327話 根本 挿絵あり
「それデ?ラボでの用事は済んだのカ?」
「ええ、基本は宇宙服の作成依頼だからね。デザインした物に対して素材の指定とかだけで済むから。」
「しかし宇宙カ。穴蔵の奥に空の果てと節操ないナ。」
「そう思うなら大使館に呼ばないでもらえる?私は英語話せないんどけど?」
「ハッハッハッ、ジャパニーズジョークはよしてくれウィザード。米国での行動を見てそれが通用すると思うカ?」
「通用すると思うから口をつぐむか。」
「分かった分かっタ、話すのは日本語でいイ。アチラもその構えで用意しているヨ。」
宇宙服の話を終えて次の日。明日には帰る予定で東京にいるうちと辰樹達に会ったり、焼き肉食べに行ったりとエマとしている中で大使館に来てほしいと言われた。米国スタンピード後は特に話す事もなくエマも帰ったのでココとは接点もないのだがなんだろう?増田に行っていいか確認を取ると、別室で外務省の人間も話があるらしく警備レベルは高いので行っていいと言われた。
エマ曰く報酬も出ると言うのでいいのだが、今回は政府経由ギルド行きで貰い個人報酬は少なくていいとした。資金はあるが潤沢とは言えないし、怖いのは相変わらず設計図出土からの一発ショート。
松田達とも話して政府としての方針を打ち出して欲しいと設計図関連は話しているのだが、相変わらず国内出土の場合はギルド持ち込みからの買い取りしか方法がないらしい。実際、取引履歴は公式だと2件のみで、一件は国連が介入してオークションに出品された物をかなりの額で買い取ったもの。
そしてもう一件は幸か不幸か俺と望田、エマが交換した時の物。配信で流したし何よりも、若くなった米国大統領がいる眼の前で交わされた取り引きは下手な組織名が出るよりもインパクトが有り、外交取引として注目されてほぼ公式とされてしまった・・・。
誠に遺憾ながら米国大統領は食わせ物である。大国の指導者とただのおっさんでは先見の明が違いすぎる。これにより公な取引物品として写真集が挙げられる事になったと言われて愕然とした・・・。個人的には在庫もあるのでそれでいいならそれでいいのだが・・・、全部なくなったら次を作れと念押しされたよ・・・。
ついでに言えば手持ちの設計図は政府に渡している。悪用はないと思うが、勝手に作ることはあるかも・・・。ただ、これにも理由があり米国側から渡した設計図の品は作れそうかと聞かれるとか。多分、外務省が別室で話しているのはその件だろう。エマとしても設計図の件は米国に報告済みなので、日本になんの設計図があるかは貰ったものに関して言えばしらばっくれれない。
「それで?相手はアライルさん?」
「それとウィルソンがいル。公式な会談と言う訳でもなくメインは中層の話となるだろウ。」
ふむ、森林地帯だから行く時の注意点を聞きたいとか?何やらやややこしくなりそうな気もするが・・・。そういえば交渉権譲渡の話はどこまで他国と情報共有出来ているのだろう?流石に情報を流すにしてもまだ早い?こちらに来た時に話したダブルEXTRAを引き合いに出していればそれで突っぱねれるが、出てないならどうなるやら。これなら誰かについてきてもらえば良かったかな?
