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街中ダンジョン  作者: フィノ


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326話 Fly Me To The Moon 挿絵あり

 落成式も無事終わり、さっさと帰りたいが卓に会ったり東京近郊の本部長達に久々に会ったり、交渉内容を話したりととにかく話し合いばかり。ラボの会議室もあるので何かあればそちらも使えるからわざわざ東京に来なくていいが、こちらに来ていると言う事で一気に話し合いを済ませようと言う魂胆だろう。


 ただ、大筋で話はまとまりぼちぼちフリータイムも生まれたのでラボに来ている。採寸は別にしなくていいのだが、あのデザインはやはり苦言を言われる。と、言うのも一番下はボディースーツ形状でいいとして外側のドレスはどうする?


 頭を抱えた遥から呼ばれて来たが、デザインしたのは俺じゃないのでどうしよう?一応糸はたくさん出したよ?ただ、その糸も方向性を持たせろと魔女が言うので、別の方向性を持たせられる様頑張っている。


「しかしクロエってこんなに絵が上手かったっけ?私が知る限り画伯級モンスター製造機だったと思うけど?」


「ほっ!本気になれば私だって!そもそも絵が上手い遥の半分は誰のDNAで出来てる?それを考えたら私が上手くても問題ないはず!」


「いや、画力は多分DNA関係ないから。しっかしこのデザインで本当にいいの?かなり綺麗だし額に入って届いた時はどこの画家の作品か考えたわよ。」


「そうでござるな。コレを作るとなると斎藤殿より拙者の領分。素材は全て魔法糸でいいのでござるよな?」


「ええ。他の物が混ざるよりも既存の宇宙服をイメージしつつ、内部構造のみ頑丈にしてください。ただ、モンスターの素材はNGでお願いします。」


 感覚的にはモンスターの素材使った方がかなり強度は増す。当然と言えば当然だが、赤峰が殴っても壊れず、ガンナーの銃弾にも余裕で耐える者は耐える。それを抜きにするなら・・・、中層の木と草かな?少なくとも耐熱性は高いし、モンスターの実弾が貫通しないだけの強さがある。その点を考えると内側はこれになるかな?一応魔女もそれならいいと言うし。


「心得た。内部は拙者が、装飾は遥殿がするとしよう。完成はいつ頃まででござるか?」


「私は特に急がないので政府次第ですね。最終的な完成を考えると再来年の交渉まででいいと思いますよ?どんなに急かされても実用試験以外で着る場はないでしょうし。」


 今年の交渉をドックでのモノとすると期限はそこになるだろう。個人的には遅れてくれても全然いいのだが、煩いのは日本以外の国。松田達とも話し合って国連からの要望という部分でソーツに薬の出土量増加をお願い出来ないかと言われた。


 流石になんの手土産もなしには無理だろうと言ったら、金貨の量を若干減らしていいからと言う枕言葉がつく。つまり、今人類に払っている報酬の比重の変更を申し出て欲しいと。確かに金は人にとって魅力的で統一通貨として流通しているが、どの箱からも出ると言う事はその分価値が下がるという事で、今の所1枚1万円と言う保証はあるもののこのまま出続ければ何れ値崩れを起こす。


 工業用金属としても使われているので今すぐとは言わないだろうが、その未来はほぼ確実に来るだろう。だからこそ、今の段階で金貨を減らすか少し奥の箱に入れてもらって流通制限を物理的にかけたいらしい。金持ちが金持ちのままで居たい為にお願いしている様な気もするが、潜るスィーパー側としても箱から薬が出やすくなれば、それだけ生存率が上がるので悪い話ではない。


 ただ、薬の等級がどうなるかは分からないし、死なないにしても薄い薬は増えるかもな。まぁ、メッセンジャーとして話すにしても問題ない話なので特に文句をつける事はない。ただ、本当にこの話は国際会議で合意されたのだろうか?先進国と発展途上国があったとして、発展途上国側からは中々話に上がるものではないと思うが・・・。


 少なくとも領土を取り合う戦争はかなりナンセンスなモノとなったと、ニュースで専門家が話していたし、根拠としてもゲート外の土地に対しての価値はどう算出するのか?その点を考えるだけでもセーフスペースの存在を無視できず、安全で清潔な新天地があり、食べ物もそこで採取出来る時点で海外の様にギルティタウンが乱立するのは目に見えている。ならこれから先、神に祈るより新しいモノに目を向けて発展の道を歩む方がより良い未来に進める。と、そう話していた。


 確かに言いたい事は分かるし、土地に対して思いがあるのは人間なので、それを捨てされれば何処に住もうと一緒。俺も高校卒業以降就職して地元を離れて長いので、たまに地元に帰りはしても何処かコチラを伺うような空気感もあれば、帰った当日は実家でありつつも他人の家で過ごす様な気がする。


 ただそれも慣れるまで。ある程度落ち着いてしまえばその空気感は無くなるし、かって知ったる何とやら。冷蔵庫だって勝手に開けられる。つまり住み慣れればどこでも都になるし、思いを捨てるのは大人の仕事。それさえ出来れば、子供達は自由に好きな所で過ごせる。


「期間的には大丈夫そうでござるな。大型化もするでござるか?するなら追加パーツも作成するでござるが。」


「う〜ん・・・。作るなら作ってもらってもいいですが、それを使うかと聞かれると悩みますね。魔法職なので防御重視か回避重視に極振り出来ます?」


「ふむ・・・。」


  挿絵(By みてみん)


