーズナブルメニューから高級肉まであると聞いています。)
(橘の奢りなのだろウ?誘ったからにはエスコートするのも務めだゾ?)
(奢るのはまぁ、いいですよ。流石にこの面子で私が出さなかったら体裁が悪い。)
(そう言いつつ無料コースのオファー受けてるんですけどね。好意を受けます?写真とサインが嫌じゃなければですけど。)
(私は構いませんがエマさんは?)
(別にいいゾ?米国でもパパラッチに追いかけられたシ・・・。クロエ、後でかくれんぼの魔法をくレ。なくなってしまった。)
(いいですよ。向こうの追っかけはしつこそうですからね。では、好意を受けましょうか。)
店からの好意を受けると食べてる所も写真が欲しいと言うので適当に撮っていいと返し、注文して肉が来るのを待つ。流石に昼すぎからアルコールは誰も頼まなかったのでルイボスティーで喉を潤し一息。
「それで、中層の件はなにか分かりました?」
「鑑定した感じと言えばぼちぼちと。最初は・・・、木や植物から話しましょうか。」
「あの大樹や草カ。地球の物と酷似しているのカ?配信を見た限りでは似ていないと思うガ。」
「エマさんの言う通り。斎藤さん達が詳細は分析していますが、私が鑑定した限りでは地球の物とは全くの別系統の植物ですね。普通あれ程の大木なら中は水を吸い上げて栄養を得たりしているはずですが、その形跡がない。」
「形跡がない?つまり栄養を必要としていない?」
「ええ、イメージとしてはあの木一本で1原子と見てもいいかもしれません。」
「1原子?つまリ、あの木はあれ以上小さくならないのカ?」
「ええ、小さくなりませんね。作られた形状=完成と見ていいかもしれません。ただ、成長はします。」
「成長・・・、分子結合するって考え方であってます?」