「了解です。話す相手はいいけど私はギルドマスターであって政治家じゃないから、政府関連の話には疎い。何かの際には電話で判断を仰ぐけどいいよね?」
「それは構わないだろウ。実際クロエが大分ギルドから海外や他県に出た話は聞いていなイ。PC上のやり取りでどこまで政府側と話をしているかは分からないガ、知らない事は知らないで大丈夫だと思うゾ?」
そんな話をしながらいつかの会議室へ。前も良い機材使ってるなぁと思ったが、更にグレードアップしているような・・・。わざわざ8Kのカメラとテレビってこの部屋にいるんだろうか?まぁ、鮮明に見えるなら見えた方がいいのかな?機材の準備は終わってるし、後は回線を繋ぐだけ。流石に場所が場所だけに今回はビジネススーツで許された。
「ようこそおいでくださいましたファーストさん。」
「やぁ、久しぶりだねミシィーズファースト。こうしてまた会えた事を嬉しく思うよ。」
「お久しぶりですお二人共。それでその・・・、その格好は制服効果狙いですか?」
なんだろうな・・・、画面の向こうは映画スタジオにでもなったのかな?アライルは白いローブ姿でウィルソンは何故かハンチング帽を被っている。確か付与師とスクリプターだったはずだけど・・・。スクリプターは記録系なので記者っぽい格好をするのは間違いではない。しかし、付与師って魔法職だっけ?一概に違うとも言えないし、かと言って魔法とも言えない。性能アップ系なので魔法と本人が捉えればそうなのかな?
「あぁ、スィーパーとなって日々が楽しくてね。億劫なランニングもなんだかんだで続ければ体力もつくし、ベースの性能が向上すれば上昇値も上がる様に思う。私もこの歳だけど若返りの薬を探すか真剣に悩むね。」
どうやら本当に制服効果狙いらしい。ローブ着て走っているかは分からないが、少なくともそう言うイメージで動いているなら大丈夫だろう。横のウィルソンも一緒に走っているのか、身体が引き締まったように思う。
「出来る範囲でコツコツやればいいですよ。裏技を言うならエナドリ飲みながら走れば24時間走ってもちょっと疲れたかな?で済みます。米国の工場も増やしたいと言う話を聞いているので、時が経てば安価に飲める様になるでしょう。」
「なるほど、ウィルソン君。エナドリ隠し持ってないよね?結構山口さんの所に顔を出している様だけど。」
「まさか、私が顔を出すのは増産計画についてのやり取りです。山口さんは言っちゃ悪いが話が切れないし、どんどん話すから適当な所で切り上げてまた後日の方が話が早く済むんです。」
相変わらず山口のマシンガントークは続いているらしい。それを指摘したとしても止まらないだろうし諦めてもらう他ないな。ただ、ウィルソンが顔を顰める辺り元気にやっているのだろう。それに、増産計画と言う事は人材育成も工場の敷地確保も進んでいるのかな?
いくら増産したいと言われても作れる人間がいなければ増産は出来ないし、新しい工場を作っても山口1人では管理しきれないだろう。他の所の回復薬がなんで粗悪なのか?答えはレシピと手解き。高槻からレシピと手解きを受け、合格を貰えれば晴れて回復薬を作れる様に日本ではなっているが、それ以外の国も国を挙げて回復薬を作ろうとしている。
ただ、何をどう配合するのか?からつまずいて結局既存の薬の効力を増やす方に走る所が多い。無論、研究してない訳でもないし、高槻の所には色んな国からオファーが来るとか。そのうち人呼んでラボで勉強会でもしようかと言っていたので、高槻の眼鏡に叶う人材がラボに出入りしだすかもな。
「無駄話はいイ。話を始めよウ。」
エマが急かすので席につき、あちらが口を開くのを待つ。来てほしいと言われたから来たけど、俺の方からは何も話なんてないからなぁ。世間話してお茶して帰っていいと言われたら別にそれでも構わないし。
「先ずは中層の話から。配信は見たけど早期撤退はなにか理由が?山火事に雪山に大型ロボと、情報が多過ぎるのには目を瞑るけど、そもそもアレの撮影者は誰だい?新たなサイボーグが生まれたと言われたら流石に私達も見過ごせないよ。」
「あぁ、そう言えば確かに撮影者は気になりますよね。3人で潜って中層に足を踏み入れる。なら、当然その撮影者もそこに同行出来るだけの実力があると。知らない中位がいるのではと勘ぐられても面倒ですが、1つ言うなら中位誕生を報告する義務はない。」
「それハ・・・。」
エマもギョッとしているが、中位誕生を知らせる義務は本当にないんだよなぁ。色んな国が誕生しましたと言っては話題になるし、日本にはいない職の中位も誕生しているので最早誕生=お知らせが恒例の様になってしまっているが、仮に自身が国防に携わる仕事をするなら誕生しても秘匿する。
それこそ他国から見下されようが笑われようが、絶対に表に出さずに使う。確かに他国への牽制や国として戦力がいるとアピールは出来るかもしれないが、それは面子を守る為だけに必要な事でウチの様に発表しないとまずい訳では無い。
なら、出来る限り秘匿して水面下で運用し、ここぞと言う時に切れるジョーカーにする。エマがギョッとしているが、今回エマに会わなかったら米国の新たな中位の事を俺は知らなかったしな。ただ、アレが誰かを明かさないのと、アレが人形である事を明かすのはどっちがいいんだろう?