 藤が指でファインダー作り覗いてくる。遥もたまにやるし構図をイメージするのにはいいのだろう。指の長さなら概ね縦横の長さもイメージしやすいだろうし。実際大型化したとしてどちらにするのが正解かな?ホバー型にして地形そっちのけで飛び回れれば機動力は問題なさそうだし、逆に装甲をぶ厚くして受け止める事を考えればそちらもあり。


 結局の所一撃で沈むか数発耐えるかの違いでしかないが、生存率を考えると軽装甲で回避重視?まぁ、ゲートではなく宇宙服として使うならスペースデブリ対策で小型のままでもいいな。


「イメージ画を考えると大型化の際は足をなくしてしまうのもいいでござるな。」


「おお!憧れの浮遊脚!地上ではホバーとかですか?それとも飛行ユニット?赤ザクの蹴りには憧れますが、そこはバーニアで焼いた方が強そうですよね?」


「モンスターを焼けるかは分からぬが、斥力で吹き飛ばしは出来るかも知れぬな。」


 宇宙で白いドレスをはためかせて飛行する大型ロボ。SFよりはファンタジー寄りだが、イメージとしては悪くない。浮遊ユニットが燃料式じゃ無い分引火の恐れもないし、布と言うのは弛む分貫通力には弱い所もあるが、大型のものを受け止めるのには有効で高い所から人が落下して受け止めるのもエアークッション。


 魔法糸を自身で出せるなら破損もそこまで気にならないし、そもそも魔法糸には修復機能があるので小さな破損は勝手に修復される。なら、そんな作りのロボもありなのかな?ゴツく作れば魔女が文句言うし俺がいる所さえ無事なら割と有効?


「何にせよ方針は任せますよ。そう言えばヘルメットはやはりパワードスーツのバイザー系ですか?」


「その点か。本部長殿は政府オーダーを知らないのでござるか?」


「知らないのでござるが?」


「クロエの顔が最大限見えるようにしてほしいんだって。宇宙人が何で人を判断してるかは分からないけど、判断材料は多い方がいいだろうって事なんだろうけど、最初は強化ガラスで出来た籠みたいなものを作ろうかって話してて、そこから宇宙服に移行して、今ここ。下手したら顔はフルオープンでどこからでも見えるようになるかもね。」


 ・・・、宇宙服とは!あのヘルメットで黒く見えるバイザーは太陽光を直視ししても大丈夫な様に加工してあるので、それがないと目がやられる。そうでなくとも全面ガラス張りとか殺す気か!当然スペースデブリやらの対策はしてるんだろうけどさ!


 いいか悪いか分からないが、宇宙服を先にデザインしておいてよかった。しかし、この服でも顔出し推奨なんだろ?サングラスとかしてもいいのかな?宇宙だろ?大型ロボットだろ?そこにサングラスが来るとすれば・・・、俺は歌を聞かせないとダメ?


  挿絵(By みてみん)


 何が悲しくて宇宙で誰とも分からぬ相手にライブせにゃならん。そもそも、宇宙に行ったとして呼び掛けても九分九厘来ないんだからなにか言われても無視だ無視。宇宙で歓迎されてないからって首でも絞められたら流石に言い訳ができない。


 寧ろ宇宙式の挨拶が首を絞める事だなんて勘違いされたら、多分他の宇宙人と出会った時に絶対誤解を生む。それこそ、あのクリオネみたいなヤツのどこか分からない首を探し出したり、自分で自分の首を絞めて挨拶の代わりにしたりと分けがわからん事態になる。


「取り敢えず、政府が私の目にダメージを与えたいのは分かりました。流石に太陽で目を焼かれてもOKとは言えませんね、」


「本部長殿なら魔法や煙で、どうとでもなるのではないのでござるか?」


「うんうん、出来るのに出来ないって言ったらだめだよ?色んな人が頑張って仕事してるんだから。」


 娘がここぞとばかりに諭す様に言ってくるが、スタートの時点で全面ガラス張りの籠とか既に間違ってるだろ!やれる事はやる。出来る事はする。だが、あんまり無茶言い出すとそれこそ魔女の言い分ではないが宇宙を生身で歩きだすぞ!?それこそ『ちょっと月まで散歩してきますと。』


  挿絵(By みてみん)


 実際、魔女が言う様に宇宙空間に生身で出られるのか?考えてみれば中身がないので臓器へのダメージはゼロ。呼吸も必要ないので窒息の恐れはない。身体は巻き戻り続けるのでもしかしたら熱を帯びるかもしれないが、それもダメージとは言えない。宇宙線?モンスターのモノに耐えるスィーパーにその話を出すのはナンセンスだ。そこまで考えてしまうと、宇宙散歩出来ちゃうんだよな・・・。


「Fly Me To The Moonと言えば政府が月へ連れて行ってくれるのかな?」


「可能性は大きいでござるが、エレベーターガールがおるかもしれんな。宇宙エレベーター的に。」


「身体への負荷半端ない職業ですね、それ・・・。エレベーターなら行くのは・・・、1人かすし詰め状態かぁ・・・。出来る限り行くなら楽に行きたいなぁ・・・。」



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― 新着の感想 ―
[一言] 生身で宇宙に行って欲しい 絶対リアクションが面白い
[一言] 生成AIは言葉で説明しにくかったり逆に単純な一言で説明できちゃうポーズの類は苦手、とあったけど確かに そして交渉はこちらから何も差し出してない件 これ人間相手でも無理だろ、時間の浪費を忌避…
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