エマは藤を知っているし、選出戦での戦いもアーカイブとして残っているので信じられない訳では無い。ただ、魔法の受け渡し同様自立人形を開発してゲート内で運用していると知られると不味い?個人的にはそんな人形あるけどオーダーメイドなんだで済ませられる話なんだが・・・。
あれってロボの安全担当だから教えるとまずいのだろうか?一応増田に連絡取ってみる?後でなんで言ったか文句言われるのも嫌だし聞いておくか。
クロエ:フェムの事って話して大丈夫ですか?
増田:安全管理上出来れば隠していただきたい
仮に増産を要請されても藤さん以外
我が国では作り手がいません
スマホをポチポチ。エマにも隠しているので内容も相手が誰かも分からないだろう。しかし、隠す方向性か。このまま正体不明の中位としてもいいが、それはそれで不信感を持たせる。今の所日本と米国はかなりいい関係なので、そこに水を差すとあとから何を言われるか。単純に黙秘でもいいけどそれはそれでなぁ・・・。
「そうは言っても気になって夜も眠れないでしょうから言いますが、撮影者は橘さんの安全装・・・、おっと使い魔です使い魔。魔法使いがいるなら使い魔がいてもいいですよね?」
そのうち警視庁の地下をガサ入れされそうだが、嘘は言っていない。疑惑が深まろうとも真実はいつも1つ!実際橘について回るし橘も可愛がっているので嘘ではないと思う。ただ、真実でないだけ。アライルも魔道士っぽい格好だし否定しきれないだろう、多分。実際俺も橘をサイボーグと言ったが本当に改造されてないか確かめてないし。
「待て待テ!今安全装置と言おうとしただろウ!本当にそろそろ橘を問い詰めて場合によっては真意を確かめる事になるゾ!」
「またまた、橘さんはニンゲンですよ?真意を確かめるってどうやって?流石にバラそうとすれば橘さんも正当防衛で立ち向かいますよ?それにパワードスーツは米国でも量産体制に入るんでしょう?」
「量産して兵士に渡すよ。次いでに私も何機か貰ってゴーレムの代わりに出来ないか模索してるね。なるほど・・・、橘をファーストのゴーレムとすれば・・・。」
アライルが橘を人外認定してそうだが、ミスリードは自分のミスなので間違ったなら自分で訂正してもらおう。と、言うかアライルはゴーレムマスターでも目指しているのだろうか?付与師がゴーレムマスターに成れるかは知らないが、そんなイメージがあるならまぁ、伸ばせばいいと思うよ?
藤もゴーレムマスターと言えばゴーレムマスターだし、宮藤は召喚師と言えば召喚師。何にかに置き換えてイメージを作ってもいいし、それと合致するなら多分強くなれる。ただ、無人のパワードスーツが大量に攻めてきたらそれはそれで無双ゲームっぽくて面白いかも。
息子の泥人形はアレからそこそこ進化して結構動くようになった。打つ拳は鋭くなったし、回し蹴りも出来る。ただ、あんまり激しく動かすともれなくロケットパンチやらロケットキックになるので速度はそこそこ。ただ、壊れてもすぐに土を集めて元通りになるので物量戦に回られると厳しい人は厳しいだろうな。
「局長、それよりも中層の話を進めましょう。」
「そうだね。ミシィーズファースト、中層にエマ大佐が赴いたとして生存は出来るかね?」
「可能でしょうし、そうでないとも言える。行った先にどんなモンスターがいるかはわからないんですよ?目安を言えと言われれば少なくとも、45階層以降を余裕で対処出来るならそこそこ安全でしょう。」
「大群に不意打ちに背中撃ちカ。一人で入って全て平らげるつもりならやれるカ?」
「許可は出せんぞエマ。モンスター討伐も仕事の内だが先ずは米兵の尻を好きなだけ蹴って回れ。中位多数なら許可も出るだろうさ。」
「私は優しいからそんな事はしなイ。精々やるとするなら膝をつきそうな兵士のつく先に地雷を設置して立たせるくらいダ。」
にこやかに言っているが、それってされた人の膝が壊れない?米軍はエマが教官になって地獄を見ていないだろうか?恐ろしや恐ろしや、一体誰にそんなスパルタ教育を習ったのやら。昔の元上司とか?少なくとも俺は優しく教えたはずだが・・・。
「エマ、もう少しこう・・・、手心と言うものをですね。」
「クロエ、モンスターを見かけたラ?」
「慈悲なくぶち殺すに決まってるでしょう?あんなゴミさっさと叩いて潰して、クリスタルと残骸に分けるしかないじゃないですか。何を今更言っているんです?」
「そう言う事ダ。」
なんか勝手に納得したが、モンスターを攻撃するのと人を攻撃するのは違うぞ〜。膝をつきそうならさっさと回復薬飲ませて戦列に戻すに決まっている。それもダメそうなら一度下げて治療して復帰だな。別に治って逃げてもいいがその逃げた先が安全とは限らないし。ただ、恐怖で錯乱するなら意識は刈り取るかも。他の人が危ないならそれもやむなし、パワハラで文句言ってきたなら次からそいつは放置決定。
命の危険のない仕事でやり過ぎるのは良くないが、目に見える危険があるのに対処しないのは違う。俺は死なないからいいけど、周りはそうじゃないんだよ。
「それで、米国は中層に行きたいんですか?パワードスーツやいるスィーパーの状況が分からないので私としても下手な事は言えませんよ?」
「行きたくないと言えば嘘になるけど現状は厳しいね。何事も追々だよ。ただ、あの木や草は欲しいかな?」
「少しでよければ融通しますよ。確かラボで渡したもの以外にも少しはありますからエマに渡しましょう。」
「それはありがたい。宇宙エレベーターの件もあるし、これからもいい関係で行こう。それと、交渉権の話は・・・。」
「先にいいますが私はメッセンジャーなので、アライルさん達以上の情報はありませんよ?それに譲渡についても日本政府から正式な話があるでしょう。」
先に口を塞ぐ。ここで何か言われて言質を取られるのも不味いし、後から変に肩入れしたと言われても面倒だ。内ゲバやるなら関係ない所でしてくれ。こちとらどんな状態で何時宇宙に行かされるか分からないんだよ。しかも、行ったとして成果を出せと期待されても望み薄。
確かに宇宙エレベーターだけを切り取って見れば、世紀の大発明になるだろう。ただ、その目的が果たされなかった場合、評価が下がるかもしれないのがこちらとしては気に食わない。だって、宇宙開発待ったなしの大発明だぞ?一回何十億もの予算を割り振らず定期メンテでそこそこ安全に宇宙へ行ける。夢のエレベーターなのに、交渉出来なかったからと落胆されても作った人達に失礼だろう。
いっその事、落胆されるぐらいなら本当に月にでも行ってサンタクロースがいたと連呼してやろうか?ただ、月の裏で何を見たか分からないし、本当にサンタクロース型の宇宙人がいたら嫌だな・・・。
「分かっているよ。寧ろ、宇宙に行ってもソーツは来ない。私はそう確信している。」
「それが分かってるなら何も言いませんよ。淡い期待が成就せずに文句言われても困る。実際米国以外もそんな感じで?」
「私が聞く限りはその認識が多いナ。ただ宇宙開発の起爆剤としてパトロン集めにその事を引き合いに出す所は多イ。」
「パトロン集め?金持ちはそんな不確定要素に出資しないでしょう?なにか裏が?」
「ファーストさん、コロニー計画です。スタンピードが発生し封じ込めに失敗した場合どこが安全なのか?金持ち連中の共通認識としてコロニーが上がっています。」
「あ〜、ウィルソンさん合点がいった。スタンピード発生時にゲートの中がどうなってるかは不明。一応、ラボに問い合わせたらセーフスペースは大丈夫だったと聞いていますが、ラボの周りだけなのかそれともセーフスペース自体なのかは分からない。それに、引き籠もれば永遠に出られなくなる。」
宇宙開発の裏話か。確かにスタンピード封じ込め失敗を想定したとして、地上にあるゲートからモンスターが多数いる所に出るのか、宇宙から少ない所に降りて奪還作戦を決行するのかで勝率は変わる。
それに最悪地球を捨てて放浪の民となるにしても、足掛かりになるノアの方舟は必要。つまりは逃げる先を先に作ってしまおうと言う魂胆か。何処まで自給自足出来るか分からないが、最悪ゲートを搭載出来れば食うには困らない。問題はこの話を隠している理由だが、単純に収容人数だろう。
今コロニーを作るとして人類全てを避難させられない。なら、命に順番を付けるとして戦う者は地上に残り、金持ちと子供が宇宙に上がるあたりが妥当かな?2度起きたスタンピードで排出ゲートは何れも1つだった。しかし、それが複数になれば対処はかなり厳しい。
それに日本より米国、米国より次は更にモンスターが出る可能性が高い。スタンピード以外はそこそこ納得できるレベルの掃除依頼だが、事スタンピードに関してだけ言えば理不尽でしかない。多分、本当に言葉の様に制御出来ずに溢れているのだろう。
「人の星を踏み荒らされては困るけど、彼等はそれが出来てしまう。でも、ただ荒らされるだけと言うのは受け入れられないだろう?」
「ええ、それは虫唾が走りますね。」
頭の何処かで大丈夫と、そう漠然と考えていた。死に物狂いで・・・。いや、死んでも狂った様に生き返って戦えば丸く収まると思っていた。それは多分、日本や米国で勝利出来たから。ただ、それは力がある者の言い分で、力のない者は当然怖がりもするし、逃げる先も探す。それがコロニーであり宇宙開発の全貌。
なるほど、個人として宇宙開発に対して何が出来るかは分からない。だが、中層を進むだけの力がある事は明白で掃除は引き受けた仕事。なら、稼げるだけ猶予を稼ぐのは誰でもない俺の仕事だろう。
「一足飛びに何でも出来るとは思いません。ですが、私にしか出来ない事もあるでしょう。前回は早期撤退でしたが次は退出ゲートまで進みたいと思います。」
「その時は声をかけてくレ。何処にいるかは分からないガ、ラボなら合流して進めるだろウ?」
「こらエマ!お前を動かすのは調整が大変なんだ!おいそれと行こうとするな!」
「黙れウィルソン!スィーパーが先に進みモンスターを倒して何が悪イ!」
ウィルソンとエマが言い合っているが、あとで増田に連絡して家族の安全だけは確保しておこう。死ぬ気はないし死ねないのだが、家族が死んでしまった場合心が折れる可能性がある。それは多分、スィーパーとしての終わり。事故ならまだ許せないが納得も出来る。犯人がいるから。老衰は覚悟している。妻はそれを選んだから。だが、自身の仕事に家族を巻き込み守りきれなかった時は多分、挫ける。
今まで頑張って来た最大の理由は妻であり家族であり父親だから。その根本が揺らぐのだけは勘弁願いたい。自分勝手だろうって?元々そう言う性格だ。




